無限の転生~今世でついに人間卒業!? こんな人生こりごりだとは言ったけど、人間辞めたいとは言ってない~   作:ねむ鯛

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お久しぶりです。亀更新で申し訳無いです。眠いよぉ……。


第76羽 お友達

 

 

「それでですね……。わたし達友達になったわけじゃないですか……」

 

「はい、その通りです」

 

 遠慮がちにこちらへチラチラと視線を向けるアモーレさん。そのかわいさに思わずホッコリ。

 

「メルちゃんって呼んでも良いですか……?」

 

 うぐッ!?

 その上目遣いは反則では????返事はもちろんイエスです。力強く頷いて返事をする。

 

「ぜひ……!!それと敬語もなくて良いですよ」

 

「!! わかった。メルちゃん、よろしくね」

 

「はい、アモーレさん。よろしくお願いします」

 

 私も明確に友達と呼べる人は今世で初めてな気がします。ミルは私のことを妹みたいに扱ってきましたし、フレイさん達は大切な仲間です。

 そこまで考えた所でアモーレさんがふくれっ面をしているのに気づきました。かわいいお顔にでかでかと”不満です”と書かれてますね。

 

「えっと、アモーレさん?どうしました?」

 

「むぅ~」

 

 さらに膨れられてしまいました。リスみたいになった頬をつつきたい欲に駆られますが、怒られそうなのでグッと我慢します。

 思い返してみましょう。突然不満をあらわにしたアモーレさん。怒らせてしまったタイミングはと……。

 あー、えっと、そういうことなのでしょうか?ふと思いついたのは一つの考え。正しいかどうかはわかりませんが、それを確かめるべく声をかける。

 

「えっと、アモーレ……ちゃん……?」

 

「!! うん!」

 

 膨れていた頬が一気にしぼみ、アモーレちゃんが笑顔の花を咲かせる。どうやら正解だったようです。名前に「さん」を着けるのではなく「ちゃん」を着けて欲しかったよう。

 なんとかわいらしいわがままなんでしょう。こんなわがままならいくらでも聞きたくなってしまいます。

 

「良かったです。機嫌を直してくれたみたいですね」

 

「う~……メルちゃん、その敬語も外してよぉ」

 

「えっとですね、私実は頭の中で考えている言葉も敬語なのですよ。なので外す方がちょっと難しいんです。話しづらくなってしまうので許してくれませんか?」

 

「むう、……それなら、わかった」

 

 ちょっと不満そうでしたが認めてくれました。初めて友達ができて舞い上がっているでしょうに、それを押えて私のことを思いやってくれる。この年でなんてできた娘なんでしょう。大聖女と言われるのも納得ですね。

 敬語を外すことができないのが申し訳ない。

 一番最初の人生で物心ついたときには敬語がデフォルトだったんですよね。初めて話した言葉は敬語ではないと思うのですが……。

 ……違いますよね?

 さすがに赤ちゃんが敬語で話し始めたらちょっとびっくりですね。いえ、自分の事なのですけど。

 

 そうそう、大聖女といえば。

 

「さっきスープに毒消しの魔法を使っていましたよね」

 

「え?」

 

 スープを渡したときに感じた僅かな魔力。あれは毒消しの魔法です。

 警戒されているのかと思いましたが、単にそう教え込まれているのでしょう。

 貴族などの身分が高い人間は毒を警戒するものです。場所や環境にもよりますが、なじみのない場所で食べるときは毒味役が存在しますし、いなければそもそも食べなかったり、今の様に毒を消したり検知したりできる魔法を使うのです。

 私と彼女は初対面でした。この対応は当然でしょう。

 

「あ、ご、ごめんなさい!!つい。癖になっちゃってるの。毒消して飲むの。だから……嫌わないで……!!」

 

 ……どこかの前世で似たような言葉を聞いたことがある気がしますがまあそれはどうでも良いですね。今は真っ青になってしまった彼女の顔色の方が気がかりです。

 毒の件は何気なく口にしましたが失敗だったかも知れません。彼女にとって私は初めての友達。嫌われてしまうかもしれないという不安がかなり強いのかも知れません。他の友達でもできれば改善するでしょうが、ともかく今は落ち着かせないと。

 

「あれくらいで嫌いになったりなんてしませんよ」

 

「本当……?嘘じゃない?」

 

「ええ、本当です。ほら」

 

 未だ不安そうな顔をしているアモーレちゃんをギュッと抱きしめる。嫌ってなんていないと伝わるように、翼も出して優しく包み込む。

 まだ不安が消えないようなのでだめ押しを一つ。

 

「ならアモーレちゃんは私が癖で解毒の魔法を使ったら嫌いになりますか?」

 

「……ううん。ならない」

 

「でしょう?だから大丈夫ですよ」

 

「うん。……もう大丈夫。ありがとう……」

 

 落ち着いた様子になったアモーレちゃんを見て胸をなで下ろす。もう私から解毒の魔法について不用意に口を出すのは止めておいた方が良いでしょう。そう思ったところで驚いた事にアモーレちゃんから解毒の魔法について説明してきました。

 

「さっきの解毒の魔法、最高司祭様が護身のためだって教えられたんだ。飲んだり食べたりするときはいっつも使うように言い含められてるから。それ以外にも外は危ないからって身の安全のためにと外にも出してもらえなくて」

 

 その最高司祭様とやらはかなり過保護なようですね。白蛇聖教の本拠地なのにそこまでする必要があるのでしょうか。過剰なようにも感じますが。

 しかし次の言葉でその考えは誤りであるとわかってしまった。

 

「なんでも私達聖女はコアイマに狙われちゃうみたいなの」

 

「それは……本当ですか」

 

「うん、過去には犠牲になった聖女もいるんだって」

 

 それならアモーレちゃんへの過保護っぷりも納得できます。相手がコアイマならばいくら備えても備えすぎとはならないでしょう。そう考えるとバリスタの矢の雨もコアイマ対策の一環かもしれませんね。

 

「わたし達聖女は神様とのつながりがとても強いらしくて、コアイマはそれが気に入らないんじゃないかって最高司祭様は言ってた」

 

 コアイマは人、と言うよりも生き物そのものを凄まじく毛嫌いしています。私が戦ったコアイマは魔物とは協力していたので魔物は別なのかも知れませんが。

 そんなコアイマにとって生き物の味方をする神のような存在は邪魔でしかありません。

 彼女の言うとおり聖女と神がなんらかのつながりを持つのなら、神に近しい存在として邪魔だと狙われてしまうのも頷ける話です。

 

「神とのつながり……。それは実際に神と話ができたり、夢で会うことができるたりするのですか?」

 

「ううん。わたし達聖女で神様と接触できた人はいないの。少なくともわたしは会えたって聞いたことないよ。皆も神様がホントにいるのか不思議がってるんだって」

 

「啓示を受けたりもないのですか……?」

 

「うん」

 

 全く接触はない……?

 おかしいですね。彼女ら聖女は巫女のようなものだと思っていましたが。

 私はとある前世で巫女に会ったことがあるのですが、その巫女は連日のように脳内で神と会話を繰り広げ、啓示を受けて世直しに向かえばあれよあれよと事件に巻き込まれ、なんとか生き残って休んだ夢の中で神にアームロックをしかけてシバキ倒していました。

 まあ、最初会った時は「神様と話せる」とかいって普通にヤバい奴だと思っていましたが、実際に神をその身に降ろしたのを見たこともあって信じざるを得なくなりました。

 

 その巫女が特殊な例だとしても、巫女のような存在を神が放置することは基本ありません。巫女は神にとって特別かわいい存在です。それは時に神がズルをして介入してくるほどに。

 それなのに神が接触をしてこないということは、神が弱っているのか、別の原因があるのか。

 

「あ、でもわたし達聖女は他の聖女を見たら「あ、この人おんなじだ」ってわかるんだよ。他の聖女も皆言ってた」

 

 判別はできるのですね。私が知る巫女の特徴と一致しています。同じ神を奉る巫女はすべからく血のつながらない身内のような認識らしいです。ならばこの白蛇聖教の神にも何かがあったのか。

 龍帝が言うには、過去勇者を選定した別の宗教の神はジャシン退治後に姿を消しています。白蛇聖教はいつの間にか現れたらしいですが今は主神がいない。なにか関連があるのでしょうか。

 

「最高司祭様が連れてきた聖女は皆おんなじだって思ったよ。逆に聖女以外でおんなじだって思った人はいないかなぁ」

 

「聖女は最高司祭様が見つけてくるのですね。最高司祭様は聖女なのですか?」

 

「ううん、最高司祭様は男の人だよ。ちょっと強面のお爺ちゃん」

 

 聖女ではないのですね。何か判別できるようなスキルがあるのでしょうか。

 

「最高司祭様は時々旅に出て聖女を探すんだ。保護する前に聖女がコアイマに見つかっちゃうと街ごと滅ぼされることもあるから危ないんだよ」

 

 それは確かに保護しないとマズいですね。コアイマは生き物に対して強い殺意を抱いているにも関わらず、常に人の街に攻撃をしている訳ではありません。私が戦ったコアイマも最初はパルクナットを滅ぼそうとはしていませんでした。殺意があり強力な力を持つ奴らが消極的な理由はわかりませんが、なにか目的があるのかも知れません。

 

 それはそうとして。

 

「助けて貰った私が言うのも何ですが、見知らぬ存在に近づくのは少し不用心ではないですか?私がコアイマだったらどうするんですか?」

 

 聖女である彼女はコアイマに狙われる身。私に近づいてきたときも多生の警戒はしていましたがコアイマだとは露程も考えていない様子でした。警戒のレベルが足りていません。

 

「それは大丈夫。この大聖堂にはコアイマを近づけさせない結界が張られてるから。それは簡単に壊せるものじゃないし、壊されたらすぐわかるようになってるの。メルちゃんが少なくともコアイマじゃないのはわかってたよ」

 

 なるほど、一応理由はあったわけですね。

 コアイマ対策の結界に、物理的な障壁、さらに一番外には感知結界とかなりの防衛力です。コアイマが来たとしても容易く落とせはしないでしょう。

 

「まあそれでも魔物に近づくのは危ないですけどね」

 

「うぐ……、コホン。そう言えばメルちゃんは何をしにここに来たの?怪我もしてたみたいだし」

 

 思いっきり話をそらせましたね。私がジト目をアモーレちゃんに向ければそっぽを向いてどこ吹く風。まったく……。

 

「私は南の大陸に帰る途中なんですよ。その途中でここに羽休めによったんです」

 

 とりあえず私が転生者であることや天帝の娘であることは伏せて、これまでの経緯を良い感じにまとめて説明した。生後一年経っていない事も隠してあります。でないと芋づる式に転生のことも話してしまいそうですし。

 

 平和に過ごしていると巣が襲われたこと。魔物を撃退したものの、帰れなくなったこと。何度も死にかけたこと。出会った人と仲良くなって、大切な仲間になったこと。

 

 刺激が強いところ等は注意してぼかし、面白おかしい冒険譚のように話した。

 それを聞いたアモーレちゃんは、我が事のように驚いて、悲しんで、拳を握って、そして喜んでくれた。

 

「すごいすごい!メルちゃんはそんなすごいことをしてたんだね!!」

 

「いえ、それほどでも……」

 

 思わず頬をかく。

 かけ値なしに褒めてくれる笑顔が眩しい。しかしその表情が僅かに曇る。

 

「でもそっか……。じゃあメルちゃんは帰らないといけないんだね……」

 

 そう言ったアモーレちゃんの顔は悲しげで、そして――。




???「癖になってんだ」

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