轟「なんかウチの親父が悪いな。」
戦兎「別に構わねえって。ってかなんで轟がこんなところにいるんだよ。」
轟「いや、戦兎に万丈の代役頼まれたから…」
戦兎「そうだけどそう言うこと言うなって!会話弾ませるアレ的なやつだからマジなやつ答えなくていいんだって!まあいいや。そんな中来る職場体験2日目では窃盗したヴィランをエンデヴァーが確保。戦兎はスケボーフルボトルを手に入れ、ついに3日目へと突入する。3日目の夜、突如として出現した脳無に対し、俺は仮面ライダービルド、スパイダークーラーフォームになって対応した。」
轟「あん時は大変だったよな。脳無任せっきりにしてて悪かった。」
戦兎「非常事態だったからしょうがない。脳無も無事に倒せたことだし、それより今はお前たちの安否が心配だ。」
轟「ん?俺ならここにいるぞ」
戦兎「そうじゃなくって、第25話の話だ。」
轟「それか。それなら戦t…」
戦兎「あーもうネタバレしようとすんじゃないよ!轟がネタバレする前に第25話読んじゃって!」
戦兎が脳無と戦い始めた頃、ちょうど轟も緑谷とヒーロー殺しが対峙している場面に出くわしていた。
轟「緑谷、こういうのはもっと詳しく書くべきだ。遅くなっちまっただろ。」
そう言うと氷塊を緑谷、飯田、プロヒーローのネイティブの真下から出現させ、炎で溶かして自身の元へ滑り込ませた。
轟「数秒意味を考えたよ。一括送信で位置情報だけ送ってきたから。意味なくそういうことする奴じゃねえからな。おまえは。ピンチだから応援呼べって事だろ。大丈夫だ。数分もすりゃプロも現着する。戦兎もな。」
緑谷「轟くん、そいつに血ィ見せちゃ駄目だ!多分血の経口摂取で相手の自由を奪う!皆やられた!」
緑谷がそう声をかけた瞬間、轟の頬をナイフが掠めた。その隙をついてステインは距離を詰める。さらに刀を振り翳して轟を仕留めようとするが、間一髪のところで氷壁で防ぐ。そこでステインはチラッと上を見た。その視線の先には投げ上げられた刀。轟の視線が上に行った瞬間、ステインは胸ぐらを掴み、轟の頬の血を舐めようとする。
轟「あっぶねッ!」
反射的に炎を出してステインに距離を取らせる。そこを氷で塞ぐが、その氷を切り刻んで襲い掛かった。しかしその瞬間、緑谷がステインを引きずって遠くに投げつけた。
緑谷「なんか普通に動けるようになった!」
轟「時間制限か!?」
轟と緑谷はステインと戦いながらそう語る。次第にステインの"個性"が明らかとなってきた。"凝血"。血液を経口摂取することによって相手を静止させる。血液型によってその静止時間が異なる。
轟「さっさと二人担いで撤退してえとこだが、氷も炎も避けられる程の反応速度だ。そんな隙見せらんねえ。プロが来るまで近接を避けつつ粘るのが最善だと思う。」
緑谷「轟くんは血を流しすぎてる!僕が奴の気を引きつけるから後方支援を…」
そう言いかけたところでステインは緑谷との距離をグッと詰め、刀で緑谷の右腕を突き刺す。その瞬間に轟が炎を放出してステインを払い除けるが一歩遅かった。緑谷の血飛沫は床にまで飛び散り、その血をステインが一舐めする。緑谷の身体は金縛りにあったように再び動かなくなった。
緑谷「ごめん!やられた!」
さっきとは比べ物にならない動きの速さ。ステインも本気になっている。
飯田「止めてくれ…。もう僕は…。」
轟「やめて欲しけりゃ立て!なりてえもんちゃんと見ろ!!!」
飯田にそう言いながら、ステインの前に氷塊を繰り出す。しかしステインはまたもや氷を粉々に斬り刻み、とうとう轟の胸元へと刃が入っていく。すぐに炎を使ってステインを怯ませ、距離を取ったが胸に傷を負ってしまった。そして刃についた血液を舐め、轟を地に伏せさせる。
ステイン「危なかった。しかしこれで義務を果たせる。」
奴は動けない飯田の元へ歩いて行き、刀を向ける。
ステイン「これで終わりだ。」
そして刀を振り上げた。その瞬間、どこからかバイクの音が聞こえてきた。遅れてきた正義のヒーロー。仮面ライダービルドだ。
エンジンを吹かしながらステインの元に突っ込む。ステインは腕をクロスさせて戦兎の突進を防ぐも大ダメージだったようで、大きく後ろにのけぞった。
戦兎「もう大丈夫だ!後は俺がやる!」
そう言いながらマシンビルダーをスマホモードにし、蜘蛛の糸で飯田、轟、緑谷、ネイティブを自身よりもさらに後ろに移動させた。
ステイン「また増援か…。厳しいな…。」
ステインは刀をぶんぶんと振り回しながら戦兎を睨みつける。
緑谷「戦兎くん!アイツの"個性"は血の経口摂取で自由を奪う!迂闊には近づけ…」
戦兎「大丈夫だ。今の俺に刃物は効かないからな。」
全身が硬い装甲で覆われているため、変身解除でもされない限りステインが使っているなまくらの刀じゃ刺されても出血には至らない。
戦兎「んで、アンタが噂のヒーロー殺しか。悪いけど本気で行かせてもらう。」
そう言うと戦兎はラビットタンクスパークリングを取り出し、2本のフルボトルを引き抜いてラビットタンクスパークリングをベルトにセット。そしてハンドルをグルグルと回した。
【RabbitTankSparkling!!!Are you ready!?】
戦兎「ビルドアップ!」
特殊なスナップライドビルダーが展開され、成分が充填されていく。そんな時だ。
ステイン「隙だらけだぞ!やられないと思っているのか!」
と、変身中にも関わらず襲い掛かってきた。しかしスナップライドビルダーに阻まれ攻撃できず、戦兎に届いた刃も元々変身してきたアーマーで防いだ。そして成分を充填し終わったスナップライドビルダーが戦兎に向かって合体する。
【シュワッとハジける!!!
RabbitTankSparkling!!!イェイイェーイ!!!】
戦兎は仮面ライダービルド、ラビットタンクスパークリングに変身。四コマ忍法刀を呼び出してステインの刀をたたき折り、左腕でステインを殴る。インパクトバブルが弾け、ステインは後ろに吹き飛ばされた。ステインはすかさず吹き飛ばされながらクナイのようにナイフを投げたが、戦兎は四コマ忍法刀で全て弾きつつラピッドバブルを弾けさせて高速化し、ステインにアッパーを喰らわせる。さらに脳天にサマーソルトキックをお見舞いしてステインを圧倒した。
轟「す、すげぇ…。俺たち3人でも手こずった相手をこうも簡単に…。」
緑谷「刀が効かないってのもアドバンテージなんだろうけどそれでもすごい…!ってちょっと待って!身体動かせる!」
と戦兎を褒めていると、緑谷は身体が自由に動かせるようになっている事に気がついた。さらに飯田も身体が動くことにも気づく。ステインは戦兎に夢中で未だに緑谷たちが動けている事に気がついていない。
緑谷「このままこっそりみんなを連れて避難しよう。今の僕たちじゃかえって邪魔になるかもしれない。」
轟「それに救援のヒーローも必要だ。いくら強いとはいえ流石に一人で倒し切るのは無理がある。そうした方がいい。」
緑谷「動ける?飯田くん。動けるならネイティブさんをお願い!僕は轟くんを担ぐから…」
そう声をかけるも飯田は緑谷の方には目もくれず、ずっとステインと戦兎の方を見つめている。
飯田「ダメだ…。兄さんの仇は僕が…俺が討たなきゃ…。インゲニウムは俺が…」
虚ろながらそう呟く飯田。しかしそこでステインに言われたことが脳裏によぎる。自分は真のヒーローではない。ヴィランなのに納得せざるを得ない説教だ。まさにその通り。だからこそ今からヒーローとして学び、歩みを進めなければならない。
飯田「…いや、わかった。」
轟「すまねぇ…。」
飯田、緑谷はそれぞれネイティブと轟を担いで開けた場所に移動しようとするが…
ステイン「させるか!」
と、戦兎の隙をついて投げナイフを飯田に向かって投げつけた。飯田の左腕に投げナイフが当たり、血がダラダラと流れ出る。しかも割と深く刺さったようで上手く腕を動かせなくなった。
戦兎「お前、よくも飯田を…!」
ステイン「アイツは殺すと決めた。偽物のヒーローはこの世に必要ない。」
戦兎「偽物…。」
その言葉に少し引っかかる戦兎。思うところがあるのだろう。しかしステインの言う偽物のヒーローは戦兎が思っていた偽物のヒーローとは少し違っていた。
ステイン「アイツは復讐に囚われ、そこのプロヒーローを助けずに俺を捕まえることだけに執着してた。それだけじゃない。金、名誉、名声…。この世には己のために動く偽物が蔓延りすぎてる。そんな世の中は誰かが正さなければならない…!」
高圧的でゾッとするような声にこの世の全てを憎んでいるような目つきでそう語る。しかし戦兎は怖気付かない。
戦兎「…お前の言う通り、見返りを期待したらそれは正義とは言わない。飯田にとって復讐が見返りだった。でも今は違う!アイツは変わろうとしてる!お前が偽物と言っている人たちもそうだ!今はまだ偽物かもしれない。でも人は変われる。今すぐは出来なくとも、時間をかければ人は変われるんだ!俺はそう信じてる!」
出会った頃は自分の無実を晴らすことしか考えていなかった万丈が、今やラブ&ピースのためにヒーローになろうとしている。それだけじゃない。一海も、幻徳もそうだった。みんな変わった。その一連の流れを見てきた戦兎にとって、変わらない人なんかいないのだ。
ステイン「ハァ…。理想論では世の中は動かない。誰かが動かねばならない。粛清しなければ変わらない!そのために俺がいる…!」
そう言うと地面を蹴って戦兎に接近。腰から刀を引き抜き、斬りかかってくる。しかし戦兎も四コマ忍法刀で迎え撃ち、拮抗する。
戦兎「だからと言って粛清を選ぶのは間違ってる!殺戮を肯定する理由があって良いはずがない!」
そう言うと戦兎は四コマ忍法刀のトリガーをニ回引いた後、手首を軽く回転させてステインの刀を払いのけた。
【火遁の術!!!火炎斬り!!!】
そしてその隙に四コマ忍法刀に炎を纏わせ、ステインに灼熱の斬撃を食らわせた。今ので腹に大きな火傷を負い、疲労もダメージも蓄積していたステインはゆっくりと膝をつき、地面に倒れ伏した。
戦兎「やった…か?」
少し息を切らしながら、ステインの意識の有無を確認する。軽く頰を叩いたが起きる様子もない。
戦兎「ふぅ…。とりあえず拘束しとくか。武器もとりあえず外して…」
ステインが身につけている刀やナイフなどをカチャカチャと外し、無防備状態にしてから、たまたま捨ててあった縄でステインを拘束。いろいろあったが、これでようやくヒーロー殺しステインを確保できた。
そしてエンデヴァーにステインを届けようとちょうど路地裏から出てきたところ、少し遠くから声が聞こえてきた。プロヒーローたちを連れてきた緑谷たちだった。
緑谷「戦兎くん!?無事だったの!?ってかそれ…!」
緑谷の声を聞き、プロヒーローたちも戦兎が引きずっている物に驚きを隠せなかった。
戦兎「ヒーロー殺しだ。今は拘束してるし、気を失ってるから今のうちに警察に引き渡さないと…。」
グラントリノ「コイツは俺が預かっとく。救急車も呼んどるから直に来るだろう。お前さんも念の為検査受けとけ。」
グラントリノは戦兎にそう言って、ステインを縛っている縄をグラントリノに渡した。
飯田「3人とも…。僕のせいで傷を負わせた。本当にすまなかった…。何も見えなく…なってしまっていた…!」
目に涙を浮かべ、陳謝した。友人に迷惑をかけてしまったことに飯田はこの上ない不甲斐なさを感じていた。
戦兎「ステインにも言ったんだけどな。見返りを期待したらそれは正義とは言わない。お前にとっては見返りが復讐だった。でも人は変われる。今からでも遅くはない。ちゃんとしたヒーローになってくれ。天哉。」
涙を流す飯田の肩を軽く叩き、飯田の将来を期待するようにそう言った。
轟「しっかりしてくれよ。委員長だろ…?」
飯田「うん…うん…!」
飯田は涙をボロボロとこぼし、それを拭いながら、今までの自分を償うように声を出した。
職場体験での騒動は終わったかのように思われた。みんなが油断したその時だった。何かを聞き取ったグラントリノは
グラントリノ「伏せろ!」
と叫んで忠告した。グラントリノの視線の先には血を撒き散らしながらこちらへと向かってくる飛行型脳無。こちらへと突進してきたと思ったら、鳥のような足で緑谷を鷲掴みにしてそのまま飛び去ろうとしていた。
戦兎「緑谷!!!」
すぐさま左脚のホップスプリンガーを使って飛び跳ねて脳無の高さまで移動した戦兎。しかしその瞬間に何故か脳無は墜落し始めた。
ステイン「偽物が蔓延るこの社会も、徒に"力"を振りまく犯罪者も、粛清対象だ…。全ては正しき社会の為に…!」
隠し持っていたナイフで紐を切り、墜落する脳無の上を取って脳みそをグチャッと思いっきりナイフで刺した。それと同時に緑谷を戦兎がキャッチ。すぐにステインとの距離を取る。
まさかの事態に現場のプロヒーローも混乱するが、戦闘態勢を取ると、ちょっと遠くからエンデヴァーが声をかけてきた。
プロヒーロー「エンデヴァーさん!あちらはもう!?」
エンデヴァー「多少手荒になってしまったがな。して、あの男はまさかの…」
脳無を仕留めた男の姿を見てエンデヴァーはそう呟いた。
ステイン「エンデヴァー…」
エンデヴァー「ヒーロー殺し!!!」
瞬時に戦闘態勢に入り、炎で迎撃しようとするが、グラントリノは『待て轟!』と、エンデヴァーを留まらせた。
そして次の数秒、そこにいた誰もが動けなくなっていた。戦慄させられたのだ。他の誰でもない、ヒーロー殺しによって。
ステイン「贋物…!正さねば…誰かが血に染まらねば…!"
そしてジリジリとプロヒーローたちの前に歩を進めていく。
ステイン「来い!来てみろ贋物ども!俺を殺して良いのは、
あまりの迫力にプロヒーローでさえも腰を抜かし、緑谷や轟も恐れ慄いて震えていた。これがカリスマと言うものかもしれない。
しかしその言葉を言い終えた途端、その場から全く動かなくなった。
戦兎「気を失ってる…。」
戦兎が彼の意識を確認した瞬間、飯田や轟は腰が抜け、膝をついて座り込み、緑谷は一気に冷や汗をかき始めた。
しばらくしてヒーロー殺しステイン、脳無三体は駆けつけた警察によって拘束、引き渡しが行われ、無事に現行犯で逮捕。また、緑谷、轟、飯田、戦兎も救急車で保須総合病院へ運ばれ、治療を受けるために職場体験は一時中断という事態となった。
後にこの事件は『保須事件』と呼ばれるようになり、しばらく世間で話題になることとなる。