緑谷「そういう経緯でI・エキスポに来てたんだね。爆豪君の住所聞かれてチケット渡すって言ってたからてっきり来ないものかと…」
戦兎「俺は元々メリッサからチケット貰ってたからそれはまたちょっと別だけどな。とはいえ緑谷とオールマイトが一緒なのは意外だったけどな」
緑谷「ま、まあそれは色々あって…。できればこのことは内緒にしてくれるとありがたいんだけど」
戦兎「分かってるって。そんな中俺は旧知の仲だったメリッサ・シールドと再会。彼女の案内で俺はかつて共に"個性"やフルボトルについて研究し合ったデヴィット・シールドとも感動の再会を果たしたのだった。」
メリッサ「何2人で話してるの?さぁ、パビリオンに行きましょう!」
戦兎「そうだった!ってなわけでどうなる第36話!」
緑谷「すごいなぁ!こうしているとここが人工島だなんて思えないや!」
メリッサ「大都市にある施設は一通り揃っているわ。できないのは…旅行くらいね。情報漏洩を防ぐ守秘義務があるから。」
メリッサの案内でI・エキスポを堪能している戦兎と緑谷。ここはショッピングセンターやアトラクション施設などありとあらゆるものが揃っている。
緑谷「うわあー!カイジュウヒーローのゴジロだ!」
戦兎「アレどう考えてもヴィラン側だろ…。あっ、そうだ!」
ゴジロのデカさと凶悪そうなツラからヴィランと判断した様だが残念。彼はヒーローだ。ゴジロだけでなくニイカングなど様々なヒーローがいるらしい。
そしてそれと同時に戦兎はどこかへ駆け出してしまった。しかし2人ともそれに気づかずに話しながら歩いている。
メリッサ「プロヒーローもスポンサードしている企業から招待されたのね。最新アイテムの実演とかサイン会とか色々な催し物があるみたい…ってアレ?戦兎くんは?」
緑谷「確かにいない!一体どこに…」
2人は周囲を見渡すと戦兎はゴジロのところにいた。キョロキョロと自分を探す2人に気づくと小走りで戻ってきた。
戦兎「悪い悪い。あのゴジロってヒーローから成分採取してたんだ。」
緑谷「ってことは新しいボトルが出来たんだ!今度はどんなボトルなの!?」
メリッサ「私も見たい!見せて見せて!」
戦兎が取ってきたフルボトルに興味津々の様子。科学者として、ヒーローオタクとして興味が湧かないはずがない。戦兎はポケットから取り出すと首を捻って
戦兎「このテレビフルボトルなんだけど…あの"個性"と合わないんだよな…。」
と頭を抱えた。するとすぐに緑谷が
緑谷「彼の"個性"は"怪獣"じゃなくて"東宝"だからそこがルーツなんじゃないかな。」
と補足説明をした。戦兎は『なるほど』と言って納得し、大きく頷いた。
メリッサ「ねぇ2人とも!あそこのパビリオンもおすすめよ!行ってみない?」
彼女はそう言いながら博物館の様な場所を指差した。メリッサに言われるがままに入ってみるとその中は青い光に包まれている不思議な空間であった。そして所々に台があり、何かしらのヒーロー・アイテムが展示されている。
メリッサ「見て見てこの多目的ビーグル!飛行能力はもとより水中行動も可能なの!この潜水スーツは深海7000メートルまで耐えられるし、このゴーグルには36種類のセンサーが内蔵されているわ!」
緑谷「す、すごすぎる!」
戦兎「最ッ高だ!」
緑谷も戦兎も目の前にある最新のヒーロー・アイテムを目にとても興奮しているようだ。戦兎もアホ毛がぴょこんと逆立っている。興奮のあまり、2人がいることを忘れて一人で駆け出して展示物を見ていた。
メリッサ「実はほとんどの物はパパが発明した特許をもとに作られてるの!パパ曰く、本当は戦兎くんが作ったビルドドライバーなんかもここに飾りたかったみたいなんだけどね。そういうのは全部戦兎くんが特許持ってるからここには展示されてないけど。」
緑谷「戦兎くんのも!?やっぱり戦兎くんは凄いなぁ…。」
緑谷はガラスケースに保護されているアイテムを見て興奮しまくる戦兎を尊敬の眼差しで見つめてそう言った。
メリッサ「そう言えば戦兎くんは向こうだとどんな感じ?雄英体育祭見れてないから全く活躍が分かんなくて…」
緑谷「そりゃあもう強いですよ!僕なんかじゃ勝てなくて…。逆にアメリカにいた時の戦兎くんってどんな感じだったんですか?」
メリッサ「そうね…。一言で言うと天才と変人を兼ねてる様な人だったわ。自分の発明品にうっとりしたり、博士の知らない技術を持ってたりね。発明ができたときなんか『天才でしょー!』って大はしゃぎしちゃって。それに私より二歳も下なのになんだか凄い人で、私の第二の師匠でもあるの。当然一番はパパだけどね」
緑谷「お父さんのこと、尊敬してるんですね」
メリッサ「うん。パパの様な科学者になるのが夢だから!」
彼女はニッコリと笑ってそう言った。その笑顔に緑谷も少しニヤけているとうしろから…
「楽しそうやね。デク君」
と言う声が聞こえてきた。すぐさま後ろへ振り返ると見知った顔が3名。麗日、耳郎、八百万だ。緑谷はギョッとした顔で驚いた。
緑谷「だあっ!!う、麗日さん!?どうしてここに!?」
八百万「とっても楽しそうでしたわ」
耳郎「緑谷、聞いちゃった」
緑谷「八百万さんと耳郎さんまで!?恐るべしイヤホンジャック!!!」
まさかここでもクラスメイトと出会うなど予想さえしていなかった緑谷は館内にも関わらず大きな声を出してしまった。その声を聞いた戦兎は何事かと心配してみんなの元へ戻ってきた。
戦兎「緑谷、急に叫んで一体なにが…って、麗日に耳郎に八百万!お前らも来てたのか。」
八百万「戦兎さんも来ていらっしゃったのですね!」
戦兎「昔馴染みの招待のおかげでな。」
メリッサ「もしかして彼女らは2人のクラスメイト?」
5人が仲良く話している様子を見てメリッサは戦兎にそう尋ねた。
戦兎「まあな。そうだ。ここで話し込むのもなんだし、カフェでゆっくり話さないか?」
耳郎「賛成!その子と緑谷の関係も知りたいし」
緑谷「それは誤解だってば…」
ここで話していては他の客の鑑賞の邪魔になると考え、なにやら変な誤解をしている様子の女子3人と半ば諦めたような感じで肩を落とす緑谷、そしてよく分かっていないメリッサを連れて外にあるカフェにみんなを連れて出たのだった。
メリッサ「へぇ〜!お茶子さんたちプロヒーローとヒーロー活動したことあるんだ!」
麗日「訓練やパトロールくらいで大したことはしてないですけど」
耳郎「私は事件に関わらせてもらったけど避難誘導くらいで…」
八百万「私なんか何故かCM出演するハメに…」
メリッサ「どれも普通じゃできないことね!凄いわ!」
4人とも歳が近い女子高生だからだろうか、すぐにメリッサたちと打ち解けて話が弾んでゆく。その様子を見て緑谷は『誤解が解けて良かった…』と胸を撫で下ろした。
「お待たせしました。」
ホッとしている緑谷と寛いでいる戦兎のところにウェイターがジュースを届けてくれた。しかし届けに来た時のその声、どうも聞き覚えがある。というか聞き覚えしかない。2人ともふと顔を見上げるとそこには…
戦兎「上鳴!峰田!お前たちも来てたのか…!」
真摯に仕事をする上鳴と峰田がいた。話を聞くとどうやらエキスポ期間中の臨時バイトの募集でI・アイランドにやってきていたらしい。
峰田「休憩時間にエキスポ見学出来るし、給料貰えるし、それに来場した可愛い女の子とステキな出会いがあるかもしれないしな!!!」
と、メリッサの方を見ながらそう言った。すぐさま2人は緑谷を抱え込むなりメリッサの詳細について尋ねた。
メリッサ「ところで彼らも雄英生?」
上鳴「そうです!ヒーロー志望です!」
さっきまでのゲスい顔を瞬時に切り替えてキリッとした顔でそう言い放った峰田と上鳴。そんな2人に
飯田「何を油を売っているんだ!!!」
と言う叫び声と壮大な足音と共に飯田がどこからか駆け寄ってきた。
緑谷「い、飯田君!?君も来てたんだ!」
飯田「うちはヒーロー一家だからね。I・エキスポから招待状を頂いたんだ。家族は予定があってきたのは俺1人なんだが…」
両腕をロボットダンスをしているかの様にウィンウィンと動かしながら飯田はそう語った。
八百万「飯田さんもですの?私も父がI・エキスポのスポンサー企業の株を持っているものですから招待状を頂きましたの。」
耳郎「で、ヤオモモの招待状が2枚余ってたから厳正な抽選の結果うちらが行くことになったってわけ。」
麗日「他の女子もこの島には来とるんよ」
戦兎「となるとA組の半分くらいはこっちに来てることになるのか。」
現時点でこちらに来ていることを把握している雄英生は戦兎、万丈、緑谷、麗日、八百万、耳郎、峰田、上鳴、爆豪、轟、芦戸、蛙吹、葉隠の計12名。想像以上の人数だ。
メリッサ「そうだ!よければ私が皆さんを…」
メリッサがそう言いかけた時だった。ドシーン!と大きな地響きと地面の揺れを感じた。何やら岩山のあるパビリオンで何かが起こっているらしい。
戦兎「な、なんだ!?」
戦兎と緑谷は慌ててカフェを出て、そのパビリオンへと駆けつけた。何もない岩山だが、所々もくもくと煙が上がっており、その中心部には丸いステージがあった。
『クリアタイム33秒!第8位です!』
実況の声が聞こえる。誰かが競争型のパビリオンに挑戦している様だ。そしてその人物が宙に浮いているホログラムに映し出される。
緑谷「切島くん!?」
なんと切島だった。どうしてここにいるのかは分からないが彼がいると言うことは…
『さあ、次なるチャレンジャーは〜!?』
緑谷「かっ、かっちゃん!?」
戦兎「やっぱり爆豪か。」
戦兎はにやりと笑ってそう言った。切島と爆豪は仲がいい。おそらく切島が付き添いでやって来たのだろう。
『それではヴィランアタック!レディ〜ゴー!!!』
その掛け声と共に爆豪は手のひらで爆発を起こして浮上。そのまま身体を上手く爆発で操りつつ、至る所にいるロボットを破壊した。
この『ヴィランアタック』というパビリオンは計6体のロボットをいかに早く倒せるかと言うアトラクションらしい。
『これは凄い!クリアタイム15秒!トップです!』
当然という澄ました顔で大丈夫しようとする爆豪。しかし切島が戦兎たちの存在に気づき、『あれ?あそこにいるの緑谷と戦兎じゃね?』と言い放った。その瞬間、爆豪は爆破で緑谷近くの柵に飛びついた。
爆豪「なんでテメーらがここにいるんだ!?ああ!?」
緑谷「や、やめようよかっちゃん…人が見てるから…」
爆豪「だからなんだっつーんだ!!!」
いつものように爆豪が怒鳴り散らし、それに緑谷が子鹿のようにプルプルと怯えまくっている。
戦兎「まあまあ落ち着けって2人とも。せっかくお前に招待状送ってやったのに」
爆豪「アレはお前の仕業かよ!!!クソ迷惑なんだよんな事すんな!」
火に油を注いでしまったのだろう、さらに爆豪は激怒する。
飯田「ちょっと待て、その話が本当なら君は来ない選択も出来たはずじゃ…」
切島「おー、それなら俺が引っ張り出したんだよ。俺こういうのあんま来ねえし、行きたかったから爆豪に頼み込んだ。付き添いでいいから連れてってくれってな」
どうやら本当は爆豪は来ないつもりだったらしい。とは言え流石に切島の猛烈な頼み込みに根負けしたのだろう。結局ここに来てしまった。
『次のチャレンジャーはこちら!!!』
ごちゃごちゃしている間に次のゲームが始まってしまった。と思いきや次のチャレンジャーはまたしても顔を知っている人物だ。
緑谷「万丈くんも!?一緒に来てるってことは聞いてたけど…」
戦兎「まさかこんなところにいたなんてな」
次のチャレンジャーは万丈であった。空港に着くなりすぐに飛び出していったからどこにいたのかわからなかったのだが、偶然にも再会してしまった。
万丈「んじゃあいっちょやるか!」
腰にベルトを当てつけ、ドラゴンフルボトルをシャカシャカと振る万丈。その姿を見てメリッサが驚いた。
メリッサ「あれってもしかしてビルドドライバーじゃない!?しかも新しいボトルも…!」
戦兎「そう言えばメリッサは知らないんだっけか。アイツは万丈龍我。俺の知り合いでビルドドライバーを貸してるんだよ。俺のビルドとは少し違うからよく見といた方がいい」
メリッサ「分かったわ」
そう言うとメリッサは柵から身を乗り出して万丈を注視する。
【Wake up!Cross-Z Dragon!!! Are you ready!?】
万丈「変身!」
【Wake up burning!!!Get Cross-Z Dragon!!!Yeah!!!】
展開したスナップライドビルダーが万丈に向かって閉じる。そして万丈は仮面ライダークローズへと変身した。
メリッサ「すごい!私が知らない間にあんなのが出来てたなんて!」
戦兎「アレは仮面ライダークローズ。元々は万丈の見張り兼変身アイテムのクローズドラゴンとドラゴンフルボトル一本だけで変身できるように作ったんだ。凄いでしょ?最ッ高でしょ?天ッ才でしょー!」
今まで展示物を見ていたためテンションが上がっていたのだろうか、素のテンションで叫んでしまった。
メリッサ「やっぱりあなたは変わらないのね」
2年前となんら変わらない様子を見てクスクスと笑うメリッサ。そしてそれを横目に見てはきゃっきゃしている女子雄英高生。この年頃になると色恋沙汰には敏感なのだ。
『それではヴィランアタック!レディーゴー!!!』
アナウンスと共に万丈はビートクローザーをベルトから召喚。すぐさまドラゴンフルボトルをスロットにセット。2回グリップエンドを引っ張った。
【Special Tune!ヒッパレー!ヒッパレー!Million Slash!!!】
万丈「ハァッ!!!」
万丈が剣を思いっきり振りかざすと剣先から火炎球が6発飛び出し、自動的にロボットへ当たった。するとロボットは軽く爆発して機能が停止してしまった。
『こっ、これは凄い!クリアタイム13秒!記録更新です!』
万丈「よっしゃ!」
そのアナウンスを聞いてガッツポーズを使った万丈。一位をとって気持ちよくステージを後にしようとするとちょうど戦兎たちを見つけた。
万丈「お〜い!!!戦兎〜!!!見ろよアレ!!!」
万丈は自らの記録が載っているホログラムを指差してそう言った。その様子にイライラしている人が一名。爆豪だ。自らの記録を塗り替えられて相当頭にきている。
爆豪「おいクソ筋野郎!何勝手に記録書き換えてんだ!」
緑谷「ちょっ、かっちゃんやめてよ!」
爆豪「テメェは黙ってろクソナード!!!」
仲裁しようとするも止められず。やはり緑谷は弱かった。
万丈「んまあなんで怒ってんのか分かんねえけど、お前らもこれやってみろよ!無茶苦茶楽しいぜ!」
爆豪「やってみろや!ボトル野郎より俺のが強えってことをここで証明してやる!!!」
怒りが頂点に達しているのだろう。血管がハチ切れそうなほど浮き上がり、目は鬼のように釣り上がっていた。そんな彼に緑谷は愚か戦兎までも抵抗することができず、為すままにチャレンジャーとして出場することになった。
「ブツは予定通り受け取った。…なに?オールマイトが?狼狽えるな。それはこちらで対応する。」
謎の男はそう言って電話を切った。その時だ。彼は自分の背中に異形のものがあると本能で感じ取った。
「お前…何者だ?」
顔を向けず、そのままの状態で話しかける。
「お前と同じヴィランって奴だ。」
「何ッ!?」
ギョッとした顔で男が振り向いた瞬間、男はガバッと顔を掴まれ、そのまま右手でその男の巨体を持ち上げられた。そしてヤツは持ち上げた右の手のひらから煙を放出。男は大量にその煙を吸い込まされた。
「お前、ウォルフラムって言うのか。"個性"は金属操作。それに加えて別の"個性"もあるときた。フッハッハッハ!ちょうど良い。この世界初の実験台はコイツにしとくか。」
ウォルフラム「な、なにをするつもりだ…!」
「別に。ただお前に協力してやろうってだけさ。アンタの狙いは"個性"活性化装置なんだろう?俺はI・エキスポのパーティで殺したい奴がいる。利害は一致してるはずだ。もちろんそれだけじゃない。お前に新たなる力を与えてやろう。」
そう言うと左手をゆっくりと開き、手のひらの中にあるものを差し出した。
「"個性"活性化装置を使う時に一緒に使うといい。ソイツはきっとお前の役に立ってくれるだろう。ただし、コイツは誰にもバレないように使うこと。いいな?」
彼は念押しをしつつウォルフラムをギロリと睨みつけた。少しウォルフラムは怯えているようだが、軽くニヤッと微笑んだ。
ウォルフラム「協力してくれるのだな…」
「ああ、もちろんだ。相棒♪」
彼はパッと手のひらを離してウォルフラムを解放する。ドシンと尻餅をつくと彼が手を差し伸べてくれた。
ウォルフラム「改めて俺はウォルフラム。アンタ…名前は?」
「シンイリだ。よろしく。」
ウォルフラムがシンイリの手を握るとシンイリはゆっくりと手を引いてウォルフラムを立たせた。
シンイリ「それじゃ、俺はやることがある。またな」
そして彼はプシューっと煙を出すとその煙に隠れて何処かへ行ってしまった…。