ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった 作:アークナイツと東方にドはまり
ロドスアイランドは基本的にその構造が複雑だ。
移動都市ゆえに国土の1センチすら利用しようと計算された重層構造に、住民が便利に過ごせるよう仕組まれた住宅地を中心に枝分かれした裏道の数々。
初見では迷子になるのは必須のことであった。
とはいえ、道がある以上、進めばどこかは行けて、方角がある以上、目的地へとたどり着くことは必ず出来る。
加えて、俺は無法地帯となった天災の跡地出身。
裏道のような細く枝分かれした道は慣れっこだ。
その上、地図はなくてもロドス出口の場所は分かってる。
だから、迷ってないはずだった。
「あれ?ここの左、道ないんだ。」
なのに、、、
「あれ?ここも?」
なのに、、、
「、、、。」
なのに、、、!
「高い塀、、、右に行くしかないか、、、」
なのに、、、!!
「、、、っ!」
なのに、、、!!!
「あからさまにおかしいだろ!」
お前始めての都市だろ?といわれるかもしれないが、俺にも言い分がある。
俺が道を決めるとき予め確認するのが、建物と影だ。
基本人が建てたものには、場所であったり時間帯であったり、色々と理由がある。
それはその場の環境を見れば大体情報が落ちてるものだ。
故に道筋が分かる。確かに予想でしかないが、今まで仕事で出張に行った都市の殆どが、それで間違いなかった。
だからここまで、全ての予想が外れるのはおかしいのだ。
「なんで!なんでどこもかしこも!壁があるんだよっ!?」
土地感覚が狂いそうだ。
それどころか、このままでなにも出来なかったことに腹が立つ。
「越えようにも高すぎるし、一番上には有刺鉄線!挙げ句の果てには意味の分からない建物まで!なんだこの都市はっ!」
日も落ち始め、誰もいない路地で俺の叫びが響く。
(道聞こうにも誰もいないしよぉ!)
路地にあるのはゴミ箱ぐらい。
本道に戻ろうにも歩いて一時間の距離の場所。
最初に人目を避けて行動したのが間違いだった。
「ホームレスとかいないのかよ、、、。」
道のまま来て約一時間、恐らくここはロドスの出口から約20km地点。
飯も休む場所もないため歩き続けるしかないが、流石に疲労がヤバイ。
「、、、仕方ない、休憩しよう。」
金属の壁を背に腰を下ろす。
(しかし、この時間帯で、なんで誰もいないんだ?)
時間帯で言えば、今は日が落ち始め。
住宅地に遠くはなっているものの、夕飯時なのに人がいないのは少しおかしい。
(だけどまぁ、こんな変な道だもんな、それに多分ここ付近に飲食店はないだろうし、しょうがないね。)
だが現状の環境がその理由を説明する。
これには納得する他あるまいて。
(休んでる場合じゃないんだよなぁ~、、、多分追手も来てるだろうし。)
休憩時間は約5分。
足を休めるには不十分だが、呼吸は整えられる。
とりあえず今は今後の対策案を考えることに、、、
(、、、ん?あれ?今一瞬壁にヒビが、、、)
嫌な予感が働いた、
(、、、っ!)
思考がこの異常を分析しようと、変な考えが浮かぶ。
俺は急いで休憩を止め、俺の道を阻む壁のもとへと向かった。
「、、、っ!?」
結論から言おう。
自分の予想が間違っていなかった。
壁は殴っただけでボロボロに崩れる偽物、金属に似せた岩壁っ!
となれば、これは追手が俺を出口に遠ざけるための策っ!
俺は遠回りでも出口へ道なりに走ることにした。
「くそっ!早すぎるだろ!」
姿はない。だが、俺の行く先々に偽壁が用意されている時点で先手は取られている!
恐らく俺の位置も確認済みだろう。
「武器もないのにっ、あぁ~もう、俺ってこんなのばっかりだぁ!」
またも俺はこんな依頼を受けたことを後悔した。
ーーーーーーーーーーーー
『ドクター、聞こえてる?対象、走り出したよ。』
とある暗がりの屋上、マスクとフードを被った男が通信機片手に地上を眺めていた。
「気づかれたのか?」
『分かんない、けど壁を壊してたよ。』
「、、、勘が鋭いな。」
『どうする?捕まえる?』
「いや、そのまま追っていてくれ、レッド。」
ドローンの荒いモニターに映るのは後方を何度も確認する一人の男。
気づいているのだろうが、その男のまわりには何人もの刺客が放たれていた。
『こちらマドロック、バレたのなら壁を作るのを止めるか?』
「いや、進行の邪魔にはなるはずだ、出来る限りでいい、作り続けてくれ。」
『ドクター、じゃあルートは予定どおりでいいの?』
「あぁ、アンジェリーナ、そのままバレずにマドロックを最終防衛地点まで運んでくれ。」
ドクターと呼ばれた男は、走り逃げる男を捕らえるためか仲間に細かく指示を出す。
「メイヤー、そろそろミーボの出番だ、分かりやすく対象を追ってくれ。見えるが追い付かない程度の距離を保ち続けてくれたらいい。」
「okドクター!行け!ミーボ達!」
屋上から何体もの犬型ロボットが放たれた。
「シー、想定以上に対象の移動が早い。小自在で動きを止めてくれ。」
「、、、わかったわ。」
そして、男の行く先に放たれる龍に似た鋭い爪を持つ存在。
男の動きは全員の予想では止まるものだと思われた。
「す、凄いっ!あの人、どんな障壁をものともしていませんっ!?」
「、、、あの正確な動き、特殊なアーツかなにか、、、アーミヤ、どう思う?」
「アーツを使用してる感じはありませんが、、、シージさんの報告では左肩は外れているはずです。もしアーツを使用していないなら相当の実力の持ち主だと思います。」
しかし男は小自在を攻撃し、作ったスキで飛び越え、攻撃されても全て避けきっていた。
その動きは男の実力を表し、兎耳を生やした少女を感嘆させる。
ドクターと呼ばれた男はニヤリと笑い、通信機器を再度耳に当てる。
「ブレイズ、対象がポイントαに到達したら強襲をかけるんだ。」
『了解!生きたまま確保を優先するでいいんだよね?』
「私たちの狙いは無傷での目的達成。捕らえられなくても削げれたらそれでいいさ。」
通信機の先は行く先の高層ビルで男を待ち構えるチェーンソーを持った女。
その上、さらにその先には、、、
「ホシグマ、私の予想では恐らく対象はそれでもそっちまでたどり着く。」
『それは凄いですね、ドクターの用意した罠が全く通じないとは。』
「耳が痛いな、だが正直、想像以上の敵だったのも事実。ここからは消耗戦、だからこそホシグマ、悪いが君には対象の心を挫く一ピースになってもらう。」
『なんなりと、ドクター。』
1本の角を生やした緑髪の重装兵。
彼女の手には四方が鋭い刃となった般若の顔が印された盾。
そして、、、
「ただそれでも対象は諦めないはずだ。だから最後のピースとして、シージ。」
『、、、了解した。』
影に紛れ腰を下ろすのは、ハンマー持った一人の百獣の王。
「さぁ、場面は整えた、、、最終局面を始めよう。」
ドクターは密かに身を震わせる。
彼らにとって手に入れるべきは身柄か情報か、はたまたその全てか。
男を取り巻く環境は、ドクターの手によって今、完成した。
ーーーーーーーーーーーー
「チクショオっ!」
それは心からの叫びだった。
裏道を駆け抜ける足が我武者羅に動き続ける。
「やっぱりバレてたよ!ってことはもう俺の行動は把握済みだよなっ!」
誰に言うわけではない、しかし犬みたいなやつが追いかけ始めた辺りからイラつきが止まらないのだ。
(泳がされてるわけだ、この今も!)
この現状をみたら誰もが分かるだろう。
今の俺に逃げられる余地はない。
入念に用意された土壁、追いかけてくる犬、そして後方で一定の距離を保ち続けている狼女。
全てがブラフか真実か、
ようは情報、人員、知略、地略、戦略、武力、全てにおいて俺が不利。
「いい度胸だ!ここまで来たらやるだけ全部やってやる!」
追い討ちとばかりに見えてくるのは、見たことのない化け物。
その手には鋭い爪があり、喰らったら大怪我は間違いないだろう。
「遅い!その程度で止められるかっ!」
しかし、どこが攻撃してくるか分かるなら、関節がその生物にあるのなら、観察次第でどのように避ければ良いか分かる。
予想通り、化け物は攻撃速度は多少なりとも早いが、大振りで腕を振り回すだけ。
手首辺りに素早く右手で一撃、
振りかぶって来る左肩を右足で蹴り止める。
そして最後に左足で脳天直撃。
その威力で化け物を越え、再度走り出す。
倒す必要はない。今は逃げることに重点をおくべきだ。
「はっ、止められないからって三体に増やすだけか!」
恐らく近くにこの化け物を出す術師がいるのだろう。
視界に突如現れるのは先程と同様の化け物三体。
化け物は浮くことも出来るらしく、頭上を越えられたからと斜め上に礼儀正しく並んでいた。
「芸がないんだよ!出直してこい!」
それならと俺は化け物より早い速度でジャンプする。
負けじと腕を振るってくるが体を捻り避け、踏みつけることで動きを阻止、
横にいる二体も止めるべく振るってくるが、俺は爪の先が縦に重なる一瞬で掴みとり、引きちぎることでその場を抜け出る。
その後も何回も化け物と対峙するが結果は同じ。
俺にとってロドスの罠である化け物は何一つ通用しないことは証明された。
俺の生き残る確率は上昇したのだ。
「、、、っ!?」
だが、左角を曲がろうとする直前、上から一人のチェーンソーを持った女が舞い降りてきた。
「この先は行かせないよ!」
振るってくるチェーンソーに当たれば即死だが、生憎とチェーンソーの重りのせいで動きが遅い。
「だったらもっと訓練してこいってんだ、遅いぃっ!?」
バック回転で避けての足蹴り。
入ると確信した攻撃は、チェーンソー女は軽々と受け止められた。
(ヤバイっ!?体真っ二つは御免だ!)
掴まれた左足はこのままでは動かせないのに、彼女はチェーンソーを片手で動かせる模様。
攻撃されないためには腕を封じる他ない!
俺は右足でチェーンソーを持つ手を蹴り、動かせなくした。
だがこのままの姿勢では、体は地面へ落ち、チェーンソー女の攻撃を抑えることは維持できなくなる。
そんな一見不利な状況。
「寝てろっ!」
しかし考えてみてほしい。
俺は一瞬と言えど両手を使えて、相手は使えないのだ。
これは逆に言えば好機、俺は顎に拳を掠めるべく、顔面に向けて拳を振るう。
「、、、驚いた、君、結構動けるね。」
なのに拳が掠めるのは空のみ。
チェーンソー女はバックステップで避け、あろうことか、チェーンソーを足目掛けて振るってきたのだ。
(危ないっ!?)
地面に手をつけることで逃れたが、右太ももに少しかすってしまう。
動けなくなるほどではないが、激しく動けば悪化するのは間違いないだろう。
「治療したら?」
チェーンソー女が笑って見せる。
「、、、問題ないです、悪化する前に、逃げるので!」
俺はまた距離を詰め、今度は姿勢低く腹を目掛けて殴ろうとする。
しかし、今度は合わせて俺に拳より早く振るわれるチェーンソー、
「あんたも芸が、、、っ!」
俺は体を殴ることからチェーンソーを叩き落とす作戦に移行する、
が、その瞬間、視界の中で微かに女がニヤリと笑う姿が映った。
嫌な勘が働き、足がその場で後方へと飛び蹴る。
「あっづッ!?」
チェーンソーは確実に避けたというのに、焼ける服と真っ赤になる肌。
(そうかっ!この人のアーツは熱系っ!)
あのままチェーンソーを壊そうとすれば俺の手は焼き切れて、後退が一歩遅ければ足が焼き切れる大惨事になっていた。
普通ならここで一旦、さらに距離を取る。
情報の欠如等で不利なのと、体勢の建て直しや作戦の考案などで利点が一杯あるからだ。
だが生憎と、俺には余計な考えを巡らす時間すら惜しい。
(なら都合がいい!)
俺はすぐに女の元へと駆け出した。
女は表情を驚愕で染め、チェーンソーを戻すように振るう。
真っ正面から殴りに来た敵には正しい対処法だ。
正しいが故に、その行動は簡単に読める。
「、、、っ!」
まだ女のもとまで到達していない俺は女の顔面目掛けて、後退の時に拾った掌サイズの石を投げた。
体勢が石を避けたことで少し変化する。
左下から右上へと上がってきたチェーンソー。
胸前で止まり繰り出されるは突き。
「っ!?」
俺は後一歩のところで、地面の石を蹴り上げ、顔面へシュートした。
左目を狙ったことで、遮られる視界の左半分。
だから俺は視界が遮られている方向の壁へ飛び、その壁を足場にしてチェーンソー女へとライダーキックを繰り出した。
(今度の今度は対応出来んだろっ!)
速度が勝っているお陰で掴める先手。
左足はチェーンソー女の肩へと届き、空いた右かかとでチェーンソーの側面を蹴り飛ばす。
熱の余波を利用し傷も焼き塞ぎ、痛みはあるものの左肩以外肉体はまともな状態へと戻った。
「はっ!小手先が通じるなんて、ロドスも大したことはないですね。」
作戦が上手く行ったことで調子に乗り、そのせいか口から自然と悪態が出る。
尻餅をついていたチェーンソー女はそれを聞いてか、ゆっくりと立ち上がり、まるで次は格闘戦ですよとでも言うかの如く体の調子を確認し始めた。
「ハハハ、一応、これでも私はロドスのエリートオペレーターを担っててさ、流石にやられっぱなしは不味いんだよね。」
嫌な予感が大音量で働きはじめる。
本能が逃げた方がいいと告げた、となれば、三十六計逃げるに如かず。
「おさらばっ!」
「逃がさないっ!」
今度はチェーンソー女と殴り合い有りの競争劇が幕を上げた。
チェーンソー女の剣幕が凄い。
と言うか、猛攻撃過ぎると言ってもいい。
両手で繰り出されるのは、殴りと突きと掴みの三段階。
基本的に当たったら最後、抵抗する術もなく負けてしまうもので、俺はそれを左肩が使えない状態でしのがなければならなかった。
「ちょっと!こっちは左肩外れてんのに!」
「ロドスは大したことないんでしょ!」
「根に持ってるっ!?」
攻防早数秒、速度は加速し、さばくのにもキツくなってきた、
これは一か八か賭けに出るしかない。
どんどん狭くなっていく通路。
どんどん攻撃と同時に早くなる移動速度。
俺に当たらないせいか、どんどん上がっていくパワー。
右拳が顔面目掛けて向かってきた。
(ここっ!)
その拳に躊躇はない、その力強さが示す通り、恐らくどんなことが起きようと力で捩じ伏せることが決まっている。
避けなければならない。小手先に頼る俺なら一番喰らってはいけない技だ。
「、、、っ!」
だからこそ、俺は壁を足場にその拳へ、飛び込んだ。
「チクショウっ!」
その拳が脱臼した左肩へ当たるように。
ゴキンっ
走る激痛に涙を流しながら耐え、肘を曲げることで女の右手を弾く。
そして右拳を左腕に向けて殴ろうとすると、チェーンソー女は自己防衛か使える右手で俺を殴ろうとした。
それこそ俺の狙っていたこと。
俺は予定調和のように、左腕に向かっていた自分の右手を殴りかかってくる右腕へと向ける。
「いい加減にっ!」
これで、女に残された攻撃手段は足以外消え失せた。
それに加えて、俺は女に勝利を疑わない目を見せる。
戦闘において人は、基本的に相手の表情を読む。
戦闘慣れしてる人ほどその傾向が強い。
恐らく、戦闘における感情はどんな物事よりも表情に出やすいからだろう。
だからこそ、それを利用すれば、相手の行動は大方制御できるのだ。
つまり俺は、チェーンソー女にとって一番有効な攻撃手段である足蹴りを誘うことが出来た。
「ぐっ、」
右膝蹴りが脇腹へと入るが、同時にチェーンソー女は右足以外不自由と化す。
「しろやっ!」
俺はその右足を蹴り払い、女の右腕を掴むことで、後方へと渾身の力で投げ飛ばした。
これで、俺とチェーンソー女に距離が出来る。
俺はすぐさま出口に向けて走り出した。
追ってこないと言う確信はない。
が、しかしスピードで言えば俺の方が早いか、少しでも距離が空けば追い付かれない自信がある。
「ハハッ、俺の、、、勝ちだっ!」
捨て台詞のようにダサい言葉を吐くが、先の戦闘で結構時間と体力が喰われた。
体は休まないとロドス出口まで絶対持ちはしないだろう。
しかも、、、、
(、、、っ、痛い?、、、うわ、マジかよ、あの女。)
投げる途中に女から、もう片方の横腹を攻撃されたことを、遅く響く鈍痛で理解した。
走る度に息苦しくなり、痛みが走り、足取りが重くなる。
(くそっ、滅茶苦茶休みたい、、、。)
しかし、止まってはいけないと本能が足を進ませる。
休んでは今までの努力が水の泡となると分かっているのだ。
「あぁ、もう!そんなこと言ったって!走るしかないだろっ!馬鹿やろう!」
追ってくる機械犬を蹴り飛ばし、立ち塞がる化け物を殴り倒す。
「消えろ!」「邪魔だ!」「死ねっ!」
暴言を吐きながらも続く攻防。
腹が痛くても、足を止めず、肩が痛んでも、手を止めず、それが約5分間、チェーンソー女と分かれてから道が続くほどに続いていた。
続いていたはずだった。
裏路地へと入り、約2時間後。
「、、、?」
あからさまにそれがぱったりと止む。
嵐の前の静けさと言ったらいいのだろうか、前にしか進む道はないと言うのに、前に進めば最悪が待ち構えてる予感がする。
角を抜け、角を抜け、角を抜け、漸くたどり着いた一つのY路地。
「、、、またかよ。」
進行方向に立ち塞がっていたのは一人の鬼。
盾を持つことから重装兵なのだろうが、見るからにフル装備。
「やっと来ましたね、お待ちしておりました。」
(この人相手に抜けられるかな~、、、。)
億劫になる心象とは逆に、鬼は自信満々に口を開いた。
「投降をお勧めします、ここを越えるならば、、、全力でお相手いたしましょう。」
鬼が出す圧に俺は実力を知る。
こいつは駄目だ、意識がもう一つの右の道へと抜けようと視線を向けたが、、、。
「ここは、、、通さない。」
全身真っ白なフル装備をしたハンマーを持つ重装兵が降ってきた。
余りに奇想天外な登場の仕方。
(こいつも不味いっ、今の俺じゃあまず勝てないっ!)
色々混乱している俺は目の前の二人との戦闘における勝率を0%と判定する。
慌てて踵を返す、が、、、、
「うげっ!?」
後ろにいたのは大量の化け物と機械犬。そしてリストに乗っていたロドスの指揮官"ドクター"と代表である"アーミヤ"、そして先ほどまで戦っていたチェーンソー女。
これで四方の全ては塞がれた。
(、、、あぁ、そうか、、、。)
まるで予定調和かのように囲まれた事実。
まるでここに来ることを想定したかのように配置された人員。
まるで完全完璧完勝を狙ったかのように用意された武具の数々。
俺はそこで漸く、この現状が敵により用意されものだと言うことに気づいた。
「ハハッ、アハハっ、アーッハッハッハッハッハッ!」
あからさまな任務失敗。
今まで、何度も失敗を重ねたことはあるが、こんなにも呆気なくも敗北することは経験したことがなかった。
故に笑えてくる。この理不尽さに笑みが溢れる。
「なるほど、最初から俺に勝機はなかったわけね。」
これはこれで色々と諦めがつく。
しかし、それでも意地がある俺にとっては苦笑を漏らさずにはいられない。
「そういうことだ、」
それに答えるかのように、y路地にそびえる建物の影から出て来たのは、見知った顔のライオン女。
「マジかよ、、、。」
口に加えるのは煙草か飴か。
その様子に圧倒的な余裕を見せられ、もう開き直るしかないのだと自覚させられた。
「お前は初めから手の平の上だったんだ。」
ライオン女の言い分は正しく、諦めがつくほどに非常にムカつく。
俺は皮肉っぽく笑って尋ねる。
「もしかしてあの時から気づいたんですか?」
ライオン女は何気もなく、まるでそれが当たり前だと言うかのように言い切った。
「いいや、私が気づいたのはあの後だ。だがドクターはその前からお前に気づいていたらしいぞ。」
俺は苦笑をこらえるかのように上を向く。
(なるほど、情報は漏れていたわけね、、、多分白銀の狼女にあったときだよな。)
恐怖か武者震いか、足が震え始める。
「戦えばよかった、なんて今更か。」
ガンガンガン、足を殴り、震えを止める。
今から命を賭けて、この人達に勝たなければならない。
「仕事じゃなかったら諦めてるんだけどなぁ。」
「ん?もしかして、私とやる気か?」
ライオン女は戦闘態勢を取った俺に呆れを示した、
「これでも仕事には忠実でいたいんです、」
自分でも馬鹿だと思う。
変な嘘までついて、命を危機にさらすなんて、愚の骨頂だ。
でも、なんとなくだけど、大丈夫だと思ってしまうのだ。
この人達相手には最後まで我儘を貫いて良いと思ってしまったのだ。
「、、、嘘が下手くそだな。」
ライオン女は手に持つハンマーを構え直す。
諦めがついたのか、苦笑が限界に来たのか、無意識に自分を嘲笑うように頬が上へと上がる、
「あぁ、ホント、、、俺ってこんなのばっかりだ、」
俺は後は同にでもなれと言う精神で敵の中へと挑み、、、そして呆気なくも、ハンマーに殴られ、気を失った。
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