オバロのン番煎じ。
原作同様種族に近づいていって人間の思考力もなくなっていく主人公です。続かない。

※数話分けて書いてましたが文字数足りなかったので1話に纏めます

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至高の存在(猫)の優雅な冒険

今日も今日とて糞の役にも立たない仕事に付き、糞のような社会で糞になりきって糞みたいな巣に戻って体を休める。

それが私のルーチンワークだ。まだ余裕のあった頃はゲームで遊ぶことも出来たが、近頃は社会情勢が安定せず、忙しい。

忙しい、忙しいと弱っていく体をなんとか休める事だけに集中してベッドに横になるが、どうにも何か忘れているような感覚がして、中々眠れなかった。

手慰みに携帯機器を弄っていると、メールボックスに開封済みのメールを見付けて無言でそれを引っ張り出す。

間に合うか分からない。ギリギリの時間だが、もし間に合わなかったとしても言い訳する時に良心は痛まないだろうと打算だけを考えてちゃんと必死で準備する。

ゲームの更新はたまにしていた。多分大丈夫だろうとセットして、いざ、我が青春のユグドラシルへ。

 

 

にゃーん

 

 

最後にログアウトした場所は……食堂じゃんここ。

お気に入りだったもんなぁと机の上で懐かしく思いながら、首を動かす。なんだろう、アプデされて色々かわったんかな。と不思議に思うも、取り敢えずメッセージを使ってモモンガさんに連絡を……。

 

「大福様……!?」

 

アィエエ!!シャベッタァアアア!!!!

ビックリしすぎてビョンと体が跳ねた。尻尾も上がって毛も逆立った。

それをどう捉えたのか、キノコに寄生虫の卵がくっついているような見た目のNPCが傅いてきた。

 

「っも、申し訳ございません!!至高の御身にぶしつけにお声をかけ、あまつさえストレスを与えるなど!!この罪は命を持って償わせて頂きます!!」

 

そう言いながら手をジャキッとさせて体を貫いた!!

 

アィエエ!!追い付けない!!時代の奔流に流されそう!!なんにも追い付けなくて寧ろこっちがストレス!!

 

ぼんやりしている間にもNPCは自分の体を何度も刺しており、なんかもう視界の暴力が凄かったのでヒール/大治癒をNPCに向かってかけ、ついでにクリーン/清潔も使って汚れを清掃する。

 

にゃーん

 

「……これは……!あ、あぁ……なんと慈悲深い……!!」

 

なんか色々御大層な事を言っているが最早何も頭に入らない。時代が流れすぎている。最近のゲームのハイテクさに脱帽である。もうこれどうしよう。

私はパタ……パタ……と尻尾の先を動かしながら灰色の脳細胞を動かした。すぐに結論が出た。

モモンガさんに丸投げしよう。

 

そうと決まれば指輪/RoAOGを…………まだ何か言ってるこのキノコどうしよう…………。

いや、無視すれば良いのだけど、なんだか可哀想になってきて(私は非道ではないのだ。)ット、と軽やかに地面に降りて跪いてるそのキノコに登る。

 

「っだ、大福様?あの、えっ……」

 

などと言いながら慣れない手つきで支えるキノコに抱かれてアイテムボックスからモモンガさんのキメポーズ写真を取り出してテレキネシス/念動で空中固定し尻尾でパタパタ。

わかれ。という無言の圧力でキノコの頭を見つめると、理解したのか「承知致しました。」と移動を開始した。

私はぎこちない抱え方のキノコの腕の中で丸くなり、モモンガさんへの一言目を考えるのだった。

 

 

*・*・*・*・

 

 

モモンガが現在の異常に気付き、NPCに指示を出している最中の事であった。

 

 

 

「御前に失礼致します」

 

 

 

その言葉と共に玉座の間の門扉が開き、バーテンダー姿のマイコニドが現れた。

 

彼は……えー……えー…………ピッキーだ。

 

思い出している間にざわめきが広がる。

 

あれは……だの、なんてこと……まさか……本当に……!?と段々と歓喜の声が広がった。

 

 

 

何だろうと視線の先を見れば。

 

 

 

 

 

にゃーん

 

 

 

 

 

耳も尻尾もへたれて若干節目がちなのに上目遣いという視界のご褒美。甘味の過剰摂取ばりの存在が抱き抱えられていた。

 

……ッグゥ……。

 

精神の沈静化が止まらない。落ち着いたと思えば視界に入れる度に再度沈静化が働く。負のスパイラル。そんな言葉が浮かぶくらいには愛らしかった。

 

まあそんな訳もなく、都度5回程行程をこなして見れば仲間の1人、大福さんがいたのだ。

 

 

 

「大福さん……。」

 

 

 

にゃーん

 

 

 

相変わらず人語を喋らない人である。

 

腕の中からット、と降りててちてちと短い足を動かして走ってくる。

 

視界の端にスッと音もなく傅くピッキーを捉えながら、俺は玉座を降りて大福さんに歩み寄った。

 

大福さんはマンチカンであった。

 

トトトトトッと軽快に走り寄り、足元まで来る。

 

 

 

ローブの端に体を擦り寄せ、頭をグリグリと押し付け、全身でモモンガにマーキングを施して、一言。

 

 

 

にゃーん

 

 

 

相変わらず人語を話さない人である。

 

けれどこれがこの二人の変わらぬ挨拶であった。

 

モモンガは膝を落として親しげに話しかける。

 

 

 

「大福さん……来てくれたんですね……。」

 

 

 

にゃーん

 

 

 

「俺……俺は……嬉しいです、凄く。」

 

 

 

にゃーん

 

 

 

「みんな……もう、会えないと思って……いえ、仕方がないことだとはわかっているんですが」

 

 

 

にゃぁ……

 

 

 

「でも……でもっ!また会えて本当に!来てくれて本当に!!……嬉しい……!!」

 

 

 

にゃーん

 

 

 

ローブに爪を引っ掻けて登り、骸骨の頬に顔を擦り付ける大福さんに喜びが抑えきれない。

 

周囲もあまりの感動に涙を流し、喜び、歓声を上げた。

 

 

*・*・*・*・

 

 

カリカリ……と最高級フードを食べながら、モモンガさんとの邂逅をなんとか終えられてホッとする。

 

あの後、周囲に指示を出しているモモンガさんの膝に乗って丸まり、撫でられていたらウトウトしてしまい、いつの間にかモモンガさんの部屋でまったりタイムと相成った。

 

私はあまり頭が良くないので分からないが、どうやらここはアップデート後のユグドラシルではなく、また別の世界なのだという。キチンと行儀良くお話しを聞いていたが、だから何?という気持ちで頭をひねる。

 

リアル世界はいつになっても苦しい。もしそれが本当なら喜ばしいことだ。

 

私はとうとう、ヒトの皮を脱ぎ捨てられたということなのだから。

 

ゲームの世界ですら私の猫ロールは唾棄されるものであった。最初は可愛いと言うのに、それの中身が人であるだけで他者は私をまるで最悪の汚物のように扱う。腫れ物のように扱われるのはまだ良い方だ。

 

だが、アインズ・ウール・ゴウンでのゲーム生活は良いものだった。ギルメンは私を馬鹿にはするが決して受け入れない訳ではなかったし、犬派の声がでかかったがそれでも私のことは可愛がってくれた。

 

中でもモモンガさんは別格である。この人何しても本気で怒らないんだもん。叱りはするが、それだけ。

 

正に理想の主人であった。

 

 

 

ペチャペチャと最高級の水を飲み、その味に満足すると舌で口元を拭いグルーミングをする。ペロペロ。

 

ひと心地ついたのでまったりタイムである。これをやらずには終われない。必ずやふかふかの毛並みにするのだ。

 

一心不乱に自分をペロペロしていると、耳がおかしな音を捉えた。

 

 

 

 

 

ピカシャッ ピカシャッ ピカシャッ

 

 

 

なーうー

 

 

 

ピカシャッ ピカシャッ ピカシャッ

 

 

 

なー

 

 

 

ピカシャッ ピカシャッ ピカシャッ

 

 

 

 

 

レトロなカメラを構えて撮影するモモンガさんは集中しているらしくえらく真顔だ。(骨だが。)

 

行動からして楽しんでいるのはわかるが、いつものゆるい気配がなくて気まずい。ポーズとかとった方が良いのだろうか。

 

どちらかと言えば、いつでもおいでー。構いならまかせろー。みたいな雰囲気が好きなのだが。

 

しかしこれも猫の定め……。と達観した気持ちで姿勢を直す。香箱座りで嵐が過ぎるのを待つ気分である。

 

 

 

 

 

 

 

「……あっ、すみません。ついいつもの癖で。」

 

 

 

私の周りを二周半してようやく戻ってきたようだ。

 

わかるよ、猫がいればスクショを撮ってしまうよね?私だって自分で自分を撮影することが多かった。

 

 

 

なぉん

 

 

 

気にするな、という気持ちでモモンガさんの骨張った指の骨をサリサリと舐める。怒濤の撮影連打を行うモモンガさんに、これでよいのだ。と飼い猫ムーヴをかました私は大満足である。


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