ウマ娘プリティダービー ~月毛のウマ娘~    作:蒙駄目猫

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♯3.選抜レース前日

 週明けの月曜日、『月毛のヴァイスシュトルム』が、金曜日の選抜レースに出走するという情報が流れると、興味本位でヴァイスシュトルムにスカウトをかけるトレーナーが続出した。

 しかし、(ほとん)どのトレーナーが、『月毛』であることを理由に、本気でヴァイスシュトルムがGIを勝利するとは考えていなかったし、ましてや有馬記念や宝塚記念、天皇賞(秋)などの歴史と伝統のあるGⅠレースは絶対に無理だと考えていた。

『芦毛』は走らないと言う通説をひっくり返した、タマモクロスやオグリキャップのような力は、ヴァイスシュトルムにはない、しかしアクセサリーとしてはこの上なく優秀だと、直接は言わないまでも、言葉の端々からにじみ出るトレーナーたちからのラブコールに、ヴァイスシュトルムは辟易(へきえき)し、火曜日、水曜日と日が()ち、選抜レースが近づくにつれて気持ちがささくれ立つのを止められなかった。

 唯一(ゆいいつ)桐生院(きりゅういん)(あおい)と言う新人トレーナーだけは、先日、ヴァイスシュトルムの方から半ば強引に専属契約を予約した神谷トレーナーのように、ヴァイスシュトルムが月毛であることを気にした様子はなく、適切なトレーニングメニューを提示していた。先約があるから担当にはなれないとヴァイスシュトルムが伝えてからも、選抜レース用のトレーニングメニューを組んでくれたり、フジキセキとの個人トレーニングを見てくれたりと、中々にお人好しな名門出身のトレーナーだった。

 もし、神谷よりも先に桐生院トレーナーに出会っていたならば、彼女に担当して貰っていたかも知れないと、ヴァイスシュトルムは彼女の組んだトレーニングメニューをこなしながら漠然と考えていた。

 最後の追い切りをかなり軽めに終わらし、上がり3ハロンを三十五秒後半に抑えたヴァイスシュトルムに、外から見ていたトレーナーたちは口々に「白毛のハッピーミークを(いちじる)しく成長させた、あの桐生院トレーナーでもここまでしか伸ばせないとなると、やはり月毛は走らないか」などと好き勝手に言いだした。そんな声を無視して、さっさと引き上げるヴァイスシュトルムに、その後ろを着いて歩く桐生院トレーナーは何か言いたそうにしていたが、結局何も言わなかった。

「桐生院トレーナー、この四日間ありがとうございました」

「そんな、頭を上げて下さい! 私は簡単なものしか提示してませんから! ミークのトレーニングの片手間でしたし……」

 周りに人影がなくなったところで、足を止めたヴァイスシュトルムは、後ろを振り返って深く頭を下げる。それに、桐生院トレーナーは慌ててヴァイスシュトルムに頭を上げるように言う。それでも、ヴァイスシュトルムは心からの感謝を伝えた。

「でも」

「でも?」

 下げていた頭を上げたヴァイスシュトルムは、不敵な笑みを浮かべて桐生院トレーナーに相対(あいたい)する。そして、堂々と真っ正面から宣戦布告を行った。

「貴女が育てたハッピーミークと同じレースで当たったときは、絶対負けませんから!」

「! ……ミークが勝っても落ち込まないで下さいね?」

 ヴァイスシュトルムから受けた宣戦布告に怒るでもなく、笑顔で受けて立った桐生院トレーナーは、やる気十分と言った様子で自分の担当ウマ娘である、ハッピーミークの元へと向かっていった。

 その背中を見送ってから、ヴァイスシュトルムはカフェテリアへと足を向ける。夕食を摂りつつ明日の選抜レースの作戦を練ろうと、ぼんやり考えながら歩いていると、突然背後から大声で呼び止められた。

「待ってくれ! ヴァイスシュトルム!」

「……誰?」

 ヴァイスシュトルムの前に回り込むようにして走り寄って来た男は、一つ咳をすると真面目な顔をして向き直った。

「この四日間、君の走りを見せて貰った。君には、素晴らしい素質がある。桐生院トレーナーには、君の素質を引き出せなかったようだけど、この僕、舟越(ふなこし)騎士(ないと)の手にかかれば月毛の君でも、上がり3ハロン三十四秒前半まで縮めることができる!」

「はぁ……。それは……、ありがとうございます……?」

 舟越と名乗ったトレーナーは、ヴァイスシュトルムの話を聞こうともせずに一方的にまくし立てる。言葉に少しづつ熱が入っていく舟越に対して、ヴァイスシュトルムは内心、お世辞はいいから、早く呼び止めた理由を話して欲しいと思っていた。

 それから五分、どうでも良い舟越の話を聞かされたヴァイスシュトルムは、自身の疲労も相まって、終わりの見えない舟越の話に苛々(いらいら)とし始めていた。耳は後ろ向きに伏せ、組んだ腕の中で指は(せわ)しなく肘を叩く。そんなヴァイスシュトルムの様子に気付いた舟越は、ヴァイスシュトルムの体調よりも自分の話が重要だと判断した。

「……あぁ。長々とすまない。しかし、この話はここからが大切なところなんだけどね――」

「それで、舟越トレーナー? いい加減本題に入って欲しいのだけど?」

 そう言って、まだ話し足りないとばかりに続けようとする舟越に、辟易(へきえき)したヴァイスシュトルムは彼の話を(さえぎ)る。

「全く、君を指導することになるトレーナーの話は最後まで聞くべきだよ。まぁ、それはマナーとして必要なことだから、トレーニングの傍ら教えよう。さっきの続きだが、つまり何が言いたいかと言うと、君の素質に僕のトレーニング能力が合わされば、『月毛』の君でもGⅠを一勝するくらいには成長できると言うことだ。さぁ、明日の選抜レース後から早速トレーニングだ。忙しくなるぞ!」

 大切な部分に入る前を遮られ、顔にありありと不満の色を浮かべた舟越は、気を取り直してヴァイスシュトルムに教え(さと)すように(つたな)い持論を展開する。そして、ヴァイスシュトルムが専属契約を受けると確信したように今後の話をし始めた。そんな舟越にヴァイスシュトルムは深くため息を()くと、こめかみに手をやった。

「はぁ……。悪いけど、私のトレーナーはもう決まっているの。私は貴方と契約できないから他の娘を当たって」

 ヴァイスシュトルムはそう言うと、これ以上話すことはないと舟越の横を通り抜けようとする。ヴァイスシュトルムに何を言われたのかよくわかっていない舟越は、呆然(ぼうぜん)として、しかし、横を通り過ぎようとするヴァイスシュトルムの腕を反射的に(つか)んでいた。

「待ってくれ!」

「……離して。私は貴方に用は無い」

 ウマ娘の力は成人男性のそれを大きく上回る。ウマ娘にとっては少しの力であっても、人間を怪我(けが)させるには十分以上だったりする。それを理解しているヴァイスシュトルムは、腕を掴まれたことを不快に思っていても、舟越を決して力任せに振りほどこうとはしなかった。だが舟越は、そのことをヴァイスシュトルムが本心では自分のことをトレーナーにしたいと思っているなどと都合の良いように解釈し、また長々と話し始めた。それに耐えきれなくなったヴァイスシュトルムは、怒りを露わにした。

「Halt die Klappe! Ich will kein Wort mehr von Ihnen hören!」

「は……? え?」

 突然ドイツ語で「黙れ、お前の話はもう聞きたくない!」と言われた舟越は、言葉が理解できず口を開けて固まってしまう。その(すき)に掴まれていた腕を振りほどいたヴァイスシュトルムは、襲歩(しゅうほ)に近い駈歩(かけあし)で走り去ってしまった。その場に残された舟越は、大口を開け、掴んでいた手を伸ばしたままの姿勢で、ヴァイスシュトルムの小さくなる背を見送るしかなかった。

 

 

「ここにもない……、あと探してないのはどこだ……!?」

 ヴァイスシュトルムの選抜レースが明日に迫る中、先日、ヴァイスシュトルムと約束を交わした神谷トレーナーは、トレセン学園の廊下を隅から隅まで見て回っていた。必死の形相(ぎょうそう)で下を向いて目を忙しなく動かす神谷の襟には何もなく、普段(ふだん)そこにあるトレーナーバッジはその姿を消していた。

「まだ見落としているところがあるはず――」

「――おっと!」

 神谷が方向転換し、歩き出そうと一歩足を踏み出したところ、どん、と軽い衝撃を受けて神谷はバランスを崩し、たたらを踏んだ。

「ごめんね! 大丈夫? ケガはないかい?」

 そう言ったウマ娘、フジキセキは細腕(ほそうで)で神谷の胴を支えて彼の転倒を防ぐと、心配そうな顔を向けた。

「こっちこそごめん。良く見ていなかったんだ」

「ううん、お互いなんともないならよかった! でも君、なんだか切羽詰(せっぱつ)まった顔をしているね?」

 神谷に怪我がないことを確認して、笑顔を見せたフジキセキは、すぐに思い悩むように眉を寄せると、右手を顎に当て、その肘を左手で支えるように持つ。そして、一度神谷の視線の先を見るように目を伏せると、再び彼に正対した。

「さっきも床をじーっと見つめていたし……。もしかして、なにか大切なものを探しているのかな?」

 フジキセキの的を射た発言に、神谷は情けなさそうに後頭部を()くと、実はトレーナーバッジを落としてしまい、それを探している最中なのだと伝えた。

「トレーナーバッジ! それは大変だ」

 少し驚いたように声を上げたフジキセキは、顔を真面目なものに変える。

「トレセン学園の敷地内は、関係者以外立ち入り禁止だからね。バッジがないままだと、不審者だって誤解されちゃうかも……?」

 話しながら、だんだん気の毒そうな顔になっていくフジキセキに、神谷もまた気落ちしていく。このまま見つからなければどうしよう、ヴァイスシュトルムとの約束を守れないばかりか、不審者として警備員に拘束されてしまうのだろうか。流石にバッジを落としたことで、たづなさんにまで迷惑をかけるわけには――。

「そういえば、こんな話を知っているかい?」

 神谷が顔を青くするのを見ていたフジキセキは、彼に尋ねるように口を開いた。

「何をだ?」

「数日前に、深夜の学園内に許可なく立ち入った不届き者がいてね」

 神谷はギクリとしてフジキセキを凝視(ぎょうし)した。まさか、この間のことを(とが)められるのではないだろうか?

「しめしめとほくそ笑んだ彼は、誰もいない、静まり返った真っ暗な廊下を一人で歩いていたんだけど……」

 神妙(しんみょう)な顔をして話を続けるフジキセキに、神谷は気が気でない。果たして自分は、あの時ほくそ笑んでいたのだろうか。……ほくそ笑んでいたかも知れない。ウマ娘からの逆スカウトを受けて、(まだ本契約は結んでいないとは言え)舞い上がっていた可能性は捨てきれない。そう百面相をする神谷を無視して、フジキセキの話は続いている。

「その時、コツ、コツ、と自分のものじゃない足音が近づいてきて……。振り向くとそこには満面の笑みを浮かべたたづなさんが!」

「ご、ごめんなさい! ……いや、あの時はたづなさんに会ってな……あっ」

 反射的に謝った神谷を、ポカンとした表情で見たフジキセキは、数秒後、肩を震わせて笑い始めた。

「ふふっ……あはははっ! まさか、数日前にこの話と同じようなことを君がしてただなんて! 偶然ってあるものなんだね!」

 大笑いするフジキセキに、神谷は下を向き羞恥心(しゅうちしん)から顔を真っ赤にしていた。

「冗談のつもりだったけど、思わぬ収穫かな。ふふっ……トレーナーさん。服の右ポケットを見てごらんよ」

 笑いすぎて目に浮かぶ涙を指で(ぬぐ)ったフジキセキは、神谷にそう告げる。彼は不思議に思いながらも彼女に言われたとおりに服の右ポケットを確認すると、そこには探していたトレーナーバッジがあった。

「!? えっ、なんでポケットにバッジが!?」

 驚きに目を白黒させながらも、嬉しそうな神谷を見て、フジキセキは頰笑みを浮かべる。

「ついさっきそこで拾ったんだ。落とし主さんにすぐ出会えるなんて、ラッキーだね!」

「ありがとう、フジキセキ!」

 そう声を弾ませるフジキセキに、神谷はフジキセキに向き直る。そして深く頭を下げて感謝の言葉を伝えた。

「どういたしまして。慌てている君の様子とか、襟にバッジがないところから、多分そうじゃないかなって思ってたんだけど……当たりでよかった!」

「ところで、いつポケットに……?」

 確かに何も入っていなかったはずだと、不思議そうな顔をする神谷に、フジキセキは悪戯(いたずら)が成功した子供のように無邪気(むじゃき)な笑みを浮かべる。

「さっきぶつかった時にちょっとね。手品は得意なんだ! びっくりしたかい?」

「ああ、びっくりしたよ……本当に」

 悪意のないフジキセキの笑顔に、心底安堵(あんど)したように息を()く神谷の様子を見て、フジキセキは肩を落として悄気(しょげ)てしまった。

「でも、少しおどかしすぎちゃったかな。普通に返すだけじゃなくて、楽しいサプライズにしたかったんだけど……ごめんね」

 そう言った後、申し訳なさそうにするフジキセキに、どうフォローしようかと神谷が悩んでいると、タイミング良く腹の虫が空腹を知らせた。再び襲い来る羞恥心に、神谷は顔を真っ赤に染める。

「ふふっ……。ねぇ、トレーナーさん。お()びにご飯でもどうかな? 今度こそ、トレーナーさんを楽しませてみせるよ!」

 そんな神谷の腹の虫に吹き出したフジキセキは、彼に手を差し伸べると一緒に食事をしようと誘う。

「むしろ、俺がフジキセキにお礼をしたいんだが……」

「それじゃあ、『私との食事に付き合う』のがお礼ということにしよう! さぁ、カフェテリアに行こうか、トレーナーさんっ」

 (まぶ)しい笑顔でそう言われてしまっては、神谷には次の言葉はなかった。結局、フジキセキの(てのひら)の上で転がされたような気がしつつも、神谷はフジキセキとの食事を楽しみに、カフェテリアへ彼女と一緒に向かったのだった。

 

 

 舟越トレーナーの長話からようやく逃げ出したヴァイスシュトルムは、予定していた時間から大幅に遅れてカフェテリアに来ていた。トレーニング後の疲労に加えて、無駄話に付き合わされた心労が加わり、さっさと食事を済まして寮に帰ろうと思っていたのだが、生憎カフェテリアは多くの生徒や教職員、トレーナーでごった返していた。

Scheiße(くそっ)

 舌打ちと共に小さく呟いたヴァイスシュトルムは、それもこれも舟越トレーナーのせいだと心の中で悪態(あくたい)を吐く。一通り悪態を吐き終わった彼女は、()いてる席を探してカフェテリアを見渡す。中々空いている席は見つからなかったが、運良く友人を見つけた彼女は、足早にその席に近づくと声を掛けた。

「フジキセキ! 良かったら相席しても……なんでトレーナーさんがここに!?」

 フジキセキの正面には、ヴァイスシュトルムが契約する予定の神谷トレーナーが座っており、フジキセキに手厚くもてなされていた。

「よう、ヴァイスシュトルム。こないだぶりだな」

 ヴァイスシュトルムに気が付いた神谷は、呑気に左手を挙げて挨拶してくる。そんな彼に習って、ヴァイスシュトルムへ振り向いたフジキセキの顔には、にやにやとした意地の悪い笑みが浮かんでいた。

 これはまずいと、ヴァイスシュトルムの第六感が警鐘(けいしょう)を鳴らす。この場に留まれば、間違いなくフジキセキのオモチャにされるのは明白だ。それならば、寮の食堂で夕食を済ませ、消灯時間まで部屋に引きこもった方が精神的なダメージは少ないだろう。そう一瞬で判断したヴァイスシュトルムだったが、彼女が動くよりも早くフジキセキは行動に移していた。

「トレーニングお疲れ様、ヴァイス。疲れているだろう? 食事取ってきてあげるよ、何がいい? にんじんパンEX(エクストラ)は外せないよね?」

 まさに早業だった。いつの間にかヴァイスシュトルムは着席させられており、フジキセキはヴァイスシュトルムの食事を取りに席を立っていた。

「……はぁ」

「ため息を吐いてると幸せが逃げるらしいぞ」

 にんじんパンEXを頰張りながらそんなことを言う神谷に、ヴァイスシュトルムは誰のせいでため息を吐いてると思っているのかと恨みがましい視線を送る。その視線に気付いた神谷は、手元のにんじんパンEXをヴァイスシュトルムから遠ざけるようにして隠した。

「そんな物欲しそうな顔をしても、このにんじんパンEXはやらんぞ!」

「いらないよ! なんで人の食べかけを欲しがらないといけないのさ!」

 思わず大きな声を上げて否定するヴァイスシュトルムに、カフェテリア中から視線が集まる。それに顔を赤くしたヴァイスシュトルムは、机に突っ伏すようにして顔を隠した。

「ただいま。ヴァイスが出会ったばかりのトレーナーさんともう打ち解けてるなんて、珍しいこともあるんだね」

 手に料理の乗った盆を持って帰ってきたフジキセキは、柔らかく微笑みながらそう言うと、ヴァイスシュトルムの前に盆を置く。もちろん、にんじんパンEXも忘れずに取ってきてあった。

「……Danke(ありがと)

「どういたしまして。ほら、冷めないうちにどうぞ」

 フジキセキに(うなが)されて、ヴァイスシュトルムはゆっくりと料理を食べ始める。その間、フジキセキと神谷トレーナーはたわいない会話を楽しんでいた。

「ところでトレーナーさん、さっきまで話していたことの続きなんだけど……」

「えーっと、ヴァイスシュトルムから逆ナンされたところまでは話したっけ?」

「ゲホッ! ゴホッ!」

 聞き捨てならない言葉を聞いて、盛大に()せたヴァイスシュトルムは、信じられないものを見るように目の前の二人を見る。右斜め前に座る心配そうなフジキセキとは対照的に、左斜め前に座る神谷は、心底呆れたような、残念な娘を見るような目をしていた。それを見比べたヴァイスシュトルムは、神谷の右(すね)を蹴り上げていた。

「ふんっ!」

「いってぇ!?」

 突然右脛を襲った激痛に、たまらず大声を上げた神谷は足を押さえて(うづくま)る。そんな彼に周りからの好奇(こうき)な視線が突き刺さり、神谷は羞恥心と痛みがごちゃ混ぜになった複雑な顔をする。神谷が右脛を急襲(きゅうしゅう)してきた張本人を見ると、食事を再開していたヴァイスシュトルムは拗ねたような横顔を見せていた。

 神谷が頭を掻きながらフジキセキを見ると、苦笑しつつもどこか楽しそうにヴァイスシュトルムを眺めており、その視線に気が付いたヴァイスシュトルムは、居心地が悪そうに椅子に座り直した。

 やれやれと自分も座り直した神谷は、ヴァイスシュトルムのご機嫌を(うかが)いながら、彼女たちとの(にぎ)やかな食事を楽しむのだった。

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