天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア   作:いぷしろん

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万丈「はぁー助かったぁ…。一時はどうなるかと思ったぜ。ありがとな」

 

戦兎「安心するのはまだ早えよ。」

 

万丈は戦兎を抱え、オールマイトらからより遠い場所へ飛行していた。このまま逃げて、出来るだけオールマイトの邪魔にならないようにしなければならない。

 

戦兎「なあ万丈、あのヴィラン、オールマイトが倒せると思うか?」

 

万丈「あ?んなもん決まってんだろ。オールマイトなら………」

 

しばらく沈黙が続いた。

彼なら倒せる。以前ならそう断言出来ていた。しかし今回はどうだろうか。オールマイトとほぼ互角、いや、下手すれば相手の方が上かもしれない。それに加えてI・アイランドにて、オールマイトが弱っていることを知ってしまった。もう見逃すことはできない。

 

戦兎「…やっぱ戻ろう。もうあそこにはヴィラン連合のメンバーもいなくなっているはず。あのヴィランだけだ。」

 

万丈「俺も同感だ。あいつは今倒さなきゃ、もっと苦しむ人が増えちまう。戻るぞ戦兎。」

 

覚悟を決めた。戦兎も万丈も、もはやその行為が"違法"であると考えてすらいなかった。オールマイトが死ねば…いや、ヤツが生き延びれば、必ず被害が及んでしまう。

万丈はその場でU字に旋回。来た方向へと急いで飛んだ。

 

戦兎「そうだ万丈」

 

万丈「なんだよ、こんな時に」

 

戦兎「もしかしたら俺はアレを…」

 

その瞬間だった。戦兎の頬の真隣を通り過ぎていく黄色い飛翔体があった。一瞬だったが、戦兎と万丈の複眼はそれが何かをはっきりと認識していた。グラントリノだ。ついさっき、自分を逃がしてくれた爺さんが豪速で逆ベクトルで飛んで行った。

 

万丈「今のって…!」

 

戦兎「急ぐぞ万丈!嫌な予感がする!」

 

万丈「分かった!しっかり捕まっとけよ!」

 

万丈は蝙蝠の羽を羽ばたかせ、より加速度をあげて飛んだ。

あの地点まで数百mもない。もう少し、あと少し…

 

戦兎「見えた!あそこだ!」

 

戦兎が見たのは、オールマイトがまさに拳を下ろしている瞬間であった。自身の師匠の家族に手を出し、絶望に暮れている。そしてその前には、右腕を膨張させ、彼に対する殺気を最大限に放っているAFOがいた。

 

万丈「やべえ!殺されるぞ!」

 

戦兎「俺たちがアレを受ければ変身解除程度で済む!あの間に入るぞ!」

 

万丈「分かった!」

 

万丈は全身のヴァリアブルゼリーを使ってロケットのように加速。あと数十m。彼が殴る前に間に入らなければオールマイトは…

 

AFO「さよならだ。オールマイト」

 

AFOは思いっきり右腕を振りかぶって、最大の加速度を待って殴った。

グシャッと言う鈍くて低い音が虚しく聞こえた。

煙が立った。物体同士がぶつかり合って酷いほどの摩擦熱を生じたのだろう。しかしその煙も次第に晴れてきた。

 

AFO「さてと、これでようやく…」

 

煙が晴れた頃、AFOがオールマイトの方を確認した。しかしオールマイトは屍になり損ねていた。代わりに衝突を受けたのは…戦兎たちだった。

 

戦兎「間に合った…みたいだな…」

 

オールマイトの後方に積まれた瓦礫の山に戦兎らは埋もれていた。

無我夢中で加速し、2人はAFOの攻撃を受けた。そのわずかコンマ1秒ほどでオールマイト後方まで吹き飛ばされ、瓦礫がクッションのように受け止めた。変身は当然強制解除され、身体全身がボロボロになり、血が当たるところから出ていたが、なんとかオールマイトだけは身を挺して守れたようだ。

 

オールマイト「桐生少年に万丈少年…どうして…」

 

万丈「アンタはもう力を使い切っちまった。その姿がその証拠だろ」

 

戦兎「だったらいくらオールマイトでも普通の人と何ら変わらない。ならそれを守るのがヒーローの役目。俺たちの役目だ。」

 

満身創痍になりながらもオールマイトの前に立った。初めて守られるその感覚。頼りない生徒の背中だが、それと同時に彼らの言葉には貫禄を感じた。

 

オールマイト「本当に…すまない。そして…ありがとう。戦兎少年、万丈少年…!」

 

微かな掠れ声でオールマイトはそう呟いた。次世代のヒーロー。それを少しだけ垣間見た。

 

戦兎「というわけでこれ以上戦うっていうなら、俺たちが…仮面ライダーがお前の相手をする!」

 

2人はAFOの前に立ち、恐怖を堪えながらも奴と対峙した。

 

AFO「君たちは…ああ、さっきの雄英生徒か。なるほど。感心したよ!オールマイトの代わりに殺されようとは。」

 

万丈「殺されに来たわけじゃねえよ。アンタをとっ捕まえにきたんだ!前にオールマイトが言ってた…えっと…そうだ!ワン・フォー・オール!」

 

戦兎「いや逆だろ!オール・フォー・ワン!」

 

2人はボケとツッコミを自然に交わしつつ、ドライバーをセットした。

目の前に最凶のヴィランがいると言うのにこの調子だ。いや、むしろそっちの方が彼ららしい。

 

万丈「誰でも良い!こんなことしたお前が許せねえ!」

 

Dragon Jelly!

 

万丈はその宣言と同時にドラゴンスクラッシュゼリーのキャップを正面に合わせ、ドライバーにセットした。

 

戦兎「愛と平和のために…お前を倒す!」

 

RabbitTankSparkling!!!

 

戦兎はラビットタンクスパークリングのプルタブを開き、ベルトにセット。そしてボルテックレバーをグルグルと回した。

 

【Are you ready!?】

 

戦兎・万丈「「変身!!!」」

 

ファイティングポーズを取り、2人の体にライダーの素体が合体。それぞれディメンションバブルとヴァリアブルゼリーに身を包んだ。

 

潰れる!流れる!!溢れ出る!!!

Dragon In Cross-Z Charge!!!BRRRRRAAAAA!!!

 

シュワッとハジける!!!

RabbitTankSparkling!!!イェイイェーイ!!!

 

そして2人は仮面ライダークローズチャージ、仮面ライダービルド、ラビットタンクスパークリングフォームへと変身した。

 

AFO「2人とも良い"個性"だ。()()の糧になってくれ」

 

ヤツはそう言うと黒鋲を指先から伸ばし、2人を突き刺そうとするも2人はドリルクラッシャーやビートクローザーでそれを弾き飛ばす。そしてそのまま流れるように斬りかかった。しかしAFOは"転送"と"衝撃反転"を使用。仲間討ちをさせられてしまった。

そして膨張した腕で万丈を弾き飛ばし、戦兎のマスクを鷲掴みにした。しかもオールマイトに引けを取らないほどのパワーで、なかなか離れることができない。

 

AFO「その"個性"…弔にピッタリだ。」

 

戦兎「何を…ッ!」

 

AFOは戦兎の体内に眠っているであろう"個性"を探し出した。しかし、当然そこには何もない。AFOが望むものは何一つなかった。

 

AFO「…ない…!?これほどの力を持ってしてどうして…」

 

万丈「戦兎から手ェ離せ!!!」

 

Ready Go!Let's Break!!!Scrap Break!!!

 

万丈はクローズドラゴンをツインブレイカーにセット。さらにレンチを押し下げて必殺技を発動した。蒼いクローズドラゴン・ブレイズ型のエネルギーを放出。エネルギーは人ではないため"転送"や"衝撃反転"を使用できず、AFOは攻撃を食らい、戦兎はその隙に、AFOの顔面を殴り上げると同時にインパクトバブルによる衝撃波を発生させてAFOをのけぞらせた。

 

AFO「…なるほど。君のが奪えないんだったらその青い子のを奪えば良い」

 

すると今度は万丈に狙いを定め、万丈に向かって突進してきた。当然戦兎は止めようと駆けつけるが、AFOは"電波"を周囲に放ってライダーシステムに不調を起こさせてその場に留まらせた。BLDシグナルSPによって迅速に応急処置が為されたが足止めを食らってしまった。

 

戦兎「やめろッ!!!」

 

【各駅電車〜!急行電車〜!快速電車〜!カイゾク電車!!!発射!!!】

 

それでも戦兎はベルトからカイゾクハッシャーを召喚。ビルドアロー号を引っ張って必殺技を発動させ、電車型のエネルギー体を何度もぶつけた。

 

AFO「邪魔だ」

 

AFOは"個性"を何重にも掛け合わせて戦兎を吹き飛ばす。そして狙い通り、再び万丈の方へ向かい、万丈にドリルクラッシャーの先端のように捻れた"槍骨"で万丈を突き刺して攻撃。間一髪のところで交わしたり、ビートクローザーでいなすが精神的余裕はない。

 

万丈「お前ばっかに攻撃させてたまるかッ!」

 

Single!

 

Single Finish!

 

万丈はビームモードのツインブレイカーでエネルギー波を放つも、AFOが"転送"で万丈をエネルギー波の目の前に"転送"。自身の攻撃に怯んだ直後にAFOは"筋骨発条化"、"瞬発力"×4、"膂力増強"×3でさらに肥大化した筋肉を用いた右腕で万丈の腹部を殴り、上空数十mへとぶっ飛ばした。

 

AFO「今度は邪魔されないようにしなくちゃね」

 

そう言うと"エアウォーク"で上空へ飛翔。最高地点にいる万丈に追いつき、万丈の頭を鷲掴みにして"個性"を探った。しかし…

 

万丈「おいおい、何すんだよ」

 

万丈は思いっきり横からAFOの顔面を殴った。すると不自然なほどの速さでAFOが左下へと飛んでいった。摩擦もなにもないからか、はたまた"エアウォーク"の影響からだろうか、AFOは地面に強く衝突し、頭部を強打した。

そして万丈も重力に身を任せて落下。幸い瓦礫の上に落ちたため、大したダメージはないみたいだ。

 

AFO「いってて…。流石に油断したよ。やるじゃないか。」

 

AFOは地面から這い上がり、再び戦兎らの前に立ってそう言った。目も鼻も口もない、のっぺらぼうの不気味な顔にうっすらと笑みを浮かべているかのように。

 

AFO「…()()()()()()()()()()()

 

そう言った瞬間だった。何が起きたのか分からなかった。

気づけばヤツは目の前にいた。そして腹に一発ずつ、丁寧に、そして装甲を抉り取るかのように速く、強いパンチを幾度となく叩き込まれた。

 

戦兎「ガハッ…」

 

痛みを感じた。血が流れてくる感触があった。瓦礫が皮膚を貫通して食い込んでくる。それほどまでに強く叩きつけられたのだ。変身なんぞもう既に解除されていて、腰からベルトさえも外れてしまっていた。

 

万丈「クソッ…ここまでかよ…」

 

クローズチャージでも、ラビットタンクスパークリングでも勝てない。

どうしようもなかった。このままだと殺されるのがオチだ。オールマイトもやられた。…これ以上やっても無駄だ。AFOには勝てな…

 

戦兎「んなわけないだろ!!!」

 

戦兎は強く否定した。

身体中が痛い。悲鳴をあげている。それでも戦兎は立ち上がり、ヤツの前に立ちはだかった。

 

AFO「まだ立ち上がるのか。もう満身創痍のくせに」

 

戦兎「そうだ…。まだ諦められない!愛と平和(Love and Peace)のために…俺がお前を止める…!この身を賭けても!!!」

 

戦兎の左手にはビルドドライバー、そして右手には…ハザードトリガーがあった。

 

万丈「戦兎…お前まさか!!!」

 

戦兎「悪いな万丈…」

 

戦兎はビルドドライバーを再び腰に装着。さらに懐から何かのアイテムを取り出して万丈の方へと捨てるように投げた。

そして右手の親指でハザードトリガーのセキュリティクリアカバーを弾いて外す。そしてその親指をBLDハザードスイッチの上に乗せた。

 

戦兎「…あとはよろしくな。」

 

【Hazard on!】

 

そして戦兎はハザードトリガーを起動。接続端子のBLDライドコネクタをビルドドライバー上部のBLDライドポートへと接続。さらにポケットからラビットとタンクのフルボトルを取り出すと、軽く一振りだけしてキャップを正面に合わせて、それぞれスロットへ装填した。

 

Rabbit! Tank! Super Best Match!!!】

 

ゆっくりとボルテックレバーを回すと『ガタガタゴットンズッタンズタン』という音声と共に普段とは異なる鋳型のようなハザードライドビルダーが展開。内側がビルドの形に凹んでおり、外側には黄色と黒の縞模様があり、まさに"危険"であると象徴している。

 

【Are you ready!?】

 

戦兎「…変身」

 

その掛け声と共にガシャンとハザードライドビルダー同士が合体。電子レンジの音と同時にハザードライドビルダーが開くとそこにあったのは…

 

【Uncontrol Switch!!! Black Hazard!!!ヤベーイ!!!】

 

仮面ライダービルド、ラビットタンクハザードフォームであった。

暴走のカウントダウンが…ついに始まる。

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