万丈「なんかラビットタンクスパークリングって名前長くねえか?横文字ばっかだとなんか混乱してくるっつーか…。」
戦兎「良いだろ?そんくらい!だいたいお前が使うもんじゃないんだしゴタゴタ言うんじゃないよ。こんな感じのうるっさい万丈を一歩も動かずに圧倒!そして必殺技を放ち、万丈をK.O.したのでありました!」
万丈「次こそは絶対負けねえからな!」
戦兎「ってなわけでどうなる第23話!」
√((61421−n√5831385)/30)/2≈7.00⇒n≈23話
雄英体育祭後、2日間の休みを終えた戦兎と万丈は一緒に登校していた。
万丈「そういや戦兎。俺のハザードレベルっていくらなんだ?」
戦兎「今は…3.3だな。それがどうかしたのか?」
万丈「いや、早くクローズチャージになりてえなって。アレ確かハザードレベル4.0超えねえといけねえんだろ?」
朝ご飯のカレーパンを食べ歩きながら戦兎にそう尋ねる。
戦兎「そうだな。とはいえいくらお前でも0.7もすぐに上げられないだろうし、実を言うとまだスクラッシュドライバー作ってないんだ。スクラッシュゼリーもな。別にすぐ作れるから問題はないんだけどさ。」
以前、戦兎がクローズドラゴンを開発していなかったように、スクラッシュドライバーもまだ開発していなかったらしい。すぐ作れるからと優先度も低かったようだ。
戦兎「ま、しばらくはまたハザードレベル上げに勤しめってことだ。」
万丈「結局やることは変わんねえか…。」
と、残念そうに言う万丈。そんな万丈の肩をトントンと叩く者がいた。後ろを振り向くと、その人は女性でどこか見たことのある顔だった。そう、紗羽さんだ。しかもその後ろには大勢の記者や一般人が戦兎たちを一目見ようと列を作っている。
紗羽「あの時取材させてもらった子たちが体育祭優勝と準優勝だなんて…。感激するわ〜」
万丈「お、おう…。」
久々に会った紗羽にちょっとだけ顔をひきつる万丈。嫌な予感がする…。
紗羽「と、言うわけで優勝と準優勝したときの気持ちは?そう言えば万丈くん初変身って言ってたけど変身したときの感想は?ねえねえねえ!?」
やっぱりと言ったところか、いつもの質問攻めをされる万丈と戦兎。今回は紗羽が取引材料を提示してこないため、しがみ付く紗羽を引き剥がしてダッシュで逃げた。良くも悪くも記者の仕事に熱心な紗羽には参っているようだ。
なんやかんやで雄英高校へと到着。疲れたと息をついている2人だったが、早々に疲れているのは2人だけではないようだ。と言うのも雄英生の上位の人たちは大抵注目を浴びていたと言う。教室はその話題で盛り上がっていた。
相澤「おはよう。」
相澤が入ってくるとたちまち教室は静まり返った。そんな中、蛙吹が『相澤先生包帯取れたのね。良かったわ。』と声をかけた。
相澤「婆さんの処置が大袈裟なだけだ。んなもんより今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ。」
相澤のその言葉に生徒はみんな固唾を飲んだ。
相澤「『コードネーム』。ヒーロー名の考案だ。」
「「「胸膨らむヤツキタァー!!!」」」
その一言で静寂が弾けるようにみんなが大騒ぎした。しかし相澤は“個性"を発動し、髪を逆立たせることでその場を鎮めさせた。
相澤「というのも、先日話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積み、即戦力として判断される2・3年から。つまり、今回来た指名は将来性に対する興味に近い。卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことはよくある。で、その指名の集計結果がこうだ。例年はもっとバラけるんだが、三人に注目が偏った。」
相澤は手元の端末を操作して、スクリーンとして黒板に集計結果を表示した。戦兎が一番上にあり、指名数は4500。轟が二位で4100。爆豪が三位で3500ほど。そして大きく差が開いて常闇などが続いている。
切島「やっぱ戦兎が多いよなー。にしても爆豪、お前轟に負けてんじゃん」
爆豪「うっせえんだよ切島!テメェこそ68って何だこのクソ数字はよ!!!」
八百万「さすがはお二人さん…。尊敬しますわ」
轟「戦兎はともかく、俺のは親の話題ありきだろ。」
それぞれが指名件数に関してコメントする。指名があったのは10名。クラスの半分だ。
相澤「これを踏まえ、指名の有無関係なく、職場体験ってのに行ってもらう。お前らは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りある訓練をしようってこった。」
戦兎「なるほど。だからヒーロー名が必要ってわけか。」
相澤「まぁ仮ではあるが適当なもんは…」
「付けたら地獄を見ちゃうよ!!!」
そう言いながらドアを開けて一年A組の教室に入ってきたのは、先の大会で主審を務めたミッドナイトだった。
ミッドナイト「この時の名前が世に認知され、そのままプロ名になってる人多いからね!」
相澤「まぁそう言うことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうのできん。」
ちなみに相澤のヒーロー名、イレイザーヘッドはプレゼント・マイクにつけてもらったものである。なんやかんやで彼も適当なのだ。
相澤「将来どうなるか、名を付けることでイメージが固まりそこに近付いてく。『名は体を表す』ってのはこう言う事だ。"オールマイト"とかな。」
ヒーロー名。戦兎のヒーロー名は11年前からとっくに決まっている。今までも、これからも、確実に呼んできたし呼んでいくであろう名前だ。
ミッドナイト「じゃあそろそろ出来た人から発表してねー!」
まさかの発表形式である。まあ、いずれはヒーロー名として熟知されるわけなのだから恥ずかしがる理由もないが、少し小っ恥ずかしい。
青山、芦戸、蛙吹、切島などを筆頭に次々とヒーロー名が決まっていった。
切島「なあ戦兎。お前はどんなのにするんだよ。」
戦兎「…もう決めてある。」
そう言うと戦兎は席を立ち、教壇へと向かって歩いた。
その間、万丈と初めて出会った時から、色々なことがあったなと思い返していた。偽りのヒーロー、踊らされていたヒーローでもいい。自分が信じた正義のために戦う。そのヒーローの名前は…
戦兎「『仮面ライダービルド』。作る、形成するって意味のビルドだ。」
胸を張ってそう宣言した。やはりこの名前を背負って生きていく方がいい。
A組トップのヒーロー名にみんな手を叩いて拍手した。
ミッドナイト「うん。いい名前ね。あなたにピッタリ。でもその『仮面ライダー』ってのは何かしら?」
戦兎「ああ、これは俺が変身すると仮面被ってるみたいになるのと、俺が使っているシステムの名前が『ライダーシステム』なので…。」
ミッドナイト「そういうことね。分かったわ。」
発表し終えた戦兎は席に着いた。そして残ったのは飯田、緑谷、爆豪の三人となった。飯田はヒーロー殺し、ステインにやられた兄のヒーロー名、インゲニウムと書きかけたが、重すぎたのか名前をそのままヒーロー名にすることにした。そして残った緑谷と爆豪。先に動き出したのは緑谷だった。
切島「ええ!?緑谷いいのかよそれで!?」
緑谷「うん。今まで好きじゃなかった。けどある人に"意味"を変えられて、僕には結構な衝撃で、嬉しかったんだ。だからこれが、僕のヒーロー名です!」
緑谷が持つボードには歪んだ文字で『デク』と書かれていた。これもまた、戦兎同様に、緑谷が約10年引きずってきて、そしてこれからはこれを背負って生きていく。そんなカッコいいヒーロー名だ。
爆豪を除いた全員のヒーロー名が決まり、授業も終わりに近づいてきた。
相澤「職場体験は一週間。肝心の職場だが、指名のあった者は個別にリストを渡すからその中から自分で選択しろ。指名のなかった者は予めこちらこらオファーした全国の受け入れ可の事務所40件。この中から選んでもらう。それぞれ活動地域や得意なジャンルが異なる。よく考えて選べよ。今週末に提出だ。」
上鳴「あと2日しかねえの!?」
理不尽な締切に文句を言う上鳴。雄英生はスケジュールがギッシリなので仕方ない。
相澤「んじゃあ今日の授業はこれで…」
戦兎「ちょっと待ってください!みんなに言いたいことが…」
手を上げ、席を立って再び教壇に立つ戦兎。『早くしろ。時間がもったいない』という目つきで睨む相澤を横目に話し続ける。
戦兎「来週職場体験に行くってことでいろんなプロヒーローやヴィランに出会うと思う。そこで頼みがある。フルボトルの成分を回収してきてくれないか?」
と言い、エンプティボトルを一人2本、計40本をみんなに回す。
切島「まだ強くなんのかよお前。でもいいぜ!面白そうだしやってやるよ!」
緑谷「それで戦兎くんが助かるなら僕も手伝う!」
麗日「私も!役に立つか分からへんけど、将来使えるボトルがたくさんあれば役に立つはずだよね!」
と言った感じでみんな積極的に協力してくれた。もっとも、爆豪は『舐めプ野郎の言うことなんか聞いてたまるかよ』と暴言を吐き捨て、戦兎にボトルを押し付けていたが…。
戦兎「ありがとう。この借りは必ず返すよ。それじゃあ相澤先生、失礼しました。」
軽く会釈をした後、戦兎は席に着く。授業の終了を終えるとすぐに轟が戦兎の元へとやってきた。
轟「戦兎、そういやこの前ボトル借りたよな。アレ返すよ。」
そう言うと轟は戦兎の机の上にボトルを置いた。しかしそれはエンプティボトルではなかった。
戦兎「冷蔵庫フルボトル…。何でお前が…?」
戦兎はそのボトルを手に取り、じっくりと眺める。確かに本物だ。
轟「俺のお母さんから取ったんだ。体育祭終わった後、久々にお母さんに会いに行った。そん時にもしかしたら成分取れるかも知れねえって思ってな。礼も兼ねて取ることにしたんだよ。あん時ボトル借りたのもそのためだ。案の定採取できたし、それはお前への感謝の気持ちってことで受け取ってくれ。」
戦兎「そうか。なら受け取っとくよ。ありがとな。」
そう言うと戦兎はカバンの中にボトルを直した。
轟「それとこれは提案なんだが…もう職場体験どこ行くか決めたか?」
戦兎「いや、まだだけど…。」
轟「だったら俺と一緒にエンデヴァー事務所に来ねえか?クソ親父の野郎、戦兎にもちゃっかり指名してやがる。あの時の言葉がなんか引っ掛かったんだろ。性格はゴミだが実績は確かなやつだ。これ以上ない経験は出来ると思う。どうだ?」
轟は戦兎に手を差し出してそう述べた。
確かにメリットはデカい。というか断る理由もない。海外へ行っていたため世間のことをあまり知らず、ヒーローなんて片指で足りるくらいしか知らない戦兎にとってはこれ以上ない申し出だ。
戦兎「分かった。行くよ。エンデヴァー事務所。俺もそこで学ばせてもらう。」
差し伸べられた轟の手をグッと握り、頷いた戦兎。
しかし彼らはまだ知らない。この職場体験で、またもやヴィランに遭遇してしまうことに。