木ノ葉のお札屋さん 作:乙欄
スズ取り、長くなったので次話に続きます。
「それで、ナルト君たちは何のお話をしていたんですか?」
「あー……ん、んんっ、木ノ葉丸に新術を────」
「ナルト。わかってるわよね?」
「お、オウ! アイツには螺旋丸を教えてやるつもりだってばよ!!」
「なるほど、それはいいですね。木ノ葉丸君もきっと喜びますよ」
道中、教え子たちはのんびりと談笑しながら──不穏な会話も入っていた気もするがまあ気の所為だろう──歩いていた。本からまったく目を離さずにいながらもその様子を伺っていたカカシは思う。懐かしい光景だ、と。
自来也と旅に出たナルトとは久々の再会であるが、それ以外の2人、カタナとサクラとは里で顔を合わせる機会もあった。それでもカカシを含めた3人で会うことがあまりなかったのはお互い忙しかったからだろう。カタナは任務・修業・書類仕事・調べものなど色々と頑張っていたし、サクラは綱手のもとで熱心に修業に励み今やその医療忍術の腕はあの厳しい綱手ですら太鼓判を押すほどで、病院で様々な難しい手術も担当したと聞く。カカシはというと振られてくる様々な高ランク任務に取り組んだり、自身の修業を行っては寝込んだり時間が合った時はカタナに修業をつけたりとこれまた多忙な日々を送っていた。
そんなカカシが再び彼らにスズを奪い取れ、という課題を与える理由は綱手からの指示されたためであるが、3人への課題というよりはナルトへの試験という面が大きい。サクラとカタナはもう中忍として認められているし、その実力はサクラについては綱手が、カタナについてはカカシがよく知っている。問題はナルトだ。彼が忍として成長しているか、暁に狙われている現状で任務に出ても大丈夫かどうか。それをカカシは判断せねばならない。もちろん3人のチームワークを再確認することもまた重要ではあるが。
第7班。サスケが抜けてはしまったものの、カタナとサクラが綱手に頼み込んだことでそれ自体の枠組みは残したままらしい。いつか彼が帰ってくる日を待って。そういうことなのだろう。ともかく、ナルトが帰ってきた以上はこの4人で任務を受けることになる。昔とは違い、先生と生徒ではなく対等な木ノ葉の忍として。
──さて、今回はスズを取れるかな?
もともと目的地はそう遠くはない。4人はあっという間に第三演習場に着いていた。
「ルールは前と同じ。どんな手を使ってもいいからオレからスズを取ればいい。期限は明日の日の出までだ」
チャリ、とカカシの腰からスズの音が響く。
懐かしそうにきょろきょろとしている教え子たちの様子を見て、カカシも思わず呟いた。
「ああ、そういや。ここはお前たちの最初の演習の場所だったか……あの時は……サスケもいたっけな……」
カカシにとってはこの場所は演習場というよりは慰霊碑のある地という認識の方が強い。故に出た言葉であったが……その効果は絶大だった。残念ながら悪い方向に。
急に3人とも黙り込んだかと思うと、体育座りでブツブツと何かを唱えるサクラと。地面にうずくまり以下同文のナルトの姿が、そこにはあった。
ズーンと重く暗い空気が漂う。2人と比べればショックが軽いらしいカタナからじとりと非難の目で見つめられたカカシは、ごめんごめんと片手を振って返した。どうやらサスケの名前は未だ禁句であったらしい。
仕切り直しを図るべく、パタンと音を立てて『イチャイチャタクティクス』を閉じる。カカシはこの素晴らしい新刊をまだ半分ほどしか読めていない。丁寧に丁寧に文字を追って、その感動を噛み締めているのだ。しかしどこまで読んだか、そのページ数はしっかりと脳に刻みこまれている。優秀な頭脳のとんだ無駄遣いである。
「さて……始めますか」
カカシの言葉にナルトもサクラも気持ちを切り替えて立ち上がる。額あての紐を締め直したり、手袋をつけたりしている2人の頼もしい様子にカタナはほっとしたようだった。軽く微笑んでカカシへと声をかける。
「以前は本をお読みになりながらの演習でしたよね、先生」
珍しく皮肉な言い方をする彼女に続けて、いつもの調子を取り戻したらしい2人も口撃を加えた。
「そーそー、今度はそれ読みながらやらないの?」
「それとももう読み終わっちゃったんですか?」
教え子たちからの可愛い反撃に、カカシは苦笑した。といってもマスク越しなので伝わらなかったかもしれないが。
そして壊れ物を扱うような手付きでポーチへと本を閉まう。イチャパラファンであるカカシは知っているのだ、この新刊がまだ世間には出回っていないレア物だということを。貴重な本であるのだからファンとしてはいつも以上に大切に扱わねばならない。
「いや……楽しみは後にとっとこうと思ってね。それに……まァ今回は何となく。オレも少し、本気を出さないといけない雰囲気だしな」
そう話しながら額あてを持ち上げてその位置を額へと戻す。
前のスズ取り演習ではイチャパラ片手に写輪眼無しで対応していた──それで対処できていたカカシだが、流石に今回はそうはいかない。左目の写輪眼のみを開き、右目は閉じる。
真剣な空気へと変わった中で、はじめに攻撃を仕掛けたのはやはりというべきか、ナルトであった。
向かってきた手裏剣をあっさりと躱したカカシは自身もナルトへと手裏剣を投げ返す。サクラとカタナの方に目を向けるとまだ静観しているようだった。2人とも典型的な優等生タイプだ。カカシがまだスタートとは口にしていないこと、今のナルトの戦い方がわからないことから観察に徹しているのだろう。
そう考えつつ、駆けてくるナルトへと手裏剣で追撃を加える。そして皆の視線が手裏剣に集中している間に素早く影分身と入れ替わった。
身動きの取れない空中で攻撃を受けそうになったナルトはというと、影分身を出して本体を引っ張らせることでどうにか手裏剣を避けていた。そのまま影分身を大きな手裏剣へと変化させた彼の頭と手を掴み動きを押さえた
ナルトの影分身だ。どうやら先ほど影分身の術を使った際、一体は隠れさせていたらしい。そして本体を取り押さえる
以前のスズ取りでのナルトは1分しか多重影分身を維持できなかったことが嘘のようだ。チャクラ量の多さ任せではなく、影分身を巧みにタイミングよく使っている。加えて全体的な基礎能力も向上しているのはこの攻防からだけでも見て取れた。
「ま……せっかちなのは変わってないみたいだな……まだスタートは言ってないだろ?」
それでも。ただ闇雲に攻撃していた昔とは雲泥の差だ。
──成長したな、ナルト。
思わず顔が綻ぶ。
「じゃ、始めるぞ!! ……よーい……スタート!!!」
「「「!」」」
ボンと軽快な音を立てて
土の中に潜むのは土遁の基本的な技の一つ。どこへ行った、ときょろきょろする彼女達を見てカカシは「この班に感知タイプの術の使い手はオレしかいないからな……」とのんびり考えていた。班員が3人とも感知タイプの第8班とは大違いである。
まあカタナが口寄せを使えば別だが、呼び出しに応えるかどうかもわからない忍猫を今彼女が口寄せすることはないだろう。カカシの嗅覚は忍猫以上のため、口寄せしてもたいして意味がないことを彼女は理解しているはずだ。そこまで考えて、カカシはちょっと後悔した。
──口寄せ、禁止すべきだったかな……。
ナルトが自来也やミナトのように大きな蝦蟇蛙を口寄せしてくると、演習場が間違いなくお陀仏になる。そこまでしないとは思うけど……思うけど……とカカシの心は信頼と保身との間で揺れた。
そんなことはつゆ知らず。女子2人がコクリとうなずき合い、カタナはナルトのところまで下がる。不思議そうな顔をするナルトをカタナは後ろへと引っ張っていた。
同じくその行動の意図が読めなかったカカシだが、それはすぐにわかった。わかってしまった。
「下ァァああ!!」
──────────桜花衝!
上にも後ろにも左右にもいないから。そんな消去法でカカシの居場所を突き止めたサクラが勢いよくその拳を叩きつけ……地面が、割れた。それはもうバッキバキに。おかげで土中にいるにも関わらずカカシと教え子たちの目が合う。
──な、なんつー馬鹿力だ……。
五代目火影、綱手の怪力。医療忍術だけでなく攻撃性も受け継いでいたのか、と知ったカカシであった。怪力を発揮するにはその大雑把そうな攻撃方法に反して相当緻密なチャクラコントロールが必要であるが、どうやら彼女はその才能を余すところなく開花させていたようだ。後で演習場、土遁で直さないとなあ、とカカシは遠い目をした。
「カカシ先生──」
「ん?」
「見い付けた!」
不敵に微笑むサクラの後ろでカタナはちょっと引きつった笑いを浮かべ、ナルトは静かに冷や汗をかいていた。彼らも怖かったらしい。気持ちはよくわかる。カカシはナルトが自来也のような羽目には陥らないようこそっと祈りつつも同時に思った。父似の爽やかイケメンであったならば相性は悪くないはずなのに、と。サクラの勇ましいその姿は赤い血潮のハバネロと呼ばれた女性とも重なるものがあった。
ああ、どうしてナルトはこうも自来也に似てエロ忍術なんてものを考案したりするようになってしまったのか。師と同じ『ド根性忍伝』ではなく18禁小説のイチャパラシリーズを愛読する自分のことを完全に棚に上げ、カカシは心の中でほろりと涙を流した。非常に白々しい。
そして。気を取り直して地面へと飛び移り、自身をまっすぐ見つめるサクラへと再び教授することにした。
────写輪眼
幻術というものを。
「「サクラちゃん!?」」
突然身体を硬直させたサクラへナルトとカタナが慌てて駆け寄る。
カカシはコピー忍者と名高いだけあって術の見切りや先読み、再現する能力にばかりに目を向けられがちだが、本来うちは一族の写輪眼といえば目を合わせるだけで幻術にかけられる能力の方が有名だ。カカシもイタチほどの幻術の腕前はないものの写輪眼保持者として当然、その能力を使える。教え子たちの前であまり見せる機会がなかっただけで、ガイとの手合わせなどではしっかり使用していたりするのだ。
「ごめん、大丈夫。でも気をつけて。幻術よ!」
幻術を自力で解いたサクラが2人へと注意を呼びかける。その解術の速さにカカシは舌を巻いた。
──サクラには幻術の才能があるからな。
つまり幻術をかける適性も、かけられた時の耐性も高い。医療忍術を学ぶにはかなりの根気と時間を必要とし、さらに優秀な医療忍者は引っ張りだこなこともあってサクラに修業をつけてはやれなかったカカシであるが……もしこれから彼女が幻術を身につければ鬼に金棒だ。こりゃ五代目以上のくノ一になるかもね、と心の中で呟いた。幻術は医療現場でも役立てることができるだろう。サクラほどの頭の良さがあれば、余計に。
サクラの言葉にぴんと来ていないナルトとは反対に、カタナはすぐに気がついていた。
「写輪眼を直視するのは駄目だ、と……すっかり失念していました」
そう言ってカカシではなくその足元を見るようにしている。カタナはガイ班のテンテンと仲がいい。ガイから写輪眼による幻術への対応法を教わっていたのだろう。おそらくはイタチとの戦闘を見据えて。
「ナルト君も。影分身は大丈夫やもしれませんが、本物のナルト君は絶対に目を合わせないようにしてください!」
影分身は幻術への耐性が本体より高い。それを知ってのことかはわからないが的確な指示だった。
「わかったけど……それじゃ、どうすればいいんだってばよ!」
「ええと、ガイ先生曰く『常に相手の足だけを見て動きを洞察し対処する』だそうです」
「そんなんできっかァ!?」
「頑張りましょう!」
「根性論!? カタナがガイ班の空気に毒されてる……!」
正確にはガイ班と言うよりガイとリーの師弟であろうが、ともかく。
「あとは、互いにチャクラを流し合うとかですね……」
「あー。そーゆーのはエロ仙人に教わったけどよ」
第三者にチャクラを流し込んでもらう。幻術の基本的な解き方である。
だが戦闘中に一瞬でも幻術にかかってしまうということは、それだけでも隙が生まれてしまうものだ。根本的な解決にはならない。
どうしようかと教え子たちが戸惑う雰囲気を醸し出す中。昔であれば作戦タイムにでもしてあげたかもしれないが、カカシは今の彼らにそこまで優しくしてやる気はなかった。
「おーい、来ないならこっちから行くよ?」
その呼びかけに、3人ともとりあえずカカシの足元に目を向ける。
「やるっきゃねーか!」
ナルトが駆け出す。続いてカタナもナルトとは反対側から、カカシを挟み撃ちするように走ってくる。その後ろにはサクラが。幻術をかけられてもすぐに解いてあげられるようにということだろう。どうやら今度は連携して攻めて来るようだ。
カタナが投げた1本のクナイが空中で無数に増えていく。その術はカカシにも見覚えのあるものだった。手裏剣影分身の術、それのクナイ版。
写輪眼でその軌道を見切ったカカシは瞬身を使ってクナイの群れを軽やかに避け、そこに打撃を加えてきたナルトのことも難なく対処する。
攻撃を捌きながらも再びカタナの方へと目をやって──そして、気づいた。自身のもとへと突進してくる彼女が。マーキング、と唇を動かしていることに。
クナイ。マーキング。
それは、カカシの師……四代目火影、波風ミナトの代名詞。飛雷神の術を彷彿させるものだった。確かあの術は三代目がミナト先生に教えたもの、だとすればその三代目の弟子であるカタナもまた教わっていたとしてもおかしくはない。
まさか、投擲されたクナイにはあの時空間忍術のマーキングがついていたのか。先ほど避けたクナイを気にしてそちらへと一瞬、注意を向けるカカシ。その隙をナルトは見逃さなかった。素早く寅の印の形を組む。
「秘伝体術奥義! 千年殺しィっ!!」
一方、カタナはというと。駆けながらも呪符の付いたクナイを投擲してきて────
「悪いねナルト」
「うぉっ!!」
カカシの回し蹴りでナルトが吹き飛ぶ。正確に叩き込まれたそれによって倒れた場所は、先ほどのクナイが落ちた辺り。これで飛雷神の術を使おうにもナルトが邪魔になる。
そのまま向かってくるクナイを避けようとしたカカシは、しかし驚きで目を奪われてしまった。てっきりいつもの起爆札付きのクナイあたりだろうと予想をつけていたのだが、まったく異なったのである。
──これは……テンゾウの木遁・黙殺縛りの術か?
呪符からは樹皮が紐のように伸びてきてカカシを縛り付けんとしていた。水遁と土遁の組み合わせによる性質変化、チャクラが生命の源になる血継限界である木遁忍術。それはどこからどう見てもカカシの暗部時代の後輩の使う技と酷似している。
丸太と入れ替わりながらもカカシは素直に感心した。まさか木遁を使ってくるとは思ってもいなかったし、その呪符を投げる前に飛雷神の術での瞬間移動の警戒をさせて注意を散らさせたのも上手かった。まあそれでもカカシには届かなかったわけであるのだが。
「……変わり身の術ですかっ!?」
木遁によって縛られた丸太を見たカタナが口惜しそうに叫ぶ。その声を聞きながらカカシは考察する。
血継限界を使える呪符、というものは札屋の常連であるカカシでも聞いたことがなかったが……しかし千手一族ではないカタナが木遁をいきなり使えるようになったとも考えづらい。カカシの後輩のテンゾウが木遁を使える理由は大蛇丸による柱間の細胞移植に適合したからであるが、まさかそんな人体実験を受けたわけでもあるまいし。
となるとやはり呪符の効力なのだろう。詳細は不明なものの、おそらくは所持している枚数も発動できる回数もそう多くないはず。それにテンゾウの木遁についてカカシはよく知っている故に来るとわかっていれば対応も容易い。その上、彼より術の制御も甘かった。
ひとまず攻撃も落ち着いたので先ほど投擲されたクナイの方にちらと目をやる。術式によるマーキングは……視た限りではあるものの、存在しないと思われる。なるほど、とカカシはおおよそ理解した。
「カタナ……フェイント、上手くなったね」
「ありがとうございます」
ペコっと軽く頭を下げられる。もともと目線は足元にあったのでわずかに頭を傾けただけであるが、演習中というのに礼儀正しい。
「ところで。飛雷神、使えるようになったの?」
「…………ごめんなさい、そちらはまだ修行中の身です」
静かに謝るカタナ。正直な発言、これ以上フェイントをかける気はないらしい。あるいはここで嘘をついたところでカカシには見破られると考えたのかもしれない。実際、写輪眼による洞察力はそれを可能にするだろう。
残念なことにカタナは飛雷神の術を1人では発動できない。先ほど投げたクナイもマーキングなどはない、ごくごく普通のクナイであったし、例えマーキング付きのクナイだったとしても他の術者がいない以上は瞬間移動することはできないのであった。
そうか、と話すカカシに大量の影分身が突っ込んで来る。もちろんナルトだ。
──厄介だなあ。
写輪眼では白眼と違って影分身と本体とを見極めることができる。だが、多重影分身の術で視界を埋め尽くすほどの数に出てこられてしまうとそれも一苦労だ。いちいち瞳術を発動して判別するよりも全部消してしまう方がはやい。
──アレをナルトにお披露目してやるか。
そう、少しウキウキしながら。カカシはチャクラを練り、姿勢を低くする。
バチチチと鳥の嘶きにも似た轟音が響く。その手には雷のチャクラがまとわりついていた。
千鳥!?と教え子たちはその技に驚き、警戒する。しかし肉体が活性化されたカカシは目にも留まらぬスピードで動き、そして──────
「雷遁! 千年殺し!」
チャクラによって光り輝いている手は、寅の印の形をとり。背後からナルトを貫いていた。あまりの痛さに飛び上がったその影分身はボフリと勢いよく消える。
演習場は、静寂に包まれた。
「まさか……これが、新術……?」
「ナルトの新エロ忍術と同レベルじゃない……」
カタナとサクラはカカシが新技を開発していることを知っていた。それで彼がたびたび寝込んでいたことも。
こんな技で先生は、いや、見た目がふざけているだけで実はかなりすごい技なのだろうか。優等生たる2人の優秀な頭脳が無駄に稼働してその考察を始めたが、途中で馬鹿らしくなってやめた。英断である。
彼女たちの表情に含まれるものは戸惑いよりも呆れが多くなりつつあるが、唯一ナルトだけは真剣にカカシの雷遁・千年殺しに尊敬の念を抱いていた。
そして影分身たちが一斉に千年殺しの構えを見せる。ナルトとカカシの心はたぶん1つになった。男同士、わかり合っていたのだ。
千年殺しはスズ取り演習の華。絶対に欠かせない、重要な争いなのである。彼らの中では。
女性陣からの「ちょっと男子〜!」とでも言うような呆れた視線がビシバシ突き刺さってもめげなかった。
カカシとナルトの影分身たち、彼らの無駄に壮大な千年殺しの応酬は、しばらく続いた────
それから。カカシは1人、茂みの上に座っていた。もちろんその腰にはスズが3つとも健在である。
──ハァ、ここまで写輪眼を使わされるとはねェ……でもまァ、日の出まではもつかな。
辺りはすっかり暗くなり、空には満月が輝いていた。
──しかし、あいつらの成長が嬉しくてついハシャギすぎたな。
ナルトの多重影分身は多少の攻撃なら耐えれるレベルに成長しており、また手裏剣術であったり体術であったり身体能力の向上、時空間忍術で巻物から忍具を取り出してきたりもして、流石のカカシでも対処に時間がかかった。表蓮華で縄を使ってナルトと自身を結びつけ回転しながら落下するも横から螺旋丸を当てられそうになって放さざるを得なくなったり。火遁を使えば、カタナの火遁で減衰させられ。土遁を使えばサクラに土を粉砕され。水遁を使おうとすれば互いに声をかけて急いで川から離れて行く。
はじめはともかく段々と互いのできることを把握してからは、ナルトへとサクラが指示を出したり、カタナがそのフォローをしたりと協力し合う姿勢も見られた。連携においても及第点くらいはあげられそうだ、とカカシは喜ばしく思った。相変わらずチームワークに関しては手厳しい男である。
カカシに対して教え子達は攻撃を当てることこそできていないものの、スタミナは確実に消耗させられていた。うちは一族ではないカカシは写輪眼使用にかかる自身への負担が大きい。もちろん以前に比べ鍛え直したぶん、ただの写輪眼
──今度はあいつらがどう出るか様子を見るか……。
月を眺めつつそう、ゆったりと考えた。
雷遁・千年殺し
→ナルトSDに登場した技。実際喰らったらやばそう。
──サクラには幻術の才能もあるからな。
→サクラは本来幻術タイプ、という星の数ほどツッコミを入れてこられた(と思う)カカシのセリフをちょっと変更。たぶん「本来」というワードと結局他の幻術タイプは出てこなかったことが原因だろうなと個人的には思います、はい。感知タイプは結構いるのに……実際誰なんでしょう他の幻術タイプって。紅先生とかイタチ兄さんとかですかね……。
木遁のお札について→科学忍具の前身
科学忍具では忍術を封印できる巻物があって、その巻物を小さくできるのでそれを腕輪型の機械に入れてそこから忍術を発射できるが、この忍術を封印できる巻物部分だけは昔からあった……という設定。ただしこの封印にはBORUTO時代と違って特殊な儀式が必要で時間がかかる。また科学忍具のように「チャクラの有無なく誰でも使える、己のチャクラと無関係」、という力はない。発動の際には術を解放する代償として自分のチャクラも使うので普通に術を使うよりチャクラの効率悪し。でも科学忍具より狙いはつけやすいと思われる。
術を補助する普通のお札(起爆札であったり)だと木遁とかの血継限界、影縛りとかの秘伝忍術は使えない。これは例えそれらの印を知っていてもその術式は発動できないのと同じ理屈(写輪眼で血継限界はコピーできないものの、秘伝忍術をコピーできるかは原作ではたぶん不明であるが、本作ではコピーできないとする。できたらカカシ先生、影真似の術とか使ってそうですし)。
従ってそういう系はこの忍術を封印できる巻物でやる。時空間忍術プラス封印術の知識が必要。カタナはこれをコンパクトにするべく巻物でなくお札にまとめている。ただそのおかげでお札には文字がびっしり。
BORUTOでは科学忍具で影真似の術も使っていたため秘伝忍術もコピーできるっぽいが、血継限界についてはわからないものの……本作では使えると仮定。ただ、同じ秘伝忍術でも心転身の術とかはともかく倍化の術や油女、犬塚一族みたいな術は使えなさそうな気はします……どうなんでしょうね。
実は3話目の「3枚目」、前の鈴取りでこのお札についてはこそっと出ていたのです。
『さて、お札には大きく2種類あります。1つが性質変化や印を結ぶことなく、書かれた文字にある条件達成(時間経過か印を結ぶことが条件なのが多いです)後に起爆札であれば爆発といったような事象を起こせるもの。要は術の補助をお札が担うというのが近く、こちらが基本的なお札ですね。中でも昔とある天才が起爆札という爆発の術より優れたものを開発したおかげで、起爆札はみんなの使うメジャーなものとなりました。曰く、爆遁を超えたかった、とのこと。正直、誰でも手軽に使えるお札なので利便性は明らかに爆遁に勝っていると思います、ええ。
もう1つは時空間忍術のような感じで忍術をそのまま閉じ込めて開放することで事象が起きるもの。こっちは特殊な部類といいますか、難易度高です』
という感じですね。この下のやつが今回のお札になります、はい。