東方狐神録   作:パック

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 何とか早めに投稿できました。今回は後日譚回です。
 感想は励みになりますので、よろしければ気軽にお願いします。


第二章 揺れ動く幻想
蒔かれた種


 

 

 

 

 

 

 記録

 

 幻想郷第137季【星と夏と水の年】葉月

 

 黒霧異変の主謀者は地底に封じられていた怨霊【滝夜叉姫】と鬼神【鬼道丸・拘魔】であった。博麗の巫女によって【滝夜叉姫】が打倒され、地底から湧き出る黒霧が止められたのもつかの間、【鬼道丸・拘魔】は部下の鬼たちを引き連れて、百鬼夜行を行い地上を征服せんと目論んだ。

 しかし、幻想郷を守護しようとする住人たちの奮戦によって、それらは押し留められ、後に合流した博麗の巫女が【鬼道丸・拘魔】を退治したことで、黒霧異変は完全な終幕を迎えた。

 

 【幻想郷縁起】(九代目阿礼乙女・稗田阿求 著) より抜粋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――えぇ、問題ないわね。今回の異変が良くまとめられているわ」

 

 「……紫様、それは本気で言ってらっしゃるのですか?」

 

 懐疑の目を相手に向けて阿求は言った。

 換気のために開けた円形の障子窓から、風とともに蝉の声が流れて来る。それ以外の雑音は存在しなかった。屋敷の広さに比例した侍従たちの足音が響くことも無い。人払いは既に済ませてあった。見た目だけは立派な稗田家の屋敷も、今だけは侘しい雰囲気を漂わせる。

 

 だが、これは特段珍しい光景ではない。八雲紫という人外を招く時、いつもこの屋敷は息を殺すのだ。好奇心旺盛で噂話が好きな侍女たちも、時折やって来る目の前の客についてだけは言及しない。

 人間の持つ勘というものも、案外侮れないのかもしれない。

 

 

 稗田家が代々務める役目は幻想郷の書記である。幻想郷の歴史を記す幻想郷縁起を編纂することが、稗田家当主が生涯を通して成す大仕事だ。

 今、阿求の眼前で紫が目を通しているそれは、縁起に足す新たな頁の下書きである。

 異変が度々起こる幻想郷では、毎度縁起を改訂していては切りが無いため、大きな改定には長い期間が設けられる。

 先日起こった黒霧異変を記したその項が、縁起に正式に加わるのはまだまだ先のことであろう。

 

 「あら、何か言いたげね?」

 

 くすりと紫が微笑んだ。

 ――白々しい、喉元から出かかった言葉を阿求は冷静に飲み込む。幻想郷縁起に加える内容には、あらかじめ幻想郷の賢者である八雲紫による検閲がかかる。

 最も、九代続く稗田の歴史の中で、八雲紫によって縁起に大きな規制がかけられたことは殆どない。というよりは、その必要がほとんど無いのだろう。

 神出鬼没の妖怪の賢者の手にかかれば、情報源の規制など造作もないからだ。

 

 阿求は黒霧異変の項をつくるにあたって、関係者たちに取材を行っていた。百鬼夜行から人里を防衛していた天狗に河童、援軍として合流したという命蓮寺や神霊廟の住人達。

 地底にも赴いたという霧雨魔理沙に、異変の主謀者を退治したという博麗霊夢。

 

 「良くも悪くも霊夢さんは飾らない性分ですからね……演技をさせるなら人選を間違えてますよ……」

 

 霊夢の様子は何処かおかしかった。何か後ろめたい様な、ばつが悪そうな表情を取材の途中に何度も浮かべていたことが阿求の中でずっと引っかかっている。

 

 「色々と妙なんですよ。公にはなっていませんが、今回の異変はスペルカードルールに乗っ取っていたものではありませんよね? 皆さん生傷が絶えない様子でしたし……」

 

 「弾幕ごっご美しくも残酷な遊びよ。怪我くらいするし、当たり所が悪ければ死ぬことだってあるわ」

 

 「なら鬼道丸や滝夜叉姫は何処に? まさか二人とも弾幕ごっごで当たり所が悪かったなんて言いませんよね? 人が生きているのに、鬼神が死ぬなど有り得ない」

 

 「……異変の主謀者が皆何食わぬ顔で輪に加わるわけではないわ」

 

 「あくまでとぼけるつもりなのですか。なら戯れに、私の推理でも聞いて下さい」

 

一つ大きく息を吸って、睨むような顔つきで阿求は口を開いた。

 

 「まず、霊夢さんが鬼道丸を退治したというのは嘘ですよね。幻想を脅かす暴徒の粛清は博麗の巫女の役目の一つですが……彼女はスペルカードルールの提案者であり、象徴です。私には貴方が霊夢さんを進んで血生臭い戦場に放り込むようには思えません。まして、相手は鬼神、博麗の巫女に代わりが居るといっても、彼女の存在は今欠いてよいものでは無い筈です」

 

 霊夢が超人的な能力の持ち主であるのは阿求も知ってのことだが、だからといって、夜行の主にまでなった鬼神相手に確実な勝算が見込める程ではない。

 スペルカードルールが破られた異変、前代未聞の危機の最中、歴代の中でも力ある当代の巫女を犠牲にするのか。答えは否だ。そんな非合理の選択を彼の八雲紫が下す訳が無い。

 

 「…………」

 

 阿求の言葉に紫は黙って耳を傾ける。その表情に焦りは無い、いつも通りの飄々とした、怪しげな雰囲気を綻びさせないまま、紫は微笑すら浮かべていた。

 

 「かといって、別の勢力に異変を鎮める仕事を任せるとも考えにくい。人里が滅びかけた異変ですからね……その勢力に人里の支持が一手に集まるでしょう。この郷のバランスが崩れてしまいます」

 

 幻想郷にとって人里は無くてはならないものである。妖怪にしろ神にしろ、人間の畏れや信仰が無ければその存在を保つことができない。

 人里を掌握することは幻想郷を掌握することと同義だ。多くの神妖が、勢力が、人里を掌握せんと虎視眈々と計略を張り巡らしている。それらは互いにぶつかり合い、均衡状態を保っており、現時点では人里は誰のものともなってはいない。

 

 しかし、その均衡状態こそが最も平和な形であり、仮に一つの勢力に力が偏ってしまえば、それは争いの引き金となり、人里、ひいては幻想郷そのものを崩壊させかねないだろう。

 

 だからこそ、八雲紫は黒霧異変の異変の解決者として霊夢を挙げたかったのだと、阿求は予想している。だが、実際に霊夢と鬼道丸を相対させるわけにはいかないだろう。

 となれば、代打ちが必要だ。それも、名声などに執着しない、影に徹することのできる亡霊(ゴースト)が。

 

 「……丁度良い人材が居ますよね。あなたが先日呼び込んだ彼……」

 

 神に仕え、神の威光と人々の平穏のために粉骨砕身しながらも、個人としての名を知らしめることをよしとはしなかった一族。語り継がれる英雄譚の中に、その名を残さぬ影の英傑達。

 

 「今回の異変を解決したのは――――」

 

 「――そこまでよ」

 

 ぴんと立てた人差し指を阿求の唇に当てがって、紫が言った。表情は笑っているが、その目はひどく無機質的だ。

 

 「貴方は賢いけど……少し性急すぎるわ。只でさえ短い命なのだから……ね?」

 

 ――これ以上は首を突っ込むな。暗にそう言っているのだろう。

 話し合いは一方的に打ち切られた。

 力なき人間の一人である阿求には、それ以上目の前の大妖に食って掛かる手段は無い。

 思わず膝に乗せた手の爪を立てる。

 

 「それじゃあ、私は仕事があるからこれでもうお暇するわ」

 

 すくと立ち上がって、紫が身を翻す。突如、彼女の目の前の虚空が裂けて、おびただしい眼光が覗く異様な空間が露わとなった。

 紫が空間へと片足を踏み入れる。

 

 「ッッ……待ってください!」

 

 咄嗟に阿求は紫を呼び止めた。居ても立っても居られなかったのだ。どうしてそう思うのかは、阿求自身にも分からない。

 再び声を掛けられたことが意外だったのか、振り返った紫は怪訝な表情を浮かべている。

 

 「まだ、何かあるのかしら?」

 

 「……また――()を利用するのですか?」

 

 僅かな沈黙が二人の間に流れた。

 紫は勿論、言葉にした阿求すらも唖然としていた。自分以外の何者かが自分の口を借りて語り掛けたような、奇妙な感覚に襲われる。

 

 

 「……また? 阿求、貴方は一体誰のことを言っているのかしら?」

 

 「え……あ……すみません。なんでもないです、忘れてください」

 

 今やっと我に返ったかの様子で阿求は答えた。歯切れがひどく悪い。

 阿求自身が自分の発言を吞み下せていなかった。

 (また? 彼? 私は一体何を言っているの!? 未だ、幻想入りしたという当代に会ってもいないのに――)

 

 「……まぁいいわ。それじゃあ、私は今度こそ失礼するわね」

 

 自分以上に困惑した顔の阿求に紫は嘆息するとともに、今度こそ異能で開いた空間へとその姿を消した。

 降って湧いたような静寂がその一室に訪れ、阿求は一人うなだれる。

 脳裏に――朧げな記憶が浮かび上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――どうしても、行くのですか?」

 

 今すぐにでもその場に蹲ってしまいそうな、酷く弱々しい声だった。その声を受けて、目の前に佇む少年は顔を曇らせる。

 整った顔で、一見すれば少女に見間違いそうな少年だった。彼の顔が苦悶に歪むことに、酷く心苦しさを感じる。

 それにも関わらず、私は彼に縋りつこうとした。優しい彼ならば、必死に頼めば心変わりをしてくれるのではないかと、実に浅はかで卑しい打算を巡らせた。

 

 「……すまない阿壱(あい)

 

 ゆるゆると首を横に振る彼を見たとき、小賢しい打算は脆く崩れ去ったのだと知って、私は深く絶望した。

 

 「奴を、あの女狐をこのまま野放しにしておくわけにはいかないんだ。これは……最早、僕たち人間だけの問題じゃない。あの悪意は、妖や神すらも吞み込みかねないだろう」

 

 「……貴方がやる必要は無いじゃないですか。都には陰陽師の集団が居ると聞きます。他にも力ある退魔の者は集まってるでしょう」

 

 「確かにそうだよ。僕のような、異能も無ければ術師としても二流止まりの棒振りが、京へと上ったところで、出来ることなどないかもしれない」

 

 「――ッッ……いえ、私、そんなつもりは…………」

 

 「分かってるさ、心配してくれているんだろう? けど、使命感だけじゃなくて、僕自身の意思による選択でもあるんだ。別に、今生の別れという訳じゃない。奴を討ったら、また帰って来るよ」

 

 ――私にはもう貴方を待つだけの寿命(じかん)が残されていない。

 

 その言葉を最後まで告白することはできなかった。

 遠ざかっていく彼の背中を私はただ見ていた。

 あのとき、言えば何かが変わって居たのだろうか。小娘のように見っとも無く泣きわめいて、彼に縋りつけば足を止めてくれたのだろうか。

 あるいは、私自身が彼を追いかけていれば変わったかもしれない。身分も役目も全て放棄するだけの覚悟が私にあれば……。

 

 ――少なくとも、あれが今生の別れにはならなかっただろう。

 私の僅かな命の灯が消えるよりも早く、彼は死んでしまった。

 彼の従者だと言う少女が遠路はるばるこの地へとやってきて、彼の訃報を告げたとき、私は胸を張り裂かれるような思いをした。

 いっそあの場で死んでしまえたら楽だったと心底思う。そうすれば、残りの余生が悲嘆と後悔に塗りつぶされることも無かっただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――一度、会わなきゃいけないわね。当代の狐守家当主に……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――納得いかないわね」

 

 新聞を手にして、縁側に腰掛けた霊夢は苦い顔で言った。

 横から新聞を覗き見ながら、魔理沙も頷いて同意する。

 

 「……まぁ、思いっきり他人の手柄で担ぎ上げられているわけだからな……」

 

 「そうよ、気分が悪いわ。しかも、異変の手柄が私のものになったって割には……参拝客は特に増えてないし」

 

 「うーん、この文の新聞を見る限り、黒霧異変については取りざたされてるが……百鬼夜行については殆どノータッチだな。往生際の悪い連中が群れて悪だくみをしていたとだけ……文の奴、大したジャーナリスト根性だぜ」

 

 最も、その偏向報道が致し方ないものであることは二人とも理解していた。

 霊夢による提案で幻想郷中に広がったスペルカードルール。二人が今まで解決に乗り出していた異変の全ては、そのルール化の下で行われてきた。

 しかし、此度の異変はそれを真っ向から否定したのだ。

 

 「まぁ、今回の異変の詳細が広まってしまえば碌なことは無いだろうしな。同じようなことを企む輩も出るだろうし……人里でも余計な不安が蔓延しかねない」

 

 「だったらそもそも新聞になんてしなきゃいいのにと私は思うけどね……紫の奴、釘の刺し方が甘いのよ。私だったら余計なことを書かないように徹底的にしばき倒すのに……」

 

 「文の奴がその程度で懲りるとも思えないけどな……。たぶん、完全に隠蔽することは難しそうだから、局所的に隠すってことにしたんだと思う。夜行を目撃した連中は多いだろうしな……」

 

 人里を滅ぼそうとする集団と、それを防ごうとする集団。徒党を組んだ人外たちの争いは、隠蔽して無かったことにするにはあまりにも大規模すぎた。

 加えて、人里の人間達を納得させる必要もある。彼らが百鬼夜行を目撃することは幸いにも無かったが、被害を抑えるために彼らへの避難誘導が実施されていたからだ。

 

 「そもそもよー、この結果に対して今回の功労者は一体なんて言ってるんだ? 私は夜行の時に出くわして別れたきりなんだが……霊夢は鬼道丸が退治される瞬間に立ち会ったんだろ?」

 

 魔理沙の問いに、霊夢は「さぁね」と肩を竦めて見せた。 

 

 「この話に納得していたとは聞いたけど……」

 

 いまいち煮え切らない言葉に魔理沙は小首を傾げる。

 

 「はぁ? 聞いたって……直接創一の奴が言ってたわけじゃないのか? っていうかあいつと会ったんだろ?」

 

 「会いはしたけど……鬼道丸を倒した後、まだやることがあるって言って直ぐに飛び出していったのよ。それ以降は会ってないわ。紫の代理として藍が合流したとき、創一の従者とか名乗る奴にはあったけど……」

 

 「従者?」

 

 「氷雨って名乗ってたわ。なんか、狐守家に代々仕える式神で、剣術指南役だとかなんとか……妖夢みたいな立ち位置の奴っぽいけど」

 

 「ふーん、式神か……そういやそんなことちらっと言ってたっけ。けど、人間が妖怪を使役するのか……」

 

 「紫の奴が言ってたけど、昔はそれほど珍しいことでもなかったらしいわよ。元々式神術を使ってたのは人間側の方で……近年じゃもっぱら希少らしいけどね」

 

 紫の話によれば、創一以外にも式神を使う者が外には居るらしかった。

 一方で、幻想郷には妖怪と戦える力を持った人間が一定数存在するが、妖怪を使役する人間は存在しない。そんなことをすれば人里の人間達の不興を買うことは目に見えているし、妖怪達からも目を付けられる可能性が高いからだ。

 つまり、平然と妖怪を使う狐守創一という少年は外来人という点を除いて尚、この幻想郷において一際異質な存在であった。

 

 「じゃあ、やっぱりあの男は只者じゃないってことだな。なぁ、創一と鬼神との戦いはどんな感じだったんだ? 後続のために聞かせてくれよ」

 

 「後続のためにって……弾幕ごっこでも何でもない、美しさとは正反対の血みどろの戦いよ。何に活かそうって言うのよ?」

 

 「緊急時への備えだよ。似た様なことが今後起こらないなんて保証は、何処にもないだろ?」

 

 魔理沙の疑問は最もだった。天狗の偏向報道によって黒霧異変の詳細はある程度伏せられたが、完全ではない。漏れ出た噂を聞きつけて、似た様な悪だくみをする者がまた現れないとも限らなかった。

 

 「百鬼夜行が敢え無く阻止されたことが抑止力になってくれるならいいが……そう単純な話でもないだろ?」

 

 そう言った魔理沙の脳裏に浮かぶのは、夜行の主である鬼道丸が倒れたと知って尚、戦うことを止めなかった鬼たちだ。

 光に集まった蛾のようなチンピラ妖怪たちは、鬼道丸が倒された途端に蜘蛛の子を散らすように逃げ出して、闇夜へと消えていった。

 

 しかし、鬼道丸の直接の配下、もしくは信奉者と思われる鬼と地底の妖怪達は違った。忠誠心か、種族の誇りか、何が彼らを突き動かしているのかは分からないが、彼らは最後の一人になってすらも戦うことを止めず、こちら側に降伏することも、囚われることもよしとはしなかった。

 

 「私はお前が考えたスペルカードルールが好きだけどさ、そうじゃない奴もそりゃあいるさ。残念だけどさ……」

 

 「……そうね、分かってるわ……」

 

 寂しそうな表情を浮かべる魔理沙の言葉に、霊夢は小さく頷いた。

 全ての者達がスペルカードルールに従う訳では無い。それはルールを提案した段階で、分かりきっていたことであった。

 

 言語を介さず、ルールを理解するだけの知能を持たない野獣のような妖怪も存在する。そういったものたちとは、ルールに乗っ取らない戦いによって決着が着けられてきた。

 だが、いつか知恵をもった者がルールに背く可能性も考えなかったわけでは無い。

 話し合うための言葉を持ちながら、敢えて暴力を振るう者も居るのだ。

 そして、そういった者が現に現れてしまった。

 ならば、博麗の巫女である霊夢が成すことは既に決まっている。

 

 「――ルールを乱す暴徒は私が排除する。お望み通り弾幕ごっごでは無いやり方でね……外来人に押し付けるなんて無責任なやり方……私のプライドが許さないわ」

 

 静かに、されど鬼気迫る様子で霊夢が言った。普段の気だるげな雰囲気からは及びもつかない、博麗の巫女として霊夢の顔。

 彼女の鬼気に気圧されることなく、魔理沙は微笑んだ。

 

 「そうか……だったら私も手伝うぜ」

 

 「……危険よ。頼りにして本当にいいの?」

 

 ほんの一瞬だけ不安げに揺れる瞳に、魔理沙はますます笑みを深めた。自分の友人はなんて不器用な奴なのかと。

 

 「おいおい、今更それはないだろう? 私にも噛ませろよ、私だってこの郷の住人なんだ。住処のために力を尽くすさ」

 

 「――馬鹿なことを聞いたわね」

 

 「あぁ、全くだ」

 

 こうして、二人の少女は人知れず強い覚悟を胸の内に宿すのだった。

 

 

 

 

 

 

 




 稗田家の歴代の名前がネット上にありましたが、もとのソースがよく分からなかったので強行しました。すみません。
 詳しい方いたら教えてくれると助かります。
 ですが本作では阿壱でゴリ押しします。
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