ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった   作:アークナイツと東方にドはまり

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いつも通り!キャラが安定いたしません!


仕事の終わりの談笑

選手控え室にて、、、

 

「、、、疲れた。」

 

壁に背を預ける俺は、眠気を誘うほどの疲労感に静かに愚痴っていた。

 

「いや~、初戦は凄まじかったですな~。」

「あんなのやられたら俺達の出番がないぜ。」

「けど結局はブレイズの勝利だったからか、運営人からしたら掛け金が巡らず儲からなかったらしいがな。」

「ハハハ!初参戦で嫌われたのかあの新人オペレーター!」

「こりゃあ今後こき使われることになること確定だな!」

「ちげぇねぇ!」

「「「アハハハハハハ!」」」

 

目の前では試合が映し出されたモニター前に集まる選手たちが、事情も知らず勝手なことを言ってやがる。

彼らの台詞に文句の一つも言いたくなるが、疲労困憊な上、あっちは俺に気づいてないのだから反応するだけ無駄と言うものだろう。

 

(、、、それに、否定できないしな~。)

 

首にかけた支給品のタオルで汗を拭う。

扇風機が効く中、少し肌寒い。

 

(はぁ~あ、喉、、、乾いちった。)

 

しかし、そんなことを気にする前に、汗の流しすぎか、体が潤いを求めてることを知る。

 

捕虜の身としては基本的に勝手な行動は出来ない。

本来なら飲み物を買うために一人行動とか絶対にダメな行為だ。

 

(、、、たしか、この腕輪ってgps機能ついてるんだっけ?)

 

が、しかし、大変な仕事をさせておいて飲み物の一つも買えず、ましてや居場所も常に監視させられて、その上で監視役のあの女がいないのだ。

 

(、、、ま、いいか、さっさと買ってこよう。)

 

どちらかと言えば、こんな杜撰な警備であるロドスが悪いと言えるだろう。

俺は堂々と飲み物を買うために立ち上がろうとした。

 

「これ、どうぞ。」

 

すると、頬に冷たい濡れた感触が伝わってくる。

顔を上げると、そこには緑髪の1本角を生やした女が、ドリンクを片手に俺に差し出していた。

 

「、、、え~っと、貴女はたしか、、、あの時の、、、」

 

俺の記憶が、この女を知っていると呟く。

思い出されるのは俺が捕まる直前の戦闘シーン。

 

「はい、あの時に貴方の行く道を塞いだ者の一人です。名前はホシグマと言います。以後お見知りおきを。」

 

やはり、あのデカイ盾をもってた人か。

心当たりに納得した俺は、お礼を言いながら飲み物を受けとった。

グビッと水を喉に通すが、なにやらホシグマさんがじーっと俺を見ていることに気づく。

 

これはなにか雑談しないといけないのだろうか?

 

「、、、以後お見知りおきをって、犯罪者に言う台詞じゃないですね。」

「そうですか?私はこれでも警備隊の任を受けていまして、危険な者達相手には抑止力として名前を覚えてもらっています。」

 

雑談がてらにきいたセリフが常人じゃない。

もしかしてこの人はドMなのだろうか?基本的に警察でも人を用意に殺せる人に自分を覚えてほしいとは思わないが。

 

「き、危険なことしますね。」

「承知の上です。ですが仕事上、必要なことですから。」

 

自信満々に胸を張るホシグマさん。

俺はその自信満々な様子に、まっすぐな人だなぁ~、と言う印象を受けた。

 

(俺にゃあ真似できん生き方だ。)

 

俺が苦笑していると、とある嫌な考えが頭に浮かぶ。

 

「、、、もしかして、俺の監視役、あの人からホシグマさんに変わりました?」

「ドクターの言った通り、貴方は勘の鋭い人なんですね。

そうです。変更と言うわけではないですが、私は貴方を監視する追加の人員です。」

 

予想は的中。ホシグマさんは見た目などの外的情報によると、敵に回すととてつもなくめんどくさい人の部類。

 

「そんなに嫌ですか?」

 

おっと、感情が表に出ていたようだ。

 

「いや、普通同姓の人の方が良かったな~、と思いまして。」

 

とっさに出る本音も合わさった言い訳。

 

「あ~、申し訳ありません、流石に此方と致しましてもそちらの性癖に合わせるわけには、、、」

 

とんでもない勘違いをされてしまった

俺はとっさに言葉の真意を説明する。

 

「なに勘違いしてるんですかっ!気が楽って意味で言っただけです!」

「ハッハッハ、冗談です。」

 

くそっ、なんだろうこの、チェーンソー女とは違った面倒臭さは。

ロドスにはまともなやつはいないのか?

 

「ちなみに私が選ばれた理由はドクターによると、貴方が女性を苦手にしていると思ったから、とのことです。」

「あの性悪野郎め、、、っ!」

 

訂正、ロドスのトップにあんなやつがいる時点でまともなやつなんてここにはいない!

 

「この短時間で十分に嫌われてますね、ドクターは。」

 

当たり前だ!どんな思惑があったかは知らないが、俺をこんな目に遭わせた本来の原因は判断元であるドクターにある。

普通、罰則なら清掃とかそこら辺なのに、それを踏まえてなお、わざと俺をぼこぼこにしたんだ。

結果的には俺の自業自得だから文句は言わないが、俺の怒りは当然のもの。

 

「それはそうと、、、」

 

怒りに身を震わせていると、ホシグマさんの声音が微かに変化した。

 

「貴方と戦ったブレイズさんのことですが、、、」

「なんです?」

「試合中の彼女の言葉はあまり気にしないであげてください。」

 

こんなこと言うのもなんですが、とそう呟かれた事実に俺は虚を突かれる。

 

「、、、聞こえてたんですか?」

 

確かにそれなりにデカイ声ではあったが、歓声でかき消されるものだと思っていた。

聞こえたとなればそうとうの地獄耳

 

「いいえ、なにか怒鳴っているな、ぐらいではっきりと聞こえたわけではありません。ですが、自分は人の口の動きで何を言ったか大体わかってしまうので。」

 

それはそれは、なんとも便利のようで不便な特技で。

 

(しかし、聞こえていないのならこれはチェーンソー女の名誉的に誤魔化した方が、、、、いや、俺が気にすることじゃないか。)

 

関心と共にバレても仕様がないと考える。

となると、誤魔化すより、自分の中にある疑問の解消を優先してもいいだろう。

 

「あー、俺が聞くのもなんですけど、、、あの人に何かあったんですか?」

 

俺自身、他人に憎まれるのは正直、どうでもよかった。

気分は当然ながらに悪くはするが、世の中をどう生きるか決めるは本人の自由。

自由に生きている俺だからこそ、誰に敵意を向けられても特に気にはしないことを信条にしていた。

 

しかし今回は、そうもいかない。

 

真っ正直に、その想いをぶつけられた。

憎めない痛みで、その想いをぶつけられた。

彼女の強さをもって、体にその想いが刻まれた。

 

(今は、良い機会だ。)

 

分からないなら分からないままで良かった。

でも今、俺の目の前にその答えが転がり、それを掴むことが出来る。

 

俺が求めていた答えへと手を伸ばすと、ホシグマさんは苦しそうに目蓋を一瞬だけ歪め、苦笑するように表情を戻した、

 

「最悪な話です、前の任務で彼女が特に守りたかった人達が、特に嫌う人々に理由もなく奪われたんです。」

(なんだ、良くあることか。)

 

予想通りの答えに俺は、そうか、と特になにも感じない。

しかし、個人的にチェーンソー女の想いの強さを知りたい俺は、どんなにつまらないことでも話を聞きたくなる。

、、、これは事前確認が必要だな。

 

「俺、常識疎くて、あまり気を遣えないんですが、、、その内容は聞かない方がいいですか?」

 

俺は小説が好きだ。パッピーエンド、バットエンド、なんでもござれ。

俺が好きになる条件はただ一つ。そこに俺の興味を引く物語があるかどうか。

 

「私はお勧め致しません。貴方にとっては気になることでしょうが、先程言った通り、最悪なだけの話ですから。

聞くだけ気分を害するものと思われます。」

 

ま、この人がここまで言うのだから、俺が聞いたところで無意味なのだろう。俺が楽しめる内容ではないはずだ。

それに他人の不幸自慢なんてのは、聞くだけ虫酸が走る。

俺はこれ以上その内容に触れることはしないと決めた。

 

、、、とは言え、この重い雰囲気、フォローぐらいは入れておいた方がいいのだろうか?

 

「一応言っておきますけど、、、俺、別にブレイズさんを恨んではいませんよ。」

 

頭をガシガシとかきながらそう呟くと、ホシグマさんに目を見開き驚かれた。

 

「、、、あんなに理不尽な目にあったのにですか?」

「まぁ、確かに、振り返れば随分と酷い目には遭いましたけど、そもそもあの人の怒りは尤もなことじゃないですか。」

 

俺は理不尽な過去を何ともないように平然と告げる。

 

「他人の命を思いやれる人が、命を弄ぶやつを嫌うのは、何一つおかしくない、当たり前のことですよ。

それこそ、私利私欲で何の責任も持たず人を殺せる奴なら特に。」

「、、、」

「今回死者は出てませんけど、もしかしたら、何人もの人が死ぬ可能性がまだあるんです。なら俺が恨まれるのは至極当然だと思いますよ。」

 

人の価値観は、簡単に他人には受け入れられない。

 

「悪人にも命はありますよ?」

 

ホシグマさんは何を理解したいのか、なんともつまらないことを尋ねてきた。

俺はそれに、溜息をつくように、あたかも当然のように、自分の考えを話す。

 

「この世は因果応報、命を大切にしない奴の命が雑に扱われても仕方がないんじゃないですか?

だって、命を大切に、扱わないんですから。」

 

まぁ、そんなこと言っていたら、お前はどうなんだって話になるよな。

 

「だから俺自身、人間として悪事を働くなら、それ相応の恨み辛みを買うことを覚悟しています。」

 

勿論、俺だってそれなりには分かっている。最悪の場合俺が死ぬことがあったのもわかってる。

その覚悟が足りているかどうかは知らないが、まぁ、俺だけが死ぬのなら特に大した問題ではない。

 

俺は生意気に、ワザとらしく笑って見せた。

 

「その証拠に、今回の一方的蹂躙劇は甘んじて受け入れたでしょう?

あんなのはもう御免ですけど、もうあの人に対して思うことはありません。」

 

今度は訝しむような視線を向けられる。

 

「随分と聞き分けのいい悪党ですね?」

 

俺はペットボトルに残った少しの水を煽り言い放つ。

 

「知らないんですか?生き方を、自由に決められるから悪党は悪党なんです。」

 

一瞬だけうらやましいだろ?と頬を上げて見せると、ホシグマさんは突然に笑い始めた。

周りの視線が集まることに恥ずかしさを覚える。

が、笑い終えた後に言われた次の発言に俺は不快感を感じた。

 

「なるほど、ドクターがあなたを気に入った理由がなんとなくわかった気がします。」

 

しかめっ面になるのが自分でもわかる。

 

「嫌でしたか?」

 

その様子を見たホシグマさんは苦笑した。

 

「いや、俺からしたら誰に興味を持たれようとどうでもいいんですが、あの人に関してはなんとなく嫌悪感を抱いてまして。」

「嫌悪感?」

「何というか、気を許せば全てを持ってかれるような、、、」

 

俺は弁明のため、自分でもよくわからない感情を抽象的に説明する、

 

「手玉に取られたことからの苦手意識、でしょうか?」

 

流石は人生経験豊富なお方。近しい答えが簡単に出てきてくれる。

 

「それもあります。ですけどそれだけじゃないような気がするんです。何て言えばいいのかな~、、、」

 

けど、まだ違う。俺の感覚はそれじゃあピンと来ない。

まだ何かあると、頭のなかでドクターを表す言葉を思案する。

 

「そう、例えばアイツに似てる、、、と、、、か、、、」

 

答えのでない問いにしびれを切らした俺の思考は記憶のなかでドクターに似てる人物を探しだす。

思い出されたのは一人の男。

俺がかつて父と慕い、そして同時に存在自体を否定した男の姿。

 

「あぁ、なるほど。」

 

自分の心情を整理して一つの答えに合点の行った俺は、ホシグマさんにもわからない一つの結論が出す。

 

「似てるんだ、あいつに。だから俺は、、、」

「あいつ?」

 

俺はドクターの才能や在り方に、俺が忌み嫌った父の背中を重ねていたのだ。

嫌な記憶がフラッシュバックする。そんな時だった。

 

「あいつというのは一体「ラウンドフォー!ファイトっ!」、?」

 

突如、モニターから審判の声が響いてくる。

驚いて視線を向けると、チェーンソー女の楽しそうな表情が映っていた。

 

「、、、ん?あの人、仕事放棄してバリバリ元気で遊んでませんか?」

 

確かチェーンソー女は着替えと汗流しに俺をここに放置したはずなのだが、今現在、俺の監視を放棄して試合に参加している。

ジト目を向けながら職務怠慢を指摘すると、ホシグマさんは苦笑しながら理由を説明してくれた。

 

「私が提案したのです。貴方の監視を引き受けるので、溜め込んだストレスを発散してくださいと。」

「八つ当たりされずに済むから喜ばしいですけど、でも犯罪者の監視より優先してるのはヤバいでしょ。」

「そこはブレイズさんが言っておりました。貴方なら大丈夫だと。」

 

なんとも自信満々な表情に当事者の俺が、頭を抱えた。

 

(ロドスは本気で大丈夫なのだろうか、流石にお人好し、と言うか他人を簡単に信じすぎでは?)

 

普通、どんな理由があろうと危険人物を野放しにするだろうか。

俺が侵入できるぐらいロドスの警備態勢はザルだと言うのに、捕まえた上でもこんな意識では何が起こっても不思議じゃないぞ?

俺が珍しくも心の底からロドスの未来を心配していると、ホシグマさんが可笑しそうに笑いながら追加でとある事実を伝えてきた。

 

「同時にこうも言っていました。貴方は確かに悪人だが、ちゃんと想いに答えてくれる誠実さはある、と。」

「、、、。、、、簡単に信用しすぎですね。」

「あ、照れてますか?」

「、、、。」

 

、、、全く、急に褒めないでもらいたいね。反応に困っちまうよ。

呆れたように見せたにも関わらず、呆気なくバレた俺は照れ隠しで口を手元で隠し、そっぽを向く。

 

「挑戦者!ノックアウトっ!winner、ブレイズっ!」

 

するとモニターから、また審判の声が聞こえてきた。

再度、モニターに映るのは嬉しそうな表情をするチェーンソー女。

 

(まぁ、もう、なんでもいいか。)

 

俺は気づけば、盛り上がった平和な空間に、彼女の魅せるその笑顔に無意識の内に絆されていた。

お陰で全ての困り事が、どうにでもなると、自信を持ててしまう。

 

安心と言えば良いのか、疲労による眠気が微かに襲ってきた。

 

「そう言えば、俺はもう試合、と言うか仕事はしなくて良いんですか?」

「はい、大丈夫です。あれだけ盛り上げて頂ければこちらとしては十分ですから。」

(そうか、ならもう体を休ませたいな。)

 

休息をとりたい俺はよっこらせと腰を上げる。

 

「なら、もう留置場へ案内してもらって良いですか?そろそろ休みたいので。」

「留置場?なぜですか?」

 

が、ホシグマさんが首を捻るから腰が宙で止まる。

 

「な、なぜって、、、え?俺が本来いるべき場所はそこなんじゃ?」

 

お互い首をかしげるほどに話が噛み合わない。

けど突然、ホシグマさんは思い付いたかのような声を上げる。

 

「あ、なるほど、そういうことですか。」

 

嫌な予感だ。これは相当に、、、嫌な予感がする。

 

「確かに貴方の本来の拘禁場所は留置所ですが、今回は極秘裏と言うこともあり場所が違います。」

 

冷や汗を流す俺を他所に、ホシグマさんは最高の言い笑顔でこう言い放った。

 

「貴方を拘禁する場所は、ロドスが基地内部に設置した我々職員の休憩場"宿舎"です。」

 

俺はあとでこう思い知ることになる。

 

俺の本能の警笛のスペックはクソザコナメクジである。




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