木ノ葉のお札屋さん   作:乙欄

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やっとここまで来ました。察しのいい方は気づかれていたかもしれませんが……1話冒頭とかにつながる、アニオリのお話です。

連続で2話更新してます。



はるか、昔の話。


今は昔竹取の翁といふものあらざりけり
ただの昔話


 昔々、チャクラという概念すらない、争いの絶えない戦乱の時代のことです。あるところに、()の国という名のクニがありました。

 

 ()の国の(おう)、テンジ様は冷静な判断力を持ち統率力にも優れた男でした。そのため()の国の人々はみな彼を敬い、比較的穏やかに暮らせていたのです。

 

 そんなある日、突然()の国に光が落ちてきたのです。吉兆とも凶兆ともわからないそれを探るべく、幾人かの武官がテンジ様の命令で光の行き先を追いました。光の落ちたところは竹やぶ。男たちがその中を見ると、そこからこの世のものとは思えない程の美しい女人が光輝いて現れたのです。彼女はテンジ様の下へと連れて行かれました。そして、名をカグヤ。自身のことを神樹を見守る者と告げました。

 

 得体の知れないカグヤ様を疑う()の国の者達でしたが、テンジ様はその美貌に魅入られ側室として大事にします。そして彼女には身の回りの世話をする女官アイノがつけられたのです。

 

 カグヤ様は、部屋から見える樹のことを気にしていました。数千年前に忽然と生えて見る間に大木になったとか言われており、また近づくとたちまち精根が尽き果て枯れ木のように死んでしまうという恐ろしい噂のあるこの樹が、彼女が見守ると言った神樹です。

 

 さらにカグヤ様は毎晩外に出て空を見上げていました。まるで誰かが迎えに来るのを知っているように。そんな神々しいほどに美しい姿から、村人たちは彼女は空からやってきたのだとしきりに噂していたのです。

 

 さて。ここで、()の国が登場します。彼の国は隣国に因縁をつけては戦を仕掛け領土を広げてきたという悪辣な国です。彼らは()の国との国境付近の湖、()の国にとっては大事な農地の水源を返せなどとぬけぬけと言ってきたのです。もちろん、渡さなければどうなるかはわかっているなと脅してもきました。()の国の戦力は彼の国のおよそ3分の1程度で、戦となれば勝ち目はないことは明白です。テンジ様は耐え忍ぶことを選びました。

 

 そんなある晩。テンジ様は月が存在しない、星のみが燦然と輝く夜空を見上げるカグヤ様に上着をかけます。そして、例えカグヤ様が誰かを待っていたとしても、彼女が寂しくなって空を見上げるときにはいつも隣にいると言いました。さらにカグヤ様に向かって何か望むものはないのかと尋ねると、彼女は争いのない平和をと望みました。

 

 彼の国は()の国へ向かって矢を射ったり、国境で挑発行動を繰り返しました。どんどんひどくなっていく悪事に、()の国の民の怒りは限界へと近づいったのです。

 

 しかしテンジ様は平和を求めるため、決して彼の国の者に手を出してはならぬと告げました。和平交渉を進めるので、彼の国の者に手を出した者は皇の名のもとに死罪とするとまで宣言したのです。

 

 テンジ様は毎日カグヤ様の下へ通い、そんな彼に心を許したカグヤ様との2人きりの時間も増えていました。

 

 ある晩。2人で過ごすテンジ様とカグヤ様の下に、国境に彼の国の大軍勢が現れたという伝令がやって来ます。テンジ様は出陣し、カグヤ様は()の国の都を離れました。

 

 それを知った彼の国の大臣はカグヤ様を手に入れるべく動き出したのです。カグヤ様を捕らえようと襲わせるも、しかし彼女の持つ不思議な力によって返り討ちに合います。

 

 カグヤ様を自分のものにできなかった大臣は、テンジ様に彼女を殺せと言いました。カグヤ様が彼らを返り討ちにした際に死人がでたことから、「彼の国の者に手を出した者は即刻死罪という命」を下したならば実行しろと言いがかりをつけてきたのです。

 

 大臣はカグヤ様の死を確認できなければ戦は止められないとテンジ様に言い放ちました。悩んだテンジ様は、しかし国を選びました。

 

 カグヤ様は女官のアイノとともに神樹へと逃げます。女2人といえど、カグヤ様には不思議な力がありました。しかし、それは途中で失われてしまいます。カグヤ様は身籠っていたのでした。

 

 アイノはカグヤ様を守るべく追手のテンジ様たちに、子がいるから兵を引いてほしいと呼びかけます。

 

 返答は…………矢が、降り注ぐのみでした。アイノは何本もの矢に貫かれ、カグヤ様とその子を想いながら、息を引き取ったのでした。

 

「アイノ……!」

 

 カグヤ様は、走りました。神樹の根本に辿り着くと、その実を食べ────

 

「この世を照らせ 無限月読」

 

 強大なチャクラを得たカグヤ様によって月が召喚され、人々は神樹の蔦で繭のように包まれました。

 

 

 

 人類を滅亡させないため、人々の一部は解放されました。もちろん、神樹などの記憶は失っています。

 

 やがてカグヤ様は双子のハゴロモとハムラを生み、彼らとともにその地を治めました。この母子のみが扱える力。それがチャクラでした。

 

 ある時、ハゴロモとハムラの前に一匹の蝦蟇蛙が現れます。蛙は「神樹は大地の力を吸い取り続けており、あれがある限りこの大地は弱り続ける。真実を知りたければ神樹の下に行け」と言いました。その言葉を信じていなかった彼らでしたが、神樹のしきたりとして自分達と親交の深かった少女が神樹の下へ行くところを目撃してしまいます。神樹のしきたりを中止してほしいと母であるカグヤ様に願うも、一蹴されてしまい。しきたりで神樹に向かった者たちはどうなるのか、なぜ1人も帰ってこないのかと問うも、カグヤ様は「まだお前たちが知る必要はない」と言って答えてはくれませんでした。

 

 不信感を募らせた2人は掟を破って神樹の下へと行きます。神樹の根本。そこには大量の人型の繭がありました。一つ、繭を切り裂くと……中には彼らと親交の深かったあの少女の亡骸があったのです。神樹のしきたりとは人々を神樹の生贄にするものでした。

 

 しきたりの真実に驚愕する彼らの前に、再び蝦蟇蛙が現れます。妙木山に連れて行かれた2人はカグヤ様が地上に降りてからの話、そして神樹によって大地も人も自然エネルギーを吸われてしまっており、いずれはすべてが滅ぼされてしまうことを伝えられました。この地を救うため、母へ対抗するためにハゴロモは妙木山での修業を始めます。

 

 やがて仙力を習得したハゴロモは、カグヤ様と対峙しました。

 

「ワタシはかつて母上が何をしたのかも知った。なぜあのような恐ろしいことをするのです?」

 

「お前たちは知らぬのだ。ヤツらの恐ろしさを。そのための兵が必要だ」

 

 神樹の根本、繭に包まれた人々は、兵として作り変えられていたのです。母の真意が読めないハゴロモはさらに問いを重ねます。

 

「あれが兵? ……母上、あなたはいったい何者なのです? どこからやってきたのです?」

 

「ワラワがやってきたのはここから遥か遠い空。お前たちには決してゆけぬ場所だ。そこからやがてワラワの迎えがやってくる。愛など通用しない、通じるのは力のみの連中だ」

 

「だからと言って……! 母上もかつて愛を信じたはずです! だからこそワタシたちはここにいる!!」

 

 一拍置いて、カグヤ様はきっぱりと告げました。

 

「だがその思いも裏切られた。そして今ワラワは命をかけて力を分け与えたお前にも裏切られようとしている────所詮、お前たちとワラワではわかり合えぬ。ならばハゴロモ、その力……ワラワに返してもらう」

 

 そして。

 

 カグヤ様と双子。その数ヶ月にも渡る長い戦いの末、彼女は月に封印されました。

 

 弟であるハムラは、母を想って月へと移住し。兄のハゴロモは地上に残って忍宗を広め、弟子となった者へチャクラを分け与え、民衆を導きました。

 

 出家したハゴロモは六道仙人と呼ばれ、あまりにも神話的な人物であるが故にその実在は疑われつつも、全ての忍術を生み出した者、忍の始祖として今でも崇められているのです。

 

……めでたし、めでたし────────???????? 

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