ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった 作:アークナイツと東方にドはまり
ですがなんとか書いたので読んで貰えると幸いです。
それでは、、、お楽しみください
「はてさて、今ごろ彼はどうしているかな?」
それは侵入者を捕まえて2日目の、彼からしたら実質最初の夜。
私は一段落した仕事の息抜きに、彼のいる宿舎へと足を運んでいた。
「話じゃあ特に何かを企んでいる様子はないらしいけど。」
監視を任せたホシグマの定時連絡では、彼の仕事中ブレイズと一悶着あったようだが、彼のファインプレーで無事解決したらしい。
普通なら問題を発生させ、混乱に乗じて逃げ出すのが犯罪者の基本的思考なのだが、彼は律儀に私との取引を守る様子がある。
だからこそ、あまり彼について心配はしていなかったが、流石の私もそれなりに現状を確認する義務がある。
「まぁ、何かあったら取引は無効、やることはしないとね。」
私はあらゆる懸念を確認するべく、宿舎の扉を開けた。
「ひぃぐっ、、、うぐっ、、、」
「っ!?」
すると、まず視界に映ったのは、床に崩れように座り泣く侵入者、ヨルノの姿だった。
向かいのソファーに座るのは、監視を任せた1人であるシージ、仕事終わりのクロワッサンとエフイーターの三人。
「ナニコレ?」
宿舎には似合わない、一見何かしらの虐めが起こったような様子にすっとんきょな声を上げてしまう。
すると丁度酒の並ぶ棚の前にいたホシグマと目があった。
「ドクター、来てたんですか?」
「うん、仕事が一段落したからね、休憩がてらヨルノ君の様子を見るためにも立ち寄ったんだけど、、、このありさまは何?」
「アハハ、、、これには色々と事情がありまして、、、」
ホシグマにしては濁すな~、と思っているとテーブルの上に、何かの液体が入ったコップと積み上げられたお金、そして賭け事でもしていたのか散らばったトランプが目に入る。
「お、ドクターはん!今、新人に先輩の実力を叩き込んどったんやけどドクターもやる?」
「、、、何してたの?」
「お金を賭けたトランプゲームだよ~。」
「連続10回最下位であの有り様だ。」
なんと、予想通り賭け事をして、侵入者である彼が大負けしたらしい。
しかし、彼がそれぐらいで涙を流すような魂だろうか?
私は疑問を解消するために机の上に置いてあったコップを手に取り嗅いでみる。
「お酒、、、まさか、飲んだの?」
アルコール特有の匂いを感じた私は、ホシグマとシージを交互に見た。
「私は飲んでないぞ、ほら、これはただのお茶だ。」
シージはコップを揺らし無罪を主張。
「わ、私も飲んでいません。ですが、、、」
ホシグマも無罪を主張するが、何処か言い淀む様子。
「、、、。」
ジト目を向け、自白を強要すると、ホシグマは観念したのか苦笑混じりに口を開く。
「説明しますと、、、」
~~~~~~~
「賭け事?」
「そうや!どうや?やらんか?」
それは夕食も済み、隣にバーがある宿舎でのことだった。
極秘裏と言うこともあり、新人と言う肩書きを強制させられていたヨルノは、夜間の仕事前に暇潰しがてら宿舎を訪れたクロワッサンとエフイーターに勝負を挑まれていた。
「なんで俺なんです?」
当然、全く知らない人からのこの誘いには、ヨルノも困惑する。
「そりゃあ、君と親睦を深めたいからだよ。」
「いや、その理由も含めて意味がわからないんですけど、、、」
エフイーターが理由を説明するも、気に入られた理由がわからないヨルノは困惑したままだった。
しかし、それはクロワッサンの高ぶったテンションにより判明する。
「あれ見たでぇ~!ブレイズはんとの真剣勝負!
あんなの見せられたらそりゃあ気になるってもんやろ!」
納得したヨルノはめんどくさそうに表情を歪めた。
「あぁ、なるほど、言わば物見遊山ですか。」
「正解っ!」
「まぁ要は、今後活躍するかもしれない新人とは縁を作っておきたいってだけだよ。」
そして大きなため息をつき、遠い目をする。
「、、、これは少し、目立ちすぎだなぁ~。どうにか存在感を消せればいいんだけど。」
ヨルノの愚痴に二人は呆れたような声を出す。
「もう遅くない?」
「多分やけどもう血の気の多い輩には目をつけられとるで。」
今度は、肺の中にある空気を全て吐き出すかほどの大きなため息をついた。
「ありゃ、気にくわなかった?いいやん。人気者やん。認められとる証拠やで?」
「血の気の多い輩な時点で良い分けないでしょう?」
「あたしはどんな相手でも認められるのは好きだけどな~。」
「流石俳優、言葉に説得力があるな!」
「貴女はそうでも、俺は目立つのは嫌いなんです。認められてもそれ以上の厄介事に襲われるのが世の常ですし、現にこうして面倒事が押し寄せてますから。」
ヨルノは胸の前で腕で×を作ることで拒否を示す。
「取り敢えず、俺はしませんよ。利益が確定しないことほどやってて虚しいことはありません。」
「「えぇ~、、、」」
二人は彼のその様子に不満を覚えたが、彼の表情が確固たる意思を見せていることに気づく。
「う~ん、それなら、仕方ないわなぁ~。」
諦めたかのようなため息にヨルノは安堵するも、エフイーターとクロワッサンの二人はヨルノの向かい側のソファーにドスリと腰を下ろした。
「じゃ、最初はポーカーからやな。」
「え、最初は大富豪しようよ。」
「ん?」
そして拒否したにも関わらず、ヨルノの前に投げられる数枚のカード。
「ええで、じゃあ大富豪を最初に、、、となると人数が少ないな~。」
「私もしよう、ちょうど暇だしな。」
「あ、シージさんもやる?」
「あともう一人ぐらい欲しいとこやけど、、、お、良いとこに!バイソン坊~!」
続々と集まっていく参加人数。唯一常識人のような少年もクロワッサンの説得により参加が決められる。
「OK~、これで人数は十分だね。」
「いや、あの、だから俺はしないと、、、」
「掛け金どうしようか?最初だしコイン一枚にしとく?」
「やな、ルールも1位総取りにするか。」
「だから俺は、、、っ!」
ヨルノの声を少年以外の誰もが無視し、そして今まさに始まろうとする瞬間、彼に視線が集中する。
「ほら、君からやで、時計回りに始めよう。」
有無を言わさない女性人の圧。ロドスで働く者の精神的強さを垣間見たヨルノは、これ以上何を言っても無駄だと悟り財布からワンコインを外に出す。
「、、、少しやったらやめますからね。」
ここまで強引に自分を誘う女性陣の目的を理解できないまま、彼は拒否するよりもさっさと始めて終わらせた方がいいと解釈し、そのゲームへと参加してしまった。
その結果は約5分後、、、
「な、、、なっ、、、!?」
ヨルノ手札3枚、他全員手札ゼロ。
勿論大貧民はヨルノに確定した。
圧倒的大破にヨルノは驚愕する。
「あー、新人君。、、、流石に、、、弱いよ。」
エフイーターの呆れにも混じった哀れみの視線にヨルノはぐっと唇を噛み締める。
「顔に出すぎなんだ。何を待っているのかすぐ分かる。」
流石は大富豪シージのお言葉。
どうにか否定しようにも、結果が何よりも全てを物語る。
表情で分かるあんたらの方がおかしいと、常識を介して文句を言いたくなるが、あからさまに自分より年下の子が出来てる時点でそれは無様な言い訳になる。
ヨルノは反論も出来ず自分の実力のなさを自覚することしか出来なかった。
「まぁ、最初なんやしそんなもんちゃう?次やろうや次。」
「そ、そうですね!つ、次は勝てば良いだけの話なんですよ!」
悔しさからか次のチャンスの提示にまんまと乗っかるヨルノ。しかし又3分後、、、
「い、イカサマだっ!」
ヨルノ手札4枚、他全員ゼロ。
ガバッと立ち上がったヨルノは大富豪となったクロワッサンへと詰め寄る。
「言い掛かりやなぁ~。」
手札を配る前にシャッフルしたのは彼女であるのと、今度は圧倒的速度で敗北したことから、流石のヨルノもイカサマだと確信した。
「言い掛かりなもんですか!あからさまに始めから俺の出る幕なかったでしょ!いくら大貧民スタートと言っても限度があります!」
「自分の運のなさを棚にあげちゃあいかんで。」
「そうだそうだ~、それにイカサマなら証拠を出せぇ~。」
しかし、ヨルノには確信はあってもそれを裏付ける証拠が一切ない。
唯一指摘できるのは、スタートからパイソンと言う少年がクロワッサンにジト目を向けていた事実のみ。
「うぐっ、、、そ、そうですけど、、、」
ヨルノは悔しがることしか出来なかった。
けど、そこに意外な助けが入る、
「そこまで疑うなら次は貴方がシャッフルしてみては?」
助け船の主はお盆に色のついた液体をいれたグラスを乗せるホシグマだった。
「これどうぞ、」
ヨルノの手にオレンジ色の飲み物が手渡される。
「ありがとうございます!そうですよ!次は俺がシャッフルしますからね!」
「ええでぇ~。」
「僕は構いません。」
「あたしも別に良いよ。」
「好きにしろ。」
起死回生のチャンスはまたも彼の手に。
ヨルノは貰ったグラスの中を一気に飲み干した。
(ん?オレンジジュースか?それにしてはなんか味が、、、ま、いっか!)
何か変な風味を感じ取るが今は勝負に集中したい気持ちが強い。
「それじゃあ!始めますよっ!」
ヨルノはシャッフルしたトランプを全員に配り始めた。
5分後、、、ヨルノ敗北
「ホシグマさん!もう一杯お代わり!」
さらに五分後、、、ヨルノ敗北
「お代わりっ!」
さらに五分後、、、ヨルノ敗北
「お、、、おぉ、、、おか、、、わり、、、」
さらに五分後、、、ヨルノ大敗北
「なんでぇ~、、、なんでなんだよぉ~、、、」
ついにヨルノは自信の敗北を認めるしかなく、床に手をついた。
「ここまで来たら逆に才能やな。」
「途中からシャッフルでイカサマして負けるとはねぇ~。」
「あれだ、お前は嘘がをつく時、顔と動きで出すぎだな。少しは自制しろ。」
「あの~、大丈夫ですか?」
面々の物言いに何も反論が出来ないヨルノ。
パイソン君だけ優しいね!やったね!
「まぁ、どちらにしろ、敗けは敗けや。ほらほら、掛け金掛け金。」
「うぅ~、ち、ちくしょうっ!」
そして奪われるは財布の重さ。
ヨルノの心はボロボロとなった。
「負けた、、、圧倒的に、、、負けてしまった。」
知らずのうちにアルコールをがぶ飲みしたからか、ヨルノは泣き出しそうなぐらい顔が真っ赤になる。
財布を握りしめる姿はどことなく哀愁が漂っていた。
「しかし、大富豪はもう飽きたな。」
「そうだね~、これだけ勝ち続けると流石にね。次は別のゲームしようか?」
「はぁあ!勝ち逃げするつもりっすか!まだ終わらせませんよ!」
「やめたほうが、、、」
「俺はまだ!負けてない!」
しかし、シージとエフイーターの呟きにヨルノは過剰に反応する。
いつもなら懐の寂しさにこんな子と絶対にしないのだが、アルコールとはとても恐ろしい。
もうヨルノに正常な判断は出来なくなっていた。
「じゃあ、ポーカーでもする?」
「ぽー、かー?、、、しましょう!ホシグマさん!お代わり!」
「もうそれ以上飲まないほうが、、、」
掲げるグラスが何よりもその証拠となる。
まだ賭けれることの嬉しさに舞い上がったヨルノはパイソンとシージ以外の不適な笑みに気づけず酒を飲み干す。
「僕は知りませんからね?」
そして約30分後、、、
一回戦:ヨルノ「ぶ、ブタ、、、」
二回戦:ヨルノ「Jのスリーカード!」
パイソン「ごめんなさい、フラッシュです。」
三回戦:ヨルノ「フハハハハ!2と3のフルハウスだ!」
クロワッサン「残念、8のフォーカードや。」
四回戦:ヨルノ「す、すすす、ストレート、とと。」
エフイーター「ごめんね、フルハウス♪」
五回戦:ヨルノ「、、、、ワンペア。」
シージ「ストレートフラッシュ。」
結果的に全ての勝負に負けたヨルノであったのだった。
(パイソン君は嫌な予感がして終わり次第逃げましたとさ。)
~~~~~~~
「とまぁ、このように、負けては酒を飲みを繰り返して、、、。」
ホシグマが1合の酒瓶を揺らし、中身がないことを示す。
「お酒に弱いのか2合を飲み干した辺りで、、、こうなりました。」
呆れるべきか、叱るべきか、私は起きてしまった取り返しのつかない事実に頭を抱える。
半ば自業自得な部分もあるがそれはホシグマの飲ました酒が原因でもある。
こちらが後で攻められても文句は言えないだろう。
「うぐっ、、、うぅ、、、」
しかし、隣から聞こえてくるすすり泣く声。
「で、彼はどのくらい負けたの?」
「財布を空にする程度やな。いやー、儲かったわ。」
「おぅ、それは気の毒に、、、」
出来るなら取り返してやりたいところだけど私もトランプゲームは苦手とするところ。
掛け金が高くなる場合はしないことに決めているのだ。
「ちなみに聞くけど強制ではないんだよね?」
「最初はちょいと無理矢理誘ったけどな~、三回目からは酔ってたのか煽ったら簡単に乗ってきたわ~。」
「ぐすっ、、、ぐすっ、、、ん、、、」
「そりゃあ、自業自得だね。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」
おっと、どうやら聞こえていたらしい。
彼が正気なら絶対恥ずかしがっていたであろうほど、彼は泣き始めてしまった。
慰め方を知らない私はどうしたものかと悩んでいると、シージがため息をつき立ち上がる。
「ほら、食べろ。」
「うっぐ、、、ずびっ、、、ん、、、」
何ということだろうか、シージが飴玉を差し出したかと思えば、侵入者君はそれを舐めることに集中するためか泣き止んでしまった。
「お~っ、なんかスゴい。」
私は思わず関心してしまう。
「こんなのは子供をあやすのと同じ要領だ、なにも難しいことじゃない。」
シージーは特に気にも止めることなく、侵入者君をお姫様抱っこで抱き上げる。
5センチほど身長差からその様子はまるで姉に抱き抱えられる弟そのもの。
まぁ、慰められる弟としてはデカすぎるが。
「ドクター、こいつは寝かしてくるが、いいか?」
「あ、待って、少し聞きたいことがあるから私も行くよ。」
私は慌てて移動しようとするシージを止める。
酔っている今だからこそ聞けることもあるだろう。
だがその前に、、、仕事と散らかった宿舎を片付けるために指揮官らしく指示を出す。
「ホシグマ、後で任務の詳細について連絡する。それまではここで休んでてくれ。ブレイズにもそう伝えるように。」
「了解です。」
「そして、クロワッサンとエフイーターはここの片付けをすること。」
「「えぇ~っ!」」
「じゃないと私の権限で儲かった分は強制回収するが。」
「「誠心誠意頑張らせて頂きます。」」
ようやく、私の臨機応変な指示によって宿舎で起きた問題は解決へと至った。
名目上の新人をいびったあの二人には後で罰としてキツイ仕事を回すとしよう。
そして場面は宿舎の仮眠室へと移る。
「、、、。」
ベットの上にはシージの言葉に素直に従い、ベットへと潜り込むそれなりの実力者であった侵入者がいる。
「これは、、、尋問は無理かな。」
私は彼の酔いまくっている様子に、こりゃだめだと諦めのため息をつく。
一応仕事上聞かなければならないことがあるのだが、状況的に彼の口から正しい回答が返ってくるか分からない。
嘘とわかるならそれはそれでやりようはあるのだが、これではそれすら不可能。
「ん?普通に聞かないのか?」
「聞いても真実かどうかハッキリしないから意味はないかな。」
「、、、ちょっと貸してみろ。」
私はシージに現在滞っている問題のリストを渡す。
駄目もとでも何か聞き出すつもりなのだろうか?
「おい、寝る前に一つ聞く。お前はいつも、便利屋として日銭を稼いでいるのか?」
ぼーっとどこか虚空を見つめる彼は、シージの言葉に素直に首を縦に降る。
「ということは、今回みたいな危険なことをいつもしているのか?」
「、、、違う。シスターと会ってからは、、、そんなに、、、」
「シスター?お前は家は教会か?」
「、、、住まわせて、、、もらってる。」
何ということだろうか、彼がここまでアルコールに弱いとは。
真実かどうかはわからなくても、シージを信頼しているのか、それなりの情報が引き出せることに私は驚いてしまう。
「、、、彼女らは知っているのか?お前の仕事を。」
「知らない、、、はず、、、知ったら、、、止めに、、、来るだろう、、、から。」
「危険とわかっててなぜそんなことを続ける?」
そして彼は瞳に少しの涙を貯め、悔しそうに語った。
それはひとつの、彼のあり方を決めた情報。
それは間違いなく、彼の生き方を決めた情報。
私は確信させられた。
「だって、、、それでしか、、、護れない、、、。」
これは真実だ、と。 紛れもなく、彼が思い、感じ、記憶した情報なのだと。
結論から言おう。この瞬間、彼がただの金目当てでここに侵入するほど馬鹿ではないと理解させられる。
「君はこの仕事をして何を得る?」
私はシージの後ろから、彼の意識を覚醒させない音量で最重要案件を尋ねる。
それは、彼の行く末を予測するのに必要なひとつのピース。
それは、私がロドスをより良い未来へ導くために必要なひとつのピース。
それは、私たちと彼を取り巻く問題の行く先を決める、重要なピース。
「皆を養えるお金と、、、皆の自由、、、」
私の描く未来の絵は、これで完成した。
「やっぱり、最悪のシナリオだったか。」
私は近くにあった椅子へと腰を下ろす。
下ろして、、、思い付いた私たちだけの最善の選択肢に対し、、、なんとも言えない感情に襲われた。
「どうしたドクター?大丈夫か?」
シージが私の変化に疑問を覚え、その優しさで私を心配してくれる。
「、、、っ、」
しかし私の理性が、まだ確定していない先を伝えるべきでないと本能に警告した。
私の感情が、余計な苦しみを仲間に押し付けるべきでないと私の心を抑止した。
私は司令官として、軽々しく開いた口を無理やりにでも閉じ、表情をいつも通りに戻す。
「、、、大丈夫、、、続けて。」
そして上官らしく、シージに、仕事を優先させた。
「お前にこの仕事を強制させたのは誰だ?」
だが、いくつもの質問でようやく意識が戻ってきたのか、彼はうつ伏せになってこう答えた。
「言え、、、ない、、、大事な、、、契約、だから、、、」
、、、恐らくここいらが尋問の限界。
酔っているから聞けることが増えていたが、彼自身に守るべき約束を思い出してしまった時点でこれ以上聞けることはないだろう。
「ロドスに何をしたかは?」
「それも、、、無理、、、」
やはり、これ以上は警戒心を抱かせるだけだな。
私はシージからリストを回収する。
「ん?もう良いのか?」
「職務上聞くべき情報はほぼ手に入ったよ、ありがとう。」
ロドスにおいて、知るべきことは知れた。
ロドスの未来のため、指針を決めるのに必要な情報は手に入った。
ロドスの在り方を否定しないため、するべきことの決め手となる情報は手に入った。
だから、、、
「だからこれからは、、、私の私情から来る尋問だ。」
そして彼の枕元まで椅子を近づけ、私は彼の顔を覗き込んでこう尋ねた。
「ヨルノ君。君の力を、私に教えてくれ。」
彼の口を軽くするには、私は出来るだけ褒めて、彼の調子を元気付けさせる。
「君は強い。その身体能力、その五感の精度、そして回復力、どれもが一般人のそれとは駆け離れていた。」
彼の心に住み着く警戒心を溶かす必要がある。
「その中でも回復力はずば抜けている。戦闘記録を見返したけど、あれは治癒なんてものじゃない。あれは、、、そう、、、まるで再生のようだった。」
しかし、好奇心は一度でも火が着けばなかなか消えない。
思っていたのとは違い、本音がポロポロと零れてしまう。
「けど再生をもとにすると何かスッキリしない。
私の思考が、君の異常性が高い身体能力と、そして狙いどおりに高められる五感がそれでは説明がつかないと言っている。」
となればこの際だ、酔っているのだから気を遣う必要もない、
私は自分の持つ好奇心に身を任せ、直球に、彼へと向き直る。
「教えてほしい、君のアーツは、、、どんなものなんだ?」
褒めて緩めて探る作戦。これが普通の取引相手なら表情の少しの変化で成功かがわかる
彼の表情が上機嫌に変わるのであれば、今この瞬間彼の警戒心は解かれたことになる。
つまり目的通り、彼の気分が上がったのなら目的を達成できる、、、はずだった。。
「これは、、、強さ、、、なんかじゃ、、、ない、、、」
しかし、私の期待とは裏腹に、彼の表情は苦虫を噛み潰したような表情へと変わる。
「これは、、、遺産、、、なんだ、、、」
彼の声音が今にも泣き出しそうな少年のものに変わる。
「こんな俺のために、、、死んでいった皆の、、、唯一の形見、、、」
彼は枕に自分の顔を埋める。
「それは、、、、その力は一体、、、」
まるで暗闇の取り残された子供のように、あまりにか細く、あまりに弱々しく、彼は私の質問にこう答えた。
「、、、不老不死、、、」
まるで殴られたかのようだった。
爪先にまで電気が走るような衝撃が頭をかけ抜ける。
私はこれでも専門家の一人。
彼の力が全人類の夢であることを知っている。
全人類の到達点であることを知っている。
全人類の禁忌であることをわかっている。
だから私は、とっさに彼に詰め寄り叫んだ。
「一体それは!それはどんな!どんな能力なんだ!」
肩を掴み、打出の小槌のように情報が出ることを期待して、彼の体を揺する。
「頼む!教えてくれ!たの「無理だ、ドクター。そいつはもう寝てる。」、、、っ!」
しかし、結局は私が一番に知りたい情報は得られずに終わる。
彼は気づけば死人のような穏やかさで、静かな鼻息をたて眠りについていた。
揺すってもおきない辺り、酔いの限界が来たのだろう。
ならこれ以上は聞いても無駄だ。
「、、、ふぅ~、」
私は冷静になるためにも深呼吸をし、意識を切り替えて、シージに指示を出す。
「シージ、彼の監視は3時間毎の交代制にする、だから後二時間半よろしくね。」
「了解だ。」
「詳細は後で送るから、勤務時間が終わり次第、絶対に休むこと。」
「勿論そのつもりだ。ドクターこそ、何があったかは知らないがあまり抱え込まないようにな?」
「、、、努力するよ。それじゃあ、また後で。」
私は立ち上がり宿舎を後にする。
そして窓に写る私の顔を見つめ、覚悟を決めるためにも呟いた。
「絶対に暴く。それが私たちの、為になるならば。」
私の言葉は虚空へと消えてった。
次回もロドスでの生活編で、主人公の性格を詳しく書きます。
投稿はなるべく早く書きますが、遅くなると思うので気長にお待ち下さい。
(誤字脱字報告ありがとうございます。※多くてすみません。)
(感想評価ありがとうございます。モチベーションが上がるので書いてくれたら幸いです。)
次回もお楽しみに