木ノ葉のお札屋さん   作:乙欄

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第二部のちょい手前のお話です。


新たに吹く風
29枚目


 ナルト君が自来也様と修業の旅に出てから、彼に負けないようにとわたしたちも修業に励んできました。サクラちゃんはもちろん綱手様の下で医療忍術を。わたしも、しばらくはヒルゼン様と。ヒルゼン様が……亡くなった、あとは。カカシ先生、そして結界や封印術が専門の方々等々に師事してきました。

 

 そういうわけでして、鍛錬に明け暮れずっと下忍のままだったわたしたちですが、ここは中忍への昇格のための一歩を踏み出すべきでしょう。すなわち──中忍選抜試験です!! 

 

「ね、ね、聞きましたか? およそ2年半ぶりの他里と合同での中忍選抜試験がまた木ノ葉主催で開かれるという話」

 

「うん……それで、なんだけど。カタナに話があって……」

 

 何でしょうか、と首を捻るわたしにサクラちゃんは言いました。

 

 ──今回、別チームでの参加をしないかと。

 

 わたしは思いました。サクラちゃんを怒らせるようなこと、何かしてしまったっけと。

 

 ちょっと涙目になるわたしにサクラちゃんは慌てて言葉を続けました。

 

「あのね、いのから提案受けたんだけど。ほら、今の7班は2人で、8班はシノが、10班はシカマルがもう中忍になってるでしょ? だから私が10班に入ってカタナが8班に入るといい感じに3人1組(スリーマンセル)ができるんじゃないの、って」

 

「なるほど……」

 

 確かにそうです。2人組が3班あるのですから2班にしてしまえばいいというのはとても道理に適っています。本当に最後の最後の手段として、中忍になった人が仲間のために一緒に試験を受け直す、というのも認められてはいるのですが……あまり多用していいものでもありませんからね。

 

 サクラちゃんと戦うことになるかもしれない、というのは嫌ですが、それは木ノ葉のみんなに対しても言えることですし。任務などで別の班に加わる、というのは別段珍しい話ではありません。

 

「わかりました。8班のお二人が受け入れてくださるのなら、わたしも異存はありません。むしろこうして調整していただいてありがとうございます! でも……」

 

「でも?」

 

「お互い、できるだけ争うことのないようにしましょうね。試験なので可能な限り、にはなってしまうのは承知していますけれども」

 

「もちろんよ! まあ前回と同じなら1次は筆記で3次はトーナメント戦だから、2次試験はお互い……ううん、木ノ葉全体でできるだけ協力しましょ」

 

 

 

 ──と、いう一幕がありまして。

 

「どうぞよろしくお願いします」

 

「う、うん! こちらこそ!」

 

「おうよ!」

 

 この度の試験をわたしは無事、8班の日向ヒナタちゃんと犬塚キバ君と受けることになり、サクラちゃんは10班のお二人に加わる形となっています。カカシ先生にもご相談しようと思っていたのですが、任務でどこかへ行っているらしく……お帰りになったら中忍昇格のご報告ができたらと思います。

 

 いつもとはちょっと違うチームにドキドキですが、まあ知らない仲ではありませんし……どちらかというと10班の猪鹿蝶トリオよりは8班の3人の方が任務でご一緒することが多いです、ええ。

 

 あのあとよくよく考えると医療忍術を綱手様の下で一緒に学んでいたサクラちゃんといのちゃんが一緒の班になるのはバランスが偏っているかなあ、とも思ったのですが頭脳明晰なシカマル君の代わりと考えるとサクラちゃんにしか務まらないですよね。わたしがシノ君の代わりというのも畏れ多いですが、手数の多さとかはちょっと似ているかなと思います、はい。

 

「そういえば、試験官の1人にシカマル君がいるみたいだね」

 

「何だか変な感じですよね……そしてどんな試験にしてくるのかちょっと怖いです」

 

「大丈夫だって。ばしっと決めてオレ達もさっさと中忍になっちまおうぜ!」

 

 な!と言うキバ君に赤丸君がワンと元気よく返答しました。すっかりすくすくと大きくなった赤丸君は、なんと人が上に乗っても大丈夫なくらいに成長しているのです。その存在感に他の受験生からチラチラと熱視線を送られています。やはりもふもふは強しということでしょうか。

 

 アカデミーの前には長蛇の列があり、今回も色んな人が参加しているようです。木ノ葉と、あとは砂隠れの人が多いですね。

 

「はい次の方」

 

 受付していたのはとっても見慣れたお二人。はがねコテツさんと神月イズモさんです。前回の試験では志願書を出す前に、幻術の結界を張ったり変化してわたしたちの前に出てきたりとしていましたが今は普通に受付をしてくださるようです。試験は担当官次第だそうですし、前の森乃イビキさんとは違った方が試験官なのか、やり方を変えたのやもしれませんね。

 

「はい。この3人での受験ですね。受け付けました」

 

「3人で引いてください」

 

 箱から棒を引っ張り出すと、ヒナタちゃんには1、2がわたしでキバ君には3と書かれたプレートが出てきます。

 

「札は戻してそれぞれ引いた番号の教室へ行ってください。1番はこの先の教室に、2番と3番は階段を上がって」

 

「わ、分かれなくちゃいけないんだ……」

 

「みたいだな」

 

 残念ですけどヒナタちゃんとはここでお別れのようです。キバ君とも上までは一緒でも、教室は違うと。むむ、分ける意味とは一体何なんでしょうか……。

 

「個人戦、なのですかね。とりあえず1次試験突破目指して、頑張りましょう!」

 

 おー!とわたしたちはお互いの健闘を祈り合いました。

 

 

 2という札のついた教室には既に多くの受験生が入っていました。とりあえず来た順にみんな座っているようです。

 

「あら。カタナも一緒だったのね」

 

「はい、よろしくお願いしますね」

 

 わたしが座っている席の隣に来たのは綺麗な金髪のポニーテールに、おへそを出した服の少女。いのちゃんと同じ教室だったんですね。お隣に座れてちょっとラッキーです。

 

 ただ、わたしたちの後ろに座った人がちょっとばかりでなく大きい人で……その存在感から席が狭く感じてしまうのは不運だったかもしれません。草隠れの方、ですか。火の国からは北西の小国の隠れ里ですね。頭に額あてを2個使って結んでいる方なんて初めて見ました。インパクトが大きいです、はい。

 

 黒板には「許可なく戦闘は禁止」とデカデカと書かれていました。許可があればしていいんですかね……どうなんでしょう。謎です。

 

「おいおいおいおい。開かねーぞ、この扉!」

 

 最後に入ってきた人が閉じた扉の前でそう叫んでいるのを聞いて教室はざわめきだします。「どういうことでしょう!」と言いながらリー君もわざわざ立ち上がっていました。今日も今日とて緑タイツなんですね、リー君……。

 

「試験官が来ないの!?」

 

「閉じ込められた、ということですかね」

 

 いのちゃんと話していると、キーンとハウリングを起こした音が響きました。放送です。

 

【中忍選抜第1試験、試験官の奈良シカマルだ。受験生は教卓上の試験用紙を1枚とって好きな席に着くように】

 

 シカマル君が試験官ですか。うう、筆記試験、どんな問題が出るのやら。

 

 みんなでお行儀よくならんで紙を取っていき──わたしも試験用紙をとって元の席に戻ります。

 

【あー、みんな席に着いたか? めんどくせーからさっさといくぞ。運がいいぜお前ら。今年はオレがルールで】

 

 確かに前回のイビキさんは意地の悪い問題を出したようですが……むむ、シカマル君の方が優しいとは限らないと思うのですが。

 

【1次は筆記だ。問題を見るように】

 

 そう言われて用紙を裏返します。ええと、問題は隊列のフォーメーションの場所と性質変化の選択肢問題、高所から攻撃の際のメリットデメリットの記述と。ふむふむ。3問ともそう難しくないですね。前回みたいに超難問、というわけではないようです。

 

【問題は3つ。3問ある問題の配点はそれぞれ30点、40点、50点だ。各人その3問の中から1問だけ解答しろ。合否はチームの合計点で判断する。まず、3人の合計点が100を超えたチームは失格とする】

 

 つまり3人で30 30 50で110点、30 40 40で110点、40 40 40で120点とか……そういった合計点だと失格なんですね。100点になるのは30 30 40、もしくは50 50 0の組み合わせになります。1、2、3で分かれたからといってその順番で問題を解いてしまうと30 40 50で120点、100点をオーバーしてしまいますか。

 

【次に、残ったチームで平均点を出し得点が平均点未満のチームは失格。平均点以上を合格とする】

 

 なるほど。つまり3問しかないこの問題だとチームで100点をとれないとほぼ不合格といっていいでしょう。全員30点の問題を解いて合計90点、というのが安全策ですがそれは無理ですね。問題を解くことそれ自体ではなくチームでの調整が鍵、ですか。うぅ、やっぱり難しいじゃあないですか。

 

 受験生みんなが戸惑い教室がざわざわとしている中、シカマル君は無情にもあっさりと告げました。

 

【試験開始だ】

 

 ピッ、ピッとタイマーの時間が減り始めます。わずか30分ですか。うーん、キツイですね。とりあえず全ての問題の答えを記入しちゃっておきましょう。あとで消せばいいのですし。

 

 カリカリと手を動かしていると元気のいい声が響きました。

 

「全然わかりません! この問題!」

 

 …………

 

 ……周りを見渡します。誰も彼もこの問題自体は普通に解けているようです。今叫んだ彼以外は。

 

 り、リー君……そんなに難しい問題ではないと思うのですが。まあ、最後までわからないようでしたら解答を見せてあげましょう。カンニング行為は禁止事項には無かったはずです。

 

 それより難しいのはヒナタちゃんとキバ君が何点を取るかですね。2人とコンタクトが取れる術があればいいのですが……わたしよりは感知タイプの術が使える2人から何かしてくれる可能性が高いでしょうか。ちょっと考えてみましょう。

 

 まず、ヒナタちゃんには白眼(びゃくがん)があります。その目でわたしが何か伝言を書いても、容易に見透かすことができるでしょう。ただ……ヒナタちゃんへわたしとキバ君がメッセージを書いて読んでもらったとして、キバ君とわたしの連携が取れないのですよね。ヒナタちゃんから連絡してもらうことはできませんし。とすると、残念ながら白眼(びゃくがん)は今回の試験では意味が無いです。

 

 次にキバ君。彼にはすごい嗅覚がありますが……うーん、匂いで何かを伝える、というのは……事前にこの匂いがしたらコレ、とか決めたりでもしない限り連絡手段にはなり得なさそうです。

 

 むむ、となると自分で何とか連絡手段を講じねばなりませんか。

 

 既に教室の人々の中にはチラホラと立ち歩いている人もいますが、何か試験官から言われる様子もありません。やはりただの筆記試験ではない、ということなのでしょう。

 

 わたしも歩いて窓の方を確かめます。二重窓で完全に密閉されていますね。紙の1枚すら通りません。

 

 うーん……。

 

「わかった! やっとわかりましたよ!」

 

 悩んでいると再びリー君の明るい声が響きました。仲間との連絡手段を思いついたというのでしょうか。

 

 同じ期待を抱いたらしい いのちゃんが「わかったの?」と問うと、リー君は大切そうに答案用紙を抱えて「見せませんからね」と言っていました。

 

 ……問題が、解けただけのことだったようです。紛らわしい……! 

 

「見ないわよ。見なくていいわよ」

 

 呆れた感じで言ういのちゃんと、得意気なリー君を見て……でもナルト君がいてくれたら簡単だったかも、と考えてしまいました。彼だったらたぶん、迷わず白紙にするでしょうから。そうするとナルト君は0点確定で、わたしとサクラちゃんで50点ずつ取ればいいだけです。……正直、ナルト君が解答を書いてたとして30点の問題でも間違えちゃってそうですし。

 

 まあ、ともかく今はヒナタちゃんとキバ君です。他の教室に伝える手段、手段……教室の外に出る、とか。トイレに行きたい、とか言って部屋を出られるほど甘くはないですよね。あとは例えば火事が起きたと偽って教室の扉を開けさせる、という作戦もシカマル君を騙せなさそうですし。

 

 となるとどうにか自身の解く点数を伝えるものが……音とか光とかでしょうか。うーん、難しいですね。

 

 隣を見てみるといのちゃんは感知しようとしているのか印を結んでいます。心伝身の術ですかね。うう、流石です。心を通じ合わせることで複数の人間が同時に会話できるその術で、他の2人と話せているのでしょう。やはり情報戦に強いですね、山中家の秘伝忍術は。

 

 他の子は、と教室をぐるりと見ていると何だか人目を引く子が壁の方へと歩いているのが目に着きました。同じ列の右の方に座っていた少女です。肩までの長さの髪は緑のような水色のような、綺麗なミントグリーンで肌は褐色、右腕につけている額あてからして滝隠れ──火の国の北部に位置する小さな里──のくノ一のようです。彼女にも何か連絡手段があるのでしょうね。こうしてただ見ているだけではわかりませんが。

 

 外を見てみると校庭には砂文字で「俺は40点を解く」と書かれており。砂隠れの人の忍術ですかね。これを見た仲間は30点を解く、ということでしょう。むぅ、上手です。

 

 わたしも何かしませんと……。色々と考えてみましょう。

 

 放送を乗っ取る。うーん、教室から出られない以上は無理ですね。却下。

 

 大声でほかの教室へ語りかける。ちゃんと聞こえるか確証もありませんし、そもそもヒナタちゃんは下の階にいますからね……却下です。

 

 全教室の窓を振動させる。できなくはないですけど、何か伝えられる前に窓を壊しちゃいそうです。却下。

 

 外に光を発生させて光った回数で伝える。今はお日様が明るいですし、何回光らせたか正確に伝わらなさそうです。却下。

 

 逆口寄せを使って外に出る。でもそうしちゃうと転移先からアカデミーまでの距離がわかりませんし、アカデミーに着いても今度は元の教室に戻れなくなっちゃいますよね……。却下です。

 

 いのちゃんに頼んでコンタクトを取ってもらう。うぅ、とっても簡単ですけど……そこまで頼るのは。最後の最後にどうしても無理そうだったら検討しましょう。保留。

 

 アカデミーに保管してある起爆札を発動させる。うーん、これが一番出来そうですけど、どこにあったかが曖昧です。職員室の隣の教室でしたっけ……? 

 

 記憶の糸を辿っていると、またしてもリー君が大きな声を上げました。

 

「何か聞こえませんか?」

 

 耳を澄ましてみると確かにざわざわと声のような音が聞こえてきているようです。他の教室の人が何か言ってるんでしょう。でもちゃんと声として届いてはいないので、意味はないですね……。

 

 そう、思っていたのですが。

 

「そうか、他の部屋に声が伝われば……」

 

「お~い! 聞こえるか~!」

 

 みんな一斉に大声を出し始め、教室内がすごくうるさくなってしまいます。

 

 思わず耳に手を当てて いのちゃんと机に突っ伏していると、そんな騒音をかき消すようにドンドンと激しい音が鳴り渡りました。

 

 1、2、3……4、5。5回です。

 

「今のは何かの合図?」

 

「ええ、おそらくは。5回、ということは……そう、50点の問題を指しているということでしょうか」

 

 50点の問題を解いて100点にするには、誰か1人が0点で他の2人が50点を解くことになります。ですが、このメッセージを出した人が50点を解くのはありえません。なぜなら他の2人が50点と0点のどちらを解けばいいか判断がつかなくなってしまいますから。つまり、自分は白紙で出すから他の2人に50点の問題を解けということなのでしょう。

 

 振動からして同じ階ではありませんね。たぶん下の階、ヒナタちゃんたちの教室から発生した音です。

 

 そのあとも何度か5回ずつの振動が響き渡りました。

 

 これが合図として──懸念がいくつか。まず、この教室に届いた5回の振動は試験官が出した音かもしれないということ。つまり試験官による妨害行為、ふるい落としの可能性ですね。

 

 次に、受験生が出した音だとしても我がチームもこれに乗っかっていいかどうか。ヒナタちゃんが0点を、キバ君が50点を取ると信じていいか、ということですね。

 

 うーんと悩んでいるとなぜか放送が入ってきました。

 

【一次は筆記と言ったはずだ。戦闘は禁止。おとなしく時間まで問題を解くように】

 

 …………

 

 ……ふむ。誰かが戦闘をしていいかと試験官に尋ねたのですね。タイミング的におそらくそれはヒナタちゃんの教室の、この振動を出した人です。そして、その意図は……こうして試験官が注意を出したということは、先ほどの振動はやはり受験生による合図だと。そうアピールすることでしょう。

 

 あとは自分の判断を、仲間を信頼できるか、ということですね。

 

 ──────よし。

 

 わたしは50点の問題以外の解答をできる限り綺麗に消しました。

 

 

 

 

【全員答案用紙を裏返しにしてくれ】

 

 タイマーの数字が0を表示し、わたしたちは一斉に紙をひっくり返します。このまま回収かな、と思っていると衝撃の発言が飛び出しました。

 

【続いて第2問】

 

「えっ!?」

 

 教室が驚きの声で満たされます。

 

 やってくれますねシカマル君……。

 

【問題。チームで任務中敵に見つかった。追撃を振り切るため1人を囮で残すとしたら誰にするか】

 

【囮は間違いなく死ぬものとする。解答はいま裏返した用紙を使え】

 

【3人とも答えが一致したチームを合格とする。囮に選ばれ名前を書かれた受験者だけは死んだものとみなし失格とする】

 

【制限時間は3分だ】

 

 ピッと無慈悲にもタイマーがその時を減らし始めます。

 

 うぅ、囮、ですか。なんだか扉間様達の部隊の話を思い出してしまいます。と言いますか、シカマル君も扉間様リスペクトなのですかね。それともたまたまなのでしょうか? 

 

 扉間様に倣うならここは1番年上のわたしが囮になるべきですけど……うーん。

 

 はぁとため息をはいて外でもと眺めてみると「ミジンにする」と砂文字がありました。……あのチームはミジンさんをあっさりと切り捨ててしまうのですかね。まあ答えは一致できそうですけれども。

 

 お隣のいのちゃんはまた印を結んでいます。羨ましい……これほどまでに秘伝忍術が羨ましく思えるのは初めてです。

 

 そうですね……もし。ナルト君とでしたら彼はきっと「オレは火影になるまで、ぜってェ死なねーからよ! 」とか言ってくれて自分の名前を書きそうです。でもわたしはナルト君の名前は書きたくないですね……その場合、どうすればいいんでしょうか。

 

 いえ、今のわたしの仲間はヒナタちゃんとキバ君です。考えなければいけなのは2人が何と書くか……わたしは、何を書くべきか。

 

 自分の名前? 2人のどちらかの名前? それとも「自分」などと抽象的に書く? 

 

 …………

 

 ……

 

 ゆっくりと深呼吸して、心を落ち着かせます。

 

 ここは、たぶん。

 

 わたしは答案用紙の裏には何も書かずに提出しました。

 

 ──だって未来は白紙。囮を選ぶその時が本当に訪れたら、それはその時考えます。

 

「採点が済むまで教室で待機。合格者はアナウンスで校庭に呼び出すことになっている」

 

 教室に入ってきたイズモさんがそう言って、ドキドキしながら待っていると──幸いにもわたしもいのちゃんもリー君も無事、呼ばれました。

 

 

 校庭には意外と多くの受験生が残っていました。前ではシカマル君がいつも通り面倒くさそうな様子で立っていて、そのお隣にはテマリさんもいます。

 

 わたしはヒナタちゃんとキバ君のいる方へと駆け寄りました。

 

「みんな合格でよかったです。お二人とも、お疲れ様でした」

 

「うん……!」

 

「おいおい、まだ2次があるんだぜ? 次も頑張らねーと。な、赤丸?」

 

 ワンと赤丸君が元気よく応えます。次の2次試験は前回と同じなら死の森と呼ばれる演習場で行われるサバイバルになりますかね。キバ君の言う通り、頑張りませんと。

 

「ここにいるのが1次試験の合格者だ。おめでとう」

 

 あんまり祝っていない感じで言うシカマル君に続いて、テマリさんも話し始めました。

 

「1次の合格者が多いので更にこの中から足切りをさせてもらう。2次試験もチーム戦だ。3名揃っていないチームはこの場で不合格だ」

 

 その言葉に、いくつかのチームは肩を落とします。

 

「そのうえで2次試験は砂隠れの里で行う。魔の砂漠監視所が集合場所だ。木ノ葉と砂の間のルートは確立されているとはいえどんなに急いでも忍の足で3日はかかる距離だ。あの伝書鷹で砂隠れに連絡を送った。到着順の下位30名はその場で失格にしろとな。なお1次同様、道中は戦闘禁止だ。バトルは2次で思う存分やらせてやる。以上!」

 

 ええと、つまり純粋に移動するだけということになりますね。と言いますか、砂に行くのですか……完全に予想外です。

 

 みんなもてっきりこのまま木ノ葉で受けるものだと思っていたのでしょう。戸惑う雰囲気の中、よく通る声が響きました。

 

「リー! テンテン!」

 

 ネジ君の指示により3人は素早く移動していきます。

 

 あ、もう行っていいのですね。でしたらはやく急ぎませんと。

 

「口寄せの術!」

 

 わたしとヒナタちゃんはシロマリに乗って。キバ君は赤丸君に乗って、わたしたちは駆け出しました。

 




本当に最後の最後の手段として、中忍になった人が仲間のために一緒に試験を受け直す、というのも認められてはいるのですが……あまり多用していいものでもありませんからね。
→原作で6歳で中忍に昇格してるはずのカカシがなぜかその後中忍試験をオビト達と一緒に受けてるとこから。人数足りなきゃ仕方ない的な扱いかと。ザルいとは思うがまあ、この合同の中忍試験って国ごとの代理戦争的なやつだしバレなきゃいい的な面はあるのではないだろうか。

シロマリ→幽霊城の白カメレオン。アニオリ口寄せ動物。未だ契約継続中。
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