サムライミ版のピーターに憑依した男っ!! 作:紅乃 晴@小説アカ
時は戻って数ヶ月前。
パーカーショックによる情報錯乱も落ち着きを取り戻し始め、デイリービューグルはいつも通りに営業を再開。各新聞社やメディアも執拗にパーカー・エレクトロニクス社の報道を追うことをやめていた。え?なぜそんな簡単にやめたかって?
それは俺が研究に行き詰まりすぎて錯乱しかけたオクタヴィアス博士をたぶらかし……ごほん、説得して、小型化したアークリアクターの開発と腕時計型のデバイスを開発し、そのデモンストレーションをやったからである。
もちろん、発表してもいいよね?ってオズボーンさんにも確認は取ったし、外観はいつも通りハリー・オズボーンの力作デザイン。研究者のノリと勢いは恐ろしいもので、デバイスが出来上がった時は「勝ったな!!ガハハハ!!」とオフィスでみんな巻き込んだ打ち上げをして、そのままデモンストレーションの会場と記者会見場をオズボーンさんが押さえて、翌日二日酔いで痛む頭を抱えながらやらかしたことにも頭を抱えてしまったのだった。
パーティ前に1人冷静だったグウェンが「嫌な予感がする」って言っていたけどその予想は見事的中することになる。
そもそもパーカー・エレクトロニクス社はエコロジー企業である。
電子端末メーカーじゃ無いし、オズボーンさんの起業方針では当面アークリアクターを活用した南極発電所を建設し、海底パイプで全世界へのエネルギー供給網を広げていくと言う企業戦略だった。
肝心のアークリアクターはすでに実用段階一歩手前で毎分2.5GJの発電量を達成。サイズは少しアップしてしまうが、廃棄物はリサイクル可能な代物なので従来のシステムよりもクリーンなエネルギー供給が可能となっている。
発電時の熱エネルギーもないので土地が有り余っている南極の一角に研究所を設けてついでに大規模発電施設も作ってしまおうと言うプロジェクトがようやく始まり出したタイミングで……俺がデバイスを発表してしまったのだ。
だってしょうがないじゃーん。アークリアクターの目標までの目処付けは終わってるから、あとはストローム博士とかにぶん投げて改良型のロールアウトお願いしてるし、オクタヴィアス博士もハリーも改良型の開発とかやる気おきねぇって好き勝手開発し始めるし。じゃあ俺も開発しちゃおっかな★って手を出したら、この有様である。資金提供を申し出る書類の山を見て頭を抱えるオズボーンさんの姿はどこか珍しかった。ほんとすいません、強く生きて。
で、俺発案、オクタヴィアス博士&ハリープレゼンツで開発した腕時計デバイスはまさに画期的で、光学モニター搭載。タッチパネルでの操作や時計だけではなくメールや通話、健康管理やマップ機能などなど……スパイダーマンスーツで開発したあらゆるガジェットを詰め込んだ夢のツールになっている。時期的にサムライミ版スパイダーマン1の終盤である。うん、完全にオーパーツですね!!
それを一般市場に流したらどうなるか?まぁ、とりあえずパーカー・エレクトロニクス社の製造ラインは死んだよね。
各国から受注が殺到。テストロットもすぐに底をつき、次回ロットの製造も予約でいっぱい。国営機関への販売で留めたけど予約は3年先まで埋まっていて、それを聞いた時は変な笑いが出たわ。バージョンアップとかしたらどうなんだ?って聞くと、ハリーは「加減しろ馬鹿」と頭をひっ叩いてきた。酷い。
そんなわけでしばらくは迂闊に何も作るなと厳命されたので、暇を持て余すことになった俺とオクタヴィアス博士とハリー。
ハリーはMJと卒業旅行でヨーロッパに行っちゃったし、マブダチになったフラッシュはアメフトのプロリーグに合格してクソ忙しくてあんまり会えてない。ちなみにプロリーグ合格記念パーティに招待されて行ったんだけど、パーカー・ショック直後だったのでえらい目に遭った。フラッシュ、「スパイダーマンとマブダチなんだぜ!」って肩組んで写真撮りまくってたなぁ。まぁ事実だからいいんだけど。
自粛期間、何しようかと思ってたけどオクタヴィアス博士が暇だしバイクでも作るかって言い出したので「じゃあアークリアクターで動くエンジンからだな」ってなって、エンジンからフレーム、バッテリー関係も全部改良しまくってとんでもねぇバイクが出来上がった。
性能?オズボーンさんにプレゼンしたら「絶対公表するな、いいな?絶対だぞ」って釘を刺されるレベルです。
まぁ無補給でアメリカ東海岸から西海岸までを四往復できるカタログスペックだから仕方ないね!!(四往復も動力よりもフレームや消耗品が死ぬから)
それで、出来上がったバイクの試乗でオクタヴィアス博士と2人でアメリカ横断旅行を決行。ロージーとグウェンも誘ったけど、オズボーンさんの補佐で死んでるから無理と断られちまったぜ。
2人でぶらりロサンゼルスまでの道のりを向かってる最中、オクタヴィアス博士がハイウェイで出来ている人だかりを発見。何事かと見に行ったらクレーターがあった。屈強なトラックの運ちゃんたちや、ライダーたちがクレーターの真ん中にある〝ハンマー〟を持ち上げようと四苦八苦している。げぇぇ!!それって、あれやん!雷の神様のハンマーやないかい!!
事情を聞くと、先日、スタン・リー似のおっちゃんのトラックの荷台をぶち抜いてハンマーが落ちてきたみたいだ。で、大渋滞の中、トラックの運ちゃんたちがクレーターの真ん中にあるハンマーを発見。持ち上げようと奮闘していたようだ。
それって選ばれし者しか持ち上げられんハンマーなんだよ……、俺は異世界転生トビー・マグワイアピーター・スパイダーマンなのでたぶん持ち上げられません。というか世界観どうなってるの?ここってサムライミ版スパイダーマンじゃないの?まぁもう全部ぶっ壊れてるとは思うけどさ!!
と、そんなことを思っていたらオクタヴィアス博士が軽々とハンマーを持ち上げてました。はぁ!!?なんで博士持ち上げられんの!?
ソーのハンマーを持ち上げたことで運ちゃんやライダーたちが大はしゃぎ。みんなで写真撮って、オクタヴィアス博士はとりあえずハンマーを元の場所に戻しました。
えぇ……なんで持ち上げられたの。あれか?トリチウムの研究が終わってアークリアクターもできたから野心がなくなったんか?いや、義手開発で毎回発狂してるから野心はあるだろうけど……博士はぜひ持ち帰って研究したいとか言ってたけど、荷物になるし絶対やだって俺が拒否したので事なきを得ました。
とりあえずこの世界のどこかに雷神様がいるのが確定した事実だけでお腹いっぱいなんやで……。
そんなデンジャラスアメリカ横断旅行を終えて、普段の生活に戻ろうとしていた頃。
事件は起こった……。