無限の転生~今世でついに人間卒業!? こんな人生こりごりだとは言ったけど、人間辞めたいとは言ってない~   作:ねむ鯛

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 皆様お久しぶりです。時間が立つのは早いもので、もう3年も経ってしまいました。
 長い間更新できず、本当に申し訳ありません!
 書けない書けないと更新を先延ばしにしてきましたが、腹をくくって進めることにしました。更新を再開してまいりますので、どうかこれからもよろしくお願いします。

 内容を思い出せないかもしれないので、このあとに簡単な振り返りを置いておきますが、序盤の方を少し書き直しているので、よかったら読み直してみてください。新鮮な気持ちで読めるかもしれません。
 現在書き直し終わっているのは、転生スタートから大蛇戦終了までと、地竜戦です。コアイマ戦も少し手直しするつもりです。最終的には、全体を手直ししたいと思っています。
以下振り返り。

・転生したら人間ではなく、鳥になっていた。
・大蛇に襲われ巣から逸れる。
・巣に戻るために、移動を開始するが迷った挙げ句、人間に拾われる。
・願いを叶える龍に巣の場所を尋ねる。
・帰ったらお母様とバトル。
・怪しい宗教団体とコアイマが襲ってきたので頑張って返り討ちにする。
・半年、家族で修行。
・街に乗り込む。合法的に他大陸に渡るために冒険者ランク上げを目論む。
・怪しい宗教団体に街が襲われたので返り討ちにする。
・過去回想中。師匠に破門される。理由は運動音痴だから。←今ココ


第??話 獣ノ刻 その3

 

 開戦に挨拶なんてなま優しいものはありませんでした。

 

 見下ろす巨獣の角に紫電が迸ると同時、足元の地面が轟音と共に割れ、次々と巨大な岩石が浮かび上がる。紫電をのようなものをまとったそれらは、まるで意思を持ったように一斉に私をめがけて飛来した。

 

「ッ!?」

 

 囲い込むように弧を描いて飛んでくる岩石群。とっさに前に出て、軽やかなステップで回避していく。背後では岩が次々と砕ける音が響いた。そしてお腹の奥に響くような『ブウゥゥン――』といった重低音も。多分まだ動いている岩がありますね……。

 

 見て確認するのでは暇もなく、巨獣が視界を塞ぐような勢いで飛びかかってきた。岩石群の行く末を見守る暇などあるはずもなく、チーターの脚力を活かして脇目も振らず横に思いっきり飛び退いた。

 

「くッ!?」

 

 直後、背後で轟音。地響きと砂埃、風圧のアンハッピーセットが容赦なく襲いかかる。それに押されて体勢を崩し、着地に失敗。不格好にゴロゴロと転がりながらも距離を取り、素早く起き上がって森のヌシを睨み付けた。

 

「やりたい放題してくれましたね……!!」

 

 巨体故か、まだこちらを見失っている様子のヌシに向けて槍の穂先を突きつけた。

 明らかな強敵。それなのに逃げるなんて選択肢は今の私には浮かびもしなかった。

 

「今、ちょうど機嫌悪いんです……!! 加減なしで行きますよッ!! 【魔喰牙(ばくうが)】!!」

 

 怒りを推進力に変え、脚に全身全霊の力を込めて突貫。戦撃のアシストも相まって、目にも留まらぬ速さで背後から槍を突き立てた。

 

 ―――ガギイィィィィン……!!!

 

 衝撃に森が震え、見上げるほどの巨体を後退させた。しかしそれだけ。寧ろ『よくも反抗したな』と言わんばかりにのっそりと振り返るしまつ。

 

「はあ……!! はあ……!! なら……これで! 『魂源輪廻(ウロボロス)』!!」

 

 いつの間にかは知りませんが、私の体に宿っているらしい不思議な力。前世の力を呼び覚ますそれに、意識を向けて発動させた。

 

 人として、鬼として、吸血鬼として積み重ねた力が、今この瞬間に私に宿る。

 

 さっきまでと同じだと思っていると痛い目を見ますよ?

 

 岩石が再び私を狙って飛来する。しかし今の私は、僅かな隙間をすり抜けられるだけの身体能力を手にしていた。振るわれる腕を飛び越え、背後から追いすがる岩石をヌシを盾にしながらやり過ごし、すれ違いざまに攻撃を刻む。

 

 相手の攻撃も容赦がない。

 乱軌道の岩石群が今度は鋭く迫り、かすめた一撃が肉を抉った。

 

「う゛!? まだまだ……ッ!!」

 

 痛みがあるだけ。行動に支障は出ない。止まりかけた脚を無理矢理前に出し、傷の修復は吸血鬼の『高速再生』に任せさらに踏み込む。日の昇った朝方とはいえここは薄暗い森の中。万全とはいきませんが吸血鬼の力は使えます。治る怪我は全てかすり傷です……!!

 肉を切らせて骨を断つ勢いで痛みを踏みつぶし、さらに森のヌシへ肉薄する。

 

「運動神経が悪いからってなんですか……! 私だって……!」

 

 叩きつけられる脚の間をくぐり抜けながら叫ぶ。石片を肌を裂くなか、膝の裏――比較的柔らかそうな箇所に狙いを定めた。

 

「戦えます!!【双爪(そうそう)】ッ!!」

 

 膝裏に二筋の爪痕を刻み込む。ついにヌシも膝を折り、巨体が沈む。

 

 しかし巨体に違わぬ生命力か、まだ(たお)れる気配はない。地に伏せたまま振り上げられた足を確認。すぐさま地面を蹴り飛ばして離脱した。

 まるで怒り狂ったかのように地面を踏み抜き、嵐のように暴れまわる。木々が軽々となぎ倒され、危険地帯が生成された。

 近寄ればミンチになってしまいます。紙一重でしたね。

 

 一通り暴れたヌシはそのまま風を巻き込むように体を捻って跳躍。空中から私目掛けて圧殺攻撃(ストンプ)の狙いを定めた。

 チーターの脚力を活かして全力後退する。

 

 さっきまで私がいた場所にヌシが勢いよく墜落した。

 

 地面が陥没し、森全体が鳴動した。

 

 大木があちこちで揺れ動き、耐えきれず倒れていくものさえある。

 その中を駆け、私はすかさず反撃に転じる。

 槍に闘気を宿らせ、大木を蹴りつけ矢のように空中へ。

 

 「【回舞(かいまい)】!!」

 

 空中で旋回しながらヌシの横面を薙ぎ払う。

 怒濤の連続攻撃にダメージが蓄積したのか、さしもの森のヌシも悲鳴を上げ、たたらを踏んで後退した。

 

 その様子をみとめると、森にぽっかりと空いた陽が差している場所からそっと退避する。木を倒しすぎてせっかくの日陰が壊されてしまいました。ひりひりするのも、脱力感も今はノーサンキューです。

 

 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 ――決定打が入らない。

 

 『魂源輪廻(ウロボロス)』を使い始めてからの私の攻撃は確かに有効打たり得ています。その証拠に森のヌシの巨体には無数の傷が刻まれ、滴る血液が地面を暖かく染めている。

 

 だが問題は――私の体力。

 

「ぜぇッ……!! はあッ……!!」

 

 私を探すヌシの様子を隠れた木の裏からそっと窺い、まだ補足されていないのを確認。木に背を預け、滝のように流れ落ちる汗を拭って喘ぐように天を仰いだ。

 

 今世の私はスタミナが少なすぎる……!!

 

 全力で戦えばスタミナが一分と持たず、全力で走るだけなら二分ほどで限界が訪れる。

 ここまでがむしゃらに走って来て、体感でスタミナ量は残り半分。そのハンデ有りの状態から戦闘を開始して『魂源輪廻(ウロボロス)』を発動。吸血鬼の再生力や鬼の頑強さ、その他諸々で継戦時間がかさ増しされている。

 

 それで全力戦闘は体感で1分は行けるかと言った所だった。

 

 『血葬魔法』も自らの血液を活用するという特性上、消耗が大きくなりすぎるのでまともに使えません。

 

 そして戦闘開始から既に――――5分。

 

 まともに()っていれば、とうに倒れていてもおかしくない時間だ。

 

 今も戦えているのは隠れたりしつつ適宜体力を温存しながら戦っているから。それでも戦撃を使っているので疲労感は濃い。近づいてくる限界を意識しないように乱れた呼吸を整えることに集中する。

 

 ―――ブウゥゥン

 

「ふぅ……!! もう少し、休ませてくれても良いんですけどね……!!」

 

 迫る重低音を聞きとがめ、隠れていた木の裏から飛び出す。直後、飛来した岩石がさっきまで隠れていた大木をへし折る音が背中を打つ。

 

 重りが着いた様に感じる脚を必死に動かして、木々を縫うように走ることで視界に留まり続けないように居場所を次々変えていく。

 

 あの岩石は自動的に追ってくるようなものではなく、森のヌシが操作して動かしているようなので視界に捉えられていなければ当たることはありません。

 岩石が動いているときは森のヌシの動きは鈍いのでほぼ確定ですし、それなら逆にチャンスでもあります。上手く接近できれば隙だらけです。

 回り込んで攻撃に転じようと考えた所で重低音が遠ざかっていく。

 

 ―――逃げ切れた……? いや、これは……!!

 

 訝しむと同時に後ろから地面を大きく揺るがす振動が迫る。チラリと肩越しに後ろを伺えば地面を割り砕きながら迫るヌシの姿。

 

 どうやら岩石を飛ばすのを止めて突進に切り替えたよう。

 

 ――図体は大きいクセに、気は短いようですね……!!

 

 圧迫感に飲み込まれないように脳内で軽口を叩き、努めて冷静に隙を伺う。進路を変えても後ろにピッタリと張り付いていて、逃がしてくれる気は無いようです……!!

 

「ハァ、ハァッ……!! 大丈夫……!!」

 

 疲労と焦燥感から鼓動は強いビートを刻み、耳に入る轟音が心臓の鼓動と区別がつかなくなる頃――。

 

 焦れた森のヌシが身をたわめ、突進の勢いのまま飛びかかってきた。今っ――!

 

 伸ばした足をつっかえ棒にして地面を削り無理矢理減速。重量を活かした攻撃に向けて遮二無二(しゃにむに)地面を力一杯蹴りつけた。

 

 反転。ヌシに向かう。傍から見れば自殺にしか思えない行動。

 

「おねがいっ……!!」

 

 ここ一番の加速力を脚に送り込み、僅かな活路へと、つまりヌシの巨体の下に体を滑り込ませた。それだけではなく、空を見上げるように槍を構え闘気を迸らせる。

 視界に入るのは無防備な体の下面。がら空きのそこへと穂先を滑り込ませた。

 

「【烈孔閃(れっこうせん)】……!!」

 

 顎の下から腹にかけて六度、強烈な衝撃が走り抜ける。どんな生き物でも体の内側は脆い。ヌシは突進の勢いのまま体勢を崩して地面を転がっていった。

 

「ハァ……、ハァ……。かなり良いのが入ったでしょう?」

 

 地面に膝を突いて呼吸を整えつつ、ヌシへと視線を投げかけた。




 主人公はまだ『魂源輪廻(ウロボロス)』の常時発動はできていません。当時の『魂源輪廻(ウロボロス)』のスペックそのものもですが、能力へ理解度も低いです。
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