無の天才、メビウスの軌跡。
ガンホーが放つソーシャルゲーム、ディバインゲートの無才メビウスのプロフィール、研究所のストーリーなどを独自の考察やら妄想やらで構成した短編小説です。
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ディバインゲート~無に魅せられし天才~

 私の耳は未来の声が聞けた。

 それは言ってしまえば予言だ。これから訪れるあらゆる天災、事故、そして幸福を聞くことが出来た。

 天才。誰かが私をこう呼んだ。

 自分のことを天才だとは思わない。

 ただ輝かしい未来のために、私はこの能力を惜しみなく使った。

 

 ――でもやっぱり、そう簡単に物事は進まない。

 

 聖なる門(ディバインゲート)。この存在により、世界に危機が訪れた。

 天界、常界、魔界が重なり、統合世界ユナイティリアが生まれる。それと同時に世界には混沌が訪れ、私は執拗に責められることになる。

 

 ――我々じゃない何かがいるじゃないか。

 ――暴動は途切れることなく起きているぞ。

 ――世界の秩序があの門のせいで消え失せた。

 ――悪魔が最後に災厄を呼び寄せた。

 

 つまりは、あの門は私の呼び寄せた災厄となったのだ。

 幸福をもたらした分、世界に破滅ももたらした、と。

 弁明のしようがない。私は聖なる門(ディバインゲート)に関する未来の声を詳しく聞けなかったのだから。

 かの門が訪れることを止めようとしなかったのだ。

 来るとは聞いた。ただ、どうなるかは聞けなかった。

 これは私の負うべき責任。

 

 ――だけど、それだけに辛い。

 

 進んで私の名を称えていた彼らに、侮蔑や悪口を言われるのが。

 賛辞は批判となり、それが未来の声と重なる。何百年後へと繋がり、私は永遠に蔑まれ続けるのだ。

 だから私はとりあえず、自分の耳を作り出すことにした。

 全てを閉ざし、全てを排除する義耳型ドライバ【ループ】を。

 

 

 

*****

 

 

 

 私の研究所。虚無研カルツァクライン。

 それはある男に作ってもらった現在の居場所だ。

 隠れ蓑であり、ドライバの作成場であり、そして私という罪人を収容する独房でもある。この仮住まいは、不思議と私に安らぎを与えた。

 誰にも責められない。

 誰にも邪魔されない。

 誰にも聞かれない。

 

 ――ただ、少し。

 

 研究中に気になることがあった。

 この研究所を作り、私に与えたある男は何かを知っているのではないか、と。

 

 ――(ディバインゲート)に関する何かを。

 

 ただただ、気になった。

 

 

*****

 

 

 

「無の女王が新しく即位した。理由は分かるか、未来を聞き届ける天才よ」

 

 一人の男が研究所を訪れた。

 東洋被れした銀髪の男の魔族。女のように長い髪を後ろで結っている。

 魔界にある六つの御伽城。その一つの女王が、この慌ただしい時期に入れ替わるのだという。

 未来の声を聞き届けるため、耳を閉ざしていた義耳型ドライバを取り外す。

 即座に聞こえてくる私への途切れることのない批判。

 それも今では聞きなれた。

 その中にある魔界の女王たちの行動を聞く。

 

 ――分からない、のだろうか。

 

 未来の声は私に望む未来を告げなかった。

 見放されたのだろうか。

 

 ――いや、多分違う。

 

 未来が忙しなく改変されていっているのではないか。私はそう考えた。

 そして辛うじて聞こえた未来の中心にいる、ある六人の少年少女たち。

 その一人の男の子に、私は目をつける。

 私の研究する莫大な無の力を宿す、人間の少年。無の力を持つ精霊に愛され、彼は自らを無だと感じ取っていた。

 あの子ならば、未来を託すことが出来るだろうか。

 とりあえず一言、分からない、と魔族の男に伝えて研究に戻る。

 そして私は思い直す。

 聞こえない未来を変えるために、ただ未来の声を閉ざすだけではダメだ。

 未来の声をもっと聞けるドライバを作らねば――と。

 

 

 

*****

 

 

 

 無の力を自立型ドライバに植えつけた。

 何の属性も持たない莫大な無という力は、一体何を求めていくのだろうか。

 疑問に答えるものはない。

 ただ分かるのは、ドライバに植えつけられていく無数のデータを回収する、ある機関。

 

 ――何かに利用されている。

 

 ただ、それが何かは分からない。

 改変されていく未来の声は、その機関に関して何一つ答えることは無かった。

 

 

 

*****

 

 

 

 幾度となく堪えた涙。零した謝辞。

 多大な命の犠牲を経て作り上げた、ある機械型ドライバに関する起動実験レポート【N】。

 だが、それすらも無に帰して、私は男に研究成果を提出した。

 思わず眉をしかめた男だが、すぐに笑みを零し、私に話しかけてくる。

 いやに物分りがいい。

 

「これが君のこたえかい」

 

 そうだ。

 私はお前たちには騙されない。

 ある機関――【世界評議会】の人たち。そしてそこに属する、お前などには。

 彼らは今回の聖なる扉(ディバインゲート)の出現に関わり、そして何かを得ようとしているのだ。

 研究所を作ったことには礼を言う。

 しかし、恩を仇で返させてもらうことを、私は決意していた。

 男が、そして彼らが、何を企んでいるかは分からない。

 強化した義耳型ドライバ【ループループ】でさえ、その答えは聞き取れない。

 しかし私は決意を固めた。私は私の望むように、この身に宿り、そして研究へと費やしている無を使って、新たな未来を作るのだ。

 

「今更、約束された未来を変えることは出来ないよ」

 

 私の思考を読み取ったように、男は言い張る。

 未来の声を聞くこの耳でさえ分からない未来を、男は変えられないと断言した。

 見た目は人間だが、本当に人間なのだろうか。

 それとも人間ぽく見せた魔族なのだろうか。

 それとも人と姿かたちの似た、天界に住まう妖精なのだろうか。

 それとも――――それらとも違う、新たな存在なのだろうか。

 しかしそんなもの、今は関係ない。

 私は、私の耳に聞こえてくる未来だけを信じよう。

 

 決意を以って、それは違うと首を横に振った。

 

 

 

*****

 

 

 

 未来の声がパタリと聞こえなくなった。

 最後に聞こえた未来の声。それは裏切りのドラゴンがもたらす混血族(ネクスト)の訪れ。

 そして断片的に聞こえる古龍、人間の怯え。天界で起きる二つの光のぶつかり合い。

 世界が破滅へと、また一歩近づいた。

 まるで遺言とも取れる未来の声に、私は開発を急ぐ。

 一度見た、無に見初められし少年。

 無に魅せられた私が、彼の持つ無の力に何かを感じていたのだ。

 彼のため、私はかき消されたレポート【N】の実験を推し進め、着実に作り上げていた。

 今まで作ってきた【自立型機械ドライバ】とはまた違う、この世界でただ一つの新たな【自律型機械ドライバ】を。

 彼ら――【世界評議会】を欺くため、一度、その自律型ドライバを彼へ襲わせなければならないのが悔やみだが、それはそれでこちらとしては助かる。

 彼の無の力を植え付ければ、より上位的な無を宿す第五世代の自律型機械ドライバとなれるのだから。

 

 

 未来への不安はある。

 しかし、未来は変えられる。

 そう信じて、私は僅かな希望を作り上げていくのだ。

 

 

 

 




色々妄想が入っているのでそこまでストーリーに忠実とまではいきません。
よく分からない単語(世界評議会、自律型機械ドライバなど)を知りたい貴方!
ディバインゲートを今すぐやるんだっ!←

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