だが、『もし』勝っていたら?
そんなお話。
全てのものには、もしもの数だけ可能性がある。
私は人や物を見ると、きまって昔からそう考えているんだ。
たまたま買った宝くじで、1等が当たるように。
あるいは、好きだった相手と付き合うように。
1つ話をしよう。
とある国の、1人の政治家の話だ。
彼はとある土地の調査に同行した際、生死の境を彷徨った。
何が起こったのかは知らない。
持っていた水を無くしたのか、喧嘩でも起こったのか…
ともかく、彼以外は全員死に絶え、彼自身も死の淵に立たされていた。
だが、彼は生き延びた。
何があったかは…まあ、今はいいだろう。
今、重要なことはそこではないからな。
『奇跡が起き、彼は選ばれた』
そう認識してもらえればいい。
結果、彼以外は全員死亡。
事故があり、自分以外は流砂にのみ込まれたということになったらしい。
『もし』彼に奇跡が起きず、選ばれなければ…
間違いなく、彼自身も死に絶え、仲間と同じく流砂にのみ込まれていたことだろう。
これで理解できたか?
彼は、数ある可能性の中から、自分が生き延びるという『もしも』を引き当てることができた。
だが、同じ時間・同じ場所で別の『もしも』を引いた彼は同時に死に絶えたというわけだ。
そういう可能性の話だ。
…彼のその後?
彼はその後、突然のし上がった。
政治的手腕と人望、2つを兼ね備えた彼は、瞬く間に国のトップまで上り詰めた。
そして、彼は国のトップに立った時、国を横断するという大規模なレースの開催に協力することにした。
レースを使って、とあるモノを手にするために。
…とあるモノの正体?
ダイヤモンドだ。
それも、それ1個で国が買える程に大きく、純度の高いレベルのものだ。
華やかなレースの裏で、彼は多くの敵対する者達と戦いながら、集めていたらしい。
まあ色々あって、敵対する者達を始末し、それを手に入れた。
私自身も見させてもらったよ。あれは中々に見事なものだった。
「それがどうした?」 …リアス、少しは君の隣で私の話を聞く姫島を見習ったらどうだ?
大体、私がおしゃべり好きなのは君が小さい頃から知っているだろう?
君はどうにも、結論を急ぐきらいが…ああもう、わかった。
彼には奇妙な力があるそうだ。
いや、正確には『資格がある』そうだ。
彼がダイヤモンドを集めていた時のことだ。
彼の前に『別次元の彼』が現れた。
…おい、「コイツ大丈夫か?」みたいな顔をするんじゃあない。
君の幼馴染は頭の調子も含めて良好だ。
「なら、缶ジュースにペンを突っ込んで飲むのを止めろ?」それは無理な相談だ。
あの飲み方が1番美味しい。
祖父直伝の飲み方だよ。
まあとにかく、別次元から来たと名乗った彼は、自分にとてもよく似ていたらしい。
そして、こう言ったそうだ。
『私は、君がダイヤモンドを求めるように、あるモノを求めている。もし、私に何かが起これば、迎えをやるので、私に代わって探してほしい』
彼はどう答えたと思う?
断った? 普通ならそうだろう。
だが、彼は二つ返事で頷いたそうだ。
そう言う男の気持ちが、どういうわけか、彼にはよく理解できたらしい。
結局、その男が現れることは無かったそうだ。
…探しモノが手に入ったから?
彼もそう言っていたが、私は逆だ。
誰かに掠め取られ、始末されてしまった。
そう思っている。
まあそんなことはいい。
大切なのは、彼に奇妙な力の資格があるということ。
彼の聞いた話では、男は『隣の世界を行き来できる』んだそうだ。
つまり、『もしも』の数だけ世界を渡ることができる。
そして、その力の資格は彼も持っているらしい。
奇妙な話だろう? しかし、しっくりくる。
それが事実ならば、なるほど彼が出会った人物は別の世界の彼自身、ということになる。
「つまり?」…つまり、『もしも』祖父や私の父には目覚めなかった力が、私の代で目覚めたとしたらどうする?ということだ。
「目覚めたのか?」…リアス。信愛なる我が幼馴染。あまり言いたくはないが、君こそ頭の調子は大丈夫か?
『もしも』だと言っただろう?
いわゆる貴族思想的なモノに興味が湧かない、柔軟な発想のできる君のことが好きだが、あまり心配させないでくれないか?
痛い痛い。
拳を振り回すんじゃあない。わかったわかった、私が悪かった。
すまない、謝る。
今度君の好きなスイーツでも差し入れる。だから止めてくれ。
やれやれ。それで、どうだ?
「どんなになってもアルフはアルフ?」嬉しいことを言ってくれるじゃあないか、リアス。
君の許嫁の…なんだったか? そう、ライザー・フェニックスだ。
あの鳥頭にやるには惜しい。
「実際はどうか?」さあ、どうだろう? まあ少なくとも、彼には資格があった。
もしその資格が遺伝するのなら、私にも資格があるのだろう。
「彼の名前?」話していなかったか?
そうか、まだだったか。
それは悪いことをした。
彼は第23代アメリカ合衆国大統領にして、私の祖父。
ファニー・ヴァレンタインだ。
覚えておいて損はない。
世界史では確実に出てくるだろうしね。
これは、とある『受け継いだ』男の話。
「その力は何に使ってもいい、ただし…自分の中に正義を持て」
「正義?」
「そう、正義だ。何が起ころうと、その正義を信じろ。わかったか? アルフレッド」
「わかったよ、ファニー爺さん」
彼は、受け継いだ力でどのような正義を成すーー
ハイスクールD×D fight in the cause of his justice
Not continue…