万丈「そりゃあLOVE!and!PEACE!のために決まってんだろ!」
戦兎「ふーん。てっきり『戦兎くんがいなくて寂しいよー』っつってわんわん泣いてた中なんとか手がかり掴んでここに来たのかと。」
万丈「そんなわけねえだろ!ってかあれだ。お前こそ俺がいなくて寂しかったんじゃねえの?」
戦兎「そして俺は筆記試験を楽々突破し、実技試験に臨む。巨大ロボが現れるも仮面ライダービルドに変身し、謎の少女、耳郎響香を見事に救い出したが…」
万丈「おい無視すんなよ!もしかして図星か?」
戦兎「そんなわけないでしょ。お前じゃあるまいし、寂しいなんて一回も思ったことないし。」
万丈「強がんなくていいからさっさと白状しろよ〜」
戦兎「うっさいよ筋肉バカ!もう黙ってなさいよ。」
万丈「筋肉バカじゃねえ!プロテインの貴公子、万丈龍我だ!」
戦兎「はいはいわかったわかった。って事でどうなる第三話!」
万丈「適当にあしらうなよ…」
耳郎「あ、あんた…もしかして…」
戦兎は固唾を飲み、耳郎の次の言葉を待つ。
耳郎「もしかして… ツナ義ーズの佐藤太郎!?」
戦兎「はぁ!?」
戦兎が思いもやらぬ回答に落胆したと同時に、耳郎のその言葉を聞いた何人かの人々はざわめき出す。この新世界では、佐藤太郎はバンドマンとして名を馳せており、一部の音楽ファンの間では話題となっている人物であった。生まれ変わっているとはいえ、顔は前世界のままの桐生戦兎が佐藤太郎に間違えられるのも無理はない。
耳郎「やっぱりそうだ!ウチ大ファンなんだ!あの有名な台詞言ってよ!!!」
耳郎は戦兎の手を握り、強引にせがむ。戦兎は慌ててその手を離し、一歩下がった。
戦兎「ちょちょちょ、ちょっと待って!確かに顔は似てるかもだけど別人だから!」
耳郎「確かにあんな派手な"個性"は持ってないけど…でもその顔と声は佐藤太郎本人だって!」
戦兎「いやだから、俺は佐藤太郎じゃなくて桐生戦兎!!!本当に別人だから!ってか佐藤太郎は15歳じゃないでしょうが!」
耳郎「確かに…。」
戦兎「なんでそれに気づかないんだよ。」
戦兎はいつもの癖で耳郎にツッこんだ。勘違いが解けたところで、戦兎は『それじゃ』と言って去ろうとした。
耳郎「ちょっと待ってよ!」
戦兎「次は何よ!」
またもや戦兎は耳郎に引き止められ、少し荒っぽく返事をしてしまった。
耳郎「ウチ、耳郎響香っていうんだ。あんた名前は…?」
戦兎「俺は桐生戦兎。戦車の戦に兎で、戦兎だ。じゃあな耳郎。」
そして戦兎は手に入れたバットフルボトルを手に、帰路へ向かった。
万丈side
万丈「ったく、戦兎の野郎、出会ってそうそう失礼なやつだな…。」
そう呟きながら万丈は試験会場Bへと向かった。筆記試験では、受験者の中でなんとか最下位は免れたものの、合格ラインギリギリといった感じだった。とはいえ万丈は前世界よりも確実に賢くなっていた。4歳の時点から前世界の記憶と人格を有していたため、理解するのが容易だったからである。それでも万丈に合格できるほどの学があるとは思えないが…。
万丈「それにしてもさっきからなんかうっせえな…。」
万丈は声のする方へ歩いて行った。そこでは2人の少年が騒いでいた…というより一方がもう一方に叱られていた。飯田天哉と緑谷出久である。そんな2人を止めようと万丈は人々を掻い潜って前に出た。
万丈「おいちょっと喧嘩はやめーー」
プレゼント・マイク「ハイスタートォォォ!!!」
万丈「おわッ!?」
話しかけようとしたところでプレゼント・マイクが爆音で開始の合図をした。唐突に始まったそれに、万丈はボトルの浄化が完了した時のような声を出して驚いた。
万丈「おい急になんだよ!いきなり始まるなんて聞いてねえぞ!くそっ、出遅れた!」
周りを見ると緑谷以外皆走り出していた。それを見た万丈も走り出す。ドラゴンフルボトルの効力か、身体能力は飛躍的に上昇していた。そんな万丈の前に2P仮想敵が現れる。
万丈「早速来たな!オラァッ!!!」
万丈は何度も打撃を加えたのち、蒼炎を右手に纏い、思いっきり右ストレートを喰らわせた。あっという間に仮想敵は吹き飛ばされ、稼働しなくなった。
万丈「フルボトル持ってる今の俺は負ける気がしねぇ!!!」
こうして万丈は人を認知して追跡する1Pや2Pの仮装敵を持ち前の格闘センスとドラゴンフルボトルの効力で次々と撃破していく。開始4分で30Pを入手していた。ビルドと対して差がないのは爆豪が敵Pを乱獲していたに過ぎないからでビルドと万丈に差がないわけではない。
万丈「なんだ!!?」
その時、地ならしが起こった。そう、0P仮想敵の出現である。万丈付近に出現したそれに逃げ惑う受験者たち。
万丈「や、やべえ…流石にアイツには負ける気しかしねえぞ…。それにポイント稼がなきゃいけねえし…」
逃げようとしたその時、1人の少年が思いっきり空中へと飛び上がった。ワン・フォー・オールを継承したばかりの緑谷出久である。
万丈「おい!何してんだお前!!!」
思わず万丈は緑谷が立ち向かっていったロボットの方へ振り向きそう叫ぶ。そのロボットには瓦礫で脚が挟まって動けない麗日お茶子がいた。それを見た万丈はすぐさまあの少女を救うために飛び出したのだと悟り、ならばと万丈も飛び出していった。
万丈「おいお前!大丈夫か!!!」
万丈はドラゴンフルボトルの力で瓦礫を真っ二つにし、麗日を救い出す。それと同時に緑谷は右腕にワン・フォー・オールを発現させ、超パワーでロボ・インフェルノを吹き飛ばす。
麗日「大丈夫!それより私を投げ飛ばして!」
万丈「はぁ!?」
唐突な麗日の提案に驚く万丈。しかし麗日が上を指さした瞬間、その意味をなんとなく理解した。緑谷が重力加速度で上から降ってきているのだ。よく見ると両足と右腕はろくに機能していないように見える。これを見て麗日は緑谷が着地するのは無理だと判断した。
万丈「なんかわかんねえけど行くぞッ!!!」
麗日「うんっ!!!」
万丈は左手にボトルを持ち替えた後、麗日の右腕を掴んで思いっきり投げ飛ばした。麗日の"個性"である
緑谷「うわああああああああああ!!!!!!!」
麗日「えいっ!」
その瞬間麗日は緑谷を抱き抱え、空中へ浮かす。その後ゆっくりと"個性"を解除して緑谷を地上へ下ろした。そして限界を突破したのか、麗日は物陰に隠れて吐いていた。
緑谷「助かった、いや助けられたんだ!あの人、無事か!?とりあえずケガはない!?そんで、ありがとう!!」
使い物にならない両脚と右腕を引きずり、地面を這いずりながら万丈と麗日に感謝をする緑谷。しかしご存知の通り彼はまだ0Pである。『せめて1Pでも…!』と泣きながら懇願するが現実は無情なもので、プレゼント・マイクによる『終了』の合図が為された。そのショックと激痛により緑谷は気絶してしまった。
万丈「お、おい…!大丈夫かよおい!!」
慌てて万丈は駆けつけ、緑谷の頬を叩いた。そうこうしているとリカバリーガールがやってきて緑谷の傷を回復させた。その様子を見ていた万丈は『何してんだBBA!』と叫ぶが、ねじれた手脚が元に戻っていく様子を見て少し納得した。
麗日「あ、あの人大丈夫かな…。すごい"個性"だったけど…」
万丈「お前の方こそ大丈夫かよ。ゲロっちまってただろ。」
麗日「私は大丈夫。いつものことだし…。」
よろよろと歩きながら近づいてきた麗日は少し息を切らしながらそう言った。自身を無重力状態にしてしまったため、すぐに限界点まで達してしまったようである。
麗日「っていうかあの人、もしかしてまだ0Pやったんちゃうかな…。『せめて1Pでもー』って。」
万丈「言われてみれば…。」
万丈は自分が情けなく感じた。あれだけ数多くの激戦を重ねてきたにもかかわらず、自分は勝てそうにないから、ポイント稼がなきゃいけないからと逃げようとしてしまったことを。そして万丈は自分を戒めるため、両手で自分の頬をパチンと叩いた。
麗日「えっ!?急にどしたん?」
万丈「いや、ただ情けねえやつをぶっ叩いただけだ。何でもねえよ。」
麗日「そ、そう?ならええんやけど…。」
麗日はちょっと不思議そうな顔をした後、ちょっと覚悟を決めた顔をして
麗日「それでさ、私あの人にポイント譲りに直談判に行こうと思っとるんよ。」
万丈「ジカダンパン?なんだそのパン、うめえのか?」
麗日「えっと、直談判っていうのはパンの名前やなくて…」
麗日は万丈の馬鹿さ加減に呆れながら直談判の意味を説明する。
万丈「そういう事なら俺も一緒に行ってもいいか?アイツがいなきゃ俺も動こうとしなかったし、アイツこそヒーローには相応しいんじゃねえかって思うからよ。」
ドラゴンフルボトルを握りしめてそう言った。麗日は『じゃあ一緒に行こ!』と万丈の手を引っ張ってプレゼント・マイクのところまで連れていった。当然、プレゼント・マイクには『そんなことしなくてもいいと思うぜリスナー諸君!』と2人とも頭を撫でられて終わってしまったが…。
万丈「ーーーっていうことがあったんだよ。」
試験が終わって1週間後、戦兎と万丈は戦兎の家に集まり、それぞれの試験のことを話していた。
戦兎「なるほど。それでちょっとガッカリしてんのか。」
万丈「あの時俺が仮面ライダークローズになれてたらあの時真っ先に飛び込んで行けたと思う。戦争とかエボルトとかがあったから怖いとかは思わなかったけどよ。その分俺の勝手だけで逃げようとしちまった…。」
万丈はドラゴンフルボトルを右手でぐっと握りしめた。そんな万丈の肩を戦兎は軽く叩いた。
戦兎「でもお前は動いた。その選択は事実だ。現にお前は救助Pを得てしっかり合格してるだろ?つまりお前の行動は正しかった、そう判断されたんだよ。だから気にすんな。」
万丈「お前がそういうならそうかもしんねえけどよ…」
戦兎「いつまでもウジウジすんなよ。お前らしくないぞ。あ、そうだ!お前に合格祝いだ。これやるよ。」
戦兎はポケットの中からとある物を取り出し、それを万丈の手に乗せた。
万丈「これ!クローズドラゴンじゃねえか!!!」
万丈の手のひらに乗ったクローズドラゴンは鳴き声を出しながら万丈の頭の周りをぐるぐると回った。
戦兎「お前がどうしてもっていうから急いで作ったんだ。これで機嫌でも治せよ。」
万丈「それよりこれでやっと仮面ライダーになれるんだな!ヒャッホー!!!」
万丈はガッツポーズをして飛び跳ねた。しかし戦兎は険しい顔をした。
戦兎「いや、まだお前は仮面ライダーになれねえ。」
万丈「なんでだよ!クローズドラゴンもビルドドライバーもあんじゃねえか!」
戦兎「いや、まだお前のハザードレベルが低すぎる。ビルドドライバーを使えるようになるにはハザードレベル3を超える必要がある。でも今のお前のハザードレベルは…2.4。つまりそういうことだ。」
戦兎は自身が発明したハザードレベル計測装置で万丈のハザードレベルを計測してそう言った。
万丈「じゃあハザードレベル上げりゃあいいじゃねえか。こいつ持って戦えばいつかは覚醒すんだろ。」
戦兎「まあ、それもそうだけど…その前にお前にしなきゃいけないことがある。」
そう言って戦兎は自分の部屋の棚からとある物を取り出した。それを見た万丈は目をギョッとさせる。
万丈「おい!それはスターk…」
万丈が全てを言い終わる前に戦兎がトリガーを引き、弾を撃った。万丈は地面に倒れ伏した。
戦兎「さてと、こいつ運んでビルドドライバーもう一個作るか。」
戦兎は倒れた万丈をベッドへと運び、ビルドドライバーの制作に着手した。
いったい万丈の身に何が起こったのだろうか…。