ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった 作:アークナイツと東方にドはまり
「ど、ドクター、良いんですか?」
「ん?何が?」
それはとあるロドスの廊下でのこと。
取調室から共に出たアーミヤはドクターの顔を覗き込んでいた。
「あの侵入者のことです。あんな約束までして。」
「ロドス代表としての見解は?」
ドクターの問いにアーミヤは思考を巡らせ答えを出す。
「犯罪者として捕らえるべきだと思います。
侵入者をみすみす逃したとあっては、後々、ロドスの評判に関わりますかは。」
「確かにね。ロドスは嘗められてはいけないね。」
ドクターはアーミヤの正しい判断に苦笑する。
「それに、恐らくですが、彼は蜥蜴のしっぽです。
泳がしたとしても大した情報を得られるとは思いません。」
「それも同意だ。時間をかけて侵入じゃなかった時点で、それも外部に依頼となっては裏を掴むのは困難だと私も思う。」
「だったら、尋問で彼の悪事を暴き、最悪の事態に備えるのが第一だと思います。」
「それもそうなんだけどねぇ~。」
アーミヤはドクターの煮え切らない考えに疑問を待つ。
(何かあったんでしょうか、今までのドクターならもっとこう、、、)
アーミヤにとってドクターの判断は信頼できると判断してる。
いとの掴めない作戦だったとしても、今まではその全てが最後には大きな意味をもっていたという経験があるからだ。
それに元々、アーミヤにとってはトンデモなことがない限り、決まった事実を塗り替えるつもりはない。
たが、ドクターのはっきりとしない判断を、アーミヤは不思議に思っていた。
「ドクターは彼に吐かせることはできないと、考えたんですか?」
「いや、多分だけど彼は演技は上手くても嘘はつけないタイプだ。少し押せば簡単に吐くと思うよ。
と言うか、あんなにコロコロと表情を変えてたからね、もう彼が行った悪事は大体見当がついてる。」
「そうなんですかっ!?」
驚くアーミヤにドクターが手渡したのは侵入者の持ち物であったusbメモリ。
「これは、、、」
「そのなかには調査結果ではなにもデータが入っていないと言う結果が出た。そうだよね?」
「はい、そうです。なのでロドスの機密データを保存するために持ち込まれたものと、判断されていましたが、、、。」
「そうだね、私も最初はそう考えた。」
アーミヤの瞳に思い出し笑いをするドクターが映った。
「でもね、尋問中、彼の視線は何度もusbに行っていたんだ。」
「え?」
「私はおかしいと思った。彼の目の前には、データが入ったタブレットも置かれていたんだ。だと言うのに、何回も何回も何のデータも入っていないusbに視線が行った。」
ドクターからの情報は事件の真相を明かすもの。
アーミヤの表情が真剣なものへと変わる。
「人は基本的に一番心配な物へと視線が行く。
細部にまで渡って検査するよう技術部に。」
「わかりました、最優先でするよう通達しておきます。」
アーミヤのドクターへ向かう視線にはもう疑惑はない。
あるのはただただ、純粋な敬意のみ。
(やっぱりドクターは凄いです。)
自分とは異なる才能と実力。
アーミヤはそれに嫉妬ではなく尊敬を感じ、自信も日々精進しなければやる気を奮い立たせていた。
だが、しかし、、、
「、、、あれ?でも、ドクター、そこまで尋問が上手く行くなら、彼から依頼主の情報も収集出来たのでは?」
ふと、気になった質問をドクターへ投げ掛ける。
ドクターは、うぐっ。と声を上げる。
「ん、ん~、出来た、だろうね。」
「なら何故それをしなかったのですか?」
「、、、。」
ドクターはキョロキョロと辺りを見回し、小声でアーミヤに告げる。
「彼が気になるんだ。」
アーミヤは首をかしげ、数秒間考えを巡らすと、えっ!?と顔を赤らめた。
「あ、そう言う意味じゃないよ。ただ、彼の正体がどうも気になるんだ。」
アーミヤの顔が真顔に戻る。
「え~っと、情報部の報告では、彼は"見捨てられた街"でどんな仕事でもこなす何でも屋として働いてるとのことですが。」
「うん、それは表向きの情報。私が知りたいのは彼の裏の情報だよ。」
アーミヤはさらに首をかしげる。
「彼に何かあるんですか?」
「ん~、まぁ、勘でしかないんだけど、、、彼は普通じゃないと思うんだ。」
「普通じゃない?」
ドクターは自身の懸念を指を折り曲げなから伝える。
「まず、データでは彼の殆どの仕事は掃除などの雑務と書いてあった。もしそれが本当なら、そんな一般人が急にロドスになんて侵入する?」
「、、、。」
「それに彼の戦闘技術は直接見てわかったが、あれは幾度と修羅場を経験した者の動きだ。いくら見捨てられた街に住んでるとしても無理がある。
それに、なおさら、ただの便利屋がそんな技術をもっていること自体がおかしい。」
ドクターの意見にアーミヤも考えさせられる。
「それは私も思いました。彼の動きには典型的な型が感じられない辺り、あの戦闘技術はいくつかの戦場を渡って手に入れたものだと思います。
ということは、、、私たちが掴まされたこの情報は偽の情報、、、」
ドクターは肩を上げる。
「まぁでも、こればかりは天災後の感染生物の襲来とかがあるから、一概に判断はできないね。」
アーミヤは頷くことで肯定を示す。
「ただもう一つだけ、彼を不思議付ける事実がある。」
ドクターはアーミヤの耳元へと顔を近づけ、小さな声で自分の知っている事実を伝えた。
「気づいてた?彼の体に数時間前に着いた傷がさっき見た限り全て失くなっていた。」
「、、、っ!?」
アーミヤは手元のタブレットから尋問中の動画を見る。
確かにそこには顔や首に合った小さな傷は、画質は悪いもののきれいになくなっており、何なら足に出来ていた大きな火傷痕は綺麗さっぱり消えていた。
「ドクター、持ち物検査では彼はアーツユニットを所持していませんでした。」
アーミヤの情報にドクターは悩まされる。
「となると、本人が持っている種族特性か、はたまた生まれつき回復力が高いのか、」
「しかしドクター、私は、、、」
「分かってる。今まで沢山のアーツを目の前にしてきた私達には、彼の能力はアーツによるものとしか思えない。」
元々、ドクターは指揮官が本職ではない。
どちらかと言うと研究職に近く、気になることは調べないと気が済まないたちだった。
それはアーミヤも知っての通り。
だから独りでに悩み唸り始めるドクターを見て、アーミヤはジト目を向けた。
「もしかしてですけどドクター、、、、もしや彼を調べたいから取引を、、、」
アーミヤの真に迫った推測にドクターの歩む足は早くなる。
「いやーハッハッハ、仕事が沢山あって困るなー。急いでやらないと調べられないやー。」
「あ、ちょっと、ドクター!ちゃんと仕事はして貰いますからね!」
その背を追いかけるアーミヤ。
二人は廊下の奥へと、その影を縮めて行ったのだった。
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