轟「お前一番に一次試験突破してたからな。採取できなくても当たり前だ。」
戦兎「100人しか通れないって言われたし、早く抜けた方がいいだろ?少しでも敵減らした方が良いと思って結構派手にぶっ放したから目立ったけど」
緑谷「でもあのUFOには驚かされたよ!トラユーフォーフォーム…いろんなことに役立ちそう…ノートにまとめなきゃ!」
戦兎「ノートにまとめるのもいいけどもうそろそろ二次試験始まるから準備しとかなきゃな。ってなわけでどうなる第…」
万丈『おい戦兎!なに俺抜きであらすじやってんだよ!』
戦兎「うおお万丈、急に電話して来んなって。あ、そう言えばお前は一次試験受かったのか?」
万丈『おう!当たり前だろ!なんせ俺はプロテインの貴公子、万丈龍g』
戦兎「というわけでどうなる第五十七話!」
万丈『話の途中で始めんじゃねえよ!!!』
轟「戦兎、しばらくぶりだな」
戦兎が一番乗りで通過して十数分後、轟が涼しげな顔でやってきた。A組では2番目の突破である。
戦兎「やっぱり2番目はお前か。あ、このお菓子うま。食うか?」
轟「一応もらっとく」
控室に備え付けてあるポテチをとって轟に渡した。何故かお菓子やジュースなどの飲み物が補填されている。
轟「まだ他の奴らは来てないんだな。俺が54人目だったから爆豪あたりは通過してると思ったんだが…」
戦兎「まあ"個性"の相性もあるだろ。氷結は相手を一網打尽にしやすいし、緑谷みたいな多人数が苦手そうな"個性"なんかはその分難しいと思うけどな。」
轟「100人だからさっさと上がってきて欲しいんだが…」
倍率はざっと154倍。中々に厳しい数字であることは間違いない。ましてや制圧向きの"個性"でなければ全員突破はまた夢の夢だ。
戦兎「そういやさっきからあの人、俺たち睨んでるけど…なんなんだあれ…。なんかしたっけ?」
轟「さあ、お前のフルボトルの成分採取に腹が立ってるんじゃねえか?」
戦兎はイナサの方を指さして言った。正しくは戦兎ではなく轟の方を見ているのだが、当人は気づいていなかった。
しばらく話していると、また控室へのゲートを潜ってきたものたちがいた。
八百万「あっ、戦兎さん!轟さん!もう終わってらっしゃったのですね!」
耳郎「いや戦兎は一番最初のアレでしょどう考えても…」
やってきたのは八百万、耳郎、蛙吹、障子の4人だった。アナウンスをよく聞くともうすでに70人近くが突破している。
蛙吹「てっきり緑谷ちゃんや爆豪ちゃんもいると思ってたけど…いないのね」
戦兎「まあ、あいつらは心配しなくても受かるだろうけど…ちょっと心配といえば心配だな…」
残り約25名。A組も未通過者はまだまだ過半数はいる。厳しい戦いになると思われていたが…
麗日「うわっ、やっぱり通過してる人何人かおる!」
上鳴「お前ら早くね!?」
緑谷、瀬呂、麗日、上鳴、爆豪、切島が通過。心配は杞憂に終わったようだが、それでもA組はまだ9人残っている。
戦兎「そうだ緑谷、フルボトルは無事使えたか?」
緑谷「いや、使う機会がなくて…。」
戦兎「そっか。データがあるんだったら何か改善してやれるかなとは思ったんだけど…」
緑谷「いや、でも改良前より圧倒的に改良後のほうが威力も出たし使いやすかったよ!」
緑谷の足のアイアンソールは戦兎の強化を受けており、仕込みバネの部分にはラビットのホップスプリンガーが内蔵されていて、右足の方にスロットがついている。
切島「ちょっ、ちょっと待て!緑谷お前、戦兎のフルボトルまで使ってんのかよ!?」
戦兎「ああ。コスチュームにスロットつけてそれ用の耐久つけりゃすぐできるけどな。」
上鳴「だったら俺も欲しい!フルボトルは…何があったっけ?」
緑谷「ライトフルボトルとかどうかな?あれだったら発電の手助けにもなりそうだし!」
控室では、しばらくコスチュームに何のフルボトルを付けるか、どこにどうやってつけるかで盛り上がっていた。もちろん爆豪は戦兎を敵対視しているので特大の舌打ちをかますなり、すぐに不貞寝をしていたのだが少しは興味があるらしく、戦兎の方をチラチラと盗み見している。
そうこうしてしばらく話していると残り人数があと85人というところまで来た。A組は残り10名ほど。突破できるか不安に思っていたが…
飯田「1年A組飯田天哉!ただいま戻って参りました!!!」
青山「煌めき☆僕の登場だよ☆」
ようやく飯田が帰ってきた。後ろには芦戸や常闇などのメンツもいる。そして…
目良『終了!これをもって試験終了します!』
ちょうど100人。うち雄英生徒、21名。全員ピッタリ、ギリギリなんとか突破できた。最後の方は危なっかしかったが奮闘してなんとか枠に収まっていたようだ。
緑谷「とりあえずはなんとかなったけど…まだ次があるよね多分…」
戦兎「十中八九そうだろうな。」
まだ次のゲームがある。そのことは知らされていないが、勘のいい参加者らはそのことにいち早く気づいていた。
脱落組が全員回収されると再び目良のアナウンスが聞こえ始めた。
目良『えー、一次試験突破をした100人の皆さん、おめでとうございます。早速ですがこれをご覧ください』
モニターに映っていたのは自分たちがついさっきまでいたフィールドであった。なにが起きるのかと思っていると、突如ビルなどの建築物から爆破が生じた。爆薬でも仕掛けられていたのだろう。工場地帯や岩石地帯を模倣したような場所からも爆発が迸った。
目良『次の試験でラストになります。皆さんにはこれからこの被災現場で"バイスタンダー"として救助を行ってもらいます。』
峰田「パイスライダー?」
戦兎「"
目良『一次試験を通過した皆様は仮免許を取得したと仮定し、どれだけ適切な行動を行えるかを試させていただきます。』
彼がそう言った時、モニターに突如として危険な場所に入り込む老人や子供の姿が見えた。
目良『皆さんのモニターでも見えると思いますが、彼らはあらゆる訓練において要災害救助者のプロ、"HUC"の皆さんです。彼らは傷病者役としてスタンバイ中。皆さんには彼らの救助を行ってもらいます。』
ようは救助訓練が今回の課題であった。流石にボール投げのような子供じみたものではなく、仮免許取得用のヒーローらしい試験だ。
そして今回は脱落性じゃなくポイント制。100人それぞれに採点官がつき、自身の持ち点分の100点から差し引いていく減点方式で見ていくらしい。そして全要救助者を救った時に基準値以上のポイントであれば合格という単純明快なルールだ。
飯田「緑谷くん、戦兎くん…これは…」
戦兎「…わかってる。この被災現場は…神野を模倣してる。」
あの事件時、被害者は少なくなかった。戦兎の暴走による被害者は香澄さんただ一人であったが、AFOの襲撃による被害者は相当の数が存在する。そんな彼らを無視した…というわけではないが、どちらにせよひとまずAFOを優先したのは間違いなかった。
戦兎には今回の試験が、神野での自身の行動のアンチテーゼのように見えて仕方なかった。
轟「なあそこの…坊主の人。さっき戦兎のこと睨んでたようだったが…気に障ったのなら悪かった。」
轟はイナサに話しかけた。しかしイナサはギョロついた厳つい目で轟を睨んだ。
イナサ「睨んでたのは彼じゃないっス。むしろ彼は同年代で一番尊敬する熱い人っス。」
轟「じゃあ俺か。初対面だと思うんだが…何かしたか?」
轟とイナサは推薦入試時に出会っているはず。にも関わらず轟は彼のことを覚えていなかった。
イナサ「申し訳ないっスけどエンデヴァーの息子さん、俺はあんたらが嫌いだ。幾分雰囲気変わったみたいっスけど、あんたの目はエンデヴァーと同じっス」
高圧的に上から睨みつけるイナサ。彼になにがあったのかは分からないが、相当轟を嫌悪しているようだ。
戦兎(…さっきのアイツ、俺にだいぶ腹立ててるな…。これ俺も謝りに行った方がいいか…?)
一人変なベクトルで勘違いをしつつ、そう思案していたその時、緊急のベルが鳴り響いた。
目良『ヴィランによる大規模テロが発生!規模は○○市全域!建物崩壊により傷病者多数!道路の混雑が激しく救急隊の到着に著しい遅れあり!到着するまでの救助活動はその場のヒーローが指揮を取り行う!』
彼のナレーションと共に控室が展開図のように開き始めた。二次試験開催の合図だ。
目良『一人でも多くの命を救い出すこと!それでは…START!!!』
開始の声とともに戦兎らは一斉に飛び出した。彼らには評価基準が分からないが、一人でも多く救い出せば良いことは確かである。
緑谷「今度はなるべくみんなで協力しよう!人手がたくさんいたほうが良い!!」
戦兎「だったらこのベストマッチだ!」
戦兎は走りながら腰にベルトを巻きつけ、フルボトルを2本取り出した。
【Ninja!Comic! Best Match!!!Are you ready!?】
戦兎「変身!」
【忍びのエンターテイナー!!!ニンニンコミック!!!イェーイ!!!】
こうして戦兎は仮面ライダービルド、ニンニンコミックフォームに変身。さらに…
【分身の術!!!】
四コマ忍法刀のトリガーを引き、9体に分身。実体を持った分身がまるで某ナ○トのように並んで走っている。
戦兎「さらに特大サービスだ!」
それぞれの分身がフルボトルを抜き、新たな2本のフルボトルを個別で取り出した。
緑谷「一体なにが…!?」
なにが行われるのか全く分からないまま、他の参加者たちも目を寄せて戦兎の方を見ていた。
戦兎「さぁ、実験を始めようか!」
本日二度目のセリフを携えながらボトルをシャカシャカと振り、ベルトにセット。ここからがまさにハイライトだ。
【Rabbit!Tank!】
【Gorilla!Diamond!】
【Taka!Gatling!】
【Ninja!Comic!】
【Panda!Rocket!】
【Harinezumi!Shoubousha!】
【Lion!Soujiki!】
【Kaizoku!Densha!】
【Octopus!Light!】
それぞれのライドビルダーが展開を始めた。各色に各々の成分がどんどんと充填されてゆき、次第にライドビルダーがカラフルに染まりだす。被災者にすら希望を与えるような、煌々とした色だ。未来を見据えた希望の色だ。
【【【Best Match!!!Are you ready!?】】】
戦兎「「「ビルドアップ!!!」」」
【鋼のムーンサルト!!!ラビットタンク!!!イェーイ!!!】
【輝きのデストロイヤー!!!ゴリラモンド!!!イェーイ!!!】
【天空の暴れん坊!!!ホークガトリング!!!イェーイ!!!】
【忍びのエンターテイナー!!!ニンニンコミック!!!イェーイ!!!】
【ぶっ飛びモノトーン!!!ロケットパンダ!!!イェーイ!!!】
【レスキュー剣山 !!!ファイヤーヘッジホッグ !!!イェーイ!!!】
【たてがみサイクロン!!!ライオンクリーナー!!!イェーイ!!!】
【定刻の反逆者!!!海賊レッシャー!!!イェーイ!!!】
【稲妻テクニシャン!!!オクトパスライト!!!イェーイ!!!】
9人の戦兎たちはキードラゴンを除く東都の9フォームへと変身した。なんだかとても煌びやかな光景である。
戦兎「いくぞ!みんな!!!」
9人の戦兎は動き出した。ラビットタンクが救護室へ負傷者を運び、ゴリラモンドが大まかな瓦礫を破壊。ホークガトリングで周囲を見渡し要救助者を空から探索し、ニンニンコミックが救助に必要な物を四コマ忍法刀で具現化。ロケットパンダは幼いパンダが戯れる映像で群衆を落ち着かせ、ファイヤーヘッジホッグが然るべき機関へ応援要請を行う他、災害現場の図面を取得するなどの情報管理をする。ライオンクリーナーは散布した殺菌剤でウイルスを死滅化させ、病気の散漫を防ぎ、海賊レッシャーは踏切の警告音と共に逃げ遅れた人々を避難させ、オクトパスライトが暗闇を照らし、触手で奥の瓦礫も取り去る。
全てがそれぞれに見合った働きをし、もはやその場は戦兎が支配していたと言っても過言ではなかった。
八百万「や、やはり戦兎さんは桁違いですわ…」
飯田「ここは彼一人で十分だ!次に行こう!」
緑谷「いや、僕は残る。戦兎くんの分身は
飯田「分かった。ならば俺も残ろう!八百万くんや麗日くんのような他の場所での活躍が見込める"個性"は別のところへ!」
麗日「了解!!!」
麗日、八百万、その他多くの有用な"個性"を持つものが別の持ち場へと走っていった。残ったのは非救助向きの"個性"持ちや機動力のある者ばかり。彼らは戦兎を中心として戦兎が救い出した人をすぐに運ぶと言う連携プレイを行っていた。適材適所。それが十分に見込めていた。
(桐生戦兎を中心とする即席のチームワーク…。なかなかのもんだ。)
(神野での印象が悪かったから減点対象かと思ったが、杞憂かもね。)
(ただ変身にかかる手間は減らせるといいが…ほぼ減点する場所はないな。)
HUCの方々も戦兎をキチンと評価しつつ、その周りの人の行動も役割をキチンと果たしていることにたいそう感心していた。
そして十数分後…。
戦兎「もう大丈夫だ。もうすぐ救助室につく」
ラビットタンクの戦兎は幼児を運び、その子にそう声をかけた。安心を与えようとしていた。
葉隠「戦兎くん!その子をこっちに!あと状態は!?」
戦兎「頭部に出血あり!多分右腕を骨折してるから応急処置はしてある!」
葉隠「了解!」
葉隠に子供を預け、再び戻る。これをもう既に何往復もしている。それなりの時間が経過しているはずではあるが…
戦兎「まだ終わらないのか…?」
やはり救助に遅れが生じているところもあるのだろう。
緑谷「戦兎くん!」
その時、偶然にも自身と同様に負傷者を運び終えた緑谷とであった。
緑谷「もうすぐで別の戦兎くんが要救助者の救助が終わるって言ってた!」
戦兎「分かった。そんじゃあそれが終わったら他のエリアに…」
まさにその瞬間であった。救護所付近で大きな爆発が起こった。爆豪が爆発させたのではない。これは-ー
緑谷「演習のシナリオです!!!落ち着いて!!!」
そのことにいち早く気づいた緑谷がみんなにそう呼びかけた。
そして爆発が止み、土煙と瓦礫の中から出てきたのは…
緑谷「ギャングオルカ!?」
敵に扮したNo.10プロヒーロー、ギャングオルカ。子分を引き連れてテロを起こしにやってきた。
目良『敵が姿を現し、追撃を開始!現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ、救助を続行してください!!!』
そのアナウンスが会場全体に響き渡る。すぐに処理しようと思っても相手は格上。果たして叶うか…。かと言って処理を怠れば救助者に被害が及ぶ。
幻徳「相澤…これはかなり厳しい戦いだぞ…」
相澤「プロでも高難度の案件だ。」
幻徳「負けるなよ…A組ども…!」
微かな希望を胸に、教師陣は祈るほかなかった。