無限の転生~今世でついに人間卒業!? こんな人生こりごりだとは言ったけど、人間辞めたいとは言ってない~   作:ねむ鯛

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第二十六羽 それは身代わりだ!…身代わりだって言ってるだろ!

 

 地面に撃墜したエセ忍者を見届け、その少し離れた場所に着地する。動かなくなった人影。油断なく土煙が晴れるの見守り、結果そこから現れたのは―――。

 

「わ、藁人形!?」

 

「ふはははは! その通りでござる。拙者に攻撃していると思っていたでござるか? それは勘違いでお前はまんまと騙されていたのでござるよ!」

 

 地面に倒れていたのはエセ忍者ではなく等身大サイズの藁人形でした。

 まさか変わり身の術とかそういうヤツですか!? 攻撃した時の感触はまさにヒトのものでした。流石に藁を攻撃していれば気づきます。それなのにまさか騙されるなんて……!! なんて高性能な藁人形なんでしょうか……!!

 

 私がショックを受けていると離れた場所の石畳が盛り上がり、そこからエセ忍者が現れました。

 その姿は傷一つな……傷? なんだか……ちょっとふらついてるし、左腕を庇ってるような動きをしているし。あれ……思ったよりもボロボロでは?

 

「あの……口元から血が垂れてますよ?」

 

 口元を手で指し示せば、エセ忍者は確かめるように手の甲でグイッと拭った。それを目に入れた彼は口元を綻ばせて笑った後口を開いた。

 

「これは演技用の血糊でござる」

 

 それは無理があるでござる。……あ、思わず口調移っちゃったじゃないですか!!

 

「いや……血の匂いがしますし、腕も庇ってますよね?」

 

「これは演技でござる」

 

「…………」

 

 これは……強がりでは??? 

 

 ふと思いついた私は転がっている藁人形に近づいて『無明金剛(シラズガナ)』でつついてひっくり返した。よくみれば地面にはヒト1人がギリギリ入るくらいの穴が空いていて。

 さっきエセ忍者は地面から現れました。この穴は彼の足下につながっているのでしょう。

 

 ……つまり。

 

 これ、食らった後に人形を置いていっただけじゃないですか! 全部食らっていなかったなんて嘘っぱち。見せかけのハッタリじゃないですか。

 彼が無傷なんてとんでもない。私の攻撃でしっかりとダメージを受けているはず。

 

「ちょっと!! 私に負けたくないからと、強がりは――」

 

 勢いよく振り返れば悪辣に笑ったエセ忍者が何かのスイッチを持っていた。その親指はなんだか危険そうな赤いボタンに添えられていて。脳裏に過ぎったのは黒焦げの重傷者二人の姿。

 

「……よしてください?」

 

 ――カチッ☆

 

「ッ!!」

 

 瞬間、爆発。

 

 思考が加速する。

 

 爆発の熱で膨れあがる空気すら見えるほどの思考速度で即座に行動を開始。迫る熱と空気の膨張速度に負けないほどの速度で『剛脚』と『瞬動』を使って後ろに飛び退る。なおも追いすがる炎熱に対しそのまま、『無明金剛(シラズガナ)』に闘気を送り込むと『氣装纏武(エンハンスメント)』を発動。

 闘気に反応して『無明金剛(シラズガナ)』が刃を形作っていく。その形はデフォルトの変則三叉槍(トライデント)形態―――ではなく穂先が剣のようになったグレイブ形態。

 

 そこで死にスキルだった『カマイタチ』を発動する。槍を素早く縦に振るえば風の斬撃が巨大化して飛翔し、爆熱と激突。闘気によって強化された『カマイタチ』で爆炎をかなり押し返すことに成功。その後発生した黒煙と弱まった衝撃に飲み込まれた。

 

 無理に受け止めることなく、勢いに任せていれば黒煙の中からボフッと飛び出す。体勢を立て直して着地。

 

「……バケモノめ」

 

 『カマイタチ』。

 羽ばたくの派生スキルで、翼から弱すぎる斬撃を飛ばす死にスキル。翼を封印している今回、私はこれを翼でなく腕で使用しました。腕を翼に見立て、武器から発射することで強力な斬撃を生み出すことに成功しました。この半年で身につけた技術です。

 以前に翼を腕に見立てて戦撃を使っていたので、逆もできるだろうと試したものです。簡単に考えていたら使えるまでに思ったより時間がかかりました……。

 

 武器発動『カマイタチ』習得の難易度に思いを馳せながら、服についた煤をはたいて落とします。表情は至って普段通り。全く何も効いていませんがといった風に。

 

「ケホッ……。なにか……しましたか?」

 

「ドッキリを少々? 楽しんで貰えたでござるか?」

 

「……」イラァ。

 

 内心をおくびにも出さずニコニコ笑顔を作ったまま、トントンと爪先で地面を確かめるように叩く。次の瞬間にはヒュッと飛び出して肉薄。置かれるように眼前に迫っていた刀身を、脚を跳ね上げてエセ忍者の頭上を飛び越えることで回避。

 それにしっかり着いてきたエセ忍者の振り向きざまに背後に振るわれる刀が、天地の逆転した私の頭上を通り過ぎた。逆さで交わる視線は驚愕に見開かれていて。

 

「なぜまだ浮いて……!!」

 

 エセ忍者の予想通りなら着地していたはずのタイミング。直刀が空を切ることはなかったはず。しかし実際にはそこにはタダの空気があるだけで。ふーちゃんに手伝って貰って風の力で滞空時間を延ばしました。まあこれは翼があるときの行動を肩代わりして貰っているだけですね。

 

打衝(だしょう)!!」

 

 闘気をまとった拳がエセ忍者の顔面に叩きつけられる。苛立ちのあまり思わずグーでぶん殴った私は悪くありません。

 吹き飛んだエセ忍者をよそに華麗に着地しました。

 

「そろそろ投降する気になりましたか?」

 

 エセ忍者は倒れたまま返事をしない。うん。……話は変わるのですが、『かまいたち』で飛ぶ斬撃を使えるようになったわけなのですが……、あれをスキルや魔法でなく純粋な技術として使っているヒトってどうやってるんでしょうか。どうあがいても理解できないし到達できる気がしないんですよね。

 

 例えば……。

 

横断幕(パラレール)!!」

 

 こんな奴ですね。

 

 横合いから二対の斬撃が飛翔してきた。

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