天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア   作:いぷしろん

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S(2m+1)=((1+√2)^(2m+1)+(1-√2)^(2m+1))/2⇒S(5)=41話

万丈「緑谷…!おい緑谷!起きろ!」

 

万丈は気絶した緑谷の頬をペチペチ叩く。あまりの金属柱の衝撃に耐えられず気絶してしまったようだ。流石の万丈も全身を融解寸前まで加熱させていたからか、エネルギーを使い果たして変身が強制解除してしまっている。せっかくオシャレしてきたスーツも焼け焦げてしまい、中のスカイブルーのワイシャツもところどころボロボロだ。そしてそれは緑谷も同様である。

 

緑谷「う…ん…」

 

緑谷はゆっくりと瞼を開けた。そこには不安そうな顔をした万丈がいた。

 

万丈「起きたか。…事態はやべえことになってる。アイツら、デヴィットを連れて逃げやがった。今すぐ追いかけねえと間に合わねえぞ」

 

緑谷「わ、分かった。」

 

緑谷はなんとか立ち上がるも左肘から出血している。足も痛めていたようでよろめきながら少しずつしか歩けない。

 

万丈「肩貸してやるよ。ヒーローは助け合いだろ?」

 

緑谷「ありがとう」

 

2人でゆっくり、そして着実にヴィランの跡を追っていく。ウォルフラムたちの行く場所はすぐに予想できた。屋上のヘリポートだ。そこからなら容易に脱出ができる。

そうして一歩一歩踏み出し、ようやくヘリポートに到着した。するとそこではウォルフラムが装置とデヴィットをヘリに乗せ込んでいた。

 

ウォルフラム「もう少しだけ罪を重ねよう。その後で望みを叶えてやる」

 

緑谷「待て!博士を返せ!」

 

ウォルフラム「なるほど。悪事を犯したこの男を捕らえに来たのか?」

 

万丈「博士を助けに来たんだ!」

 

万丈は走りながらクローズドラゴンにドラゴンフルボトルをセット。そのままベルトにクローズドラゴンを入れてボルテックレバーを回した。

 

Wake up!Cross-Z Dragon!!! Are you ready!?

 

万丈「変身!」

 

Wake up burning!!!Get Cross-Z Dragon!!!Yeah!!!

 

万丈は仮面ライダークローズへと再変身。ウォルフラムは地面に手をつけ、鋼鉄の柱を生成して万丈にぶつけようとするが、身軽な動きで次々と回避。着実にウォルフラムに近づいていく。

 

ウォルフラム「犯罪者を助けに来たのか?滑稽だな」

 

万丈「うるせえ!んなこと今は関係ねえだろ!今はそいつ助けるのが先だ!」

 

ウォルフラム「どうやって助けるんだ?」

 

ニタっと笑ってそう言うと、ウォルフラムは手に持っていた銃をデヴィットに向けた。その瞬間、動きが止まり、鉄柱に殴られた。

 

ウォルフラム「ヒーローってのは不自由だよなぁ。これだけで身動きひとつ取れなくなる。」

 

万丈の下から突如として鉄柱が飛び出し、宙に投げ出された万丈は幾本の鉄柱に嬲られる。

 

ウォルフラム「ヘリを出せ。」

 

ウォルフラムはヘリに乗り込むと同時に地面から手を離す。すると金属柱は運動をやめ、万丈は地面に強く叩きつけられた。その衝撃でまたもや変身が強制解除。先ほどの融解寸前の発熱の影響もあり、装甲はそこまで丈夫に生成できなかったようだ。

 

万丈「逃すか!!!」

 

万丈はすぐに立ち上がって金属柱の残骸を駆け抜け、生身の状態でヘリに飛び移った。完全に遠くなる前に飛び移ったからか、ギリギリヘリの搭乗口に掴まることができた。しかし高度はビル200階分。それを命綱もなしに宙ぶらりんになっている。落ちたらクローズでも耐えられないであろうが、彼は今生身だ。落ちれば確実に死ぬ。

 

デヴィット「やめろ!君にはまだ先がある!手遅れになる前に逃げるんだ!」

 

万丈「先があるのはアンタの方だ!アンタにはまだメリッサがいんだろ!」

 

デヴィットは何も言い返せなかった。最愛の娘がいる。自慢の娘がいる。研究結果も、報酬も、何も残っていなくとも父を尊敬する娘だけはまだ生きている。

 

万丈「…俺には親がいねえ。物心つく頃には事故で死んじまってたからな。だからお前たちみてえな家族見ると羨ましく思っちまうんだよ。メリッサには俺と違ってまだ親がいる。犯罪に手を染めようが親父なのは変わんねえだろ…?」

 

新世界で万丈を産み育ててくれた両親は健在だが、新世界の両親は万丈にとってはどこか他人のように感じられ、本物の両親は旧世界の方だと彼は認識しているのだろう。だからこそ彼らが羨ましい。

 

ウォルフラム「確かに親父なのは変わんねえな。娘のことも考えられなかった最低な親父だ。」

 

ヘリ内からウォルフラムが出てきて、万丈の手をグリグリと踏みつけつつそう言った。

 

ウォルフラム「雄英生徒にしては良くやったよ。じゃあな」

 

ウォルフラムは万丈の指を銃で撃った。思わず万丈はヘリから手を離してしまい、ビル200階以上の高さから落下してしまった。

 

緑谷「万丈くん!!!」

 

万丈は奈落の底に落ちた。

自分では助けることができない。自然と大粒の涙が出てくる。人の死はこんなに呆気ない物なのか。人を助けると唄いながら全く救うことが出来なかった。母さんから物を引き寄せる"個性"でも引き継いでいれば、まだ万丈くんを助けられた何という自責の念が募り募っていく。

 

メリッサ「緑谷くん!今万丈くんが!!」

 

警備システムを解除したメリッサが遅れてやってきた。オールマイトに連絡しつつここに来ていると、窓から万丈が落ちていったのが見えたので慌てて上がってきたようだ。

緑谷は涙ぐみながら事情を説明した。

 

メリッサ「そんな…万丈くんが…。嘘…嘘って言ってよ!!!」

 

緑谷「もっと…もっと僕に力があれば…!クソッ!!!どうしてこんなことに…!!!」

 

「ハーッハッハッハ!こう言う時こそ笑うんだ!緑谷少年!!!」

 

上空から何か来る。大柄の男でみんなが憧れたあのプロヒーロー、オールマイトだ。彼はヘリにチョップをかましてヘリを破壊。ウォルフラムらはそのまま屋上に墜落した。

 

オールマイト「もう大丈夫、何故って?私が来た!」

 

緑谷「オールマイト…僕…笑えません…。万丈くんが…」

 

オールマイト「分かっているとも。安心しなさい。彼は絶対に助かる。いや、助ける。」

 

彼は自信を持ってそう言った。万丈を諦めるなんてことは絶対にしない。

 

ウォルフラム「よく言えたもんだよ。往年の力もないくせにな。」

 

ウォルフラムがヘリの残骸から装置とハンマーロストフルボトルを持って歩いてきた。そして装置を顔につけ、ロストフルボトルを首に挿した。もがき苦しみながらも強大なエネルギーを得て化け物に変身する。さらに装置によって強化された自身の"個性"で周囲の金属を剥ぎ取りその金属を体に纏い、デヴィットをも取り込んだ。その体躯は数十mをも超えている。もはやスマッシュの域を超えて、最凶の機械生命体のようになっていた。

 

ウォルフラム「おぉ…力が湧き出してくるぞ…!これがデヴィットの作った装置…!それにあのシンイリがくれた物も相まって力が満ち溢れる…!」

 

ウォルフラムは数多の強化された金属の柱を生成。その数々をオールマイトにぶつける。

 

オールマイト「テキサススマーッシュ!!!」

 

オールマイトは高く飛んでスマッシュを打ち込むも金属柱がそれを真正面から阻止。そのまま金属柱に突き飛ばされて地面に強く叩きつけられる。

それと同時にメリッサも地面から投げ出されるが緑谷がなんとか体を動かしてキャッチ。なんとかメリッサを抱えて地面に着地する。だがオールマイトは絶対絶命。マッスルフォームを保ったまま地面に倒れ込んでいた。その頭上には金属の柱が幾本。まさにオールマイトに襲い掛からんとしている。

 

ウォルフラム「じゃあなオールマイト。お前はここで終わりだ」

 

緑谷「オールマイト!!!」

 

緑谷はメリッサを置き、全身にワン・フォー・オールを巡らせる。常時5%が限界だった。そんな身体では間に合わない。身体が悲鳴を上げながらもなんとか8%にまで無理矢理引き上げた。

 

緑谷「間に合ええええ!!!」

 

無理にでもオールマイトの前に出ようと手を伸ばす。間に合わないかもしれない。それでも手を伸ばして助けられる命がそこにあるのなら…。

そしてその瞬間、強くて鈍い金属の音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時は遡る。万丈は銃弾が指に当たる直前にヘリから指を離し、地面に向かって突っ込んでいた。

 

万丈「や、やべえ!このままだと死んじまう!どうすれば…そうだ!スタークになれば…」

 

ブラッドスタークになってコブラでも召喚すれば、なんとか壁を這っていくことができる。そう考えて身体のあらゆるところを探すが…

 

万丈「無い!なんでこう言う時にねえんだよ…!!!」

 

残念。トランスチームガンならここに来る途中で麗日に投げ渡してしまっていたためここに存在しない。クローズに空を飛ぶ機能もない。絶体絶命だ。

 

万丈「マジかよ…。俺はこんなとこで死んじまうのか…」

 

目を瞑るとこれまでのことが走馬灯のように瞼の裏に流れ込んだ。戦兎と出会った時のこと。一海や幻徳、エボルトとの戦い。バカして過ごしたり、騒いだりした日々。そしてこの新世界で過ごした日々。入試や体育祭、B組で年甲斐もなくはしゃいだ学園生活。そして何より想い出されるのは…香澄のことだ。自分のことを常に思ってくれていた香澄が鮮明に出てくる。

 

万丈「香澄…。俺ももうすぐそっちに行くからな。天国で待ってろよ…」

 

手を空高く伸ばし、重力に身を任せた。頬に当たる風が死を思わせる。

香澄にようやく会える。そう思っていたのに…

 

「悪いな万丈。香澄さんに会えるのはまだ先になりそうだ」

 

何者かがそう言うと高く伸ばした万丈の手をガシッと掴んだ。落下が止まり宙にふわふわと漂っている。

 

万丈「戦…兎…?」

 

ゆっくりと瞼を開くとそこにはエンパイリアルウィングを大きく広げ、羽ばたいているビルドが万丈の手を掴んでいた。そのまま戦兎はゆっくりと上昇し始めた。

 

戦兎「全く、いくら香澄さんに会いたいからってこの期に及んで自殺なんかしようとするんじゃないよ」

 

万丈「んなわけねえだろうが…。どうしてここに?」

 

戦兎「オールマイトからとりあえずビルの外に出とけって連絡があってな。すぐにロボフェニックスフォームで外に出たら落ちてくるお前がいたもんでな。慌ててキャッチしたよ。」

 

万丈「めちゃくちゃすぎんだろ…。」

 

破茶滅茶な展開について行けていない万丈。しかし今はそれより命が助かったことだけでも分かっていればいい。

 

万丈「とにかく…ありがとな。」

 

戦兎「どういたしまして。それより一体何が起こった?お前がやられるなんてよっぽどのことが起こったんだろ。」

 

万丈「実は…」

 

万丈はデヴィットがこの事件の首謀者だったことからウォルフラムのことまでを全て話した。

 

戦兎「なるほどな。それで博士は装置を取り戻そうと偽のヴィランを雇ったら実はそのヴィランが本物だったってことか。そして今オールマイトが加勢してると。俺たちも加勢しなくちゃな。」

 

万丈「でも相手は強えぞ。俺でも流石に相手できなかったし…」

 

戦兎「ごちゃごちゃ言ってないで行くぞ。」

 

戦兎はマスクの中でニヤッと笑う。すると戦兎は超スピードで重力に逆らって飛翔し始めた。

すぐに最上階まで辿り着き、万丈を下ろす。すると緑谷の叫ぶ声が聞こえた。よく見ると緑谷の視線の先にはオールマイトとヴィランが。すぐさま駆けつける。

強くて鈍い金属の音が鳴り響いた。

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