万丈「あの寮ヤベえよマジで!なんかビルがどかーん!ってな感じでクソでけえし、中も豪邸じゃねえか!雄英どんだけ金持ってんだよ…」
幻徳「ま、一部は国が予算が出してるからな。」
戦兎「げっ、幻さん…なんでここに…!」
幻徳「今日から積極的にあらすじにも入ろうと思ってな。ほら、俺担任だろ?」
万丈「そういやA組の担任は幻さんになったんだっけか。でも大丈夫かよコイツが担任で…」
幻徳「ふっ、見る目ねえなぁ。相澤に比べれば俺の方が適任だろ。例えば…ファッションセンスとかな?」
戦兎「それで適任なわけないでしょうが!というかファッションセンスは相澤先生の方が…」
相澤「呼んだか?」
万丈「ね、猫Tシャツ…クソだせえ…」
戦兎「ピンク色に猫だらけのTシャツ…。相澤先生も幻さんとそこまで変わんなかったのか…。」
相澤「これが一番可愛くて合理的だっただけだ。というか2人ともこれから始まる仮免試験、気を抜くんじゃないぞ」
戦兎「了解です!ってなわけでさあ、どうなる第五十六話!」
f(n)=n+f(n-1)⇒f(10)=56話
あの日から約三週間。戦兎と万丈は寮内謹慎を行っていた。みんなは必殺技を開発したり、ヒーロースーツを開発したりして進化を遂げていたが、戦兎たちもある意味では進化を遂げようとしていた。
戦兎「ふう…。これでようやく二つ目のスクラッシュドライバー完成か。今度は無くすんじゃねえぞ」
万丈「サンキュー。これで明日の仮免試験は大丈夫だろ。」
戦兎は自らの実験室及び研究室で、新たなスクラッシュドライバーを制作していた。以前使っていたものは幻徳にあげてしまったため、二代目が必要なのである。
戦兎「あ、そうだ。この研究室の試用運転にロボットスクラッシュゼリーも作ってみたんだが…せっかくだし使うか?ほら、前にカズミンがお前のスクラッシュゼリー使ってたことあったし。」
万丈「マジか。だったらありがたく使わせてもらうぜ。」
万丈はそう言うと戦兎の差し出したロボットスクラッシュゼリーを手に取り、ポケットの中に入れた。
万丈「そういえば、オールマイトから2本目のタンクフルボトル貰ったんだろ?だったらタンクタンクだけでも作れねえのか?」
戦兎「試してみたけど無理だったよ。無機系ボトル2本だとどうしても釣り合いが取れないみたいでな。作るにはやっぱりラビットがもう一本欲しい。」
ラビットフルボトルとローラビットフルボトルを組み合わせた時のように、やはり同系統のボトル同士の組み合わせは極めて不安定で上手くいかないようだ。やはりローラビットフルボトルを手に入れるしかない。
緑谷「あ、戦兎くん!ここにいたんだ!ちょっとやってもらいたいことが…」
二階女子棟の方の入り口から緑谷が入ってきた。何やら手にサポートアイテムを持ってるようだ。
緑谷「このサポートアイテム、アイアンソールって言って蹴りを強化するアイテムなんだけど…君のフルボトル、使えるように改良とかできないかな?」
緑谷含め、A組のみんなは戦兎がサポートアイテム開発用の免許を持っていることを知っているので、パワーローダー先生らに頼めない時や簡単な改良等は戦兎に依頼している。特に緑谷は結構戦兎に頼んでいるようだ。
戦兎「フルボトル…か。できるといえばできるけど…明日仮免試験だし、時間的に一本が限界だな。」
緑谷「いや、一本でも十分だよ!つけるフルボトルは…なんにしようか?」
万丈「迷ってんなら俺のドラゴン使うか?蹴りなら使えると思うぜ!」
そう言うと万丈は2本目のドラゴンフルボトルを差し出した。
緑谷「えっ、良いの?でもこれで必殺技とか使ってるんじゃ…」
万丈「だった今新しいヤツ貰ったからしばらくはこれで大丈夫だ。」
戦兎「ドラゴンか…。分かった。じゃあちょっと改良してくるからそのアイアンソール貸してくれ。今日は時間的にも渡せなさそうだし明日、コスチュームに着替える時に渡すよ」
緑谷「ありがとう!」
緑谷はヒーロースーツの入ったアタッシュケースの中からアイアンソールを取り出し、戦兎に渡した。
改良自体は、アイアンソールに専用スロットを取り付け、ドラゴン成分にアイアンソールが耐えられるようにすると言ったものだ。さらに今まで使っていた内臓のバネをホップスプリンガーに差し替え、威力を底上げする。
そうした改良を施されたアイアンソールがどう化けるだろうか。
相澤「降りろ。到着だ。」
ヒーロー仮免許取得試験当日。戦兎らA組は学校のバスにのって試験会場である国立多古場競技場までやってきた。
耳郎「緊張してきたー!」
峰田「試験て何やるんだろ?」
数ヶ月に一度の仮免試験。初めてと言うこともあってか、みんなどこかそわそわして落ち着かなかった。
幻徳「この試験に合格して、仮免を取得出来ればお前らは晴れて卵から孵化し、できることも増える。確実に取ってこい」
幻徳にとって初めての引率で、少し気合が入っているようだ。とは言え1人は心細かったようで相澤も一応来ている。
切島「っしゃあ!いつもの一発決めて行こーぜ!せーのッ、Plus…」
「Ultra!!!」
例の如くプルスウルトラを決めようとしたところ、突然、常人の30倍くらいの勢いで誰かが叫んできた。
切島「うおッ、びっくりした〜!!!」
A組みんなが驚いて切島の後ろに注目した。身長190cmの大柄でガタイが良く、頭丸刈り青年が真後ろにいる。驚かざるを得なかった。
「イナサー!勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよー」
イナサ「ああ、しまった!どうも大変失礼致しましたァ!!!」
同級生に注意されたと思いきや、突如として仁王立ちになり、自身の腰中心に地面と接してめり込むほど頭を深く突き刺した。その様子を見るともはや軽い恐怖まで感じる。
爆豪「東の雄英、西の士傑…。数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校、士傑高校…!」
イナサ「自分言ってみたかったッス!プラスウルトラ!自分、雄英高校大好きッス!よろしくお願いしますッ!!!」
イナサは雄英高校に興味津々な様子で、常に声を張り上げていた。そうそう、そして興味津々といえばもう一人、フルボトルが大好きな人がいた。
戦兎「おおお!!!ドライヤーフルボトル!48本目だ!」
いつものように後頭部のアホ毛を逆立たせながら、国立競技場にも関わらずはしゃぎまくっていた。他校の生徒にも迷惑をかけっぱなしである。
「おっ、君もしや今話題の桐生戦兎くん!?会えて嬉しいなー!」
戦兎「ボトルの反応なし…。で、君は…」
「傑物学園高校2年2組の真堂だ。よろしく」
彼はそう言うと手を差し伸べた。戦兎も彼に応えるように真堂の手を握り、握手を交わした。
戦兎「雄英高校1年A組の桐生戦兎だ。よろしく」
真堂「君、あの神野事件の時にヴィランに立ち向かって勝った子でしょ?オールマイトに指示受けてってことらしいけど相当カッコ良かった!僕も君たちみたいなカッコいいヒーローになるために、今日も頑張らせてもらうよ!」
爆豪「ケッ、ふかしやがって」
真堂のキャラが嫌いなのか、それとも戦兎が神野で注目されてばかりいるからなのか、爆豪は特大の舌打ちを鳴らした。
「ねえ、今桐生戦兎って聞こえなかった!?」
「えっ、マジ!?ここいんの!?どこどこ!?」
真堂の声も相まって、戦兎の存在がだんだんと周囲に知れ渡った。
ただでさえ雄英生徒は体育祭で有名になっていると言うのに、戦兎は神野事件でもっと有名になってしまっている。そんな彼を一目見ようと受験生がどんどんと群がり始めた。
相澤「これだからアイツは…。おい、さっさといくぞ」
相澤は大きくため息をついて戦兎を無理やり引っ張った。人混みが嫌いだからさっさと抜けてしまいたいのだろう。
一悶着あったが、なんやかんやで試験会場の中に到達。周囲にはおそらく上級生と思われる人たちがわんさかいた。
「えー、ではアレ、仮免のヤツをやります。あー、僕ヒーロー公安委員会の目良です。」
しばらくすると今回の演習内容の説明が始まった。
簡単に内容をまとめると受験者1540名の中から勝ち抜け演習を行うとのこと。一次試験、二次試験に分かれ、一次試験は条件達成者のうち、先着100名のみが通過となる。
一次試験はボールとターゲットを使う簡単なゲーム。一人三つ、ターゲットを体のどこかにつけ、配布された6つのボールで相手のターゲットを当てる。三つあるターゲットのうち、3つ"目"のターゲットを当てた人が倒した人となり、二人以上倒した者が勝ち抜きとなる。
戦兎「なるほど、
緑谷「普通にって…もしかしてもう作戦を思いついたの?」
戦兎「まあな。あのボトルも試しに使ってみたかったし。」
戦兎にはもう勝ち筋が見えている様子。とは言え流石に手持ちのボール六つで倒すのはなかなか難しい。
目良「えー、じゃ展開後ターゲットとボール配るんで、全員に行き渡ってから1分後にスタートします」
彼がそう言うと競技場の屋根が真っ二つに割れ始めた。するとそこには雄英のUSJのような超巨大な演習場がすでに周囲に広がっていた。この広い競技場の中でボール当てゲームをしなければならない。人も会場も、規模が段違いだ。
緑谷「先着で合格なら同校で潰し合いは無い!むしろ手の内を知った仲でチームアップが勝ち筋!皆、あまり離れず一かたまりで…」
戦兎「悪い。俺は単独でいいか?試したいことがある。」
轟「俺も。大所帯だと身動き取れねえし。」
爆豪「遠足じゃねえんだ。かたまってられっか」
緑谷の提案をなんと雄英A組トップ3が拒否。さらに上鳴や切島が爆豪についていき、残ったのは16人のみだった。緑谷は『かたまったほうがいいのに…』と肩を落として落胆していたが、そもそも自由奔放な3人をまとめ上げることなど不可能。そう理解するしかなかった。
幻徳「ところで相澤、お前はあのこと言わなかったよな。"雄英潰し"のこと。」
相澤「雄英潰し…か。別に言わない理由もないが、結局やる事は変わらんからな。あ、そういやお前はそれにやられたんだっけか」
幻徳「…口を閉じた方がいい、イレイザーヘッド。そろそろ始まるぞ」
自分で話を振ったは良かったものの、自身も実は雄英潰しでやられかかったという苦い経験を思い出してしまったようだ。
戦兎「ここら辺かな。って、幻さんたちは何を話してるんだ…?まいっか。」
見晴らしのよく、周囲に遮蔽物に何もない荒野のような場所に到着。幻徳がしかめっつらしているのを横目に、戦兎はベルトを装着。フルボトルを2本取り出し、そしてシャカシャカとボトルを振り、セット。ハンドルをグルグルと回した。
『開始5秒前…4…3…』
【Tora!UFO!Best Match!!!Are you ready!?】
戦兎「変身!」
【未確認ジャングルハンター!!!トラユーフォー!!!イェーイ!!!】
『2…1…START!!!』
戦兎は仮面ライダービルド、トラユーフォーフォームへと変身。かと思いきやすぐにレバーを再び回し始めた。
【Ready Go!!!Vortex Finish!!!イェーイ!!!】
「雄英の桐生戦兎!まずはおま…ってええ!?なんじゃありゃ!?」
そこにいた約200名、全員が口を開けて愕然とした。桐生戦兎が超巨大UFOの上に立ち、小型UFO百数十機で空を埋め尽くしていたからだ。
いや、明らかにこんなに規模を大きくする必要はないのだが、アピールのためであろう。
戦兎「さぁ、実験を始めようか!」
戦兎は右足のインベイダッジシューズで操縦している百数十機のUFOから受験生らに向かってピンク色の極太光線を発射した。さらに
戦兎「ふう、これでよしっと。あっ、もう行っていいよ。」
UFOの上からポンと地面に飛び降り、UFOにさよならを告げる戦兎。ここまで僅か開始30秒。まだ緑谷たちが攻撃を防いでいる間に攻撃を終わらせてしまった。
目良『えっ、あっ、もう一人目の通過者出てる!脱落者210名!!!一人で210人脱落させた!?』
流石の目良といえども、流石にこんなことをされては目が覚めると言うもの。何せ参加者は1540名。そのうちの13.6%を一人で倒してしまったのだから。
戦兎「ちょっとやりすぎたかなぁ…。他のみんな受かるといいんだけどな…」
ボトルを外して変身を解除しながら、控え室へと向かった。
しかしまあ早すぎた合格であった。何せ次イナサが受かるのは数分後。イナサは人が集まるのにしばらく待つ必要があった。しかし戦兎の場合、雄英生徒であるのに加えて、体育祭優勝者とAFOを倒した者という二つの称号がある。彼が脅威になるのは間違いない、早めに芽を摘んでしまおうとワラワラ集まってきた者が約200名。
だがそれも戦兎の罠であった。自身の影響力を鑑みての作戦。わざわざ見晴らしの良い場所にしたのも自身を恰好の的だというアピールだった。しかしそれにさえ気がついた被害者は誰一人としていなかった…。