ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった   作:アークナイツと東方にドはまり

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やばい、キャラが安定しない


脅迫と交渉

「あぁ、これは、、、夢だ。」

 

それはまるで薄暗い深海の中。

身体は動かず、意識は朦朧とするなか、やけにクリアになっていた視界が、これは現実ではないと認識させていた。

加えて目の前には虚影が現れる。

 

『あな、たは、、、強い、子、、、』

 

影像のように映るのは、赤ん坊の頬へと手を伸ばす一人の女性。

手は血にまみれ、その目には慈愛を満たしている。

 

『どうか、、、幸せに、、、』

 

しかし、糸が断ち切れるように突如として息を引き取る。

耳には緊急事態を知らせるアラームが鳴り響いた。

 

「なんだ、、、これ、」

 

この光景になんの意味があるのか、この時間にどんな効果があるのか、

目的もはっきりしないまま虚影を見せられ不快感に満たされる。

それなのに、そんな虚影は瞬きをすれば泡のように消え、光が指すようにまた次の虚影が映し出された。

『な、なんと言うことだっ、、、これは、い、異常事態だぞ。』

 

ガラスの向こうで佇む白衣を着た数人の大人達。

彼らが除くのは椅子に縛り付けられた一人の少年。

 

『全てのデータが異常値を示している、、、これは一から見直す必要があるっ、』

 

楽しそうに頬を歪ませる大人達とは対照的に、少年は涎を垂らしながらも必死に呼吸をする。

 

『凄いぞ!ナンバー7!こんなのは始めてだ!』

 

項垂れるその姿は子供がして良いものではなかったが、スピーカーから聞こえる大人達の声に少年は嬉しそうに微笑んだ。

 

『凄、い、、、?凄い、んだ、、、よかっ、た。』

 

それはまるで親に褒められた子供のよう。

 

『あぁ、だから、、、、まだ耐えてくれ。』

『嗚呼ア"ア"ああァァァァァァぁぁぁっ!!!』

 

無慈悲にも、大人達が押した赤いボタンで子供の身体に強烈な電流が走り続けた。

 

「っ!」

 

見てるだけで心が締め付けられるこの虚影に、俺は思わず目を剃らす。

それの代わりとでも言うか、目を剃らした先で一つの虚影が映し出された。

 

『ナンバー7!走りなさい!お願いだから、ちゃんと走りなさい!』

 

いくつかの死体が転がる廊下。

そこを一人の女性が少年の手を引き走る。

 

その廊下には銃撃音が響き渡っていた。

 

『皆、皆がっ、、、僕を庇って、、、っ』

『分かってる!それもちゃんと分かってるから、、、今は足を止めないでっ!』

 

白衣を着たその女性は時折、自分達が来た後方へと銃を撃つ。

その姿はまるで誰かを足止めするかのようで、そのはずなのに、憎悪を持った視線は少年へと向いていた。

 

それでも彼女は連れ逃げるかのように少年の手を引き続ける。

 

そして彼らがたどり着いたのは、暗号でしか開かない一つの金属扉。

 

『いい、よく聞いて!この扉を開けたら真っ直ぐ走り続けなさい!息が切れても進み続けなさい!』

 

彼女は少年の肩を掴み、記憶に焼き付けるためか力強く説得する。

 

『そうすれば貴方は助かる!貴方だけなら絶対に助かるから!』

 

しかし少年には少年の想いがあったらしい。

 

『や、ヤだよ!皆を助けないとっ!もう僕一人なんていやっ!?』

 

だがそれも力差がなかったら通用した話。

女性は少年の我儘をビンタ一つで黙らせ、目尻に涙を浮かべた瞬間に抱き寄せる。

 

『ごめんなさい。結局、貴方達を私たちの我儘に付き合わせてしまった。』

『いや、、、嫌だ、、、』

 

少年は言葉の真意を理解しているのか、いないのか、ただ、涙を流しながら女性の言葉を聞き入れる。

 

『その上、まだわたしの贖罪に貴方を付き合わせている。本当に、、、ごめんなさいっ、』

 

女性の操作で金属扉が開かれた。

少年は初めて見る外に一瞬、気を取られて覚悟も出来ていないのに突き飛ばされる。

 

それはどんな見方でま、どんな理由でも、少年にとっては最悪なこと。

 

閉じた扉を少年は何度も叩く。

 

『やだ、嫌だ!嫌だよ!』

『貴方は生きなさい。わたしも含めて、皆が貴方に生きてほしいって、願ったんだから。』

『い、嫌だっ!開けて!ここを開けてっ!『言うことを聞きなさい!』、、、っ!』

 

しかし扉は開かない。頑固として開こうとしない。

 

『走れ!生きるためにっ!走りなさい!』

 

扉の向こうから聞こえるのは銃撃音。

少年は涙を流しながらも、その背中を森の奥へと隠していった。

 

「止めろ、止めてくれ。」

 

その姿を見た俺はその虚影から目を剃らしたくなる。

しかし涙を流すほどに願っても動かない身体。

俺の心を知ってか知らずか、周囲を纏うどす黒い靄が追い討ちとばかりに次の虚影を写した。

 

『駄目だ、これは駄目だ。』

 

それはとあるスラム街、

銃や刀を装備した少年は下に転がる死体を眺め、一言、呟いた。

 

『こんなの、、、こんなのはっ、、、』

 

その嘆きは一種の懺悔によるものか、少年の目には光が灯ってはいなかった。

 

『こ、このっ、、、化け物、がっ!』

 

少年の足を掴むのは、もう武器を持つ力すら湧かない死に際の兵士。

少年は無意識に銃を脳天にぶちこみ、首を慣れた手際で斬り離した。

 

『ぼ、僕はっ、今、、、何をっ、、、』

 

血糊のついた刀が少年に現実を教え込む。

飛び散った血痕が少年を己の所業を叩き込む。

 

『だ、駄目っ、溢れるっ、、、溢れてしまうっ!』

 

少年が頭を抱えると同時に、少年の頭に銃弾が掠めた。

少年の動きは止まる。

 

『、、、お前らか、、、』

 

少年の視界の先にいたのは、何人かの進行中の兵士。

少年に恐怖の色はない、少年にあるのはただ純粋な怒りのみ。

 

『お前らがいるからっ、』

 

少年は武器を持ち直す。

 

『許さない、』

 

肩に銃弾が通る。

 

『許さない、許さない、許さないっ!』

 

足に銃弾が通る。

 

『殺す、殺してやるっ、』

 

しかし、そんな事実を消すように消えていく傷痕。

少年は目を赤く光らし、理不尽を吠えるように叫んだ

 

『全員っ、ぶっ殺してやるっ!』

 

始まるのは戦場では余りに珍しい、多を一が蹂躙する光景。

 

「頼むっ、もう、、、止めてくれっ、」

 

あまりの悲惨さに俺はその場で頭を抱えた。

だが耳に響く、血肉が刻まれる音と人の断末魔。

 

耐えられなくなった俺に、虚影を包む黒い靄が手を伸ばしてきた。

 

身体を伝って口の中へと入ってくる黒い靄。

 

まるで死んでくれとでも言うかのように俺の呼吸は封じられた。

俺は溺れるようにもがき苦しむ。

 

「、、、っ!?、、、っ!!」

 

全ての虚影が俺のその姿を見て嘲笑う。

 

(誰かっ、、、助けて、、、っ!)

 

夢の中で俺は意識を失った。

 

 

これは捕らえられて毎回思うことなのだが、目覚めと言うのは意外とすんなりと来るらしい。

 

不快感の強い悪夢による覚醒に、俺は気づけば自分が寝ていたことを自覚した。

 

(ここは何処だ、、、)

 

姿勢的に恐らく椅子に座らされている。

手足が動かないことから縛られているのは確実だろう。

 

と言うことは捕まったのか、、、?

 

「やぁ、おはよう、ずいぶんと遅い目覚めだけど良い夢でも見れたかな?」

 

手錠の擦れる音を出してしまったからだろう、

俺の覚醒が感づかれ、頭上からは少し低い男の声がした。

 

「、、、貴方は?」

 

重い頭を持ち上げ見つけたのは、向かいに座る一人の男。

楽しそうにニヤケる男は、なぜかこちらに探るような視線を送ってくる。

 

「私はドクター、ロドスで指揮官を勤めているものだ。君の持っていたデータには私のことも載っていたが、見なかったのか?」

 

ドクター、、、あぁ、ドクターか、確かに、、、載っていたような気がする。

、、、ロドスの幹部かなにかで、人心掌握がうまいとかなんとかで、、、。

 

「、、、ここは?」

「ん?ここは取調室、君のような犯罪者に聞き込みを行う所さ。」

 

取調室、、、取調室、、取調室、、、、

 

そうか、俺捕まってるんだ、、、

 

「俺、、、何時間ぐらい、、、寝てましたか?」

「え~っと、半日ぐらいかな、今はもう夜を越えて、、、おっと、もう昼だ。」

「、、、なる、ほど。」

 

じわじわと戻ってくる記憶。

じわじわと肌を流れ出てくる冷や汗。

じわじわと積もり積もってくる現状の危機感。

 

「はっ!?」

「今度こそちゃんと起きたようだね、おはよう、侵入者くん。」

 

全てを思い出した俺は驚きのあまりガバッと顔を上げた。

ドクターはそんな俺の様子を見て楽しそうに笑う。

 

「さてと、君もちゃんと起きたことだし、そろそろ尋問に入ろうか。」

 

優しそうな表情に隠れ切れない鋭い眼光。

見て分かった、この人相手には嘘が通用しない。

 

「まずは確認だ、君は早朝、輸送コンテナに紛れロドスに侵入。従業員に変装後、貿易所に入り花火事件で錯乱。」

 

そんな視線を向けられながら始まる尋問。

 

「第二製造所では二人の従業員を口封じのため気絶させ、その後、コンピューター室でロドスのエンジニア、クロージャを襲撃。ここまでに間違いはないかな?」

 

頷くべきか、無視するべきか、依頼の規約にも挟まれた俺は取り合えず、現状の打破に尽力することを決める。

 

「、、、。」

 

本命と依頼主がいることさえばれなければそれで良い、と考え、ボロがでないように頷くだけ頷いた。

 

「しかし、強襲は護衛である二アールに阻まれ失敗。逃げようにもうちの二アールが出口を塞いだために窓からの脱出を図る。」

 

チラッとこっちを見たことから真実かどうかを聞きたいのだろう。

これは隠すほどのことでもないと頷くと、ドクターは声を出して笑った。

 

「じゃあ、あの映像は本物だったわけだ!アハハハハ!凄いね、君!あんな無防備に落ちてあんな無茶な機動をして退けたわけだ!」

 

なんだろう、褒められているとは思えない。

 

「教えてくれないかなっ!君はどうやってあんな無茶を」

『あ、テステス!ちょっとドクター!雑談してないで早く終わらせてよっ!色々仕事が貯まってる上に、私の鬱憤はまだ!』

『く、クロージャさん!取り調べを邪魔したら駄目ですよっ!』

 

なんとなくドクターの笑いに腹が立っていると、角にあるスピーカーから怒鳴り声と、それを静止する声が響いてきた。

 

「、、、あれは?」

「あー、君が襲ったクロージャだよ、もしもし!人体実験は全てが片付いてからだぞ?」

(人体実験っ!?)

『はぁっ!?拷問が終わったら身柄を私にくれるって言ったじゃないのこのqwせdrftgyふじこlp;@っ!!』

(拷問っ!?)

 

色々と不穏な言葉が俺の周りに飛び交う。

冷や汗なんてレベルじゃねぇ、これは、、、最悪の事態だ!

 

「はぁ、出来るわけないだろ、大切な身柄なんだから。用が終わったら良いけど。」

(良いのかよっ!?)

「全く、うちの組員は皆癖が強くて困るね。」

(あんただよ!一番ヤ、バ、イ、の、あんただよっ!)

 

ドクターのさらりと告げる死刑宣告に俺はどうしよう!と思考を巡らせる。

しかし、ドクターはそんなことを考える暇も与えてくれない。

 

「と、まぁ、仲間がしびれを切らして暴れるのも困るし、そろそろ本題に入ろうか。」

 

今までのおちゃらけた雰囲気とは一変して空気に鉛のような重さが入る。

ドクターの笑っているその眼光に、かすかに殺気が込められたのだ。

その様子に俺はゴクリの唾を飲む。

 

「私達はね、君を捕らえた後、短い時間ではあったが最大限の調査をしたんだ。」

 

デスクにばらまかれるのは、俺が侵入した跡の写真。

そして、usb含め、俺が持っていた道具一式。

 

その中でもドクターは、usbをわざとらしくいじり始めた

 

「君の侵入経路は勿論のこと、君の実力、君の目的、君の個人情報を含め、出来うる限りの調べられるもの全てを、ね。

そしたら知る必要のないことまで出てくるわ出てくるわ、

会議の末、君の目的は何通りかの結論に分かれた。」

 

ドクターは淡々と告げる。

 

「クロージャを含めた幹部の暗殺や戦争前の重度の混乱、他にもロドスのネットワークの破壊やハッキングによる機密文書の収集等。」

 

ドクターが口にしたのは、何ならそっちの方がよかったと思える策。

色々と複雑な俺は内心同様、百面相になってしまう。

 

「全部筋が通ってる、それに私達からしたら全て最悪の事態だ。

誰もが正直全ての予測を否定しきれなかった。」

 

ドクターはやれやれと肩を上げる、

 

「幹部は一番高い最悪を想定し動く派と、まだ様子を見るの二つに分かれたよ。

ま、しょうがないよね、時期が時期だし。」

(時期?)

 

俺はドクターの言葉に引っ掛かりを覚える。

 

「ただ、そんななかでも幹部は共通してゆっくりしている時間はないという思いがあった。

要は、皆、ロドスの安全が欲しかったんだ。

だから幹部たちはある決定を下した。」

 

しかし、そんな疑問など次のドクターの言葉ですぐに消え去った。

 

「どうせこの事件は極秘、だったら君をいち早く吊り上げて絞れるだけ搾り取ろう。だって。」

 

顔が青ざめるのがわかる。

その雰囲気を感じたのか、ドクターは楽しそうに笑った、

 

「そこでお鉢が回ってきたのが私だ。」

 

俺の心境なんて気にせず話を進めるドクター。

そろそろ罪悪感がヤバイ。

 

「何でだと思う?」

「、、、性格が螺曲がっているから、すか?」

 

ドクターの問いにへへっと苦し紛れの笑みで返す。

すると、ドクターは嬉しそうな笑顔に邪悪さが混ぜられる。

 

「惜しい!答えはね、、、私がロドスで一番、嫌がらせが得意だからさ。」

 

俺の体は無意識にその言葉に反応した。

 

「勝負事において私はね、一番に相手が守りたいものを攻撃する。」

 

非常にシンプルで単純な言葉、

 

「例を出そうか、そうだな~、、、例えば、子供、とか。」

 

ドクターの口から出るのは俺にとって最低最悪な、一番聞きたくなかった言葉。

 

「これは体験談なんだが、ちょっと前に子を持つテロリストを相手にしたことがあった。

あのテロリストは強かった。少数だが持ち合わせる戦闘技術は立案した作戦を再度調整させるほどのもの。」

 

ドクターが話す事実は普通の悪人が聞いても本来ならなんとも思わないだろう。

だが、ドクターは俺に対してはその事実が何よりも効くのを分かってやっている。

わざとらしく、ちゃんと聞こえるように話してくる。

 

「連携する力も強かった。正直私の作戦なんて使い物にならなかったよ。

だから私はそこで、そのテロリストが一番嫌がることを考えた。

もう、、、分かるだろ?私は子供を拉致する作戦を実行したんだ。」

 

俺は思わず視線をそらした。

 

しかし、ドクターの笑い声が嫌でも耳に入る、

 

「したらどうなったと思う?テロリストはね、簡単に降伏したよ!あれだけ信念やら正義を語っておいて!子供を盾にされたらごめんなさいと土下座だ!あれには本当に笑「やめろっ!」、、、。」

 

結論から言おう、俺はドクターの罠にはまってしまったのだ。

恐らく俺を挑発するように放った言葉は、俺という存在を分析するためのもの。

 

その挑発に耐えられず乗ってしまった俺は負けと言えるだろう。

 

「何でも屋、ヨルノ。」

 

笑っていたドクターの表情が真剣なものに変わる。

 

「悪いことは言わない、お前が行った悪事とお前を働かせた、依頼主を言え。」

 

決して冗談ではないドクターの一言。

それを聞いた瞬間、俺は自分の立場を自覚させられた。

 

考えるべきは身の安全か、仕事に対する責任か。

 

迫られたのは究極の二択を前に、死ねない理由と生きるための最低限のプライドが頭の中で渦巻いた。

降伏を選べば命は助かるだろう、誰も傷つけていないことから減刑だってありえる。

しかしあくまで俺の扱いは犯罪者、その後の安全までは確約されない。

 

じゃあ、徹底抗戦は?これも結局は意地の張り合いだ。

守ると決めた約束を破ってまで生きたいとは思えないからこそ、そう思うのであって、本質的にどちらの選択も命の保証はないのは事実。

 

「、、、。」

 

負けに敗けを重ねるか?

頭に貯まる血を下へと落とすように見上げる天井。

 

「、、、であるならば、選ぶのは両者か。」ボソっ

 

俺はドクターへ、目を合わさずにこう告げた。

 

「俺は、、、貴方方が欲しい情報を握っている。」

 

はったりで良い、俺を殺すには惜しい、それなりの重要人物であると示せればそれで良い。

俺がしたことはまだバレていないのだ、今ならまだお前達と対等だと見せつけられる。

 

「貴方方の明日を決める情報だ。方針を、意志を、大切なものを変える情報のはずだ。」

 

勿論、今ロドスが抱えてる問題なんて知らない。

 

「、、、3日後の夕方、報酬の受け渡しがある。」

 

今後、俺の町にどんなことが起ころうと俺の知ったことではない。

俺には俺の生き方がある。

 

俺は真っ直ぐにドクターと相対する。

 

「取引だ。俺を、、、解放しろ。」

 

罪悪感と不安と恐怖に押し潰されるな、

俺なら大丈夫だと確信しろ。

臆したなら、その瞬間から食い破られるぞ。

 

笑わなくなったドクターの圧に根性で堪える。

 

「、、、信頼とは、自分から信じることから始まる。」

 

俺はドクターの言葉に冷や汗を流す。

 

「故に人は信頼するため時間を要する。時間をかけ、信頼できる理由を探す。本能で動くものも同様。

それを踏まえて、、、もう一度聞く。お前、今、何て言ったんだ?」

 

この殺気は本物だ。体は本能に従い強張ってしまう。

 

「俺を、、、解放しろ。」

 

俺たちの間に流れる数秒の沈黙。

恐らく後数秒、後一秒でも長くドクターの殺気に当てられていたら、俺は降伏していただろう。

俺が口を開こうとした瞬間、ドクターは急に殺気を消し、楽しそうに両手を上げた。

 

「分かった、そうしよう!」

「え?」

 

呆気ない決定に虚を突かれる。

 

「しかし、私も立場上、ロドスの利益となる作戦を成功させないといけないんだ。

君の解放は2日後の早朝。それまでは監視、軟禁に、尋問をさせてもらう。

あ、一応言っとくけど子を持つテロリストは嘘話だから安心してね。」

 

目蓋があまりの事実を受け入れられず、夢ではないかと瞬きの回数を増やした。

 

『ド、ドクターっ!?』

 

スピーカーの向こう側の人もドクターの決定にどうやら同様を隠せないよう。

 

「えっ、と、、、本気ですか?」

 

俺は思わず真意を確かめる。

 

「勿論。」

 

ドクターは何食わぬ顔で肯定して見せた。

 

「な、なんで、、、」

「なんでって、、、君は私を信頼してくれたじゃないか?

私が嘘をつく可能性も考慮して、私が悪人であるかもしれない事実も理解して、それでも自分の持てる誠実さに逆らわず君は私を信頼して情報を提供してくれた。

なら私も約束するさ、それにこの取引は私にとっても悪い内容じゃない。」

「俺、悪党ですよ?」

「言っただろう?私はこれでも人を見る目はある。

確かに君のしたことは悪事だ、そこに議論の余地はない。

しかし、あらゆる情報をもって私は君と言う人柄を肯定的に捉えたんだ。」

 

ドクターは優しい顔を向けてくる。

その途端、取調室の扉が開き、なに考えてるんですか!?ドクターっ!?リストで見たアーミヤという少女が入ってきた。

ドクターはよっこいしょ、と立ち上がり俺に屈託のない笑顔を見せてこういった。

 

「まぁ、要は、私は君を気に入ったんだよ。」

 

俺は、まるで風船から空気が抜けるようにその場で脱力する。

そして天井を仰いで大きなため息をついて本音を漏らす。

 

「はぁ、、、、運が良いのやら悪いのやら。」

 

体重を預ける椅子は重みに耐えきれず、俺のため息きにキィと悲鳴を重ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、一応言っておくと、2日と言えど、ここで過ごすからには仕事をしてもらうから。」

「はぁっ!?」

「働かざる者食うべからず。」

「いやいやいや!?俺捕虜ですよっ!?」

「だから?」

「いやいやいや!阿呆ですか!?逃げますよ!」

(自分でいうのもなんだけど!)

「ハッハッハ、まず逃げれないから安心していい。」

「実際逃げれたんですが。」

「最終的には捕まえただろう。

それに、逃げたら末代まで呪いながら地の果てまで追いかけるだけだ。」

(実際にそれが出きる組織だから洒落にならない。)

「いやー、こんな時期に無賃金労働力を確保できるとはね~。有り難いね~。」

(こいつっ!?俺を扱き使う気だっ!?)

 

俺はデスクに顎をつけ、今度はとても大きなため息をついた。

 

「、、、俺、あんた嫌いです。」

「そりゃどうも。」

 

ドクターの笑顔が本気でむかついた

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