ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった 作:アークナイツと東方にドはまり
前略
お父さん、お母さん、元気ですか?
私は毎日を刺激的に生きています。
これはとある仕事での出来事なのですが、これが凄いんです。
朝には荷物のように段ボールのなかに入り、移動には爆弾とダクトを使わなければなりません。
笑えるでしょう?でもこれが事実なんです。
その上、通りがかった従業員には襲いかかられるんですよ?何か血の匂いがする~とか言われながら。
そして本来の業務を達成するために、断崖絶壁で窓から窓にジャンプして、終いにはナイフを女性に向けて振るうんです。
私じゃなかったら疲労と罪悪感で死んでますよねぇ~。
、、、え?貴方の体が心配?
アッハッハッハ、大丈夫ですよ~。
この心も体も新しいことに挑戦できるほど健康体ですよぉ~。
ん?新しいことって何かって?
紐なしバンジージャンプです♪
「ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイっ!!!」
重力に逆らわない自分の肉体。
肌に感じる風の圧力に俺の生存本能は最大音量の警報を上げていた。
「ちくしょうっ!」
俺は直ぐ様、伸縮性のマスクを脱ぎ、ナイフの柄と自分の手を縛り付ける。
「ガ嗚呼アアアアァァァァッ!!」
そしてナイフを全力で壁に突き立てた。
腕が取れそうなほどの振動が体全身に響き渡る。
緩急に脳みそが揺られるが、そんなこと気にしている暇もない。
取り敢えず今は耐え抜くことが最優先なのだ。
叫ぶことで痛みを緩和させる、
パキッ
「あっ、」
が、しかし突然、ナイフが真っ二つに折れた。
(っ!?さっきの戦闘で限界が来てたのかっ!?)
再度、体が重力に従い落下する。
足が空中を舞い、腕が空中を泳ぐ。
速くなる落下速度に恐怖することで現状を正しく認識した俺は、とっさにワイヤー銃を屋上に向かい発射した。
(この際コイツの強度は考えない!今は生存率を上げる!)
俺が使っているワイヤー銃は闇市で売られている非正規品。
ワイヤーの強度が高いから愛用しているが、コイツには大きな欠陥がある。
銃とワイヤーを繋ぐ部位の強度が弱いのだ。
「クッソォォォォォォォォっ!!!」
しかも、あくまでコイツは仕込み銃。
普通のより長く設定されてはいるが安全な落下距離を稼ぐには圧倒的に足りない。
(本当の本当にっ!俺ってこんなのばっかりだっ!)
だから俺はワイヤーに限界が来る直前、壁を蹴ることで振り子のように前に進んだ。
(頼むぞワイヤー銃!少しぐらいは耐えてくれっ!)
真っ逆さまに落ちるよりかは、転がるようにした方がまだ生きている確率は上がる。
俺は口で右手に巻かれたマスクを脱ぎ取り、今度はワイヤー銃を握る右手を覆った。
ワイヤー銃が壊れないことを祈って。
バキっ
(マジかよっ!?)
元々、狙っていたのは、どこかの窓を突き破り安全を確保する方法。
成功確率は低いが、出来れば命の安全は必ず確保できる。
しかし失敗すれば、、、そんな最悪が今、実現した。
ワイヤーと銃が分離したのだ。
流れる時間がスローモーションになる。
視界の中で粉々になる銃がまるで俺の行く末を描いてるかのように感じた。
(あ、俺、死ぬんだ、)
頭の中がクリアになる。
不純物はなくなり、現状の理解にスペックの全てが使用される。
無駄な程に五感が冴え渡ってしまったのだ。
お陰で、このままでは死んでしまうことを理解する。
運が良くても重症、死ななかったとしても動けずロドスに捕まるのがオチ。
つまり俺には生き残る術は残されてい「ないわけねぇだろっ!」
生存本能が勝手に体を動かした。
恐らく、ワイヤー銃のお陰で働いた斜めの合力を利用するつもりだろう。
俺の足はその力を使うためにも壁を地面に見立てて走り始めた。
「うォォォォォりゃァァァァァあああアアア!!!」
全力も全力、体力の消費なんて考えない。
生き残るためにはなんでもする。
関節が痛くなろうとも足を止めず、ゲシュタルト崩壊を起こしたとしても根性で足を回す。
「やるしかねぇよなぁっ!!!」
間近に迫ってくる地面。
俺は地面と平行に飛ぶように壁を蹴り飛ばした。
しかし、このままでは大怪我は免れない。
どんなに斜めに動いて重力の力を分散させたとしても、流石に体が耐えられない。
だから俺は左手を振り上げた。
「くたばれぇ!」
地面を力一杯、殴り付ける。
俺が生き残るために出した答えは、重力の力を弱めるために出した答えは筋力の全てを使うことだった。
殴った力と重力、そして走り続けた結果から生まれた威力に、俺は後方へと転がり回る。
身体中から地面へ叩きつけられた衝撃が走る。
ようやく体が止まったのは、ズサァーとそんな擬音が似合うほどに転げ回った後の事だった。
笑いたくなるほどに最悪な状況。
吐きたくなるほどに痛む体。
泣きたくなるほどに渦巻く後悔。
それ以上に感じる生き残れた現実。
「ハハッ、漫画も侮れないね、、、。」
娯楽で読んだ漫画の主人公のやっていた行動を真似したお陰で生き残れた俺はついに気を失った。
ーーーーーー
「アハハ、兄ちゃん!兄ちゃん!遊ぼうぜ!」
それは少し寂れた教会の中だった。
一人の押さない少年が自分の腕を引く。
「あれ?外に行くの?気をつけていってらっしゃい。」
廊下で会うのは箒を持ったシスター。
彼女は慈愛に満ちた表情で笑いかけてくる。
「もうお兄ちゃん遅い!みんな集まってるよ!」
外で向かえてくれたのはポニーテールを揺らす少女。
少年に合わせて少女は俺を導くように手を引いてくれる。
「お兄ちゃん、休んでる時にごめんね。皆がどうしてもって聞かなくて。」
朗らかに笑いながら迎えてくれるのは本を持った銀髪の少女。
少女はその優しさで俺の居場所を照らしてくれる。
「お兄ちゃん!今日なにしようか!鬼ごっこ?かくれんぼ?それとも隠れ鬼かな!」
抱きついてくるのはおかっぱ頭の可愛らしい少年。
彼は誰よりも美しく笑い、誰よりも目を輝かせ、映す視界を彩らせてくれる。
「、、、ッ!」
見上げた世界に居たのは、ちゃんと今を生きる子供たち。
こんな自分を信頼してくれる少年たち。
こんな自分を信用してくれる少女たち。
そして活気溢れるこの世界。
「「「お兄ちゃん!!!」」」
気づけば俺は、子供のように泣きじゃくっていた。
ーーーーーー
バシャッ!
顔に感じるのは液体に濡れる感触。
その冷たさは氷のようで、微睡んだ意識を少しだけ覚ましてくれた。
「、ん、、、んん?」
「、、、起きたか。」
目を開けると第一に見えたのは、スレンダーな生足と女性特有の大きい胸。
そして、胸から覗かせるアスラン族特有のライオンのような耳。
(この人は確か、、、リストにいた、、、シージって人だったっけ、、、)
頭を打ったのか、記憶が朧気だ。
思考がぼやけて正常な判断ができない。
「、、、気絶して、、、何分ぐらい経ちましたか?」
「2分ぐらいだ。」
目が覚めたと言うことは取り敢えず無事だったということだろうか?
確かめようと体を動かそうとすると鈍い痛みが走る。
痛みで顔を歪ませると、ライオンの女性が口を開いた。
「高いところから落ちた割には大丈夫そうだな。」
「、、、これのどこをどう見たらそんな言葉が、、、というか見てたんですか?」
「あぁ、窓から飛び出るところからな。」
この痛みのせいか、色々と鬱憤でも貯まっていたせいか、少しだけ彼女の言い方にイラッとする。
「、、、助けてくれてもいいじゃないですか。」
「無理な相談だ、あの高さでは私も下敷きになりかねない。その上、お前を助ける義理がない。」
(、、、それもそうだな。)
しかし、彼女の言い分も全うなもので反論の余地はない。
そしてこの現状も自分の愚かさが産み出したもの。
省みるは己の未熟さだろう。
「、、、身体を起こすぐらいは手伝って貰うのも駄目ですか?」
だが、それなりにムカついているので、意趣返しとは言えずとも右手を前に差し出して面倒事を押し付けた。
「、、、いいだろう。」
グイッと持ち上げられる上半身。
身体を起こそうと肩を上げると、左肩に強い痛みが走った。
「いだっッ、」
「大丈夫か?、、、左肩をやっているな。」
視線を向けると少し歪んだ左肩が映る。
(なるほど、代償は左肩の脱臼か。)
「運が、、、良かったんだろうな~。」
本来なら成功しても左腕は使い物にならないような事態。
これは幸運の賜物だと、俺は納得することにした。
「あまり触らない方がいい、悪化するぞ。」
自力で骨を戻せないか左肩をさわろうとすると、その動きを言葉で静止させられる。
「これでも何回も脱臼程度は直したことがあるんですが。」
「しかし、専門家ではないのだろう?より安全に直すためには適した場所で見て貰った方がいい。」
「そう、、、ですね、じゃあ、そうするとしますか。」
この場を去るためにも立ち上がろうとする。
「医療班には連絡をしておいた。後10分ぐらいで来るだろうから今は休むといい。」
「、、、っ!?」
片足を上げたと同時に告げられる最悪の報告。
(駄目だ、ここで動揺するな!悟られるぞ!)
このままでは捕まるのが確実となった今、この場を逃げ出す手段を超高速で考え出す。
動揺を見せないよう心のなかで深呼吸し、慌てて逃げ去ろうとする体を意思の力で押さえつけた。
「、、、ありがとうございます。ですが、これぐらいの軽症、ドクターと上司への報告を優先します。」
「治療を優先しない上官なんていないと思うが?」
「ご心配ありがとうございます。しかし貴方は知らないでしょう?自分の上司がどれだけ怖いか。」
一応それらしい身震いの真似をして現実味を出す。
仕事の失敗で依頼主に殺されかけた経験があるけど反映していないよ、ホントだよ?
「それにこれは自分の業務ですので、それではさようなら。」
とんずらをこくのはこそ泥の必権。
俺は命のためには恥も尊厳もかなぐり捨てて、その場から逃げ出した。
ーーーーーー
「、、、。」
私は走り去って行く男の背中を眺め続ける。
見た感じは大丈夫そうだが、恐らく体は全身打撲に加えて、脱臼や内出血も起こしているだろう。
「、、、不思議な男だ、」
普通なら動けないほどの痛みのはずだが、どういうわけか男は軽症の類いで済んでいる。
肉体強度ゆえか、それとも訓練で手にした技術故か、特殊なアーツ故か、
男が離れていった今、それを確かめる術はないだろう。
忘れた方が賢明だと考えたその時、突然、そんなものを描き消すかのように携帯機器が鳴り始めた。
『緊急連絡失礼します!シージさん!至急武装してドクターのもとに向かってください!』
機械の向こうから響いてきたのは私の所属する組織の代表、アーミヤの焦ったような声。
「何かあったのか?」
『侵入者です!クロージャさんが襲撃されたました!』
「クロージャの容態は?」
『幸いなことに二アールさんが側にいたお陰で傷はありません!ですがこの時期の襲撃、レユニオンが関係していると思われます!』
事態は急を要する様子。
『現在、ドクターの指示のもと緊急チームを編成しております!シージさんは早急にドクターの元へと集まってください!』
「了解した、尽力をつくそう。」
走って自室へと向かう途中、私は先程の男のことが引っ掛かった。
「アーミヤ、少しいいか?侵入者の特徴を教えてほしいのだが。」
『勿論です!二アールさんの情報によると清掃員の格好をしており、背丈は175の20代の男とのことです!
素顔についてはマスクをしていたこともあり情報はなく髪は「黒髪か?」は、はいそうです!』
なるほど、つまりあの男が、、、侵入者か。
私は携帯をしまい、直ぐに武器を握りしめる。
これは少しばかり急がなければならなそうだ。
評価 感想 お願いいたします