ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった 作:アークナイツと東方にドはまり
物語は嫌でも作動する。
「う、嘘だっ!」
停滞を望んでも、不変を願っても、それが世界の法則。
「そんなこと、あるわけがないっ!」
どんなに奇跡を願っても、時間はいつでも進むのだ。
「事前に調べた!ちゃんと準備だってした!」
あぁ、恐らくこれは罪だろう。
「根回しもちゃんと済ませたんだ!」
なんでも上手く行かせると、欲張った結果がこれなんだ。
「皆、、、皆、、、っ!」
寂れた路地を駆け抜ける足がたどり着いたは一つの教会。
銃撃戦によるものか銃痕激しく、穴だらけで、玄関から血を流す教会。
「皆、、、っ!?」
その血の持ち主は、玄関で横たわる一人の老人。
「爺さんっ!」
俺はこの人を知っている。
誰よりも、この街にいる誰よりも、見捨てられたかの地に住む誰よりも、知っている。
「何があったっ!?ここで何が、、、っ!?」
老人の体にあるのは沢山の数穴。
体は冷え、流れる血は生暖かい、嫌悪感の抱ける感触。
開かれない口には、老人の死以外情報がなかった。
だから周囲をみてしまった。
見てはいけない物を、、、見てしまった。
「し、シスター、、、?」
それは、壁に寄りかかりながら血を流している最愛の人。
「、、、ごめ、んね、、、下手、こいちゃった、、、。」
流れ出る血の量が彼女の命の灯を意味する。
もう、火を灯すことも、蝋を継ぎ足すことも叶わない。
「あぁっ、嗚呼っ、」
口から出るのは懺悔の言葉、
「俺のせいだ、、、俺がいたからっ!」
救われないのは分かってる。
救えないのも分かってる。
無意味なのも理解している。
「全部壊れてく、、、俺がいるから、全部っ!」
頬に触れられるは赤い血のついた柔らかい手、
「子供達を、、、お願いね、、、。」
指向けられたのは床のカーペット。
のし掛かるのは人一人分の死肉の重さ。
託された言葉は呪いか、願いか。
「「「お兄ちゃんっ、」」」
カーペットの下、隠し扉の中に居たのは数人の子供達。
俺にすがることでしか生きていけない子供たち。
この瞬間、俺の生きる意味は残され、そしてあらゆる手段は奪われた。
「ドクターーーーっ!」
呼び掛けるは死神の鎌。
「いるんだろ!ちゃんと!これを!見てるんだろっ!出てこい!」
涙を流したところで、環境に慈悲はない。
「ドクターっ!出てこいよっ!ドクタ「なんだ?」、、、ドクター!」
もし、あの時、あんな依頼を受けなければ少しぐらいは変わっただろうか?
「取引だ!俺の全部をやる!」
もし、あの時、ちゃんと働いた危機感に身を任せられたならこんな結末にはならなかっただろうか?
「これからの俺の全てをくれてやる!」
分かっている、こんなのはしても無意味な後悔だ。
反省なんて望めない、それから得られる成長もない、あるのはただただ失ったと言う事実のみ。
「だから俺を、、、っ!」
それでもあえて言おう、
「奴らのところまで、連れていけっ!」
ロドスになんて侵入するんじゃなかった、と。
ーーーーーーーーーーーー
「何でも屋、ロドスに侵入しろ。」
それは久しぶりの高額依頼だった。
依頼内容は極単純。
ロドスという製薬会社の拠点となる移動都市へと侵入し、本部に置かれている大型コンピューターにusbを刺すことのみ。
そんな依頼の報酬額は三年ぐらい遊んで暮らせるほどのもの。
(どう考えても裏がある。)
普通の依頼は高額なほど難易度は上がる。
それこそ、これほどの金額ならば無名な俺ではなく、有名なプロにお鉢が回ってくるものだ。
依頼主の風貌は完璧にマフィアのそれ。
(身バレはだめ、口外も駄目、報酬は後払い。)
うん、これは完璧、渡ってはいけない橋だ。
「お断り「前金で半分出す。」引き受けましょう!」
気づけば死神の手と握手を交わしてしまっていた。
後悔はある、しかし引き受けた以上成し遂げなければならないのが仕事というもの。
命の危険がある限り、あらゆる可能性を想定して行動しなければならない。
俺はできうる限りの準備をして依頼達成へと動き出した。
それが3日前の話。
依頼を浮けてから、準備と移動時間も含め約4日目。
「、、、痛い。」
俺が隠密にロドスへ侵入するため、輸入コンテナの中に紛れていた、
ガタンっ、ゴトンっ、
輸入品のなかで見つけた、人一人入れるタンス。
揺れに何度も頭をぶつけるが、金のためには我慢しなければならない。
輸送が止まるまでは取りあえず、考え抜いた潜入ルートを思い出すことしかできなかった。
(えーっと、まずはコンテナ脱出後、貿易所のダクトへと侵入、その後二つの製造所を通り過ぎ、医療棟を抜ける、そして最後に制御中枢地区へと浸入して本丸を探す、だったっけか?)
地図がほしいところだが、手元にあるのはどうも曖昧で信頼できない情報のみ。
追加記載がない限り、取り敢えずは今は、この情報を元手にあらゆる可能性を想定しなければならないのだ。
(あ、そう言えば、渡されたデータに危険人物リストがあったっけ?)
タブレットを指で撫でる。
・コードネーム:スカジ 詳細:A級バウンティハンター
(うげっ!コイツはヤバイな、戦闘になったらまず勝てないぞ。)
・コードネーム:シージ 詳細:元グラスゴーのトップ
(はっ!?ギャングのなかのギャングじゃんっ!?なんでロドスにいんの!?)
・コードネーム:シャイニング 詳細:元サルカズ医療組織聴罪師構成員
(聴罪師、、、不味すぎる、怒らせたら絶対に死ぬ。)
・コードネーム:チェン 詳細:龍門近衛局特別督察隊隊長
(、、、ヤバイ、ヤバすぎる。なんだコイツら大物ばかりじゃないか。)
あまりの情報にため息が出た。
しかも、リストの下には元ライン生命警備主任やらカランドの巫女やら敵に回したらヤバすぎるもの達の情報まで出てくる。
(即断即決で決めて言い依頼じゃなかった。)
後悔が噴水のように涌き出てくる
しかし、どれだけ船がおんぼろで、渡る道が嵐の中の激流だったとしても、目的のためには渡りきるしかない。
というか、渡りきらなければ命はない。
「気を引き締めろ、依頼は達成すんだ!」
気合いを引き締め直すと同時にコンテナが停止する。
準備と覚悟を決めた俺は静かに扉を壊し、ロドス本部前へと移動し始めた。
一応、こちらは依頼主の要望で隠密行動を基本としなければならない。
で、あるならば、自分の存在を変装もなしに記録に残してはいけないのだ。
でないと今後の生活にかかわるしな!
ということで、監視カメラの位置をスキャリングし、安全な侵入ルートを探し出す。
(、、、ありゃ?ないっ!?)
俺が編み出したプログラムが導き出した道は、遠回りに絶壁の壁を使う手段のみ。
他人の目、警備員の徘徊情報を元にすると、見つからないまま内部に侵入するルートは存在しなかった。
(、、、仕方ない、従業員、拉致るか。)
しかし、効率面を考えるとそんな悠長なことはしていられない。というか面倒臭すぎる。
ということで、妥協案として選んだのが、コンテナチェックする従業員を眠らせ、服とカードキーを奪い取り、コンテナの中へと安全対策として連絡機器とともに放り込む作戦を実行した。
スキャンしたお陰で監視カメラには写らず、変装のお陰で誰にも見られず潜入成功。
堂々とロドス本部内へと入ることが出来た
(ここは貿易所か、、、なるほど、情報に間違いはないね。)
ロドスの貿易所は意外と散らかっていた。
数多くの段ボール。棚には収まりきらず、所々邪魔にならないように纏められている。
見たところ従業員は十数名。
中には何故か武装した奴もいて"もしかしてここは戦闘狂の集まりなのではないか"と勘違いしてしまいそうだったが、どちらにしろ、これだけ人数が少ないと移動は簡単。
俺は入口付近の食器類をいれた段ボールの裏側に任意式花火発火装置を念のために2つ仕掛けて、ダクトへ向けて移動し始めた。
ルートはこう。
今いる入口から、壁沿いに左回りに移動。
その後、ターンテーブルの上部にあるダクトへと侵入。
条件は極力他人との接触を避け、ダクト侵入を見られないこと。
特に問題なく進めたが、問題はターンテーブル付近での事だった。
「アップルパイ!」
赤髪の女があろうことか、貿易所で狙撃練習をしていたのだ。
「おー、流石エクシアはん。何故か百発百中やな。」
「ふふ~んっ♪賭けはあたしの勝ちだね!次のパーティーの準備よろしくぅ♪」
しかも丁度、ターンテーブルの隣に積まれている段ボールを机にして空き缶を打ってやがる。
これではダクトのしたまで移動できない、
というか仕事場で銃で遊ぶなよ!危ないだろうが!
「、、、。」
隣の狼女もポッ○ーを喰うだけで仕事してないしっ!?
真面目にやれよ!お前ら俺とは違って高い月収もらってんだろ!
(ちくしょう、さっさとこんな仕事終わらせたいのにっ!)
現実はやはり、うまくは行かない模様。
(、、、それなら、ここからは時間との勝負だ。)
ターンテーブル前の段ボールの影に隠れ、花火発火装置のボタンを押す。
ビー!ビー!ビー!
ここは貿易所、流石に火事は総動員で鎮火に移るだろう。
狙いどおり、射撃練習してた女達も慌てて入口方面へと動き出した。
これで侵入者の存在が明らかになる可能性があるが、俺ということが分からなければなにも問題ない。
(普通なら一つの起爆でダクトまでの侵入の時間を稼げるんだけど、、、。)
自慢の脚力でダクトの下まで駆け抜ける。
(危険人物リストを見る限り、ロドスの人事力は非常に高い。)
が、しかし、花火の音がたった数秒で消えた辺り、このままダクトの侵入するのは無理だ。
元々、ダクトへの侵入は入口の扉を開けるためにも、ターンテーブルを足場にして二度のジャンプをしなければならない。
(ちっ!戻ってきやがった!)
備えあれば憂いなし、視界の端で従業員の影を捕らえた俺は、もう一つの花火発火装置を起動した。
お陰で影はまた入口の方向へと戻っていってくる。
しかし、この瞬間に登りきらないと時間がない!
こうなれば一か八か!賭けに出るんだ俺!金のために!
『オオオオオりりりりゃゃゃああああ!!』
ターンテーブルを思いっきり蹴り、左手でダクトの扉を掴む。
流石はロドス。頑丈で俺一人の体重では取れやしないらしい。
ボキッ♪バキッ♪
だがそんな事は想定済み、片手を支えに、天井に足を付くことで筋力をプラスしこじ開けた。
とは言え、支えるものがなくなると重力に従って体は落下する。
そこで出てくるのがまだ使われていない俺の右手だ!
「なぁエクシア、今なにか変な音がしなかったか?」
「なに言ってんのさテキサス!今は一秒でも早く花火の原因見つけないとっ!じゃないとサボってた私たちのせいになって減給されちゃうよ!」
「サボってたのはお前だけだ。」
花火のせいで貿易所内部の蛍光灯に照らされた室内が慌ただしくなっていく。
それとは対照的に、光がなく、這うことしかできないダクトのなか。
(っシャァァァァっ!俺天才!俺天才!俺は賭けに勝ち申したぜ!)
狭い入口を通るため、瞬時に肩を脱臼させる、成功率五割の技を成功させた俺は、涙を流しながら静かに喜んでいた。
(よしあとは簡単だ!二つ目の製造所に降りて変装後移動するだけ!)
予定どおり、ホコリだらけだが外よりは安全なダクトを進む。
まずは一つ目。
「見て見て!ヴァルカンお姉ちゃん!おいら作れた!作れたよ!」
「凄いじゃないかケオベ、良くできてる。」
製造所内ではフォルテとベッローの種族同士が仲睦まじく作業に打ち込んでいた。
詳しく言うと、ケオベと呼ばれた女がヴァルカンに抱きついている。
うん、美人同士のふんずほぐれずは絵になるなぁ~。
「、、、っ!」
(うぉっ!?やべっ!?)
多少の休憩と思い、眺めようと明かりへと顔を伸ばすと、ケオベと言う女がこちらを急に睨んできた。
「どうした?」
「いや、なんか変な匂いがして。」
「っ!?私臭うかっ!?機械油は落としてきたんだがな、、、。」
くそっ、なんだよここの奴ら。
いくらケモ耳が生えてるからと言って、五感まで獣に真似なくてもいいだろうが!
(、、、さっさと移動した方が安全だな。)
悪いことをしてる分、文句を言えない俺はため息を付きながらも前へと進むことにした。
二つの製造所へとたどり着いた俺は、ワイヤー銃の先端の固定装置をダクトの天井へと張り付ける。
扉を精密ドライバーで外し、俺は小型カメラで製造所内部の情報を収集した。
「監視カメラが~、、、角に1つ。奥の方向1つ、、、こっちの姿は写らないから無視でいいな。他には、、、よし、誰もいないな。」
ゆっくりと監視カメラの死角の範囲まで顔を出す。
そして腰に付けていたジャミング機器を投げつけ約10分間、カメラの視界の変動を停止させた。
(よし、これで俺はカメラに写らない。)
皆さんはこんなことを経験したことはないだろうか?
イケメン俳優は意外と家では全く違う姿をしていたり、アイドルが意外と一人では口が悪かったりするように、他人に縛られストレスが貯まった人が一人になると、テンションが上がったりする現象。
そして、さっきまでのロドスの従業員に縛られストレスが貯まっている状況は、そのような環境にとても酷似する。
(華麗なる着地っ!)
つまり俺は一回転後による足音を立てずの着地して格好つけたのだ。
(ふっ、決まったっ。)
どや顔とはこの時のためにある。
「貴方、、、なんでダクトから出てきたのですか?」
だがしかし、人はどうやら羞恥心に驚愕と混乱が合わさった時、摩訶不思議なことだが口をあんぐりと空けてしまうことらしい。
炎国特有のカンフーのための民族衣装。
オレンジ色の髪色に、虎のような耳と尻尾をした女は見るからに武芸経験者。
一職員であるならば誤魔化しようがあるが、その女の視線は完璧に疑いの視線。
と言うよりこの現状、何一ついいわけが通らない。
「ひぇっ、」
存外に、俺は自分が思ってた以上に情けなかったらしい。
精神的にも、肉体的にも絶体絶命。
口からは情けない声が出てしまった。