緑谷「しかもそこから分身して仮面ライダービルド、ラビットタンクフォーム、ゴリラモンドフォーム、ホークガトリングフォーム…」
戦兎「全部言わなくていいって。要は東都フルボトルのベストマッチってことだから」
緑谷「東都…?前々から思ってたんだけど、戦兎君ってたまに東都とか西都とか言ってるよね。一応まとめてるけど全く系統がわかんなくて…」
戦兎「いや、まあ…色々あったんだよ。とっ、とにかくどうなる第五十八話!」
緑谷「誤魔化した…」
緑谷「ギャングオルカ…!?」
突如ヴィランとして現れたNo.10ヒーロー、ギャングオルカ。神野のヴィラン連合掃討作戦時にも招集がかかった強力な力を持つヒーローだ。
戦兎「なるほど、あの見た目ならクジラが妥当か…」
緑谷「いや、彼はシャチだよ」
戦兎「いやそっちじゃなくてボトルの話」
緑谷「フルボトル基準なんだ…。確かにシャチはクジラ目の生物だから採取できそうだけど…」
どうしてもギャングオルカではなくフルボトルの方に話題がよってしまうのは戦兎の性なんだろう。というかそっちの方が戦兎らしくはある。
緑谷「それよりあのギャングオルカだけど…」
戦兎「俺は倒しに行く」
緑谷「うんそうだね。倒しに…ってええ!?倒しに行くの!?」
綺麗にノリツッコミをかました緑谷。彼にはその気は無かったらしい。
戦兎「まあ驚く気持ちも分かる。神野のことがあったのに戦うのは…ってことだろ?それは十分理解してるし、今は救助者を全て救い出すのが先決。とはいえアイツを放置しておくわけにもいかない。だから分身体の俺が戦えば残りの俺やみんながその間に救助してくれる。そもそもこれは全員の救助が終わればその時点で終了。完全に倒す必要もなく、ただ引きつければいいだけだ。」
緑谷「確かに…。分かった!だったら僕も行く!パッと見ギャングオルカ以外にも彼の一味が結構いるし、流石に少人数じゃ抑えきれない。戦兎はギャングオルカを!僕はいっぱいいる方を足止めするから!」
戦兎「了解!」
こうして
一方その頃、既に前線に出て戦おうとしている者たちも居た。
イナサ「敵乱入とかなかなかに熱い展開にしてくれるじゃないッスか!!!」
轟「なんだ、お前も来てたのか。」
轟はそう言いながら氷を展開してギャングオルカやその他の雑兵を足止めした。
ギャングオルカを足止めしている轟と、空を飛んで颯爽と現れたイナサ。制圧力のある二人だが、いかんせん仲が悪すぎる。
轟「お前は救護所の避難を手伝ったらどうだ。"個性"的にも適任だろ」
そう言い放つと轟は再びギャングオルカの方を向く。ギャングオルカや彼の手下が一歩でも動けば炎や氷を放つという緊迫の状態にあった。
そんな中、手下の一人がザリっと足の裏から音を出した。その瞬間だった。
ギャングオルカ「来る」
そう宣言した時にはもう既に轟とイナサの攻撃は始まっていた。灼熱の炎と暴風の嵐。本来個々が強いはずの力にも関わらず、ギャングオルカにはただの生ぬるい風としか感じようがなかった。
イナサ「なんで炎だ!熱で風が浮くんだよ!!!」
轟の出した炎によって温度が上がり、空気分子の運動が活発になったことで空気が膨張。その結果、イナサの起こした風は轟の炎に起因する小さな上昇気流に乗せられて浮いてしまった。
轟「さっき俺氷結を塞がれたからだ!俺の炎だって吹き飛ばされた!」
イナサ「アンタが手柄を渡さないように合わせたんだ!なんだってあんたはあのエンデヴァーの息子だからな!」
轟「…さっきから何なんだよお前…!」
ギャングオルカ「…ヴィランを前になにをしているのやら…」
仮にも今は実戦の試験中。にも関わらず轟とイナサは喧嘩を始めてしまった。ギャングオルカが空気を読んで黙っているとは言えヴィランの目の前で喧嘩を始めるなど言語道断。そのくらい考えれば分かるだろうに、興奮しているばかりに、そのことになかなか気が付かなかった。
イナサ「俺はアンタら親子のヒーローだけはどうにも認めらんないんすよっ!!!」
その怒号と共にイナサは再び烈風を炸裂。轟も負けじと火炎を放つが、やはり先ほど同様に風が浮き、火が逸れる。
イナサ「また!やっぱりアンタは…!」
イナサが轟を睨むも、彼の目はイナサの方向に向いておらず、炎の進行方向に向いていた。
轟「マズイッ!」
最悪なことに、その炎はギャングオルカの登場で負傷した真堂の元へと向かおうとしていた。しかし気づいてもここからじゃ届かない。後コンマ数秒で炎が当たる。そんな時だった。
戦兎「何してんだお前らッ!!!」
戦兎がホップスプリンガーを使って飛び跳ねながら真堂を窮地から救い出した。
戦兎「大丈夫か真堂!」
応答がない。気絶しているようだ。しかしなんとか離れた場所へと追いやることができた。
ギャングオルカ「とりあえず風をぶっ潰す!」
指向性の超音圧をイナサに対して発動。彼は吹き飛ばされ、すかさずコンクリートガンを一味たちに撃ち込まれて行動不能に。
戦兎「イナサ!しっかりしろ!」
轟「クソッ…!」
ギャングオルカ「自業自得だッ!!!」
さらに轟に対しても超音波を発動。強い衝撃を受けたが真堂とは異なり、イナサも轟も地面に倒れ麻痺する程度。しかしそれでも命取りだった。
戦兎「イナサも轟もやられたか。これは戦いづらいな…。」
再びホップスプリンガーで跳躍してイナサや轟をすぐに遠くの場所に置いてきたものの、緑谷はギャングオルカの一味の対処に忙しく支援は見込めない。
ギャングオルカ「あとはお前だけだ桐生戦兎。まさか神野事件当事者のお前が、救助を優先せずヴィランを倒しに来るとは…。何にも学ばなかったのか?」
戦兎「いや、むしろ逆だ。今アンタと話すことで救助する時間を稼いでるんだ。」
ギャングオルカ「なるほど。ならばお前も俺の餌食にしてやろう」
そういうとギャングオルカは大きく口を開け、咆哮が如き音波を放った。ラビットの
戦兎「クソッ…!相性が悪い…!」
何かあった時用にとフルボトルを持ってはいるが、東都フルボトルと試したかったトラUFO、そしてまだベストマッチが揃っていないフルボトル以外は持っていない。万丈に貸したのだ。しかも東都フルボトルは現在使用中。かと言って他のボトルで音波に有効な手立てがあるかと言えばそうでもない。
ギャングオルカ「ウサギとシャチ…。どっちが強いかな?」
戦兎「シャチ…そうだ!シャチだ!」
さっきの会話を思い出した。そう、奴はシャチとはいえ所詮クジラ目の生物。そうであるならばクジラフルボトルは確実に採取できる。
すると早速戦兎は勢いよくグッと脚を曲げるとバネの弾性力を利用して跳ね上がった。一瞬にして横を通り過ぎ、その間にエンプティフルボトルを掲げる。すると予想通り、青色の粒子が収納されていった。
戦兎「よし作戦通り!」
ギャングオルカ「なんなんだ今のは…?」
戦兎「別になんでもない。ただ、俺がちょっと有利になっただけ…かな?」
そう言いながら戦兎はフルボトルを2本とも引き抜き、新たなるフルボトルをセットした。
【Kujira!Jet!Best Match!!!Are you ready!?】
戦兎「ビルドアップ!!!」
【天翔けるビッグウェーブ!!!クジラジェット!!!イェーイ!!!】
こうして戦兎は仮面ライダービルド、クジラジェットフォームへと変身。海と風の戦士の爆誕である。
戦兎「クジラとシャチなら…クジラの方がデカくて強いでしょ」
ギャングオルカ「それでも俺の方が強い!」
ギャングオルカは再び口を大きく開けて咆哮を放つ。負けじと戦兎も肩の超音波発生装置から超音波を発生。両者の波がちょうど中点で打ち消された。
ギャングオルカ「効かない…か。これが効かないのは初めてだな」
戦兎「これだけじゃないぞ!」
戦兎はスクランブルチェストアーマーから多数の自律式小型戦闘機を排出。自身の援護としてギャングオルカに対してミサイルを放った。さらに戦兎はドリルクラッシャーを取り出し、ドリル部分をグリップの挿入部に突き刺してガンモードに。そして潜水艦フルボトルを取り出した。
【Ready Go!!!Vortex Break!!!】
銃口から魚雷型の弾丸を発射。銃弾がギャングオルカにヒットし、彼がひるんだところに、戦兎は追い討ちをかけるようにボルテックレバーを回した。
【Ready Go!!!Vortex Finish!!!イェーイ!!!】
戦兎は脚部から大量の海水を放出。その中をクジラ型エネルギー体が泳ぎ、ギャングオルカに向かっている。その間に戦兎は背中の
ギャングオルカ「残念、次はないのか?」
ギャングオルカは空中で戦兎の右脚をガッツリと掴み、戦兎を下にしたまま地面に衝突。戦兎は頭部を強打した。
戦兎「ガハッ…!」
ギャングオルカ「(海水がなければ危なかったが…)お前もここで終わりだな」
海水で一時的に能力が上がったギャングオルカにライダーキックを受け止められてしまった。このフォームはギャングオルカを強化してしまうようなフォームでもあったのだ。
戦兎「ま、俺はここまでかもな。あとは頼んだぜ…。轟!イナサ!」
ギャングオルカ「なにッ!?」
戦兎の分身はそういうとドロンと煙になって消失。ギャングオルカが狼狽えた瞬間だった。
轟「風が浮いちまうなら…!」
イナサ「炎を下から巻き上げろ!!!」
轟がギャングオルカの下側に極熱の炎を発現。そしてそれを巻き上げるように竜巻が下から掬い上げた。上昇気流が勢いよく発生し、ギャングオルカは炎の渦に巻き込まれる。
シャチは海洋生物のため乾燥に弱い。肌がドンドンと乾燥していく。力が弱る。仲が悪かったにしてはよくできた合技だ…とギャングオルカは心の中で褒め称えた。しかし…
ギャングオルカ「対策していないと思ったのか?」
ギャングオルカは水の入った小瓶を開け、自身に水をかけた。こうして活力を得たギャングオルカは勢いよく超音波を発して炎をかき消す。
ギャングオルカ「桐生さえいなくなりゃこっちのもんだ」
彼はそう言いながら首をポキポキと鳴らしながら、まだ麻痺で動けない彼らをギロリと睨みつけた。
ギャングオルカ「で?次は?」
緑谷「僕たちがいるぞ!!!」
戦兎「さっきのお返しだ!」
避難誘導を終えて、緑谷が猪のような勢いでこちらに走ってきている。しかもその後ろには本体の桐生戦兎も。どうやら救出作業はほぼ終わったようで、あと数人程度とのことだ。
そしてその戦兎は今、忍者とコミックのボトルを引き抜き別のボトルを取り出した。
【RabbitTankSparkling!!!Are you ready!?】
戦兎「ビルドアップ!!!」
【シュワッとハジける!!!
RabbitTankSparkling!!!イェイイェーイ!!!】
戦兎は走りながら仮面ライダービルド、ラビットタンクスパークリングフォームへとビルドアップ。さらに戦兎は再びボルテックレバーを回し、緑谷は万丈から預かっていたドラゴンフルボトルを取り出し、脚のアイアンソールについたスロットにセットした。
【Ready Go!!! Sparkling Finish!!!】
【Dragon!!!Quirking Finish!!!】
緑谷もまるで仮面ライダーになったかのように左脚を突き出し、戦兎は右脚を突き出して、互いの背が背中合わせになるようにキックを放った。
ギャングオルカ「マズいッ!!!」
ギャングオルカは腕をクロスさせて吹き飛ばされないように耐える。しかし緑谷も戦兎も共に強力なキックを放っている。さらにギャングオルカは力が制限されている。そんな彼にライダーキックを完全に受け止める術はなかった。
ギャングオルカ「グアァーッ!!!」
ギャングオルカは壁面まで強く吹き飛び、壁に埋まった。その様子を見ていた一味も頭を抱えて『シャチョー!!!』と嘆いていた。そしてちょうどその時…
目良『終〜了〜で〜す!!!』
と馬鹿でかい音声で終わりを告げるアナウンスが流れてきた。
目良『配置された全てのHUCが危険区域より救助されました!誠に勝手ではございますがこれにて仮免試験全工程、終了となります!!!』
戦兎「ようやく…か…。」
ようやく終わった全工程。やれることはやった。あとは結果を待つのみ。基準も何もわからないが、ただ今は祈りながら着替えて待機するしかなかった。