万丈「このままじゃ欠点取っちまうし、林間合宿どころか留年まで…」
戦兎「んじゃ、今度から俺のことは『戦兎先輩』と呼びなさい」
万丈「何でだよ!ってか元々俺とお前は三歳差だろうが!」
戦兎「確かに…。じゃあ何で今まで敬わなかったんだよ!」
万丈「こんな自意識過剰で自称天才物理学者とか言ってるやつ敬えるわけねえだろ?」
戦兎「いや天才物理学者なのは事実でしょうが。現に今勉強教えてもらってるのは誰なのかな?ん?」
万丈「そういうところあるから敬いたくねえんだよ!あーもう早く第32話始まってくれ…!」
相澤「それじゃあ演習試験を始めていく」
三日間の筆記試験を終え、今からは実技試験が始まる。当然この試験でも欠点は存在しているため、気を抜くわけにはいかない。
相澤「諸君なら事前に情報仕入れて何するか薄々わかってるとは思うが…」
上鳴「入試みてぇなロボ無双だろォ!?」
根津「残念!諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
意気揚々と発言した上鳴だったが、まさかの試験内容変更。上鳴と芦戸はガックリと肩を落とした。
何やら先生方によると、ヴィラン連合などのヴィラン活性化に備え、これからは対人戦闘・活動を見据えたより実戦に近い教えを重視するとのこと。ヴィラン連合という実害が出たこともあり、試験内容は大幅に難化したようだ。
相澤「というわけで、諸君らにはこれから二人一組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう。尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や成績、親密度、諸々を踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ」
麗日「先生方と…!?」
まさかの相手は教師であるプロヒーロー。まだ高校一年生、それも一学期末にも関わらず高すぎる壁に何人かは文句を言うが、これもまた試練だ。受け入れるしかない。
相澤「まず轟と八百万がチームで…俺とだ。」
髪をかき揚げ、ニヤリとほくそ笑んだ。倒せるなら倒してみろと言わんばかりの笑みだ。
相澤「そして、緑谷と爆豪がチーム。相手は…」
オールマイト「私がする!協力して勝ちに来いよ。お二人さん!」
上空から物凄い勢いで登場したオールマイト。土埃が舞った。No.1のプロヒーローが直々に対戦相手を務めることに緑谷は軽く気力を失っていた。
相澤「次に桐生戦兎。お前は…」
万丈「俺とチームだ!」
遠くから足跡を立ててやってきたのは万丈だった。予想外な出来事に戦兎は『万丈!?』と気の抜けた声を出す。
相澤「このままペアと対戦相手発表しても時間がもったいないんで、対戦順も含めて一覧表を見ろ。」
続けて相澤はサクサクとペアとその相手を発表していく。対戦相手が発表されなかったことに違和感を感じる万丈と戦兎だったが、A組のみんなは密かにその理由を察していた。
そして相澤はホログラムを宙に映した。そこに示された一覧表は以下の通りである。
1戦目 砂藤&切島 VS セメントス
2戦目 蛙吹&常闇 VS エクトプラズム
3戦目 飯田&尾白 VS パワーローダー
4戦目 八百万&轟 VS イレイザーヘッド
5戦目 青山&麗日 VS 13号
6戦目 芦戸&上鳴 VS 根津
7戦目 口田&耳郎 VS プレゼント・マイク
8戦目 戦兎&万丈 VS ???
9戦目 障子&葉隠 VS スナイプ
10戦目 峰田&瀬呂 VS ミッドナイト
11戦目 緑谷&爆豪 VS オールマイト
万丈「俺たちは8戦目か」
戦兎「だいぶ時間あるし、俺たちの番までに出来る限りハザードレベル上げるぞ」
後半の第8戦目が試験となった戦兎と万丈。流石に4.0まで引き上げるのは難しいが3.6くらいまでには頑張って引き上げたい所存だ。
根津「それでは早速ルールを説明していくのさ!」
そのルールを要約するとこうである。
一ペアずつ順番に試合を行う。試験時間は30分。勝利条件は『ハンドカフスを相手に掛けること』or『どちらか一人がこのステージから脱出すること』。しかし戦闘を視野に入れさせるため、教師陣は体重の約半分の超圧縮重りを装着する。ステージはチーム事に異なっており、それぞれ教師陣にとって都合の良いステージとなっているようだ。なお他チームが試合中の場合、観戦したり作戦を話し合ったりできるようだ。
オールマイト「そして最後にもう一つ。我々教師陣も君達を本気で叩き潰す所存だ。腹を括れよ」
オールマイトのその言葉がズシリとのしかかる。合格なんて出来ないんじゃないかと思う者もいた。
相澤「それじゃあ第一試合目の切島、砂藤チーム。配置につけ。その他は別室で待機だ。」
生徒たちみんなは相澤の指示に従う。
ようやく始まる実技試験。林間合宿に行けるかどうかは彼らの行動に託された。
万丈「ついに俺たちの番か。」
ようやくやってきた8戦目。校内バスに乗り込み、実技試験に向けて気合を入れる。たった1戦前までハザードレベル上げに努めていたため、戦兎の狙い通り万丈のハザードレベルも3.6までに成長。現在の戦兎のハザードレベルが3.9なので追いつくのも時間の問題だ。
戦兎「ところで筆記試験はうまくいったのか?」
万丈「一応全部埋めたぞ!…途中で寝ちまったけど」
戦兎「寝たのかよ!まあ全部埋めたのは良いことだけども…」
筆記に関して少し不安が残るが、過ぎたことを気にしてもどうしようもない。
万丈「問題は実技だけど…ま、どうにかなんだろ。」
戦兎「そうか?対戦相手も分かんないし、スクラッシュドライバーもないんだぞ?」
万丈「今回はトランスチームガンも使えんだし行けんだろ。それに…」
そう言いかけたところでちょうど目的地に到着。辿り着いたのは市街地のど真ん中。高層ビルがわんさかと立ち並んでいた。
プーっという音とともに自動的にドアが開く。
万丈「俺とお前となら誰が来てもブッ倒せる。逃げるなんてことはしねえ。そうだろ?戦兎」
そう言いながら万丈は笑みを浮かべてバスを降り、ビルドドライバーを巻き付けた。
戦兎「…ああ、そうだな」
戦兎は複雑な笑顔を浮かべてバスを降りる。万丈同様、腰にビルドドライバーを巻きつけながら。
《桐生・万丈チーム。演習試験、Ready Go》
【Kaizoku!Densha!Best Match!!!】
【Wake up!Cross-Z Dragon!!!】
無機質な合成音声のアナウンスと同時に2人はフルボトルをベルトに挿入し、ハンドルを回した。
【【Are you ready!?】】
戦兎・万丈「「変身!!」」
【定刻の反逆者!!!海賊レッシャー!!!イェーイ!!!】
【Wake up burning!!!Get Cross-Z Dragon!!!Yeah!!!】
同時に変身した戦兎と万丈はそれぞれ仮面ライダービルド、海賊レッシャーフォームと仮面ライダークローズへと変身した。
戦兎「さてと、それで対戦相手は一体どこに…」
戦兎「いた。こっちだ!」
戦兎が駆け出そうとしたその時だ。背中に音速を超えんとするスピードで万丈の背中に紫色のエネルギー弾が数発着弾する。
万丈「いッ、いってェ!ちょっ、戦兎!背中がなんか痛え!!!」
万丈の背中に目をやるとエネルギー弾が引っ付いていた。いや、エネルギー弾ではない。ワニの形を模したエネルギー体だ。エネルギー体のワニが万丈の背中をガジガジと噛みついているのだ。
戦兎「このワニッ、離れろ!」
弓型の武器、カイゾクハッシャーをベルトから召喚。通常の弓の弦に該当する小さな電車、ビルドアロー号を引っ張りすぐさま引き離すと、電車型エネルギー体が発射されワニに命中。数発当てると小さく爆発して消滅した。
万丈「これが相手の"個性"か!?」
戦兎「そうらしい…。つってもこんな"個性"持ったヒーロー知ってるか?」
万丈「いや、俺は知らねえぞ」
戦兎「俺もだ。となると完全初見で攻略しなくちゃならないわけか。とにかく今は敵の元へ行くぞ!」
そう言うと戦兎はビルドフォンにライオンフルボトルを挿し込んでマシンビルダーを起動。2人はマシンビルダーに乗り込み、アクセルを吹かした。
しかし進行方向の奥からワニのエネルギー体が向かってきている。
万丈「あのワニは俺がやる!戦兎は運転だけしとけ!」
叫ぶと同時にトランスチームガンとスチームブレードを合体。トランスチームライフルへと合体させる。さらに…
【Fullbottle! Steam Attack!!!】
万丈はロケットフルボトルをセットし、トリガーを引いた。銃口から放たれるミサイルのような銃弾がワニのエネルギー体を貫く。するとそれらは空中で小さな爆発を起こした。
戦兎「いいぞ万丈。この調子で頼む!」
ワニの迎撃を万丈に任せ、戦兎はさらに加速した。その後も何度かワニが特攻してくるたびにその全てを迎撃。気づけば目的地のゴール付近に辿り着いていた。
戦兎「ここで降りてあとは手分けして探そう。」
2人はマシンビルダーから降り、ビルドフォンに戻す。
万丈「それじゃあ俺はこっち探してくるから戦兎はあっちに…」
と言ったその瞬間、地面がガタガタと揺れ始めた。2人は周囲を見渡すと、すぐにその原因が分かった。
万丈「おい…おいおいおいおい!マジでやってんのか…?ビルごと俺たちを潰す気かよ!!!」
すぐ真隣のビルが根元からポッキリと折れ始め、こちらに向かって傾いてきていた。そしてその根元にはなにやら人影のようなものが見える。
戦兎「逃げるぞ!!!」
強引に万丈の左腕を掴み、
万丈「あっぶねぇ…!本気で叩き潰すってこう言うことかよ!」
戦兎「しかもビルの残骸でゴールが封鎖されてる。攻撃と妨害をいっぺんにしてきやがった。」
これで"逃げる"という選択肢が失われてしまった。しかし2人にはそんな選択肢はない。
万丈「行くぞ戦兎。叩き潰されるってんなら上等。むしろ俺たちが叩き潰してやんよ!」
戦兎「ああ。その息だ万丈!」
2人は地面に向かって思いっきりジャンプ。しかし意気込んだは良いものの、着地の衝撃で足がビリビリする。そこまで屋上の高さが高くなかったため、怪我などは全くなかったが痛みはあるようで、万丈は『イッテェ!』とのたうち回っていた。
戦兎「全く何してんだよ。時間ないんだからさっさと探すぞ」
「誰をだ?」
戦兎「誰ってそりゃ俺たちの対戦相手に…」
後ろから聞こえてきた声が万丈の声ではないと気がついた瞬間、戦兎はバッと後ろに振り向いた。するとそこにはまさかの人物が立っていた。
「仮面ライダービルドに仮面ライダークローズ…。確かに強そうだ。この2人だけ特別処置だったのがよくわかるよ。」
彼はコスチュームの黒い革ジャンのポケットに手を突っ込みながらそう語る。
戦兎「…まさかアンタと再び再会できるなんてな。」
戦兎「氷室幻徳…!」