【悲報】無限に転生してきた私、遂に人類をやめる【タスケテ】 作:ねむ鯛
――ちょっと待ってください!
「おっと」
調査ポイントとやらに向かう途中、抱きかかえられている腕から飛び出し、フレイさんに向き直る。
私は早く家に返らなければいけません。もうかなり長いこと時間が経っています。いたずらに時間を消費するつもりはありません。
ついて行けないことを示すように首を振りました。
「なんだよ、あたいと一緒は嫌だって言うのか?」
ちょっぴり拗ねたように口をとがらせるフレイさん。なんだか悲しそうな様子に良心が痛み、申し訳無くなりました。
そんな二人から少し離れた場所でログとターフの二人がコソコソと内緒話をしていた。
「おい、思ったよりもあの鳥チョロそうだぞ」
「あの鳥さんもかわいそうなんだな。フレイは意外とかわいいものが好きだから、きっと遠慮しないんだな」
別にフレイさんと一緒にいることが嫌だった訳じゃないので首を振ります。
「じゃあなんでダメなんだよ」
腰に手を当ててズイッと顔を近づけてくるフレイさん。そんなフレイさんの背後に向けて翼を指し示しました。
「なんだ?……行かなくちゃ行けないところがある?」
コクリと頷けば「そっか……」と離れていきました。
よかった。諦めてくれたんでしょうか。
「でも死にかけてたのを助けただろ?」
「おいおい。あいつ最低なこと言ってるぞ」
「そうなんだな。自分も助けられておいて酷いんだな」
――うぐぐ。そう言われると弱いですね……。スープの恩には報いなければ。どうしたら……。
オロオロとしているとフレイさんが「うッ!!」と胸を押さえて後ずさりしてしまいました。さっきの戦闘で怪我でもしていたんでしょうか。一歩近づけば一歩下がられました。……はて?
「おい、あいつ自分が助けたことは頭にないみたいだぞ」
「そうなんだな。良い子すぎて流石のフレイもダメージを受けているんだな」
「こ、コホン。まあ待て。それは今すぐじゃなきゃ間に合わないのか?」
――い、いえ。結構時間も経ってしまったので、単純に私が早く帰らなければと思っているだけなのですが……。
思わずヘニョリと眉を下げて首を振ります。
「やっぱりな。焦っているけど切迫した様子は無かったからそうだと思ったんだよ。ほら、少しくらい寄り道しても大丈夫だって。とりあえず一緒に行動してみてそっからまた考えれば良いさ。大丈夫、みんなやってることだから」
「なんだか優等生をそそのかす不良みたいな構図になってるんだな」
「それな」
――そ、そうなのでしょうか?ここでは常識?別に急いでないから寄り道?いやでも……。
なんだかよくわからなくて目がグルグルとしてきました。そこにたたみかけるようにフレイさんが言葉を続けます。
「じゃあ、このまま残りの調査ポイントも……」
「おい!!」
とそこで離れて固まっていたログさんとターフさんが焦ったように駆けてきました。
「マズいぞ!グレーターワイバーンだ!!」
上空からゆっくりと力強い羽ばたきが降りてきた。