木ノ葉のお札屋さん   作:乙欄

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終章 神の忍術使い

 

カグヤ様が、封印されて。

 

「……すまなかった……」

 

「サスケ!」

「サスケ君っ」

「サスケくん……」

 

潔く土下座するサスケ君をわたしたちは助け起こして。

 

サクラちゃんが正面から。ナルト君とわたしとが横から、抱きついて。後ろから、カカシ先生がそっとその肩を抱いていました。

 

「やっと……戻ったね、サスケ」

 

「…………ああ」

 

そう、懐かしい、スカした感じで呟くサスケ君の姿に、わたしはーー

 

「サクラちゃん、ナルト君。約束、覚えてますよね」

 

「約束ゥ?……あ、アレね、もちろんだってばよ!」

 

「あー、うん。やる気なのね、カタナは……」

 

「はい。いっちゃっていいですか?」

 

「いいけど……あんまひどくしないであげてね?」

 

「一発だけだってばよ?」

 

了解です、とわたしはコクリと頷きました。

 

「おい、何をコソコソとーー」

「「サスケ君は黙ってて(ください)!」」

 

「…………」

 

「悪いことは言わねェから大人しくしとくんだ、サスケェ……」

 

「え、お前らどうした?オレなんか疎外感あるんだけど」

 

一旦、サスケ君から離れて深呼吸します。よーし、この一撃に今のわたしの全てをかけましょう……。

 

「サスケ君」

 

「何だ、急にーー」

「わたしたち、3人で約束したんです。サスケ君を木ノ葉に、わたしたちのもとへ帰らせると……あと、心配させた罰としてわたしから一撃入れると」

 

サスケ君が大蛇丸のところへ行ってしまったあの時。ひどい怪我を負って包帯をグルグルに巻いたナルト君の病室の中。ナルト君と、サクラちゃんと、わたしと。

 

だからーーこれが、その約束の一撃です!

 

「カタナ!?ちょ、ま、……サスケェーーーー!!!」

 

鳩尾(みぞおち)に、一発。ネジ君やヒナタちゃんに教わった人体の急所へと我ながら見事なクリティカルヒットを繰り出しました。

 

避けようとする素振りすら見せず、声も出せずに崩れ落ちたサスケ君。戦いの疲れも溜まっていたからか、その目は閉じていて……気絶しているようです。

 

「おーおー、キレーに伸びてるってばよ」

 

「ごめんなさい、サスケ君……そして、お帰りなさい」

 

「ほんと、しゃーんなろーよね……サスケくんの、バカ……」

 

よし、ちょうどいいですしこのまま行きますか。よっこいしょっと。

 

「あのー、カタナさん。当然のようにサスケを持ち運ぼうとしないで。先生、突然腹に拳を叩き込んだ君にだいぶ驚いているのだけど」

 

「そうだよカタナちゃん。せっかく気絶してんだし落書きでもしとこーぜ」

 

「ナルト……止めはしないけど、一応サスケくんの容態診てからにして」

 

「あれ、なに、お前ら冷たくない!?オレの感覚がおかしいの……?」

 

サクラちゃんが診たところ、サスケ君は15分もすれば目覚めるとのこと。その間にどんなイタズラをしようかとナルト君は楽しげに笑っています。そういえば、出会ったころのナルト君はとってもイタズラっ子でしたよね。懐かしいです。

 

「へへ、何書こっかなァ」

 

「第7班ってわたしは書きますね」

 

「じゃあ私は木ノ葉のマークかな」

 

「寂しいからオレも混ぜてよ……」

 

「いいけど、イチャパラ系はなしね!」

 

「書かないってそれは……なに、ナルトの中のオレってどんな感じなのよ」

 

筆を持って書いていきます。まあ、普通のインクですし洗えばすぐに落ちますけど。こういうのは気分です、気分。

 

ナルト君が自身と同じヒゲをほっぺに書いたり。先生が目の周りに丸を書いたり。うん、なんか羽子板で負けた人みたいな感じになって来ましたね……うーん、ま、いいでしょう。

 

あとは何書きましょうか。ん、猫ちゃんとかいいですね。可愛いですもん。サスケ君は黒猫っぽいから黒猫に……そうですそうです。加えて、好物のトマト描いときましょうトマト。

 

他の人は何を書いているのやら、と見ようとすると。ナルト君はじっとサクラちゃんの方を見つめてから、すっと真剣な顔になっていました。

 

「サクラちゃん……」

 

「何よ」

 

「オレ、サクラちゃんのこと好きだ。大好きだ」

 

唐突に。ナルト君がサクラちゃんにした発言にわたしは変な声が出そうになりました。え、え、ちょ、え、え……え?

 

「……ありがとう、でもーー」

「オウ!だからさ………………

 

 

ずっと、誰よりも、サクラちゃんのこと応援するってばよ!サクラちゃんはサスケが大好きだからなぁ…………つーか、サクラちゃんのことまァた泣かせでもしたらサスケのことぶん殴ってやる、さっきのカタナちゃんみたいに!!」

 

ニシシと笑うナルト君は、いつも通りの明るい表情で。

 

「ナルト…………」

 

「ん?」

 

「ありがとう…………」

 

ナルト君はとびきりの笑顔で頷くと、サスケ君の額に何やらサラサラと書いてから、懐から額あてをーーマークのところに傷の入ってしまっている、あのサスケ君の額あてをーー取り出して巻いてあげて。それからよっこらせという感じで彼を背負いました。

 

「あ、もちろんカタナちゃんのこともカカシ先生のことも大好きだってばよ!」

 

フォローのような言葉ですが、ナルト君のことだから心からの言葉なのでしょう。そして、きっと彼の『大好き』にはもちろんサスケ君も含まれているのでしょうね。そしてそれはーーーー

 

「わたしもですよ、ナルト君。ありがとうございます」

 

「ん!だからカカシ先生のことも、応援はもごおっーー」

「ハイハイ ナルト、いや~、嬉しいねェ。オレもお前らのこと、大好きだ!」

 

ナルト君の口を塞ぐカカシ先生。サスケ君をおぶっているナルト君は上手く避けられないようで、もごもごと声にならない声を出して抗議していますが……はて、ナルト君は先生の何を応援するのやら。

 

「……先生、誤魔化した?」

 

「それは気の所為だよサクラ」

 

「えー、なーんか怪しいィ……」

 

うんうんとわたしも同意しますが先生は「無限月読も解けたことだしもう全員起きてるだろうなぁ」と目を逸らしてぼやきます。怪しい……ですけどまあ、それはその通りですね。

 

「しゃーねーなァ、カカシ先生は。武士の情けで黙っててやるってばよ。よーし、そんじゃみんなンとこ戻るか!」

 

「そうね。はやく行きましょ!」

 

「サスケ君をサイ君やヤマト先生にも紹介しないとですしね……今や7人で第7班ですからね。ふふ、7人で7班ってピッタリです」

 

「そうだけど……それ言ったらアスマの10班とか10人必要になっちゃうじゃないの?」

 

「細けーことはいいんだよ、カカシ先生!」

 

「そうそう、そういうこと言うのは年寄り臭いわよ、先生」

 

「年寄りって……」

 

サスケ君が、木ノ葉に帰ってきて。そして、すべてに一区切りがついたのです。

 

ーーーーーーこれから綴られていく物語は、誰にとっても『めでたし、めでたし』と言えるような。そんな、平和な世界を。わたしたちは、つくりあげていくと。そう誓って、そう願って、そう信じて、突き進んでーーーー

 

 

 

 

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