ロドスへ侵入!、、、しなきゃよかった 作:アークナイツと東方にドはまり
「なんでよ!」
それは俺の中で、唯一朧気になった記憶の一つ。
実験室のような部屋の中で、弱り切った俺はお姉ちゃんに抱き留められていた。
「約束したじゃないっ!私が頑張れば!この子は傷つけないって!」
お姉ちゃんの体はボロボロだった。
至る所が傷だらけで、着ていた服は焼き破れている。
「なんでっ!なんでこの子に!こんな酷いことをしたのよ!答えなさい!」
そんなお姉ちゃんが睨むのは、白衣を着た俺らがお父さんと呼んでいた大人。
父だった人は薄ら笑いながら身の潔白を説明する。
「何を怒っているんだ?検証を望んだのはそいつ自身だぞ?」
振り返ればあまりにふざけ倒したその様子。
それが姉の逆鱗に触れ続ける。
「ふざけないで!またっ、あんたが!あんた達がっ!この子の優しさに付け込んで!」
「俺は何も言ってないさ、俺はただこいつの要望に応えたで、本当に何もしていない。」
「、、、要望?、、、またっ、ふざけたことをっ!あん「お姉ちゃん、、、」、、、っ!?」
しかし、その正しき怒りは守るべき対象だった俺自身が遮った。
「僕が、頼んだんだ、、、少しでも、お、お姉ちゃんの、、、力になりたくて、、、」
他意はなく、ただひたすらに、その一心を胸に抱いて、お姉ちゃんの怒りを沈めようとする。
痛みの根本を失くそうと、自分の正しさにしたがって行動する。
恐らく、これが俺の中で最大の愚行。
俺の想いは、何よりも大切なお姉ちゃんを、さらに絶望させるだけだった。
「だから、、、もう、大丈夫、、、だから、ね。」
最悪の記憶だ。
本能が封じるほどの最悪を、夢として強制的に見させられるものの中では一番に見たくないものだ。
しかも、夢なら変えられるかも思った瞬間に、記憶の俺と同様に意識が落ち始めていくのだ。
「、、、許さないっ、」
薄れていく視界の中、お姉ちゃんがお父さんに向かって殺意を抱く姿を捉える。
(、、、泣かないで、、、)
頭に記憶の俺の思考が流れ込んでくる。
感情がその想いで溢れ出てしまう。
「あんた達は、絶対にっ、許さない、、、っ!」
夢の中で唯一動く心の全てが、中後悔と罪悪感で渦巻く。
お前のせいなのに、と悲しみで染まってしまう、
「俺は善意で行動したと言うのに、酷いやつだな。」
「ふざけないでよ!こんなことをしておいて善意ですってっ!嘗めるのも大概に.....」
消えていく過去の記憶。
落ちていく視界を復帰した意識がまた違う記憶を写し出した。
「いい、良く聞いて。」
それはお姉ちゃんの部屋のなか。
ベットに腰かけた俺は向かいにいるお姉ちゃんに両手を握られていた。
「私は今から、貴方にあげられるものを全てあげる。」
幼い俺は何一つ姉の言うことを理解できず首をかしげる。
「、、、?全部?」
「そう、私が持っているもの全部。」
お姉ちゃんの視線は慈愛に満ちていた。
昔の俺ですら無意識に疑う感情を停止させるほどに愛に満ちた瞳。
「私の知識も、技術も、力も、記憶も全部。」
だから俺はこの時、疑問ではなく心配を口にした。
「お姉ちゃんはなにもなくても大丈夫なの?」
この時のお姉ちゃんの表情はなんとも複雑なものだった。
嬉しいのか悲しいのか、まるで絶望に触れながら幸福を噛み締めるような表情。
でも昔の俺にそれを見抜けるほどの経験はない。
見抜かなければならないのに、その実力はありはしない。
「、、、うん、大丈夫。私には貴方がいる、貴方がいてくれるから、何一つ問題ないの。」
それどころか、自分を頼ってくれていると思い、心が浮わついてしまう。
お姉ちゃんの強い抱擁に安心してしまう。
「だから、受け取ってくれる?私の騎士様?」
してはならない『契約』を交わしてしまう。
「うんっ!」
やめろ、やめろ、やめてくれ、、、、頼むから、、、やめてくれ、、、っ!
夢を見る俺は最悪の記憶を前にしてもなにも出来ない。
何をするつもりか、お姉ちゃんが俺のおでこと自分のおでこを合わせた。
「いい?この後、貴方は寝てしまう。疲れはてて、寝てしまうの。
でも、安心して、私は何時までも貴方の中にいる。」
「お姉ちゃん?」
止めろっ!止めるんだっ!その力を、、、使わせるな!
夢に向かって叫んでも、記憶から逃げて忘れようとしても、その光景は変わらない。
「私には貴方がいるように、貴方にも私がいる。貴方は絶対に一人じゃない。ちゃんと、私が、そばに、いるから、、、」
手を伸ばす。
「だから、どうか、、、自分を責めないでね。」
「え?」
しかし、光景の中で昔の俺が糸が切れたように気絶した。
そして、ベットに寝かした俺のおでこに、お姉ちゃんはキスをして微笑む。
「、、、大好きよ、何時までも。、、、お休みなさい。」
俺は夢の中で気絶した。
ーーーーーーー
私の目の前には今、床に仰向けで倒れる一人の男がいる。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
その男とは因縁とは言えないが、それなりに恨み辛みを向けるほどの関係がある。
故にさっきまで殴り合いを喧嘩をしており、均衡していた戦いは私の一撃で状況が好転した。
(確実に入ったっ、これでこいつは動けないっ、)
後一撃、今度は確実に戦闘不能にさせよう。
私は倒れて動けない男に近づき拳を振り上げようとする。
が、突如として閉じていた男の目蓋から真っ黒な瞳が現れた。
「嫌な夢だよ、、、本当に。」
男は視線を下げて私を見る。
そして、一つため息をつき、男は私に問いた。
「なぁ、あんたは、、、貴方は俺にどうしてほしいんですか?」
歓声が辺りの声をも消す中で、私の中で渦巻いてたどす黒い感覚が無意識のまま男に私の本音を伝えた。
「消えてよ、お願いだから、、、私の回りから、消えて。」
私はその言葉を言った瞬間、自分がどんな酷い事を言ったのかを理解する。
でも後悔より、その男の表情の異質さが先立った。
「、、、。」
男は、微かにだが笑っていたのだ、
貶されて、恨まれて、憎まれて、それを望んでいたかのように喜んだのだ。
「ははっ、まぁ、そうですよね、俺なんてのは生きてるよりかは死んだ方が幾分かは世の中のためになるってもんです。
俺のせいで死ぬ人がいるのだから、そりゃあまぁ、そうですよ。」
私はその姿に異質なものを感じる。
触れてはいけないなにかを感じる。
「でもごめんなさい。俺は、どうあっても、どんなことがあっても、、、絶対に、死ねないんです。」
男は後転する動作で体を縮め、足裏をこちらに向けながら床に手をつけた。
私は即座に胸の前に腕を交差すると、予想以上に重い蹴りがその上から放たれた。
「、、、うっ!」
防御したと言うのに私の体は、その衝撃に耐えきれず後退する。
(なにこの力っ!?さっきまでとは全然違うっ!?)
さらに私は驚愕する。
男は私を足場とすることで宙へ浮き、体を二回転させ華麗に床へと着地したのだ。
「そのうえ、何よりも尊敬していた人ととある約束をしちゃったんですよ。」
その一連の動作は華麗の一言に勝る。
「俺の存在を否定するものには、最大の敬意と敵意をもって否定する。」
観客は沸き上がり、制限時間の三分のニが経ったことを知らせるゴングが鳴る。
それと同時に、男の色づいていた瞳が無機質なものへと変わる。
「だから耐えてくださいね。でないと貴女、、、死にますよ。」
自分達の存在を、自分達の譲れない意志を証明する最終ラウンドが、男の拳をきっかけに開始した。
約5分後、、、
「はぁ、はぁっ、はぁッ、」
「、、、。」
結論から言おう。
『遊ばれた。』
男の最初の戦法は高い柔軟性に自身の器用さを掛け合わしたようなものだった。
故に本気を出さなくとも技で捌けたし、男が意外な力強さを持ってても工夫のない動きに対応は簡単だった。
でも今は違う!
どんな理由かわからないが、120%まで向上した身体能力に、高い柔軟性と機敏さに加え、彼自身の器用さが合わさっているのだ!
(なんで、、、、息の一つも、、、上がってないのよっ!)
戦っている間、私の勘は言っていた。男の拳は喰らえば大怪我を負うほどの強烈な武器。
あり得ないほど高い身体能力が産み出す速度は、私が持ち合わせる経験と技術をフルで使ってようやく防げるほどのもの。
私は強制的に全力で防御することしかできなかった。
その証拠で私の体力は、本能が命令した集中に使われ、防いだ場所、腕、肩、足、お腹はその振動が響き渡り痛みを叫ぶ。
「君は、、、そんな力を、、、どうやって、、、っ!」
私は久々に焦り散らかす。
理由は単純、こんな圧倒的な力を見せつけられた私の視界には、まだ男が本気を出していないと結論付けていたからだ。
時間は迫っている。
しかし、このままでは私は負けてしまうのは間違いない。
「下らない問答をするつもりはないです。」
私の時間稼ぎをわかってか、男は床を蹴りだす準備に入る。
(来るっ!?)
突如、男の足が私の顔横にあることを感じた。
とっさにガードするも、あまりの威力に耐えきれず姿勢を崩す。
なのに、後ろから聞こえる着地音。
(ヤバいっ!)
危機感を覚えた私は一つの賭けに出た。
未だに残る男の蹴りの衝撃。
私はそれに逆らうのではなく、後方へと倒れるように体を自然に任せる。
そして体が地面から45度の角度になった時、床と平行になるように地面を蹴った。
すると、視界の橋で男の拳がこちらに向かってくるのが一瞬だけ捉えられる。
後は私の経験が生き残るために、足を曲げ、男の速度に合わせてその拳に足裏を合わせる。
その拳を足場にして宙を回転し着地。
「、、、っ!?」
賭けの結果、私は奇跡的な防御と仕切り直しの瞬間を得ることができた。
「経験に勝るものなしって聞くけど、、、こんなにも、か。」
でもそれに加えて男に、成長のための材料も与えてしまう。
リング外は過去一の盛り上がりを見せているのに対し、私の精神は余りの状況にとても冷静なものとなっていた。
(まだ加速するのっ!?)
だがそれは結果論として、この状況では間違いなく正しい行為だった。
男は自分の攻撃が通じないとわかれば、どうやってか、さらに自身の速度を上げてきたのだ。
(あと一歩遅かったら食らってた!)
あらゆる可能性を考え続けられる冷静さのおかげだろう、私はなんとかその攻撃を防ぐことが出来る。
「ブラフっ!?」
しかし、右手で私の視界から隠された男の左拳の影を見て、第一撃が私の防御崩しに使われたことを悟る。
私は本能が警告するまま、無理やり右膝その腕を蹴り上げ、なんとか男の拳を横へとずらす。
「、、、っ!」
男が次の攻撃な移るために出来た一瞬の時間、その刹那でなんとか払われた腕を体の前へと持っていく。
すると、男が即座に放った再度の右拳がその腕へと直撃し、体には振動だけを伝えるだけにとどまった。
「ぐっ、」
しかし、床に無様に転がってしまうのは避けられない現象。
「くそ、、、っ!」
ゴロゴロと転がる自分の姿に、悔しさと痛みもあったから私は自然と愚痴がでる。
こんな姿、エリートオペレーターである私が見せていいものじゃない。
(まだ終わってないっ!)
顔を上げると蹴りを入れようとする男が映る、
私は恐怖心を根性で押さえつけ、このまま負けてしまうのならばと男の懐へ飛び込んでいった。
男の蹴りは足に当たるが、間合いを縮めたことで痛みは微弱。
ならば!男の反応が遅れた今が決着をつけるチャンスっ!
「決めるっ!」
飛び込み肩固め。このまま床に頭を叩きつけ気絶させてやるっ!
「、、、えっ、」
でも次の瞬間、自分が倒れそうになっていることに気づく。
(マジっ!?)
私は自分の姿勢が、男にしようとしたものと同じことに驚愕し、それと同時に理解する。
男は私の肩固めに力を入れようとした刹那に合わせることで、自身な有利な力比べの土俵へと私を引きずり込んだのだ。
(やだ!負けたくない負けたくない、負けたくないっ!)
私はとっさに、自由な左手で男の腰を掴み、多生の自由しか効かない右手で男の腕を掴む。
「ウオォォォリヤァァァァァァっ!!」
「、、、っ!?」
そして技とはいえない無様さで、男をリング端へと無理矢理に投げ飛ばした。
しかし威力共に雑魚い力任せな投げが男に効くわけがない。
少し距離が離れた程度しかず効果は得られなかった。
しかも頬には殴られたのか痛みが残っている。
「っ、負けて、たまるかぁぁぁぁっ!!」
でも、一瞬の時間と自由にできる間合いができたならそれでいい。
負けたくない想いが即座に次の行動に出る。
だからなのだろうか、後から気づいたことだけど、このときの私には冷静な判断はできていなかった。
私の攻撃はシンプルに、小細工も技もなく、ただ単純な力を持ったただの右拳だったのだ。
男は当然ながらに避ける、、、ものだと思っていた。
カーンっ!
しかし私の拳が届く前に、試合終了のゴングがなった。
「っ!?」
その瞬間、私の視界に朗らかに笑う男が映る。
(何で笑って、、、)
悪意も、敵意も、殺意もない、尊敬しか感じない瞳。
私は敵だった男を敵と捉えられなくなり、私自身の感情すら分からなくなった。
「ふごっ!?」
「あっ、」
心の整理がつかず、一瞬止めるのが遅れる拳。
止まるものと思っていたからか、避けることも防御もしなかった男の顔面に、私の拳は直撃した。
ウォォォォォォォォォォーーーっ!!??!?!!
最後の最後で決着がついたことに盛り上がる観衆。
男は後方へと吹っ飛び、リング外の床へと落ちる。
「あ、え~っと、その、、、」
審判がお前の勝ちだと示す頷き。
「わ、私の!勝利だぁぁぁぁぁぁ!!!!」
なんとなく拳を突き上げ、試合の終了を宣言。
勝利に溺れるとはまさにこの事。私は今までにないほどの盛り上りに、底知れぬ達成感を感じたのだった。
「助けて、、、くれませんかね、、、、?」
評価、感想お待ちしております