歩みを進める事に、憎悪が膨れ続ける
”本日の中山競馬場、皐月賞を狙うウマ娘たちの熱き死闘が繰り広げられるでしょう”
触れるものは顔面に蹄の跡を残した
気に入らないやつなら踏み潰してきた
つまらないやつなら蹴り飛ばした
”今回の注目はBNWのウマ娘たちですかね?”
体が小さいからと、馬鹿にした奴
それ故に、足が遅いだろうと適当抜かす奴
”Bのビワハヤヒデ、Nのナリタタイシン、Wのウィニングチケットですね!”
全部あのクソババアと同じことを繰り返し言いやがって
”はい、では各ウマ娘の様子を見て見ましよう”
認めろよ、ドンくせぇヤツら
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『なんでぇ……体小さいのよ、タイシン』
吐くニコチンの白煙が言葉を含めてタイシンの肺を犯す
『ゲホッ、ゴホッ……煩い、あんたが産んだんで────』
『この駄バ!親に向かってその口はなんだい!!』
怒号が煙管から這い出でる白煙と共に襲う
わたしは必死に口元を覆った
『……ごめん、なさい』
『最初から言わなきゃ良いんだよ!こんなに小さかったらあんたなんて産むんじゃなかった!他所のとこじゃ駄バを産んだ毒親とか言われてる始末よ!!!』
そんなこと、知ったことではない
『ごめんなさい……っ!』
『謝ることしか出来な────何よその反抗的な目は!!』
無意識に睨んでいた自分を憎んだタイシン
目の前の女性は、【花売り】をしていた
バラを売ったり、開店時の花を売るお花屋さんでは無い
例えば、トイレに行く時に『花を摘んでくる』と言う
【花摘み】がトイレなら、【花売り】は?
『この────……』
スマホから1本の電話が鳴り、振り上げた腕を下ろす女性
『チッ!はい、もしもし!?……っ、…………客ね、分かったわよ!』
電話を切り、ベッドに投げると散らかった部屋を片付ける
『タイシン、あんたも手伝んなさいよ』
『…………はい』
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死ねばいいなんて、チンケな言葉を送るつもりは無い
私が死ねばいいのに、そうすれば苦痛なんてなかった
皐月賞────ここまで来るのに随分と手を汚してしまった
親の姿はないが、全て親に見えてしまう
それだけ、根付いたのだと思う
毒が
手に
「BNWー!頑張れよー!」
「チケゾー!魅せてくれよー!」
「ビワハヤヒデ頑張ってー!!」
「おい、駄バ」
観客の言葉に紛れる、覚えのある声
「クッ、ソババ────」
「何か言ったかい?まぁ正直、あんたが皐月まで来てるのはびっくりしてんのよ」
見たくない顔で
聞きたくもない雑音で
語りかけるな
「勝ちなさいよ、あんたみたいなの需要ないから。稼げるだけ稼ぎなさい」
見えない毒のような煙が、肺から脳髄までを犯し
目の前を、黒く濁した
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”ナリタタイシン!ナリタタイシン1着!!物凄い末脚でしたね!!”
黒の世界ではゴールと毒しか見えなかった
「ふん、負けたか」
Bは口元をニヤつかせ、結果を受けいれた
「……」
Wは眼光鋭く、黙していた
「やるじゃん、駄バ」
わたしはみとめられた