天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア   作:いぷしろん

103 / 103
The smallest prime number that cannot be scored with two darts on a dartboard=103話

ギガントマキア「ウオオオオオオ!!!」

 

ギガントマキアの侵攻は止まらない。あの巨体に圧倒的パワーと持久力。ヴィラン連合が三ヶ月経っても倒せなかった怪物は、今もなお大量の解放軍を蹴散らしながら死柄木の方へと一心不乱に歩みを進めている。

 

エボルト「よっマキア。相変わらずデカいなお前は」

 

そんな彼の右肩にエボルトが現れた。エボルトはマキアに声をかけるも彼は全く反応しない。

 

エボルト「あぁ、そうか。今は死柄木にしか反応しないのか。ん、ここら辺か?」

 

喉を抑えながらチューニングし、声色を死柄木のガラガラしたダミ声に変える。

 

エボルト「マキア…俺ならここにいるぞ」

 

エボルトが死柄木の声でそう言った途端、彼は歩みをやめ、左の手のひらで右肩になっているエボルトをバチンと叩き潰した。

 

エボルト「全く…急に動くんじゃねえよ。動いちまったから…手のひらに剣が刺さっちまった」

 

しかしエボルトは叩き潰される寸前にビートクローザーを召喚。そのまま天に剣先を向け、マキアが己を叩くと同時に自ら手のひらに剣が刺さるようにしていた。

 

エボルト「痛いだろ?今剣を抜いてやるよ!」

 

【Special Tune!ヒッパレー!Smash Slash!!!】

 

エボルトは剣を突き刺したままドラゴンエボルボトルをセット。グリップエンドスターターを引っ張ると、刀身が蒼く燃え始めた。その炎はマキアの手のひら全体に燃え広がる。それと同時にエボルトは一気に剣を振り下ろすことで手のひらを切り裂きながら剣を抜いた。体のサイズがデカいからか、血はドバドバと流れ、血の池が足元にできる。

 

エボルト「どうだ俺の力は。痛みで少しは足を止める気になったか?…ん?」

 

エボルトの言葉通り、ギガントマキアは足を止めた。しかしそれは痛みによるものではなかった。

マキアは裂けた手のひらを使ってエボルトを鷲掴みにする。そして思いっきり地面に叩きつけた。25メートルの高さから初速度をつけた垂直投げ下ろしでエボルトは数メートルほど地面に埋まってしまった。

 

エボルト「そうか、マキアは"痛覚遮断"の"個性"も持ってたんだっけなぁ。どうりで手を切り裂いても反応がなかったわけだ。」

 

複数"個性"を持っているマキア。その中でも厄介なのがこの"痛覚遮断"だ。これのおかげで彼が怯むことはない。

現に今もエボルトを踏み潰そうと全力で右脚に体重をこめている。しかしパワーは圧倒的にエボルトの方が上。彼は両手で踏みつけようとするマキアの足を持ち上げる。

 

エボルト「ま、俺の敵じゃないけどな」

 

次第にマキアの足が持ち上がる。ついにエボルトが立ち上がれるほどにまで足が持ち上がった。そして一気に押し上げるとマキアは体制を崩して転倒。土埃が舞った。

 

エボルト「ふぅ。にしてもこりゃ思ったよりも暴れられないな。このペースでいけば死柄木が来る前に倒しちまう。飛んだ期待外れだったな。」

 

ぶつくさ言いながらエボルトはマキアから一度距離をとった。痛覚遮断のせいで手加減が難しい上に反応がなくつまらない。いいサンドバッグになると思っていたが、思ったよりも強くはなさそうだ。

 

エボルト「せっかくだ。こいつにもいいもんやるか。少しは耐えるだろう。」

 

そういうとエボルトはトランスチームガンとスチームブレードを召喚。刀身を合体させ、バルブを回転させる。

 

Rifle mode! Devil Steam!!!

 

スコープを覗きながらトリガーを引く。すると銃弾が倒れ込んだギガントマキアの命中し、ネビュラガスがその巨体を包み込んだ。

 

ギガントマキア「うがあああああああ!!!」

 

雄叫びを上げながら身体が眩く発光。体の組成がみるみる変化し、外骨格のようなものに覆われる。見た目はストロングスマッシュのような上半身が肥大化したような身体になり、目が赤く光っている。さらに25mの巨体はそのままに、五感がより鋭くなった。

 

エボルト「ただのスマッシュだが…ま、死柄木が来るまでの退屈凌ぎにはなるだろう。」

 

「俺が…なんだ…」

 

土埃の中からダミ声と猫背の彼がやってくる。ドクターがこの近くに再びワープさせたようで身体は全身ボロボロ、アドレナリンのおかげで何とか身体を動かしながらエボルトの元にやってきた。

 

エボルト「死柄木…!なんだ意外と早かったな♪」

 

死柄木「黙れ。まずはお前を…」

 

エボルト「おい待て。俺は味方だ。デトラネットは単なる駒に過ぎない。」

 

死柄木「テメェのいうことは胡散臭いんだよ。信じられるわけがねえだろ」

 

死柄木はそういうなりエボルトに襲いかかってきた。エボルトはひょいひょいと交わしながら会話を続ける。

 

エボルト「そんなに俺のことが信じられないのならドクターに話でも聞けばいい。」

 

死柄木「ドクター…?」

 

途端に手を止め、耳の通信機に手を当てる。

 

ドクター『シンイリのいう通りじゃ。ワシらの計画の一部でな。シンイリはデトラネット社に潜入していたのだ。とりあえず全ては戦いが終わった後に話すとして…ほれほれ、マキアが攻撃してくるぞい』

 

ドクターの通信がブツっと切れた途端、スマッシュ化したマキアの剛腕がエボルトと死柄木の上から振りかざされる。それをエボルトは死柄木を抱えて超スピードで避ける。

 

エボルト「ま、そういうわけだ。デストロがいなくなった今、今はアイツを倒して後継として認めさせるのが最優先だろ?」

 

死柄木「腹が立つが仕方ない。お前を殺すのは後にしてやる。」

 

そういうと彼は手をパンパンとはたいてマキアの方をギロリと見つめた。しかしそこでようやく何かに気がついた。

 

死柄木「…にしてもあのデカブツ、あんなんだったか?」

 

エボルト「ん?ああ、あれは俺が強化しておいた。そっちの方が面白いだろう?」

 

死柄木「…は?バカなのかお前は。俺たちがあれだけ苦戦したんだぞ。」

 

エボルト「このオレが協力してやるんだ。倒せないわけないだろ?瞬殺だ。」

 

死柄木「倒せなかったら殺してやるからな」

 

エボルトと死柄木、最狂にして最悪のタッグが誕生した。

 

マキア「フンッ!!!」

 

マキアは死柄木とエボルトのいる場所を右足で踏み潰した。しかしエボルトは死柄木を抱えて再び逃げる。

 

エボルト「芸がないなぁ。それはさっきも見たぞ!」

 

Ice Steam!!!

 

そしてエボルトはスコープで狙いを定めアイススチームを発射。地面とマキアの右足が氷でくっついて離れなくなってしまった。

 

死柄木「ブッ壊れろ!仕返しだ!!!」

 

死柄木が地面に手をついた瞬間、崩壊が伝播してマキアの周囲の地盤が崩れ落ちる。崩壊から難を逃れようと怪力で無理やり右足を引っ張って氷から抜け出す。しかしそれでも足元が不安定なせいか、前のめりになり体制を崩す。

 

エボルト「遊びは終わりだ!」

 

【Ready Go!!!Evoltex Finish!!!Chao!!!】

 

エボルトがEVレバーを回転させて、蒼炎のエネルギーを右拳に圧縮させる。そして大きく振りかぶり、ギガントマキアが体制を崩し切ったところでマキアの顔面付近まで大きくジャンプ。そして頬に渾身の一撃を貫き、マキアを数百mほど殴り飛ばした。

 

エボルト「ふぅ…久々に楽しかったな」

 

地上に着地し、手をパンパンとはたきながらそういうエボルト。マキアはすでに気絶しており、デトラネットもほぼ壊滅状態。工作員のほとんどがもう使い物にならず、幹部も壊滅していた。

 

風「スターク…死柄木…まさかこれをあなたたちが…!?」

 

エボルト「ん?ああ鷲尾兄弟か。」

 

そこに遅れてやってきた難波重工勢力の風。駆けつけた頃にはもう全てが終わっていた。

 

死柄木「おい、そいつ誰だ」

 

エボルト「難波重工。デトラネットと協力してオレのベルトを作ってくれてたやつでな。今はオレと同盟を組んでる。」

 

死柄木「ってことは味方ってことでいいんだよな」

 

風「ええ。難波会長もスタークに協力するつもりだと。そうそう、彼も味方になると…そう言ってますよ。」

 

死柄木「彼?」

 

風は後ろを指さした。巨大なゴミクズのような鉄の塊から出てきたのは、何とか緊急装置で一命を取り留めたデトラネット社社長、デストロそのものだった。おそらくあの機会の中にあった生命維持装置の成れの果て、それが鉄屑であり、その鉄屑に繋がれて何とか生き延びていた。

 

風「ぐちゃぐちゃになった状態の鉄屑から出てきたんです。ボロボロなんで多少の手当はしましたが…生きているのが奇跡ですよ。」

 

デストロ「何にしろだ…スターク…君の戦いを見て…君が輝いて見えた…!我々異能解放軍は君に…ヴィラン連合の下につこう…!」

 

尊敬の眼差し。凶悪な二大組織を下につけたヴィラン連合は、一週間後、『超常開放戦線』と名を改め、巨大な組織に成長した。

 

ヴィラン連合のメンバー、異能解放軍の幹部の計9名は行動隊長なる新たな幹部に任命された。一方で難波重工は武器支援に回り、鷲尾兄弟やヘルブロス等は隠密部隊として身を隠す方向に動いた。

 

さらにその中でもエボルトは名前を『シンイリ』に統一。まだバレたくないから、という謎の理由により幹部を辞退。ホークスからもエボルトに関する記憶を消し、今まで通りヴィラン連合の時のように自由奔放に過ごしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エボルト「よっ、死柄木♪」

 

死柄木「おいドクター。何でコイツがいるんだ。」

 

12月末。ドクターにワープさせられた死柄木はドクターが運営する謎の施設に足を運んでいた。そこにはなぜかエボルトもいた。

 

ドクター「彼の力も借りなきゃいかんのだから仕方ないじゃろ?」

 

死柄木「シンイリの…?」

 

ドクター「…元々AFOのために進めていた研究があっての。"マスターピース"を作る。それが長年の夢じゃった。」

 

死柄木「…その話長くなる?」

 

死柄木は服を脱ぎ捨て、手術台に座りながらそう言った。

 

ドクター「すまんのう。歳をとると話が長くなるんじゃ。…シンイリは脳無やマキアを強化させる術を持っておる。"ネビュラガス"と呼ばれる代物じゃ。これを体内に注入するとバケモノになる代わりに強大な力を得る。」

 

エボルト「だがお前はもうすでに特殊な人体実験でそのネビュラガスの耐性がある。お前と出会った頃にちょいとな。そしてハザードレベルはネビュラガスにどれくらい耐えられるかの指標だ。高くなればなるほど強くなる。」

 

ドクター「今はハザードレベル4.0…。本当はもっとあげておきたかったんじゃが…"ネズミ"がすでに入り込んであるみたいじゃからの。この状態で更なる改造を施す。四ヶ月は想像を絶する痛みが続くじゃろう。」

 

エボルト「痛みのストレスで…ハザードレベル5.8まではあげたいところだな。ちなみに目標は6.0だ。お前を強くしすぎてレベルが上がる余地が無さそうだが…まあ0.2くらいなら何とかなるだろう。」

 

ドクター「全てを乗り越えた時…全てはお前の掌の上となる。AFOも…OFAをも超えてな…!」

 

ネビュラガスの持つ人体を強化する力とAFOの持つ無限の"個性"、そしてドクターの肉体改造技術。死柄木は本来持つべき力よりも遥かに強大な力を得るために表舞台から姿を消すのであった。

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