無限の転生~今世でついに人間卒業!? こんな人生こりごりだとは言ったけど、人間辞めたいとは言ってない~   作:ねむ鯛

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この話でなろうの最新話に追いつきました。



第46羽 心配事

フレイさんとやって来た目的地。それは冒険者ギルド。ログさんとターフさんは私達が準備している間に向かったそうです。

 

今日、とある情報についての発表があるからだ。目が覚めてすぐに知らされたそれ。どうしても聞く必要がある、その情報とは――――

 

「ジョンが言っていた石化を解く薬についてじゃ。今日集まって貰ったのは他でもない、これについて情報を共有するためよ。儂が色々とツテを使って調べた結果、薬の存在自体は確認できた。だが現在どこにも置いてないようでな。どこぞの高位貴族なら持っておるかもしれんがお察しの通りこの薬は貴重だ。死ぬほど金を取られるだろう。それで手に入るのはせいぜい一個だ。全員は救えん」

 

小さなお爺ちゃんの言葉にギルドの中が静まりかえる。無理もありません。聞かされたのは絶望的な情報。薬が存在していない事やそもそも救えないよりは断然マシですが、それでも前向きにはなりにくい情報です。

 

「だが諦めるのはまだ早い。薬があると言うことはまた、作り方を知っておる者が居るという事よ。幸いにもとある薬師がそれの作り方を知っておった。その材料がこれじゃ」

 

取り出された紙にはズラリと様々な単語が。それに冒険者達が集まって読み進めていく。

 

「これを人数分か」

 

「量が多いがこれならなんとかなるかもしれない……」

 

希望が見え徐々にギルドの中に活気が戻ってくる。

 

「だが」

 

それを遮るように、今まで押し黙っていたお爺ちゃんが再び口を開いた。

 

「最後の素材、マンドラゴラ。こいつが厄介な事に霊峰ラーゲンにある。一番近くではな」

 

「そんな……」

 

「嘘だろ……」

 

霊峰ラーゲン。龍帝の住まう高い山脈。大陸のことについて調べてる途中で知ることになりました。

 

厄介なのはその環境。漂う魔力の濃度が高く、危険な魔物が所狭しと闊歩しています。それだけでなく、鬱蒼とした森が広がり進めば進むだけ高度が上がっていくので酸素が薄くなり、人が活動できなくなる。

魔法かそれに準ずる魔導具でも無ければまともに活動することもままならないそんな場所です。

 

「私が行きます」

 

フレイさんの頭の上から降りて人の姿を取りそう言えば、ギルド内の視線が一斉に集まる。

 

「お主は……」

 

「メルと呼ばれています。お爺さん」

 

「そうか、お主が。儂はこのギルドのマスターをやっているヤガスじゃ。この街を助けてくれた事に感謝を」

 

「いえ、私は私の心に従ったまで。感謝される程の事ではありません。実際あの場所では冒険者の皆さんがいなければ私は死んでいた可能性も高かったので、私の方が感謝するべきでしょう」

 

「ふむ、そうか。失礼かもしれんが魔物らしくない思考じゃな。実はお主が人間だったと言われても信じられるくらいにはな……」

 

「あはは……。ソンナワケナイジャナイデスカー」

 

笑みを溢すヤガスさんに冷や汗を垂らす。

え、コワ。なんでそんなピンポイントで正解突いてくるんですか?表情からして冗談なのはわかるのですが……。

 

「そ、それで私が向かうということでよろしいですか?今からでも向かいますが」

 

「ちょっとメル!」

 

「わひゃ!?」

 

すぐにでも霊峰ラーゲンに向かう気でいると、突然後ろから抱き上げられた。と思ったら眉根を寄せたフレイさんの顔が目の前に。ち、近いですぅ。

 

「あんた、疲労困憊の大怪我しょって三日間寝たきりだったんだよ?悪いけどあたい達じゃ霊峰ラーゲンには登る実力は無いんだ。一人で病み上がりにもう危険な所に飛び込むつもり?」

 

「だ、大丈夫ですよ。頑張れますから」

 

力こぶを作って、問題ないことをアピールしてみるとフレイさんの表情がドンドン不機嫌なものに変わっていく。な、何故?

 

「どんぐらい大丈夫なんだい?」

 

「ふ、普通に?」

 

視線をさまよわせながらそう答えると、彼女はため息をついた。

 

「一番元気な時を100%として今は何%だい?嘘ついたら許さないよ……?」

 

ゴゴゴゴゴゴと凄まじい圧迫感を背負ったフレイさんに鼻がくっつくほどの距離ですごまれて、ポツリと溢した。

 

「40……いや、30%くらい……?あはは……」

 

えへ、と笑って言えば彼女の目がつり上がっていく。うひいぃ!!

視線を切り、私をくるりと回転させて後ろから抱きかかえたフレイさんは、ヤガスさんに視線を向けた。

 

「マスター、行くにしても今日は無理だよ。最低でも三日は欲しいね。石化を直すのに期限はあるのかい?」

 

「恐らく在るとは思うがかなり長いのう。記録上では一番長くて6ヶ月経っても元に戻っている。それ以上はそもそも記録に無いからなんとも言えん。それ以外の記録を見てもとりあえず一ヶ月は堅いはずじゃ」

 

「なら、それで問題ないね?」

 

「ああ、それは構わんのじゃが……」

 

ヤガスさんはそこで言葉を濁して、視線を別の場所にずらした。その先には一目で上質だとわかる装備をした男性が。う~ん、見たこと無い人ですね。

 

「始めまして、メルちゃん。俺はSランク冒険者、韋駄天のワールだ。君が寝ていた間にパルクナットに戻って来てね。話は聞いてる。ありがとう」

 

「いえ、ヤガスさんにも伝えましたが気にしないでください」

 

首を振るとワールさんは苦笑して言った。

 

「それで実はギルドマスターには、他のSランクより早く帰ってきた俺が霊峰ラーゲンに行くように頼まれていたんだ。Sランクの中では戦闘力が低い方だから、厳しい冒険にはなると思うけどやり遂げるつもりだ。君が無理に向かう必要はないよ」

 

「そういうことでしたか。お気持ちはありがたいのですが、私も元々霊峰ラーゲンに用事があり、向かうつもりだったのです。ですので、申し訳ありませんが私にお任せ下さい」

 

蔵書をひっくり返して、故郷を探すのも疲れました。ちょうど良いので、霊峰ラーゲンで翼竜に事の次第を問い詰めようと思っていたのです。まだ居ると良いのですが。

 

「なるほど……。マスター、二人で行くというのは?」

 

「できれば片方は他の素材を集めるのを手伝って欲しいのう。二人の方が確実性は高いが、他の素材もそろっていないと話にならんからな。二人とも危険になったら逃げる実力はあるはずじゃ。最悪時間はかかるが、後から戻ってくる他のSランクパーティーに霊峰ラーゲンに行ってもらうこともできる。

もちろん、この話をメル殿が了承してくれるならじゃが」

 

「ええ、構いません」

 

できれば早く帰りたいのですが、フレイさん達を放って自分勝手な行動をするのは気が咎めます。きっと心配はさせているでしょうが、先を急ぐ訳では無いので。

 

「そうなると俺に霊峰ラーゲンに執着する理由は無いんだけど……。あそこは危険だ。できれば君みたいな小さな女の子に行って欲しくはない。君が魔物だとしてもね。聞いてはいるけどせめて実力を自分の目で確認したい。良ければ手合わせをしないか?上から目線のようで申し訳無いが、実力に問題がないとわかれば俺は身を引こう」

 

そういうことなら話が早いです。

 

「良いですよ。やりましょう。ログさん、槍を貸してもらえますか?……ログさん?」

 

離れた場所にターフさんと二人で座っているログさんに声を掛けると、必死に目を合わせないように横を向いていました。あれ、私ログさんに嫌われるような事しましたっけ?

 

不思議に思っていると後ろから息が止まるような圧迫感が。

 

「メル……?」

 

「ひゃい!!」

 

ロ、ログさん、なんで教えてくれなかったんですか?涙目でログさんに助けを求めても、目すら合わせてくれない。ターフさんも同様。ギルドマスターは話は終わったとばかりに豪華な扉の中に消えていくところでした。ワールさんはいつの間にかいない。韋駄天の名に恥じぬ素早さ。

こ、この薄情者!!

 

「あたい、さっきから無茶せずに休んで欲しいなって。そう思って色々言ってたんだけどわからなかったのかな?」

 

「いえ、そんなことはありません……!!」

 

「じゃあ、なんで早速無茶しようとしてたのかな?」

 

「そ、それは……!!」

 

綺麗な顔の人に瞳が笑っていない笑顔を向けられる恐怖で、しどろもどろになっているとフレイさんがギュッと抱きしめてきた。

 

「ねえメル。あたいは弱いからあんたが傷つく姿を見てるしかできなかった」

 

「私はフレイさんが強い人だと思いますよ」

 

「でも戦いでは付いていけない、そうだろう?」

 

「……」

 

「良いんだ、差があることはわかってる。それにそのままにするつもりもない。……ともかく、あんたには傷ついて欲しくないんだ。あんたが傷つく姿を見てると胸が苦しくなる。いつかどこかに消えちゃいそうで。だから無茶しないで欲しいんだ」

 

「……わかりました」

 

悲しそうにフレイさんに言われれば頷くしかできません。でもきっと、コアイマの時と同じような状況になればきっと同じ事をするでしょう。

 

了承した私を見て、フレイさんはちょっぴり寂しそうに笑いました。

 

 

「フレイのやつすげーよな。コアイマを倒した奴も、ギルマスもSランクも御してやがる……」

 

「あれは逆らっちゃいけねえ」

 

聞こえてしまったのでしょう。フレイさんがそちらをジロリと睨み付ければ、話していた人たちがピシッと気をつけで固まって押し黙った。つ、強い。

 

 




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