【悲報】無限に転生してきた私、遂に人類をやめる【タスケテ】   作:ねむ鯛

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お気に入り沢山ありがとう!
昨日誤字報告を頂いたので修正しました。ありがとうございます!
なろうの方も修正してあります。

昨日はお休みしてました。その代わりと言ってはなんですが……。
これが欲しいんじゃろ?


第49羽 お風呂だ!!

 

「さて、ちょっと早いけどそろそろ休もうか。あんたも疲れただろうし」

 

「そうですか?私は大丈夫ですよ」

 

「30%が何言ってんの」

 

「30%……」

 

魔導具専門店マグーを出た辺りで、疲れただろうからと何故かフレイさんに抱き上げられ、そのまま腕の中。恥ずかしいので降ろして欲しいと言っても断られました。疲れてはいますが、まだ30%なので大丈夫なのですが……。死にかけているわけでもないですし。

 

槍は持っていません。重いからとマジックバックの中にねじ込まれました。確かに私より槍の方が重いですからね。

元の鳥の姿は羽毛で膨れて見えますが、実際の体は細いです。今の体重もその時とほぼ変わりないので、槍を使うときは体重移動に気を付けないとすぐに引っ張られるでしょう。それも含めて修行です。

 

宿屋『萌えよドラゴン』についた私達は部屋着くと荷物を降ろした。ポスンと備え付けのソファーの腰を下ろす。

 

「あんた人の姿になったんだし、お風呂に入ったら?」

 

「お風呂ですか……」

 

この宿屋『萌えよドラゴン』は結構高級な場所らしく、部屋に一つお風呂が付いています。

そういえば転生してからはご無沙汰でしたね。初日にフレイさんに木桶でもみ洗いされましたが、流石にあれはお風呂ではないです……。

 

「わかりました。では準備しますね」

 

「あいあい」

 

お風呂の大部分も魔導具で製作されているらしく、スイッチ一つでお風呂がお湯が張られますし、シャワーもあります。なにが言いたいのかといえば文明の利器最高ということです。

冒険者としての装備の大部分を外して身軽になったフレイさん。布団に寝っ転がった彼女にお風呂の使い方を教わって、十数分後。浴槽には湯気が上がるお湯が並々と注がれ、暖かそうに揺れていた。

 

「わあ……」

 

後ろ手に扉を閉める。人化したときに勝手にまとわれていたバトルドレスのような服。私に翼の色である紺碧をメインにしつつ、白と黒で彩られている。機能性を重視しつつもかわいさが失われていないそれを、かき消した。

この服を出し入れする能力、謎なんですよね。人化のスキルに付随して使えるようになったのですが、原理がよくわかっていません。完全に『スキル』としての補助輪便りです。

スキルはそのまま『スキル』として使うより、仕組みを理解して自分の技術として落とし込んだとき更に真価を発揮します。むう、おそらくは魔力が関係していると思うのですが……。

 

まあそれは置いておきましょう。今はお風呂です。備え付けの木桶を手に取り、お湯をすくい上がる。お湯につかる前に体を清めるのは作法です!清めの文化は履修済みですよ。

 

「んふぅ……」

 

体を滑り落ちていく暖かなお湯に思わず声がもれる。あたたかい……。

今か今かと待ち受ける湯船へと足を滑り込ませ、次いで腰、胸、肩とザブンと沈めていけば、思わずうっとりとしたため息が零れた。

 

「はぁぁあ……」

 

幸せです……。私が小さいが為に少し浴槽が深いですがそれ以外に何も不満は浮かびません。

気持ちいい……。まさに至福の時。

 

ガチャリと、そう思っていたときに音がした。首を動かせば、扉を開けたフレイさんが。

 

「ふ、ふれいさん?な、なにを?」

 

「お・風・呂・♪」

 

実に言い笑顔です。何故?

 

「もうちょっと待ってください。体を洗ったら上がりますので……」

 

「大丈夫。一緒に入るから」

 

なにが大丈夫なのでしょうか。

服を脱いだフレイさんがお湯で体を流し、正面の湯船に体を滑り込ませてきた。あ、こちらにも清めの文化はあったのですね。

 

「ふいぃぃ」

 

「フレイさん、声がおじさん臭いですよ」

 

冒険者をやっているとは思えないほどきめ細やかな白い肌に赤い髪が良く映えます。スラリと伸びた長い脚に小ぶりながらもしっかりと主張するお尻。冒険者として動くおかげか腰はキュッとくびれ、実に女性的なお胸が湯船に浮かんでいます。見事なモデル体型。羨ましくなるほどきれいです。この光景を見たことを知れば男性の方はうらやましさのあまり怨嗟の声をあげるでしょう。私は女なので関係ありませんが。

 

「あん?そんな事を言うのはこの口かね」

 

「ふ、ふへいはん(フレイさん)いはいへふ(痛いです)

 

私の指摘が気に入らなかったようで、頬を摘ままれてしまった。

 

「ん?」

 

何かに気づいたフレイさんが頬をつねるのをやめ、私を抱き上げたかと思えば膝の上に降ろした。

 

「わわ……」

 

「あんたには少し深かったみたいだね。あたいが入ったせいもあるかな」

 

あ、深さが丁度良い。さっきまでは足を底に着けて浮力に任せる形でしたが、今はお尻を着けて座っていられます。

 

「ありがとうございます」

 

「良いさ。ほら、力抜きな」

 

後ろから腕を回してきたフレイさんが、お腹の前で手を組む。

う~ん、頭の後ろに柔らかい感触が……。まあ同性だし、ヨシ!

 

「ありがとねメル」

 

「はい?どうしたんですか急に」

 

「ちょっとね。あんたが両親の敵《かたき》を取ってくれたから」

 

「敵《かたき》……、あのコアイマですか?」

 

「そうさ……」

 

そうしてフレイさんが話してくれたのは、幼少期のことでした。当時、コアイマに酷く恐ろしい光景を見せられ、そして生き残ることになったこと。冒険者を目指し、訓練し、そして今に至ること。

話を聞いて感じたのは、やはりフレイさんが強い人だと言うことだ。

 

「すごいですね、フレイさんは。トラウマを植え付けられあんなに怯えていたのに自力で立ち上がった」

 

お姉様のおかげでようやく立ち上がれた私とは大違いだ。

 

「何言ってんのさ。あんたのおかげだよ」

 

「え?」

 

湯気が立ち上る水面を眺めていると、頬をやんわりと挟まれて上を向かされた。

逆さまになったフレイさんが視界に入る。

 

「小さくても自分より強大な存在に立ち向かう。昔のあたいにはできなかったことだよ。それを目の前で実践してくれたあんたがいたからあたいは立ち上がれたのさ」

 

「そんな……、私は……」

 

私が小ささに見合わない強さを持っているのはある種当然の話です。何せ前世の力を引き出し、上乗せしているのですから。私はそんな風に言ってもらえるような存在では……。

 

「ん~、あんたが何を悩んでいるのかはわからないけど、あたいがあんたの背中を見て救われたのは事実さ。その事実は否定しないで欲しいね」

 

手が離され、再び水面が目に入る。

 

「あんたはあの場でコアイマに二度致命傷を負わされ、それでも立ち上がり三度目で奴を下した。あんたは諦めなかった」

 

そこで言葉を切ったフレイさんが私をひっくり返し、正面から向き合う形になる。

 

「それって凄いことだよ。自分より強いはずの奴に諦めず立ち向う。そんなあんたに勇気を貰ったのさ」

 

私がフレイさんに勇気を?お姉様がしてくれたように?

 

「だからね、ありがとう」

 

「……はい。どういたしまして」

 

柔らかく微笑むフレイさんに笑顔を返した。

 

「それにしても」

 

体を洗おうと浴槽から出た私に、浴槽の縁《ふち》に両腕を乗せ、そこにあごを預けたフレイさんが言葉をかけた。

 

「こうしているとあんたが魔物だって事忘れそうになるよ」

 

「今は翼を引っ込めていますからね」

 

羽毛が水に濡れるを気持ち悪いですし。椅子に座った私がそう返すと、おもむろに立ち上がったフレイさんが浴槽から出て横に立った。

スポンジを二つ手に取るとニヤリと悪戯に笑う。

 

「礼と言っては何だけど体を洗ってあげるよ」

 

両手に持ったスポンジを奇妙な手の動きでわしゃわしゃと泡立てる。

な、なんだか身の危険を感じます……。

 

「や、やっぱり今日はもう出ようと思います。ほら、私疲れているので……」

 

「大丈夫大丈夫、直ぐ済むから。ちょっとくらい問題ないよ」

 

マグーを出たときは休めって言ってたのに!言ってることが違うじゃないですか!!

服を出すのは……行儀が悪いですね。こうなったら元の姿に戻って……。

 

「あ、そうそう」

 

その時、さも今思い出したとばかりにフレイさんが言った。

 

「初日にあんたを木桶で洗った事からわかると思うけどここはね、動物は入浴禁止なんだ」

 

「い、良いですよ。ちょっと怒られるくらい……」

 

宿の人には申し訳無いですが……。

 

「違う違う、あんたの扱いは一応従魔だからね。怒られるのはあたい」

 

「あ……、う……」

 

私のせいでフレイさんが怒られる?

 

「ふうん。これで止まってくれるんだ」

 

「ひ、卑怯者ぉ」

 

「あんたは優しいね……。だからあたいも優しく、ちゃんと隅々まで洗ってあげるから」

 

「ひゃあ!?」

 

椅子に座ったまま固まってしまった私の耳元でそう呟いた。

 

※以下音声でお楽しみください。

 

「ほら、暴れないって」

 

「ま、待ってください。自分でやりますから……!」

 

「疲れてるんだろう?全部任せなって」

 

「んう?! ちょ、くすぐったいです!」

 

「すぐ済むからね~」

 

「そ、そこは!!ひゃあ!?」

 

「変な声出さない。スポンジで洗ってるだけだろう?」

 

「んん。んう。んひゅ!?」

 

「手で口を押さえてプルプルしてるけど大丈夫かい?」

 

「ま、ちょ、もう……あっ!?」

 

「ん?翼を我慢してたのか。そういうこと」

 

「はあ……、はあ……、すみません」

 

「まあ一度出たものはしょうがない。こっちもきれいに洗ってあげるよ」

 

「な、なんでそうなるんですか!?ひゃう!?」

 

「……ふうん。翼の付け根が汚れやすいんだね。しっかり擦ってあげるよ」

 

「そんなこと言ってな……。~~~っ!!!?」

 

 

■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

 

 

ぐでっと力なく布団に寝っ転がる。

つ、疲れました。お風呂に入ってリラックスしたはずなのに……。何かを失った気がします……。

あの後もひたすらスポンジで全身を洗われ続けました。それだけで何もありませんでしたが。ありませんでしたが!!大事な事なので二度言いました。

 

あと翼に関してはバレなければ犯罪じゃないらしいです。ええ……。

 

横にはフレイさんがスヤスヤと眠っている。全く……。

今のうちにステータスでも確認しましょうか。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ステータス

 

名前 メルシュナーダ 種族:キッズスワロー

 

Lv.50 状態:進化可能・疲労・魔素後遺症(軽微)

 

生命力:5209/5698

総魔力:1098/1271

攻撃力:1184

防御力: 465

魔法力: 596

魔抗力: 451

敏捷力:3261

 

種族スキル

羽ばたく[+飛行・強風の力・カマイタチ・射出]・つつく[+貫通力強化]・鷲づかみ[+握撃]・空の息吹

 

特殊スキル

魂源輪廻[+限定解放(鬼)・(吸血鬼)・(呪人)]・人化

 

称号

輪廻から外れた者・魂の封印・格上殺し(ジャイアントキリング)・穢れ払い

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

ヒドラと戦う前はレベル15だったのにもうレベル50です。見たときは驚きましたが、ヒドラとコアイマとの連戦。そしてそもそもヒドラが、SランクとAランクの冒険者複数人で討伐するほどらしいので、どう少なく見積もってもAランク以上の魔物でしょう。そしてそれを飼っていたコアイマ。

Dランクの魔物に過ぎない私にはそもそも格上過ぎる相手です。それでなくても能力込みで死にかけたのですから。

当然と言えるでしょう。

 

それにしてもステータスの伸びが凄いですね。二度も死にかけたせいでしょうか。生命力は5000を越え、総魔力も1000を越えました。敏捷力は3000とかなり速く動けるように。

 

特殊スキルに『人化』が追加。例によって詳細はわかりませんが、人の姿になれます。

そして称号に『穢れ払い』が増えていました。これもよくわかりませんが、関連性があるとしたらコアイマかヒドラくらいですね。穢れ……ですか。なんなんでしょう。

 

 

状態は、疲労と魔素後遺症(軽微)。まあこれが不調の原因ですね。明日には50%位にはなっているでしょう。

 

そして進化可能です。

 

どうせ寝てしまうのでその前に進化、しましょうか。

 

 




申し訳無いですが作者にファッションセンスも絵心もないので服装の詳細は想像力で補ってください……。
美少女と美幼女が風呂場に2人。なにか起こるはずもなく……。実に健全ですね。間違いない。

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