ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった 作:アークナイツと東方にドはまり
何時交換しよう?
『ヨルノ、この依頼を受けろ。』
あの日、俺は居候先の教会がある地区のまとめ役、地区長に依頼内容書を渡された。
『急に呼び出したかと思えばご挨拶っすね、地区長。俺はそう暇じゃないんですけど?』
すぐに目を通さないことで自分の存在を大きく見せる.
『知ったことではないな、あの契約を結んだ以上、お前の自由権は俺にある。』
が、そんなものはいつも通りに、俺以上の神経の図太さを前に通用しない。
いつもとは違い、直接的に、重苦しく、否定される。
様子が違う。この場に俺しかいないとはいえ、教会の保持の代わりに俺が駒となる契約を口に出す時点で、この依頼に関しては茶化すつもりがないようだ。
『、、、。』
逆に考えれば、俺の手元にあるのはそれほどの依頼。
俺は黙って渡された書類の中身に目を通す。
『、、、はっ、馬鹿かこの依頼。』
ある程度理不尽な内容だと予想はしていたが、案の定、嘲笑が出るくらいにふざけ倒したものだった。
『まさかあんた、この依頼を受けろって言っているんじゃないでしょうね?』
依頼者は世界では有名な犯罪集団、世で言うテロリスト。
その詳細は、ロドスが持つ中枢通信網の破壊。
要は、ロドスをぶっ殺すから、その前準備として奴らの戦力を剃れ、という依頼だ。
社会を知っているものなら常識と言われるほどに有名なロドスの危険性。
毎日、レユニヨンともめ事を起こせるかの武力は国の軍事力と大差なく、名ばかりではない高度な医療技術はロドスの揺るぎない力の源になっている。
そんなロドスにケンカを売るのは、有体に言って死と同義。
俺だけじゃない、そんな力を持つならこの街だって無事ではすまないのは、いくら地区長といえど理解できることのはずだった。
『そうだ。お前にはこの仕事を受けてもらう。』
しかしらこの時初めて心と声が一致する。
『、、、正気か?』
俺はこいつが嫌いだ、天変地異が起こっても、その気持ちに変わりはないだろう。
だがそれなりに、それこそ契約を交わしてもいいほどに信用はしていた。
『俺が冗談を言うとでも?』
こいつは自分の管轄にある住民をどんなことより第一に考える。
己が己にかけた使命に忠実に生き続ける意志がある。
どんなに低い確率でも、住民が大損を背負う選択肢は踏まない男だった。
だから信用した、信用だけは置いてやった。
(何かあるはずだ、、、)
この瞬間、感情に任せて問い詰めてもよかった。
でも憤り以上に残っていた理性が冷静な判断を促す。
0.1㎝程度残っていた信用を元手に今の状況を分析した。
『、、、まさかあんたっ!?』
この人の下で働き始めて以来、俺はこの街の事情については人一倍に詳しい自信がある。
そのこそ、起こる問題や背負っている悪性には誰より敏感で、外からの異物には誰よりもいち早く気づくほとだった。
そんな俺のアンテナは、丁度先週あたりに大量の武装集団を捉えていた。
『契約を結んだなっ!あの畜生どもにっ!!』
情報は分析してこそ役立つもの。俺は居候先の教会の人々を守るため、存在に気付いた瞬間から武装集団について出来うる以上に調べ上げた。
それこそ、地中深く根ずいた草木を掘り起こすかの如く。
だからこそ、すぐに分かった。
奴らは、この街の人々を抹殺するつもりであることを。
狙いはオリジウムというエネルギー源のみでここにいる人たちはどうでもいいことを。
そして、目の前のこいつと奴らはすでに接触していることを。
そしてこの依頼が、そいつらからの押し付けであることも。
『、、、。』
俺が胸倉をつかみ上げると、地区長はまるで苦虫を嚙み潰したかのように表情を歪めた。
これで確信した、こいつは我が身欲しさに!取引という形で多の犠牲を許容したんだっ!
俺が知り得た情報だと持ち掛けられた取引はこんな形だったはずだ。
毎度肝心な時に邪魔をしてくる、テロリストとしては最大の脅威であるロドスを討つ協力をするのであれば、お前の運営する地区ぐらいは助けてやる。
つまりは、《死にたくなければロドスを潰せ》
『馬鹿かあんたはっ!?あんな奴らがまともなものでも契約を守る保証がどこにある!!最悪、みんな死ぬかもしれないんだぞ!!
あんたの、あんたのこの街を守る意志は嘘だったのか!俺が信じた、あの言葉は全部嘘だったのか!』
俺は怒りのまま、怒鳴り散らした。
感情のまま俺の知る事実を話した。
『外の奴らからしたらここはゴミ溜めだ!間違いなく塵取りで集めて燃やしたいと思うようなものなんだよ!
外を見たことがあるあんたなら!それは十分わかるだろ!
テロリストにこそ仁義がないのだって、あんたが一番知ってるはずだ!
なのに、、、なのになぜ!部外者を受け入れた!!この街が大事なんじゃなかったのか!』
しかし、地区長の次の一言で俺の言葉は止まる。
『部外者のお前がっ、お前が言う外部の人間であるお前がっ!俺の街の事情に口を出すな!』
俺の手は振り払われた。
『それにこの街を守るだって?一番にここから出ようとしているお前がよくその言葉を発せられたな?』
襟を正すこいつの言葉に驚愕する。
秘密裏に行っていた教会の皆を他国へ移籍させる手筈.
現在は残り金策集めだけという所で、一番知られたくない奴にバレた。
どこだ、どこでバレた?根回しは完璧だった、少なくとも口の軽い輩とは一切の情報交換を交わしてない。
(もしかしてカマをかけて、、、いや、違う、この表情は間違いなく確信から来てる、、、っ。)
こうなればバレていることを前提として言葉を選ばなければならない。
今俺に重要なのは教会の全員が移籍するまでこの街を守ることのみ!
『そ、それでも、、、っ!この依頼は無謀だ!成功率はあり得ないほどに低いうえに失敗すればロドスも加わって挟み撃ちになる!』
『失敗の要因は?まさか、なにもないのに出来ないとは言わないよな?』
『ロドスの武力を甘く見てるのか?あそこは国を相手にしても不足ないんだ!
金策力は勿論のこと、あそこの警備力、統治力、技術力は一個人が相手していいものじゃない!
今までのマフィアやギャングとかの犯罪集団とはわけが違う!』
『つまり、力では敵わないと?』
『仮にだ、侵入出来ても向こうのネットワークセキュリティキーは最先端中の最先端!
知識の半端な俺じゃ突破なんて不可能だ!』
考えれば誰でもわかることを馬鹿でも理解できるように説明する。
これで改めてくれるはずだ、と無言で思案するこいつに期待したが、次に帰ってきた言葉でそれは裏切られた。
『なら問題ない、受けろ、その依頼。』
『なっ!?』
あからさまにおかしい、こいつはこんなに馬鹿じゃないはずだ。
大局を見るその観察力だけは俺より優れていたはずだ。
『、、、あんた、それを本気で言っているのか?』
怒りが満ちるのがわかる。何かの冗談だと信じたい俺は再度問いただす。
『本気だ。俺がくだらない嘘をつかないのはお前も知っているだろう?』
『ふざけるな!なんの!何の根拠があってそんなことを『お前なら!、、、お前が持つあの力を使うなら、、、バレずに侵入ぐらいはできるだろ、、、っ!』、、、。』
しかし、返ってきた地区長の表情が真実であることが告げる。
追い込まれていて取引を交わさざる負えなかったことも知らされる。
その証拠として、こいつは俺の逆鱗に触れてしまった。
『、、、確認するぞ?』
感情がクリアになった、信じられないくらいに現状が認識できる。
頼む、嘘であってくれと心が願う。
『お前あてにした力は、、、俺の中にある、兵器としての力のことで間違いないな、、、?』
だが、頷こうとしたのか、頭が下がり始めたのを瞬時に理解できてしまった.
こいつとの付き合いは長い。
お互いを性格までよく知るとまではいかないが、ビジネスとしては両者が持つ武力はある程度把握済みである。
それこそ、現場で仕事をする俺の力は、一方的と言えるほどに、こいつにはバレているのだ。
だからこそ俺は事前にこいつに伝えておいた。
俺が持つ『兵器の力』は当てにするな、と。
頼ったならば最後、契約を結んでいようとも……俺はこう告げた
殺す
『頼む。』
『、、、っ!?』
しかし、地区長が机に頭をつけたことで、潰そうと向かった俺の拳が止まる。
『もう、こうでもしないと、、、全滅するほかないんだ。』
突然に現れた、信頼した者の情けない無様な姿。
俺が対等と認めた男の、こんな形で見たくなかった姿。
俺はこいつが背負ったものを想像してしまい、歯を食いしばることでしかもう逆らうことは出来なかった。
『、、、。』
仕方ない、そう諦めて命を賭けるのは簡単だ。
その行為自体、今までの仕事と何一つ変わりはない。
しかし、今回ばかりは、命を賭したとして全てがうまく行く保証がない。
『、、、仮に、仮にだ。侵入出来たとしてその後はどうする?』
この言葉は引き受けたことを意味するものではない。
『俺にハッキングの能力はない。多少機械いじりは出来るがネットワークを破壊できるほど知識はないんだ。
俺の実力では依頼は達成できない。』
しかし、選択肢のない俺は1%でも成功率をあげるために情報を集める。
どうせ受けることに成るのだから、やるしかない。
地区長は俺の言葉を予測していたのか、そのぶっきらぼうな表情を変えず、俺の後ろを指差した。
『、、、なるほど。』
全ては織り込み済み。
後ろの扉から武装した男が三人と入ってきてそう理解した。
『、、、すまない。』
背中か聞こえる地区長の謝罪。
俺は全てを理解して、一つの深呼吸で感情を整える。
そして、すこしでも愛想良くするため、営業スマイルを顔に張り付けた。
『どうも、便利屋ヨルノと申します。ご依頼、お聞きいたしましょう。』
結局、またも俺は背負うことを選んでしまったのだった。
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