EP6本編裏で繰り広げられていたアークス達の物語

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劇場版小説 予告第2弾

「はっ、はっ、はっ...!」

 

一人の少女が草原を走っていく。

息を切らしながら、汗をかきながら。

 

「待って!アリス!」

 

少女は叫ぶ。目の前の背中に向かって。

 

「ふふっ、はい止まった!」

 

名前を呼ばれた少女、アリスは急に足を止めた。

それを見た後ろの少女はビックリして足を止め急ブレーキをかける。

 

「う!うわわっ!」

 

慌てて体勢を立て直そうとするが間に合わず、少女はアリスとぶつかってしまった。

 

「ありゃ。」

 

少女の身体が当たったアリスはバランスを崩してしまい、二人一緒に地面に倒れてしまう。

 

「い...たた...もぉ〜急に止まらないでよアリス....。」

 

「あっは。ごめんねアリシア。」

 

ムスッとした顔の少女...アリシアにアリスは無邪気に笑う。

それにつられて、アリシアも笑ってしまった。

二人の笑い声が草原に響き渡る。

 

「ははっ。何をやってるんだ二人とも。いくら平和だからといっても、そんなにはしゃいでちゃ危ないだろう。」

 

「まあ。この子達がこんなに元気なのはいいことじゃない。」

 

アリスとアリシアが楽しそうに笑っている後ろから、男の人と女の人がやってくる。

 

「あ、お父さんお母さん!」

 

「よしよしアリス!お前はホントに私に似て元気いっぱいだねえ!」

 

そう言われながら、アリスは母に抱っこされる。

 

「あ、お母さん私も...!」

 

「アリシア!お前は父さんがしてやるぞ!」

 

小さな身体の少女は父に高く持ち上げられる。

いつしか草原には父、母と二人の少女の楽しそうな声が響いていた。

 

****

 

−アークスシップ10番艦ナウシズ 市街地−

 

辺りは激しい戦闘音が響いている。

建物の倒壊、乗り物の横転。

痛々しい光景を見捨てながら、一人の少女が走る。

 

『アリシアさん、そのポイントから数十メートル先に閃機種を確認。数にして10!』

 

「了解。」

 

通信で敵の出現しているポイントを通達され、アリシアは向かう。

動かす足を更に加速させつつ、腰に携えていた二刀の武器、”斬雪”を取り出す。

 

「.....目標を捕捉。」

 

およそ二十メートル先にいる小型の閃機種、バリールの群を視界に捉えたアリシアは地面を思いっきり蹴り、加速の勢いを利用して瞬く間に距離をつめた。

アリシアは身体を回転させながら両手に持つ残雪を振る。

キレのある斬撃と、彼女の持つ氷のフォトンによる追撃が最も簡単にバリールの群れを殲滅した。

 

「ふぅ...。」

 

体から力を抜くように息を吐き、斬雪をしまう。

アリシアは周囲を見渡した後、艦橋へ通信を入れる。

 

「こちらアリシア。ポイントD3エリアの敵を殲滅しまし...!?」

 

交信中にアリシアは頭上に敵の気配が出現したのを感知した。

しかし、完全に気を抜いていたところを狙われた。

応戦する時間が.....ない!

 

「しまっ......!」

 

アリシアの頭上に現れたソードを携えた閃機種、ディゾルセイバーは大きく振りかぶりアリシアを一刀両断しようとする。

 

 

 

─────その時だった。

 

 

 

アリシアとディゾルセイバーの間を割って入る影。

白くなびく二つ括りの髪をしたその人物はその手に持つ刀身が青く輝くカタナを薙ぎ払い、ディゾルセイバーの核に一閃。

その鋭く、尚且つ重い一撃は核を真っ二つに切り裂きディゾルセイバーを撃破した。

 

「.............。」

 

華麗で、そして目を奪われる。

一瞬の出来事にアリシアは目の前に現れた存在をただ見つめる。

2つ括りのその人物は地面に着地すると、携えていたカタナをしまい、視線をアリシアへと向けた。

 

「アリシア、油断大敵よ。今は敵もこっちの反応を逆探知して送ってこられるんだから。」

 

そう言いつつ、アリシアに手を差し出す。

 

「...すみません、まリスさん。気をつけます...。」

 

まリスから注意され、アリシアは少ししょんぼりしてしまう。

 

「けど、あなたのおかげでここ一帯の敵は殲滅できたわ。

ありがと。」

 

気の引き締まった表情から一変し、今度は笑みを浮かべたまリスはアリシアの肩をポンと叩き、励ました。

 

「....ありがとうございます.....!」

 

ピピッ

 

まリスに褒められ笑みを浮かべてると、通信が入る。

 

『まリスさん、アリシアさん、そろそろそちらに第二部隊が到着します。一旦帰投して休憩してください。』

 

「了解。」

 

オペレーターからの通信を受け、まリスはキャンプシップにアクセスし、現在のポイントに呼び寄せる。

 

「よし、じゃあ帰るわよアリシア。」

 

「はい。」

 

 

 

 

現在、突如としてマザーシップを襲撃したフォトナー、終の女神シバはマザーシップを乗っ取り、独立運用を行っているアークスシップ及びアークスに向けて追撃部隊を送りつけている。

戦況はよろしくはない。

だけど、私たちは決して諦めない。

必ず希望はある。

 

どんな時も。

 

心に消えることの無い炎があるかぎり─────

 

 

****

 

《劇場版 PHANTASY STAR ONLINE2 THE SAGA EP6

"Story of NAUTHIZ"》

 

****

 

-アークスシップ10番艦ナウシズ ロビー-

 

市街地で一通り閃機種を殲滅したアリシアとまリスはキャンプシップから降りた後背伸びをする。

しかし、殲滅したからといっても閃機種は次々と送り込まれる。

これによってアークスは各シップで5部隊に分け、ローテーションで閃機種と戦っている。

 

私....アリシアやまリスさんは第1部隊に組している。

 

「んん〜....!長丁場な戦いが続いてるから久々に甘いものが食べたいなぁ。アリシア、フランカ'sカフェに行こ!」

 

腕をぐるぐると回しながらまリスは私に話しかける。

 

「あ、はい!私も甘いもの食べたかったんです。」

 

丁度私も食べたかった。

つい私は嬉しがって返事をしてしまった。

私の反応を見たまリスはニコッと笑みを浮かべる。

 

──────────

 

-アークスシップ10番艦ナウシズ フランカ'sカフェ-

 

お店の中に入る前でも、料理の香り、スイーツの匂いが鼻を刺激する。

現状フォトナーとの戦いが繰り広げられているが、少しでもアークス達の英気を養う為にフランカ'sカフェは張り切って営業している。

私たちが店の中に入ると、こちらに手を振ってくる人物がいた。

 

「おつかれ、あるふぃ。」

 

いち早く気づいたまリスはあるふぃが座っているテーブルに近づく。

 

「あぁ、まリスも。席は取っておいてやったぞ。」

 

ニッと笑みを見せたあるふぃは、まリスとグータッチする。

あるふぃの他に、セラフィム、クオン、リラン、ろん、蝉時雨がいた。

それと.........

 

........これからスイーツを食べる喜びで心を踊らせていたが、その喜びは段々と薄れていった。

........あるふぃの隣に、アリスが座っていた。

 

「ア、アリス....。」

 

私は目を泳がせながら思わずアリスの名前を呼んでしまった。

 

「んっ、お疲れ様アリシア。」

 

口にケーキを頬張りつつ、アリスは私に笑みを見せる。

気まずくなっている私とは違いアリスはニコニコとしていた。

 

「..............。」

 

場の空気が静かになる。

 

 

私のせいだ。

だけど、アリスと目を合わせられない。

これまで.......避けてきたから。

 

「.........ごめん、あるちゃん!私先に艦橋に行っとく!」

 

「え、あ、あぁ...。」

 

突然アリスは立ち上がり、手を振りながらフランカ'sカフェを出ていった。

私の表情を見て空気を読んだのか、場の空気に耐えられなかったのか。

 

.......みんなに申し訳ない。

せっかく全員揃ったのに。

 

「ご、ごめんなさい。みんな......。」

 

私はみんなに謝る。

 

「ううん、仕方がないわ。さ、早く座りましょ。」

 

静まった空間を裂いたのはまリスだった。

少し震えている私の手を握り、空いてる席へ誘導する。

 

「.....そうだな。アリスはいないがこの場にみんなが揃っているから、これからの作戦について話しておこう。ひとまず食べながら聞いてくれ。」

 

と、あるふぃは端末にアクセスし今後の動きを話し出した。

 

──────────

 

突如としてマザーシップを襲撃したフォトナーの3人、終の女神シバ、義の男神ヴァルナ、偽の女神ミトラは応戦に駆けつけたアークスを次々と返り討ちにした。

中でも強大過ぎる力を持っている終の女神シバは、マザーシップ中枢ゲート前にて、サラと交戦。

圧倒的な力でサラを追い詰め、トドメをさす瞬間にシャオがサラを庇った。

 

守護輝士であるユウとマトイもその時駆けつけたが、1歩遅かったらしい。

そして、その場に続けて駆けつけた総司令ウルクはマザーシップ内で交戦中のアークスを強制転送させ、撤退を命じた。

 

アークスシップの管理者がいなくなった為、シバはマザーシップを乗っ取った。

そして、今に至る。

 

「........とりあえず、まずは敵のデータから説明するぞ。」

 

あるふぃは端末を操作し、席に着いている私たちにデータを転送する。

画面にはフォトナー3人のデータが記されていた。

 

「まだ情報は少ないが.....交戦したアークス達が出している情報だ。まずは....."終の女神シバ"だな。」

 

画面が切り替わり、終の女神シバのデータが映る。

 

「"終の女神シバ".....かつて世界のために贄となった存在。フォトナー全てのフォトンをその身体に押し付け、【深遠なる闇】と共に亜空間に閉じ込められた存在だ。......この存在に関しては一言で言うと、未知数だ。私たちが攻撃したとしてもその力でフォトンを吸収されてしまう。」

 

あるふぃがシバについて説明している。

先程まで楽しく食事をしていた皆の表情は真剣そのものだった。

 

「どれほどフォトンを吸収できるかは分からない。さらには自身に身体強化をしているらしい。六芒の一レギアスや六芒の二マリアはおろか、あの守護輝士であるユウやマトイでさえ歯が立たなかったようだ。」

 

「.....あのユウ君が....勝てなかった....。」

 

あるふぃの説明を聞いたろんが深刻な表情で呟いた。

 

「......もしかして、まリスさんでも......?」

 

ろんの表情をチラッと確認したあと、クオンが口を開く。

 

「......無理だろうね。流石に力量は分かるわ。あるふぃと2人でかかっても、ね。」

 

と、まリスは横目であるふぃの顔を見たあとにケーキを口に運ぶ。

本人から言われると説得力があるせいで皆の表情はさらに深刻なものになっていく。

 

「よしなさい、まリス。貴方が言うと説得力があるんですよ。」

 

私の隣に座っていた蝉時雨は呆れた表情でまリスを叱る。

少しくらい皆に希望を与えた方が....と思ったんだろう。

しかし、まリスは正直者だ。

恐らくそれは蝉時雨も知っている。

 

「...........続けていいか?」

 

どっとした空気の中、あるふぃは説明を続ける。

 

「まぁ、シバに関しては皆の思っている通り倒すのは至難の業だ。ただ、厄介なのはシバだけじゃない。他の2人もだ。」

 

次の画面に切り替わり、"義の男神ヴァルナ"のデータが映る。

 

「"義の男神ヴァルナ"に関してだが、シバのように特殊な能力はない。ただ、フォトンを吸収する能力はシバから与えられているらしく、シバと同じく攻撃が通じにくい。まぁ、流石に限度があるだろうが......。」

 

「特殊な能力は無いということは、倒せる可能性があるのでは......?」

 

セラフィムが画面を見ながら問う。

たしかに、シバのように天井がみえない訳ではなさそうだ。

 

「あぁ、そう感じるのだろうが、ヴァルナに関してはただ単純にその武が極められている。近距離は自身の剣による攻撃、遠距離は生成したスピアによる攻撃。その忠誠心故にシバの命令に一切の迷いもない。」

 

目立った能力は無い分、己の武で戦う。

まるで"修羅"だ。

 

「マザーシップ襲撃の時は3人の中で1番アークスを殲滅したそうだ。だがその時はたった1人でコイツを食い止めた存在がいたそうだが.....。」

 

「そんな相手を1人で止めた人......?」

 

ろんがあるふぃに問う。

 

「あぁ、なんでもその人はユウの姉らしい。ここに記されているヴァルナのデータは殆どその子がまとめたものだ。」

 

「はえぇ....ユウ君も化け物じみてるけど....お姉さんも化け物ね.....。」

 

私は思わず口に出してしまう。

ユウ君のお姉さん......会ってみたいかも。

 

「ふぅん...ユウのお姉さんか...一度お手合わせしてみたいわね....。」

 

ストローでクリームソーダをクルクルと混ぜながらまリスは言う。

 

「ん"ん"っ!話が脱線していってるな、戻すぞ。」

 

またしても、あるふぃが割って入る。

 

「最後に、"偽の女神ミトラ"だ。」

 

画面に"偽の女神ミトラ"のデータが映った。

 

「正直私は、こいつが1番厄介だと思っている。」

 

「.....?」

 

「こいつはシバのような圧倒的な力を持っているわけではないが、ヴァルナ同様にフォトン吸収の能力を授かっている。そしてもっとも注意する点。こいつは、"触れた者に擬態ができる"。」

 

「触れた者に擬態.....?」

 

リランがあるふぃに聞く。

 

「見た目を触れた者そっくりにできるんだ。声も、そして恐らく擬態した者の"力"さえも。シバのように、純粋な厄介さじゃない。こいつは.....アークスに化ける事ができる。つまり、外側からじゃなく内側から壊しに来れるんだ。」

 

私は、これまであるふぃが説明してくれた内容を頭の中で整理する。

終の女神シバが1番厄介だと思っていた。

しかし、ここに記されているデータを見る限り"3人とも厄介"なのだ。

 

「.........そういえば、まリスはミトラに触れられたな。」

 

あるふぃのその言葉に一同が一斉にまリスに視線を向ける。

 

「.....えぇ、触れられたわ。マザーシップ襲撃の時に。交戦していて、あたしのファントムタイムフィニッシュが防がれた時にできた一瞬の隙に。」

 

.........つまり、この先"まリスに擬態した"ミトラが現れる可能性があるということだ。

現状、ミトラの擬態を見抜く術がない。

 

「......みんな。」

 

シンとした空気の中、まリスは席を立ち上がりみんなに話しかける。

 

「大丈夫よ。敵がどれだけ優れていようと、どれだけ力を持っていようと、私たちは、仲間を信じるの。私たちを信じるの。どれだけ今が絶望的でも必ず希望はあるわ。」

 

「.....まリスさん....。」

 

流石、ナウシズの戦姫だ。

彼女の言葉は心の芯に訴えかけてくる。

気がつけば彼女の周りには沢山の人がいる。

そのカリスマ性は周りを勇気づけ、希望を与えてくれる。

 

「あぁ、まリスの言う通りだ。必ず勝つぞ。この戦いに。」

 

ふっと目を瞑りつつ笑みを見せたあるふぃは、次の説明をした。

 

「今後の事だが、2番艦のシエラから作戦内容が配られている。どうやら、この状況を覆す方法が惑星アムドゥスキアにあるらしいんだ。」

 

「アムドゥスキア....?あの龍族の惑星?」

 

まリスが聞くを

 

「そうだ。この作戦は守護輝士のユウとマトイ、サラが惑星アムドゥスキアに向かい、この行動をフォトナーに邪魔されないように他のアークスが終の艦隊と交戦するそうだ。」

 

「つまり、邪魔されないようにあたしたちが引き付けておけばいいのね?」

 

「そういう事だ。」

 

まリスからの確認にあるふぃは頷く。

 

「.....よし!私、やる!」

 

意気込んだのは、ろんだった。

 

「あは、ろんってホント、ユウ君の役に立ちたいんだね。」

 

私は少しからかい気味にろんに向かってニヤニヤする。

 

「そ、そりゃあ、ね....へへ。」

 

両手の人差し指の先を合わせてろんは少し照れたような顔をする。

その光景に気が緩んだのか、他のみんなも途端に笑顔になる。

 

その後はみんな他愛ない会話をしてその場の空気を楽しんだ。

 

──────────

 

フランカ'sカフェで休息を取ったあと、私たちは解散した。

私はショップエリアに立ち寄って先程のデータを今一度確認しようとした時だった。

 

「アリシア、ちょっといい?」

 

背後からまリスが尋ねてきた。

隣にはあるふぃがいる。

 

「なんですか?2人で。」

 

「すまないな、急に。君とアリスの事なんだが........」

 

ドキッとする。

アリスの話題を出されると、いつも気が動揺してしまう。

 

「......聞きたいの。貴方とアリス、何があったのか。」

 

まリスが真剣な表情で私を見つめてくる。

......そう。私はこれまで、アリスと何があったのかを他人に話したことは無い。

話したくはなかった。

.......というより、逃げてきたんだ。

話した所で、何も変わらないと思ったから。

 

......いや、これは私の勝手な理屈だろう。

もしかしたら、変わることができるかもしれない。

けど.....私がまた逃げてしまうんだ。

思い返せば、私は自分でも知らないうちに、アリスに近寄っていた。

私は建物の裏や柱に隠れたりしていたけど、その行動は.....アリスとの関係を戻そうとしていたのかもしれない。

 

「.............。」

 

.......1歩だ。1歩だけ踏み出そう。

この2人には、話しておこう。

私とアリスの事を。

 

「.......分かりました。話します。」

 

──────────

 

幼い頃からずっと一緒だったのに、

ある日突然、それは終わった。

.....別に仲違いをしたわけじゃない。

簡単に言えば、"距離を置いた"のだ。

 

双子として産まれた私とアリスは本当なら

家族で幸せに暮らしていたハズなんだ。

本当なら。

.......本当なら。

 

......両親がダーカーに殺された。

惑星ナベリウスのダーカー大量発生でおびただしい数のダーカーの群れに殺られたのだ。

私達の両親は、とても勇敢で強かったのに。

 

あの日は.....両親が特別許可を得て私とアリスを惑星ナベリウスに連れて行ってくれた時だ。

私とアリスが草原を駆け回って、お父さんとお母さんに抱っこしてもらって。

........その後だった、かな。

忘れもしない。

ダーカー発生の警告音。

見たことも無いお父さんとお母さんの表情。

キャンプシップの窓から見える、両親の背中が遠くなっていく光景。

 

お父さんは氷のフォトン、お母さんは炎のフォトン。

2人が見せる力は合わさると強力なものになった。

........なのに、死んだ。

 

私達は両親が亡くなったと知った時、頭の中が真っ白になって何も考えれなくなった。

何日も、何週間も、眠ることができなかった。

だけどある日、私とアリスはモニターに映るアークスの活躍報道を目にした。

そして私達は話し合った。これからどうするかを。

私達は両親から授かった力がある。

アリシアは父の氷のフォトン。

アリスは母の炎のフォトン。

 

私達の意見は合致した。答えは決まっていた。

 

"私達は、アークスとして生きる"と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、その時から少しずつ私達の関係は変わっていった。

 

アークス修了任務を終え、はれてアークスとなり暫くした時

......アリスが龍体実験を受けたのだ。

理由は、"もっと強くなりたかったから"。

人間の身体に龍族の力を宿した存在であるデューマンになれば、今よりも更なる力を手に入れることができる。

それをアリスは自ら求めて虚空機関の総長であるルーサーに縋ったのだ。

だけど私はアリスがデューマンになってしまった事に最初は気づかなかった。

本来、後天的とはいえデューマンには角が生え、片目が変化する。しかしアリスの場合はそのどちらの変化もなかった。

デューマンになったと知ったのは、本人から送られてきた一通のメッセージだった。

 

私はそのメッセージを見た時、どうすればいいのか、今後どうアリスと接すればいいのか分からなくなった。

分からなくなったからこそ、声をかけることもできなくて、互いに会うことすら無くなった。

 

─────────


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