王直属護衛軍が余の胃を殺しにきてる 作:小指の魔術師
一応次話投稿。
私がこの作品を上げたのは次の理由がある。
①.肥やしするのがもったいないと思ったから。
②.HUNTER × HUNTERの二次小説が増えたらいいなと思ったから(あわよくばキメラアントに焦点が当たったもの)
③.ノリと勢い。
結果、思ったより小説は増えなかった。泣いた。良作増えて……
頭部にターバン、全身を覆うコート、尾は腰に巻いてサイヤ人スタイル。やや腰周りが膨れてもこのコートなら不自然には見えないだろう。そもそも少し奇妙な格好をしているからと言って注目されるくらいならヒソカのような奇人が出歩くことは出来ないだろう。
護衛軍もじっくり見られない限り疑いを持たれることは無いと思われる。案外人は他人に興味が無い。問題ない範囲だろう。念能力者はプフによって予め知覚される。最低限の対策も出来てる。
パームのような索敵監視に特化した念能力者くらいだろう注意する存在は。現状私たちの存在は露見していないのだから気を張る必要も薄いが。
「これより人間の街の調査を開始する。まずはプフによる索敵だ。脅威となるのは
念能力者の確認は《纏》から推測する。具体的にはオーラの偏りがあるか、頭上に立ち上るオーラの具合はどうか。如何に巧妙に隠せているかでこれの手腕の程も推察出来る。見破る前提で説明をしたが、プフなら十分可能だろう。
「
「可能であればお前の鱗粉で情報を抜く。マーキングを施せ。仲間の有無、数、配置。聞くことは多い。全て聞いた後、解放する」
「何故でしょう? 始末した方がこちらの情報の漏洩のリスクが減らせますが」
「明確な敵対行為をしない。そういう方針に定めたはずだ」
やはりプフはそういう提案をするか。私の方針のスレスレを通り、抜け道を探していると言ったところ。人間を害する許可を得れば水を得た魚の様に動くだろう。いや許さないが。
「差し出がましいまねをしました」
「よい、そうあれと言ったのは余だ」
「寛大なる慈悲に感謝を」
散らばるミニマムなプフを見送り、再び思案する。
目標は生存、これに限る。だがこれは同時に原作を覆すことに繋がる。メルエムはネテロと相討ちになる運命だ。そしてその後にネテロの死は次のストーリーへと繋がるトリガーになる。
主人公であるゴンだけじゃない、レギュラー陣全員の運命が大きく変わる。個々人の死やら幸不幸の上下だけならば私もさほど気にしない、私の個の力で幾らでも覆る。
問題はもっと大きい所にあって、下手を打てば人類滅亡とか冗談では済まなくなる。
王位継承、そして暗黒大陸。五大厄災だけならず、更なる厄災を持ち帰る可能性。頭が痛くなる話がこの先にはある。
だがそれはまだ先の話か、ゴンさんやネテロと言う脅威をどう打ち払うのかが目の前の難題。別に倒さなくともいいと言うのが唯一の救いだが。どっちも時限爆弾だと言うのが如何ともし難い。爆弾処理班を呼んで欲しい。
転生したカイトも爆弾かもしれないと思うと瞳が澱む。ピトーに謝らせて私も頭を下げたら許して貰えないか。
「どうかにゃプフ。
「隠密での調査ですから少々手間取っています。見つかってしまえば我々の存在が露見しますからね」
拳大にまで縮んだプフが情報を統合しているが、全くどんな頭があればあの数の分身の情報を整理出来るのか。分身毎に提出する情報を絞っても相当の量の筈だ。もしかしてメルエムの脳なら私でも可能だったりするのか?
そう思いつつユピーとオーラで手遊びをしている。どうだ私の作ったイライラ棒ステージは。フラストレーションがドンドン溜まるだろう。《凝》を絶やすと《隠》を見破れず壁に当たり、集中力を切らしただけで道を通る棒の太さが大きくなる。
まさに集中力と根気の勝負。
「どうしたユピー、終着点までまだ先だぞ」
「グ、グギギ」
細かいオーラの操作で棘が生えたり、道が回転したりとイライラポイントには事欠かない。ユピーも難しくなり始めた中盤で大きく停滞している。
「王よ街一帯の索敵を終えました」
「そうか早かったな。ユピー、児戯は中断だ」
街と言ってもそこそこの広さ、ものの数十分で敵にバレずに探りを入れられるのは驚異的だな。
「報告を聞こう」
「端的に申しますと何人か念能力者が居りました。ですが組織的な動きは見えず、それぞれが別個で活動している模様」
「何をしていた? その念能力者の目的は?」
「特別なことは何も、ただその他大勢の人間に紛れて生活をしていました。目的はこれといって見受けられませんでした」
NGLからそれほど遠い場所でも無い街で念能力者が暇をしているのは妙だな。ハンターじゃない可能性もあるが、少なくとも一般人じゃないはずだ。それに複数人居るなら尚更きな臭い。念能力者はポンポン居るような人種じゃない。
「ただ全員働いているようには見えません」
全員ニート。いやそんな事有るか、有るのか?
少なくとも全員は可笑しい。一人二人なら休日を過ごしているで済むが全員はいくら何でも不自然だ。
「恐らく街の住民では無いのでしょう。観光客か、何かしらの依頼によりこの街に居るのか」
「王を警戒していると言うよりも、ボクたち蟻自体を警戒していると言うことかと」
NGLの住人が食い尽くされた時は周辺に蟻が飛ぶだろうからって事か。ヂートゥが暴れていた時は普通に警察が対応していた気がするし、その後モラウたちが追っていたと記憶しているが。もしかしたらヂートゥの速度のことだ、こう言った包囲網を抜けていったのかもしれない。
さて取り敢えずその念能力者たちを包囲網を敷くハンターだとしよう、どうしたものかな。欲を言えば情報を抜いて包囲網を脱したい。けれどこのまま逃亡を続けても直ぐに限界が来る。そもそも今後の事を考えて立場をもっと明確で地に足の着いたものにしたいのだ。
だが私は人を食い荒らす害虫の王。コルトのような師団長とは訳が違う。でも肉樹園とか作る気はないからどうか許して欲しい。王様辞めれば全くの無罪だぞ私は。
辞められたら、だが。
残念だが王は辞めたくて辞めることは出来ない。既に本能により私が王だと刷り込まれているし、蟻たちもそう認識させられる。もう操作系能力並だ。逆らえたらこんな口調になっちゃいない。
まず護衛軍の忠誠心を突っぱねる勇気がない。蟻化したパームでさえ王の存在を蟻として認識している辺りどれほどの影響力か分かる。
話が脱線したが、要は此処が岐路の一つだ。逃亡して終わりが見えない暗闇を進むか、交渉して明日を照らす光を得るか。もっとざっくり言うと問題から目を背けるか否か。
私は後者を選びたい。しかし王として褒められた事じゃない。だから護衛軍の反発が怖い。結局は私が臆病なだけなのか。
「念能力者と接触する」
「捕えるのですか?」
「当初計画した通り情報を抜く。だが決して殺すな」
正直情報が無さすぎて色々と予想出来ない。けれど手をこまねいて居る暇もない。此処で一歩踏み出そう。護衛軍の人間への嘲りも実力者の存在で矯正できる、時間の問題だ。プフの暴走も私が常に牽制する手をとる。ネテロとゴンさんはもうなるようになると前向きで前のめりで行く。
服装を正して街に入っていく。外観はリゾート地らしい場所だ、流域の広い河が血管のように株分けされ街の至る場所に水路が出来ている。血腥いことは無さそうだ。これからもそうある事を願う、せめて私がいる間は。
しばらくぶらぶらと歩いていても視線をこちらにやる人間は居ない。溶け込めているんだろう。念能力者が居なければ《絶》で行動するんだが、どうやら居てもいなくても必要なかったらしい。
護衛軍も各々人間の暮らしに興味津々の様子。文化的暮らしとは掛け離れていたな今まで。家は土と岩で雑に作られた巣、食事は人間のミンチ、服装は外殻だから粗全裸のようなもの。衣食住全て劣悪で涙が出る。
本来なら店に入って人間の食事をさせてわからせたい所だが、残念な事に金がない。無銭飲食するわけにもいかず断念しよう。資金調達のために天空闘技場にでも行きたい所だな。
遠回りして孤立した念能力者にじわじわ接近する。真っ直ぐ向かうと即バレする恐れがある。目標は呑気にカフェテラスで茶をしばいてるがな。
風上に陣取り鱗粉を飛ばさせる。
「催眠に掛かりました」
向かいの席に座ると目の据わった男がボーッとしていた。確かに操作出来ているようだ。冷めかけのコーヒーが香るな。私も一杯頼みたいが目の前の此奴持ちで頼めないか、止めておこう普通に可哀想。
「お前はハンターか?」
「はい」
「此処には何のために来た?」
「キメラ=アント、の、かか、確保ほ」
確保? 駆除じゃなく?
「人数と配置は?」
「各街に、にに4人、外にも、4人」
多いな。これなら単独行動する自称王の師団長程度なら捕まえる事も可能か。だが駆除じゃない点が気になる。蟻の危険性を見誤っているのか?
「指示を出した者は?」
「パリ、ストン=ヒル」
不味ったかもしれない。
「お前は協専ハンターか?」
「はい」
不味ったな。ややこしい登場人物が増えた。そうかパリストンと来たか。キメラ=アントの確保という事は私兵にする気なんだろうな。従わなければ殺すか操作すればいい。ネテロ側への人材を絞ったのはこういう理由でもあったのかもしれん。
大きな問題が出来た。パリストンは策略に長けた男。もしかしたら私の動きも計算の内かもしれない。
ユピーに念文字で指示を伝える。『盗聴や盗撮の疑いがある調べろ』
《凝》練習の成果が出たのかユピーは念文字に気付いた。文字が読めたのがまず驚きだが。
ボタン、襟袖、タイピン、帽子裏。これら全てに盗聴器が出てきた。探せばもっと出てきそうだからもういい。たぶん本人今ニッコニコだろうなぁ。
兎も角此処に長居出来ない事が分かった。無言で立ち上がる。音はなるべく立てないようにゆっくり。盗撮用のカメラはなかったから人数まではバレてない筈だ。そう思いたい。
次はプフに念文字で指示を送る。『分身を用いて余の声帯を模し会話を続けろ。街を脱した時に可能な限り記憶の改竄を試みろ』この二つ。時間稼ぎ位にはなると信じよう。
【おかしも】と【いかのおすし】を守って避難だ。慌てず急がず、こういう時でも目立つ行為は御法度だ。飛ぶのは論外、走るのも目につく、こういう時にノヴの有能さが際立つ、一度出向く必要があるが敵に悟られず移動出来る。ピトーと合わせないようにすればハゲる事は防げるか。
結局逃亡を選んだが、これは仕方ないと思う。ネテロを呼び付けて決着を急ぐ事も考えていたんだが、恐らく協専ハンターだと繋がる先はパリストンになる。それは絶対避けたい。
おもちゃにされるのは御免だ。
嬉々としてネテロに嗾けそうだし。
出口までやって来たものの、私の鋭い感覚器官はそこに誰かが居ることを示唆する。よく考えれば分かる事だが、街の中に居ることが分かった時点で現場に急行するより出入口を張った方が確実だったな。
全て裏目に出ている気がする。
「逃げるのも飽いた」
自分の内に閉じこもってドツボにはまるのは私の悪い癖だ。こういう時はいつもシンプルに考える。当たってぶち壊すか、当たって砕けるか。
「向かってくると言うなら止めぬ」
堂々と出口まで歩いていく。護衛軍も後ろに続き何時でも戦える態勢に入る。
《堅》
大量のオーラを放出し纏う。今の私は『百式観音』でも痛いで済む。何でも来い。七面倒臭いギミックでも無ければと形容詞がつくが、凡そ何でも来い。
しかし待てども待てども来ないな。流石に迎撃の準備が出来ている相手には攻撃しにくいか、それとも奇襲に有利な念能力だったのか。一度此方から仕掛けるか、威嚇射撃の様なものだ。
場所を《円》で探る。塀上に2名、正面奥に1名、囲うように4名。カフェテラスに居たハンターを除いて全員揃っている。思ったより統率が取れているな。
ターバンを外し《周》でオーラを通す。棒のようにピンと張り、そして投擲する。目標は正面奥の敵の手前、あくまで威嚇射撃として放つ。あわよくば降伏してくれ。
「フッ!」
一息で接敵……。
「気絶している、だと?」
泡吹いてる。白目剥いて、髪も抜けて残った髪も白くなっている。あと仄かに臭うアンモニア臭。完全にノヴってる……
塀上も! 囲っていた敵も! 全員ノヴってる!?
「恐れながら申し上げます。王の力、軟弱な人間が触れたならばこうなっても不思議では無いかと存じます」
「恥ずかしながら私も肌で感じ、身を震わせました」
「王、全員の拘束が終わりました」
やはり空回る。こんなつもりじゃなかったと言う結果になる。何故だ、分からん。
正直オリ主のキャラが定まらない。数年前に書いたものだからしょうがないけど、当時の記憶が薄い。
感想、評価、しおりどうもありがとうございます。
同志が居てくれて私は嬉しい!
でもなんでハンタ小説は増えないんだ? 不思議だなぁ?