サムライミ版のピーターに憑依した男っ!!   作:紅乃 晴@小説アカ

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最終話

 

 

「パーカー・エレクトロニクスとはまた大層な名前をつけたものだと思ったが、叔父のベン・パーカーの死を悼んでつけたというなら話は別だな!見出しはこうだ!若き天才!最愛の叔父の死を乗り越えて立つ!パーカー・エレクトロニクス、オズコープへ反撃!」

 

「編集長、オズコープは来週には倒産記者会見を行う予定ですが」

 

「まだ倒産してないから問題ない!倒産したら完全勝利の見出しも出せるから二度美味しいからな!新聞の売り上げも二倍だ!」

 

 

うわ出た、生のJ・K・シモンズだ!じゃなかった、J.J.ジェイムソンだ!新たに建設されたパーカー・エレクトロニクス社の自社ビルは、ミッドタウン・イーストの5thアベニューの近くある。地理的にいうとセントラル・パークや、ロックフェラー・センターが上階からすぐちかくに眺められる立地だね!!オズボーンさん、よくこんな土地を押さえられたな……借用費用はいくらくらいで……え?買い切った?権力が失墜した富豪の持ってた土地を買って、ビルをぶっ潰して建てた?あっ、そうですか。

 

で、今日はビルの竣工記念と、P.E社本格始動の記念式典があり、記者会見も予定されている。ハリーやグウェン、オクタヴィアス夫妻もフォーマルな格好をしている。で、その記者会見にきたデイリー・ビューグルを眺めている……というわけではない。

 

 

「編集長、奥様からカーペットの色はどれがいいかの連絡が来てるんですが」

 

「安い色で決まってるだろ!」

 

「あー、ピーター?これはちょっと悪手だったんじゃ?」

 

 

P.E本社ビルの25階。そのワンフロアは「デイリー・ビューグル、P.E支社」と名を打っているのだ。つまり、このフロア全てがデイリー・ビューグル専用のものとなっている。コーヒーメイカーや昼食エリア、その全てがデイリー・ビューグル色に染め上げられているんだぜ。

デイリー・ビューグルの本社もミッドタウンにあるのだが、向こうのビルは建築年数も結構経っていることもあって、印刷機などの生産設備を残して編集部はP.E支社に移していたりする。

 

なので、あのクッソ騒がしいJ.J.ジェイムソンが常にこのビルの25階にいるということだ。ファンである俺からしたら一日中眺められるが、ハリーやオクタヴィアス博士は怪訝な表情を浮かべていた。

 

なので、改めて説明をしよう。なぜスパイダーマンのネガティブキャンペーンと書いてデイリー・ビューグルと読むような新聞社を自社ビルの中に招いているのか?

 

 

「うちの会社もデイリー・ビューグル主催のネガティブキャンペーン被害者の会になるのはそう遠くない未来でしょ?だったら身内で囲っておいたほうがいいさ」

 

「まさかJ.J.ジェイムソンを広報部長に据えるとは……」

 

 

オクタヴィアス博士が遠い目をしながら呟く。そう!なんと俺がJ.J.ジェイムソンを我が社の広報部長へとスカウトしたのだ!といってもデイリー・ビューグルと兼任で、どちらかというと顧問的な意味合いの方が強いけどね!

 

デイリー・ビューグルはタブロイド紙だけど影響力はニューヨーク・タイムズにも負けてないからな。情報発信をするなら根元から招いた方が色々と楽じゃん?コラそこ、癒着とか言わない!

 

 

「しかし、よくジェイムソンが引き受けたな?どんなマジックを使ったんだ?」

 

「あー……マジックというか、偶然というか」

 

 

ちなみにJ.J.ジェイムソンと俺は個人的な親交があったりする。え?どこでそんなイベントがあったか?偶然通りかかったところで強盗事件が起こっていて、綺麗なマダムを強盗から助けたのだが、そのマダムがJ.J.ジェイムソンの奥さんだったわけだ。

 

お礼にと家での食事に招待されて、断るのもアレだったので行ってみるとなんとそこにJ.J.ジェイムソンが!!飲んでたコーヒーを俺にぶっかけるように吹き出して「パーカー!?」と驚かれた。

 

それからは編集長ではなくJ.J.ジェイムソンとして色々と交流をしたりしなかったり……具体的にいうと、奥さんの金の無駄遣いへの悩みだったり、優秀すぎる息子に父としての威厳を示せているかという悩みだったり……あの、俺まだ19歳なんですが……あ、そう見えないですかそうですか。

 

と、そんなわけで今回の話もJ.J.ジェイムソンにすると二つ返事で承諾。オフィスの引越しをなぜか手伝わされたけど無事に我が社へ招き入れることに成功したのだった。

 

その話を聞いたグウェンは「ピーターってマダム好き?」ってボソッと呟いていた。やめてくれない!?もしそれJ.J.ジェイムソンに聞かれたら俺は火星の裏側までぶっ飛ばされるか、デイリー・ビューグルの全ての力を使われて社会的に殺されるから!!

 

 

「パーカー!そろそろ記者会見の時間だぞ!」

 

「わかってますよ」

 

 

広報部長として出席するJ.J.ジェイムソンに連れられて記者会見場へと向かう。

 

 

「なぁグウェン……ジェイムソンとうまくやってけるの、ピーターくらいじゃない?」

 

 

そんな姿を見送ったあと、ハリーとグウェン、オクタヴィアス夫妻はコソコソと話始めた。

 

 

「それ言えてるかも。オクタヴィアス博士は?」

 

「あー、パスだな。たぶんノーマンも」

 

「すでに被害者の会のメンバーだもんねぇ」

 

 

ちなみにノーマンも被害者の会のメンバーの一人です。

 

 

 

 

 

 

『では、新会社に関する説明は以上となります。記者の方で質問などはありますでしょうか?』

 

 

10:00から始まったP.E社の説明記者会見は問題なく進んでいた。基本的には代表取締役に就任したノーマン・オズボーンが喋っていて、技術顧問とした俺とオクタヴィアス博士、企画部のメンバーとしてハリー。特に役職を持たなくてもとりあえず席が用意されたグウェンも壇上に上がっている。

 

P.E社はアークリアクターを前面に出したエコロジー企業だ。ほかにもコクピットモジュール技術や、オクタヴィアス博士の義手技術、ロージーの素材開発などなど、話題には事欠かない。

 

そんな企業説明を終えて各記者達(50%はデイリー・ビューグル)の質疑に答えていると、ある女性記者が手を挙げた。オズボーンさんが彼女を指名すると、凛とした佇まいで彼女は立ち上がる。

 

 

「USAトゥデイのマーガレット・デリーです。先日のウルトロン・オートマトン事件についてですが、ウルトロンと戦ったフォースメンで、そのメンバーの一人が貴方ではないかと噂されてるのですが?」

 

『なかなかファンタジーな事案を追っておられるようですが、私は当時はオズコープに拉致監禁されていた身です。貴女の質問のようなスーパーパワーを持っていれば拉致や監禁といった目にはあってなかったとは思います』

 

 

次の質問を、といってはぐらかすオズボーンさん。内心バクバクである。ウルトロン・オートマトンで、ウルトロンのロボット軍団と戦った俺たち四人は、巷ではフォースメンと呼ばれていて(ファンタスティック・フォーとかじゃなくて良かった……)、そのメンバーが我が社にいるという憶測が飛び交っているのだ。

 

まぁオズコープの大スキャンダル事件だったし、監禁されていたオズボーンさんがさっさと立ち上げた新会社でもある。なにか疑われても仕方ない。

 

 

「では、続いてパーカー・エレクトロニクス社の技術顧問であり、アークリアクターの開発者の一人でもあるピーター・パーカー氏にお話をお伺いします」

 

 

司会進行役のデイリー・ビューグルのペギーに促されて席を立つ俺。俺が話す内容は主にアークリアクターをどう有効活用して行くかという話や、リアクター稼働で出てしまう廃棄物、酸化イオンをどう再生して有効活用するかなど、オズボーンさんでは答えられない内容がメインだ。席に戻るオズボーンさんからは「ピーター、原稿通りに」と、準備された原稿を渡される。進行についてはこの通りに読むだけ。余計なことは言わない。うむ、簡単なお仕事だ。

 

 

『えー、お集まりの皆さん。本日は、パーカー・エレクトロニクス社の説明記者会見に参加していただきありがとうございます。弊社の技術顧問としてこれからは多くの環境問題や課題に……』

 

「パーカーさん、貴方は蜘蛛男なのですか?」

 

 

この記者心臓強いな!?ていうかフォースメンとまとめて呼ばれてるけど、それぞれ愛称があるの?蜘蛛男って安直すぎない?これだからニューヨーカーは……masked riderに出てくる怪人じゃないんだしもう少し捻りとかないの?そんなことを思っていると広報部長の席に座るJ.J.ジェイムソンが女性記者に向かって吠える。

 

 

「よさないか!君!次変な質問をしたらつまみ出すぞ!」

 

 

それでいよいよ分が悪いと悟ったのか、その女性記者は押し黙る。オズボーンさんから「続けて」とアイコンタクトが送られてきて、俺は原稿に視線を落とした。

 

 

『えー、あー………』

 

 

どうしたもんかと顔を上げる。

 

そこで俺は目を疑った。会場の最後尾にある席。招待したメイおばさんが座っている席の真後ろに……ベンおじさんが立っていた。おじさんは優しく微笑んでいて、壇上に立っている俺を見つめている。

 

『忘れるな、ピーター』

 

どこからか、そんな声が聞こえた。目を瞬かせて同じ場所を見た。そこにはメイおばさんしかいない。おじさんの姿はもうなかった。

 

けれど……。

 

 

『大いなる力には、大いなる責任が伴います』

 

 

僕は原稿を下げて、まっすぐと記者の人たちを見据える。ピーター・パーカーはずっと真実を隠して戦っていた。どんなときも、どんな世界でも。

 

君はなぜ、戦い続けるのか?

 

愛をも捨てて、友も捨てて、すべてを捨てて。

 

命をかけて、戦い続ける。

 

けれど、それが多くの人を傷つけた。

 

正体を隠すという選択を選んだことで、多くのものを取りこぼしてきた。

 

スパイダーマンは、ピーター・パーカーという個人を覆い隠して責任を背負うヒーロー。

 

それ自体が、大いなる力で。

 

大いなる責任だ。

 

だから……。

 

 

 

『僕がスパイダーマンだ』

 

 

 

その発言で、記者が総立ちになった。

 

ハリーは呆れ顔で、グウェンはやっちゃったと言う顔で、オクタヴィアス夫妻は「やっぱり」という顔で、オズボーンさんはどこか困ったような顔をしていた。

 

これから大変なことになる。

 

でも、俺は明かそう。

 

その全てを。

 

今度こそ、なにも失わないために。

 

 

 

 

 

 




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