無限の転生~今世でついに人間卒業!? こんな人生こりごりだとは言ったけど、人間辞めたいとは言ってない~   作:ねむ鯛

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第二十五羽 VSエセ忍者

 

 やってしまった……。思いっきり暴れ回ってしまった。冒険者の人に思いっきり叫んだし、絶対顔を覚えられた……。

 

 私は内心で涙を流していました。

 

 でも仕方がないんですよぉ……。上空から円形広場が目に入ったときにミルが襲われていて、気づいたら人化して飛び出していたんです……。見捨てる選択なんてありません……。

 

 出てしまったものは仕方ないと、とりあえずこの場にいたジャシン教の下っ端は全部倒しておきました。冒険者の皆さん結構ピンチそうだったので助けになれたのは素直に良かったです。市民の皆さんも大きな怪我をした人はいないようで、冒険者の皆さんが頑張ってくれていたおかげですね。

 

 ジャシン教をぶっ飛ばしている途中で見つけた、重傷の焦げていた2人と軽傷で地面に埋まってた少年は助け出して大通りのすぐ側に置いておきました。重傷2人には一瞬だけ『吸血鬼』の力を解放して血を与えておきました。昼間なのでちょっと自分が焦げて痛かったですし、効果は薄いとは言えこのまま治療を受けることが出来れば大丈夫だと思うのですが……。今の私に回復手段がないのが痛いですね。

 避難するときに彼らを見つけて連れて行ってくれた冒険者に任せるしかありません。

 

 そんなことをしていたら、エセ忍者がミルを襲おうとしていたので咄嗟に『無明金剛(シラズガナ)』を投げてしまいました。避けられてしまいましたが、引き離すことには成功。

 

 その後はなんだか隙を狙ってそうだったので、少しちらつかせてみれば簡単に釣られてくれました。返しの【波濤(はとう)】で小突いて今となります。

 

 はあ……。

 

 ちゃんと人化していたのは良かったのか悪かったのか……。鳥のままで行ったら私は注目されませんでしたけど、約束したのに爆発現場まで行ってないことになるし。人で行ったら人の目を気にして動きにくいし。

 

 まあでも……、と起き上がるエセ忍者見据え、私は内心で独りごちた。鳥のままだとエセ忍者の相手は厳しかったので結果オーライと言うことにしましょう、そうしましょう。

 

 目立ったことについてはエセ忍者を捕まえた後にでも考えましょうか。

 

「あ……」

 

 へたり込んだままのミルを抱き上げて後ろに飛んで壁際まで下がります。手を握りしめ、魔術陣を足下に貼り付けた。ドーム状の透明な障壁が形成される。

 

「《白陣:壁空(へきくう)》。ミルさん、ここから動かないで下さい。どうやら私のせいであいつは貴女に目を付けたようです。逃げるのは逆に危険なのでこの中で待っていて下さい」

 

「は、はい!」

 

 私が鳥として会っていた時よりも硬い反応に、彼女にとっては初対面だと分かってはいるものの少し物足りなく感じてしまいます。まあ拉致監禁していた魔物家族の私として会ってももっと酷い対応をされるかも知れませんが。

 

 あの場での料理の恩返しになれば嬉しいですね。

 

「さて、十分暴れたんじゃないですか? そろそろ投降することをオススメしますよ」

 

「もう勝ったつもりでござるか? 随分気が早いでござるね。まだ日は高く、雲一つないのに。……おお、お前にピッタリの天気でござるよ」

 

「能天気だって言いたいんですかぶっ飛ばしますよ」

 

「ふっ、出来るものなら」

 

「おや、さっき地面を転げていたのは誰でしょうか。鳥の私よりも記憶力がないなんて……おかわいそうに……」

 

「…………」

 

「…………」

 

「「死ね!!!!」」

 

 ニコニコとした平和な話し合いから一転、お互いが全力で武器を叩きつけ合う。競り合う武器からまるで奥歯を軋るような音が響いていく。

 もう少し近づけば頭突きが出来るような距離。負けじと武器に力を込める。

 

「拙者お前の事が本当に嫌いでござるよ! またヒトの真似事で邪魔をして……!!」

 

「奇遇ですね、私も差別をする方には近寄って欲しくありません。視界から消えて貰いませんか?」

 

「お前が消えろ!」

 

「キャラが崩れてます……よっ!!」

 

「チィ……!!」

 

 一瞬力を抜いて、前のめりになったエセ忍者に【側刀(そばがたな)】の横蹴りを見舞う。それに対しエセ忍者は身軽な動作で飛び退りながら、振り上げた刀を蒼の光をまとった脚にぶつけて火花を散らせる。威力を相殺しつつさらに距離を取った。

 

 逃がさない……!!

 追撃に一歩踏み込んだ所へ幾つものクナイが飛来する。当たるルートのものだけ『無明金剛(シラズガナ)』で速度を落とすことなくはたき落とし肉薄する。

 そこに迫る殺意をもって胴を分かつように薙がれた刀、それを。

 

「鬼気! 【鬼力(きり)】―――」

 

 地を這うような低姿勢で踏み込むことで回避。朱の鬼気が弾け闘気に混ざり込む。片手で握った『無明金剛(シラズガナ)』が地を削って。

 

「!!!」

 

「【万砂路(まんじゃろ)】!!」

 

「ぐ……おお!!」

 

 エセ忍者の真下。そこから直角に力任せ、突き上げる。全身を伸び上がらせながらの突き上げを左手の籠手でギリギリ防がれたものの、ミシミシと嫌な音を響かせている。さらに体は宙に打ち上げられていて。

 私は背を向けた状態から『無明金剛(シラズガナ)』に戦撃の光を宿らせる。

 

「【下弦月《かげんげつ》】!!」

 

 カウンターバックの薙ぎ払いが斜め上に打ち上げた。

 

「いい加減に……!!」

 

「しませんよ? 「!!!」 【魔喰牙(ばくうが)】!!」

 

 地面を蹴り砕き、一瞬で縮まったゼロ距離から鳩尾に戦撃を叩き込む。

 

「ぐお……ッ!!?」

 

 今度こそクリーンヒットして吹き飛んだエセ忍者。悶絶する彼を視界に見据え、『天駆』で空を蹴り飛ばして加速。同時にクルクルと縦回転。『獣人:チーター』の脚力の効果もあり追いつくことに成功しました。

 目が合った一瞬、彼の目が見開かれる。

 

「なぜここに……!!」

 

「遅いんですよ。鬼気、【奈落回し(ならくまわし)】!!」

 

 回転により溜められたエネルギーが踵落しを通してエセ忍者に直撃。叩き落として地面を割り砕き、土煙を上げさせた。

 




鬼力万砂路(きりまんじゃろ)】……槍版昇〇拳。
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