天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア   作:いぷしろん

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戦兎「仮面ライダービルドで天ッ才物理学者の桐生戦兎は、ついに始まった幻さんの事務所でのインターンで、一海、三羽烏と共にパトロールに出かけることになった。」

万丈「戦兎もインターン行ってたんか」

戦兎「お前はリューキュウんとこだっけ?」

万丈「おう!なんかクソデカヴィランが出てきたんだけどよ、麗日と梅雨ちゃんが片付けちまってよ。つっても俺のデビューは職場体験の時だからいいんだけど。」

戦兎「そういやお前ニュースに出てたな…。ってなんで俺より早くデビューしてんだよ!俺の仮面ライダー感が薄れるでしょうが!」

万丈「んなこと言ったら雄英体育祭でお前目立ちまくりだったからいいじゃねえか!」

戦兎「それでもデビューが早い方が仮面ライダーの印象ついちゃうでしょうが。仮面ライダービルドって番組に相応しいライダーは俺でしょ?」

万丈「じゃあ今からは仮面ライダークローズを…」

一海「いや、仮面ライダーグリスだろ」

幻徳「センスねぇな。ここは仮面ライダーローグ一択だろ」

万丈「主役は俺だろ!」

一海「俺だ!」

幻徳「俺は負けてない!」

戦兎「あーもううるっさいよ!!!とにかくどうなる!俺が主役の第六十七話!」




















(20+2)×3+log(2023)[1/{ζ(11)-1}]=67話

上鳴「切島!お前名前ヒーローニュースに載ってるぞ!!!」

 

芦戸「梅雨ちゃんと麗日、万丈も名前出てるー!」

 

朝、教室に行くとA組ではすでにその話題で持ちきりだった。

 

耳郎「あっ戦兎来た!戦兎も名前出てるよ!」

 

耳郎にスマホを見せてもらうとそこには大々的に『未来を創る、仮面ライダービルド!』という見出しが大きく書いてあり、メタルゲラスにボルテックフィニッシュを決めるゴリラモンドフォームのビルドが綺麗に撮られている。

 

八百万「流石戦兎さんですわ!」

 

戦兎「だろ?そりゃあ俺天ッ才物理学者だし?」

 

瀬呂「出たよ戦兎の悪いとこ…。否定はしねえしできねえけどよ。」

 

戦兎はいつものように得意げにそう言った。寮生活も相まってか、1学期よりA組との距離も近くなり、もはやビルドメンバーの会話と遜色ないほどにまで打ち解けてきたようだ。

 

飯田「確かに仮免と言えど町に出れば立派なヒーロー。だが学業はおろそかにしてはいけないぞ諸君!」

 

切島「そこは大丈夫だ!補習時間もあるし、時間ある時は戦兎も教えてくれるしな!」

 

飯田「だがそんなに戦兎くんばかり頼るのも…」

 

戦兎「大丈夫だって。てか飯田も俺に聞いたりしてるだろ?」

 

飯田「いや、あれは…。そ、それより君たち!早く席につかないと!HRが始まるぞ!」

 

(((ご、誤魔化した…)))

 

内心皆そう思っていたのだが、爆豪を除きその他のみんなは戦兎に頼ったことがあるため指摘できずにいた。とはいえ戦兎自身は頼られることにむしろ喜びを感じているらしい。

 

そんなこんなで時が過ぎて、数日後。しばらくインターンに呼ばれなくなってのインターン。とはいえ一海に事前に言われていたことなので分かっていたことだ。

 

切島「うおっ戦兎!緑谷!お前らも今日インターンか!?」

 

戦兎「久々にな。」

 

朝、電車に乗って集合場所に行こうとしたら切島、緑谷に出会った。どうやら彼らもしばらく呼ばれず、今日ようやくインターンらしい。

少し話しているとさらにそこにもう3人がやってきた。

 

麗日「あれ!?もしかして3人もインターン!?」

 

緑谷「そうだけど…3人もってことは梅雨ちゃんと麗日さんもそうなの!?」

 

万丈「俺のことも忘れんなよ」

 

戦兎「あ、いたのか万丈。」

 

万丈「麗日と梅雨ちゃんと一緒のインターン先なんだから当たり前だろうが!」

 

現在インターン中の者の多くがほぼ同時にインターン。みんな駅まで一緒ということでみんなで行くことに。しかし何故かみんな行き先が同じ様子。降りる駅も、曲がる角も全部同じであった。

 

ミリオ「4人揃うの数日ぶりだよね!」

 

一海「そりゃ忙しかったしな俺たち」

 

ねじれ「やっほ!」

 

天喰「…おはよう」

 

さらに雄英四天王、三羽烏も揃って集合。さらには…

 

リューキュウ「一緒に仕事するのは…神野以来ですね。」

 

幻徳「言っとくが俺をダサいと言ったことは忘れんぞ」

 

相澤「やめろローグ。バカを露呈させるな」

 

幻徳や相澤、リューキュウ、グラントリノ、ファットガム、ナイトアイなど大物ヒーローも勢揃い。なんだこれはと戦兎たち一年は驚愕した。

 

ナイトアイ「本日はお集まりいただきありがとうございます。あなた方に提供していただいた情報のおかげで調査が大幅に進みました。死穢八斎會という組織が何を企んでいるのか、知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます。」

 

緑谷のインターン先のヒーロー、サー・ナイトアイのその声で会議が始まった。議題は死穢八斎會という指定敵団体による不可解な行動についてである。

 

センチピーダー「調べたところ、ここ一年以内で組外な人間や団体との接触が増加。組織の金銭面の工面や拡大などを目的に動いているものと思われます。そして調査開始からすぐ、ヴィラン連合の一人、トゥワイスと接触。組織間で争いがあったことを確認しました。」

 

幻徳「連合ってことで俺の事務所やグラントリノさん、塚内さんが駆り出されたってわけだ。」

 

幻徳やグラントリノは事務所方針としてヴィラン連合を追い続けている。とはいえ担任の仕事もあり、なかなかに忙しい模様で一海たちに任せている節もあるが… 幻徳は幻徳でまた担任とは別のヒーロー仕事をしているらしいので仕方がない。

 

ナイトアイ「八斎會は以前、認可されていない薬物の捌きをシノギの一つにしていた疑いがあり、ファットガムさんを始めとするヒーローにも協力を要請しました。」

 

ファットガム「昔はそういうんぶっ潰しとりました!んで先日、今までに見たことないブツが環に打ち込まれた!"個性"を壊す"クスリ"や…!」

 

ファットガムがそう言うと一斉にヒーローたちがざわめき出した。ミリオや一海は心配していたが現在ではすでに完治しているとのことだ。

 

ロックロック「回復すんなら大丈夫だ。致命傷にゃならねえ。」

 

ナイトアイ「その辺りはイレイザーヘッドから…」

 

相澤「一時的に"個性因子"の働きを視ることで不活性化させるのが俺の"抹消"です。ダメージを与えてるわけじゃない。」

 

ファットガム「やけど環を病院に行かせたら、その"個性因子"が傷ついとったんや。」

 

"個性因子"の破壊。性能はどうあれその能力を持つクスリは初めてだ。"個性因子"と言われるが、それも遺伝子の一種であり、破壊するのは容易ではない。科学的に高エネルギーの紫外線等を当てて変異させるのが一般的で、変異してしまうと自然治癒で治すのが難しい。しかし天喰は自然治癒で治している。ということは…

 

戦兎「その"個性"破壊弾は誰かの"個性"によるものってことか…」

 

ファットガム「その通りや戦兎くん。切島くんのおかげで中身の入った弾を調べたら人の血ィや細胞がごっつ入っとった…!流石に"個性"解析まではできんかったが…」

 

戦兎「すみませんファットガムさん。その弾と分析データって今あります?」

 

ファットガム「これや」

 

ファットガムはポリ袋に入った銃弾とペラっとした紙を取り出した。戦兎がそのポリ袋にフルボトルを近づけると成分が採取され、ウォッチフルボトルが検出された。

 

戦兎「ウォッチフルボトル…。分析データからもしかしたらその細胞の持ち主は女性。"個性"の性質から考えてその子は"巻き戻す""個性"かもしれません。」

 

ナイトアイ「"巻き戻し"か。その情報は初めて聞いたが…」

 

戦兎「このフルボトルは、他人の"個性"の一部を再現したボトルを作れます。ある程度疑似的な物にはなりますが、このウォッチフルボトルが示唆するのは時を操ること。そして変異すれば元に戻らないDNAが自然治癒で元に戻ったこと。ここからその細胞の持つ"個性"が"巻き戻し"だと推測できる…ということです。話を遮ってすみません。」

 

戦兎は軽く会釈して席についた。

 

ナイトアイ「非常に有益な情報だ。それが分かったことでたった今、より真実に近づけそうだ。」

 

ロックロック「その前にだ。それと八斎會がどう関係するってんだ。話が見えねえ。」

 

ナイトアイ「ファットガムらが捉えた男、リューキュウが捉えたヴィラングループ。さらにグリスらが捉えた"個性"ブーストによる理性を失ったヴィラン…。最近多発している事件の多くが八斎會との交流があります。」

 

ナイトアイはセンチピーダーに指示してスクリーンに治崎の画像を出すように言った。

 

ナイトアイ「そしてその若頭、治崎の"個性"は"オーバーホール"。対象の分解、修復が可能という力です。つまり壊し、治す"個性"であるということ。さらに治崎には娘がいる。この2人が遭遇した時は手足に夥しく包帯が巻かれていた。先ほどのビルドの発言の踏まえれば…」

 

その瞬間、戦兎は背筋が一気に凍りついた。こんなことあって欲しくなかった。世の中にはエボルトのような奴とはベクトルの違う悪はいくらでも存在する。分かってはいたが…残酷な物だ。

 

万丈「おっ、おい!一体どういうことだよ…!」

 

ロックロック「やっぱりガキは要らねえんじゃねえの?つまり娘の身体を銃弾にして捌いてんじゃね?ってことだ。」

 

ようやく万丈でも理解できたようだ。その恐ろしさを。よくこんなことを考える奴が存在しているのだと。そう思うと腹わたが煮えくり返ってきた。

 

ファットガム「ガサ入れじゃ!今すぐガサ入れするぞ!!」

 

ロックロック「遭遇してた時にガキ2人が保護してりゃ解決だったんじゃねえのか?」

 

ナイトアイ「私の責任だ。2人を責めないでいただきたい。治崎の娘を保護できず、今一番悔しいのはこの二人です。」

 

緑谷・ミリオ「「今度こそエリちゃんを保護する!!!」」

 

ガタっと椅子を吹き飛ばしながら、彼ら二人は息巻いてそう言った。

 

ナイトアイ「それが我々の目的になります。」

 

それが今回集められた目的だった。エリちゃんの保護。そのためにこれだけのヒーローが集められたのだ。

 

ロックロック「ガキがイキがるのもいいがよ、仮に推測通りだとしてもその娘の存在が俺たちヒーローにバレちまった今、素直にその子を本拠地に置くか?攻め入るにしてもその子がいなけりゃ話にならん。場所の特定はできてんのか?」

 

ナイトアイ「問題はそこです。一度で確実に叩かなければならない。そこで八斎會の持つ土地、そして彼らと関わりのある組織の土地を可能な限りリストアップしました。皆さんには各自拠点となるポイントを絞ってもらいたい。」

 

ファットガム「回りくどいわ!こうしてる間にもエリちゃん泣いとるかもしれへんのやぞ!」

 

グラントリノ「焦っちゃいけねえ。下手に出て捕え損ねりゃ火種がさらに大きくなりかねん。むしろそういう意図があってのことかもしらんな。」

 

ファットガム「考えすぎやて!んなことばっか言うとったら身動き取れへんわ!」

 

ヒーローの中でも意見が食い違い、口論になる始末。流石にこれでは合理的でないと相澤が手を挙げた。

 

相澤「サー・ナイトアイ、未来を予知できるなら俺たちの行く末を見れば…」

 

ナイトアイ「それはできない。もし仮に…例えば誰かの死、ただ無慈悲な…残酷な死が待っていたら…どうします?"未来予知"は成功率を最大まで引き上げた上で勝利のダメ押しとして使います。不確定要素の多い間は闇雲に視るものではない。」

 

ロックロック「死だって情報だろ!それに"未来予知"なんざ回避できることもある!俺を視ろよ!いくらでも回避して…」

 

ナイトアイ「ダメだ!!!」

 

ナイトアイはどうしても"未来予知"を使いたがらなかった。オールマイトのことが自身の中に残っている。それを知るのは今、この場にグラントリノと緑谷しかいない。どうしても不信感が募ってしまう。

 

リューキュウ「とりあえずやりましょう。"困っている子がいる"ことが最重要よ。」

 

ナイトアイ「娘の居場所特定及び保護!可能な限り確度を高め、早期解決を目指します。ご協力よろしくお願いします…!」

 

ナイトアイへの多少の信頼は失えど、やるしかなかった。ヒーローの原則は誰かを救い出すこと。どれだけ不満があってもやるしかない。

 

さらに話は進んでいき、詳細が決まった。その間、インターン生は席を外していた。細かいことはプロで決めるとのことだったからだ。

 

切島「そんなことが…あったのか…。」

 

緑谷やとミリオから詳細を聞いた。あの時保護していればと後悔が募る。

 

戦兎「…今の俺たちに落ち込む暇はない。さっさとやれることやんなきゃな」

 

万丈「それはねえだろ戦兎。お前だって辛い時ぐらい…」

 

戦兎「だからこそだ」

 

戦兎は一海の後ろに立っていた青羽をチラッと見た。

 

戦兎「ヒーローになった今、遅かれ早かれ経験することだ。何を躊躇う必要がある。それより大事なのは自分の信じた正義のために戦うことだ。緑谷、お前は最高のヒーローになるんだろ?それとも…全部嘘だったのか?」

 

緑谷「…嘘じゃない。嘘じゃないに決まってる!でも…」

 

確かにやりきれない気持ちはある。それでもエリちゃんを救うのならそんなの感じる暇はない。その戦兎の言葉はずっしりと背中を押したような気がする。どこか、まるで自身も体験したことのあるような…そんな言葉だ。

 

幻徳「なんだお前ら。元気ないな。肉まんでも食うか?」

 

一海「食わねえよ。この空気見たら分かんだろ」

 

シーンとしている中、肉まんを頬張っている幻徳と相澤がエレベーターに乗ってやってきた。

 

相澤「しかしなぁ…本当は君たちのインターン中止を提言する予定だったんだが…」

 

切島「ええ!?なんで!!!」

 

相澤「連合が関わってくるなら話は別だ。」

 

そういうと相澤は緑谷、戦兎の前に行ってしゃがんだ。

 

相澤「緑谷、戦兎。お前らはまだ俺の信頼を取り戻せてないんだよ。残念なことに、ここで止めたらお前らは確実に飛び出してしまう。俺が見ておく。するなら正規の活躍をしよう。分かったか?問題児ども」

 

相澤は二人の肩に手を置いた。気休め的な物だったかもしれないが、緑谷を元気付けるには十分すぎた。

 

幻徳「そうだ戦兎。お前にはナイトアイから直々に協力要請が出た。エリちゃんとその"個性"について、もっと調べて欲しいらしい。"個性"破壊弾を撃たれたとしても何かしらの対策ができるように…と。」

 

"個性"についてはデヴィッド・シールド博士に次いで詳しいと言っても過言ではない。"個性"を探ればフルボトルと"個性"の関係も探れる。この依頼は戦兎にピッタリだった。

 

戦兎「もちろん。ただ"個性"破壊弾を預かれればの話だが…」

 

幻徳「それについてはもう預かっている。」

 

幻徳はファットガムに預かった先ほどの弾を取り出し、戦兎に渡した。

 

幻徳「また後日、結果を教えてくれ。ナイトアイに連絡しとく」

 

戦兎「ああ。分かった。」

 

そう言って幻徳と相澤は再びエレベーターでどこかに行ってしまった。

後悔する暇はない。やるべきタスクをこなし、自身もさらに強くなっていかなきゃいけない。対ヴィランに向けて…。

 

戦兎「そろそろアレも開発するか…」

 

戦兎は一人、ボソッとつぶやいた。誰にも聞こえぬように。

そして各々がさまざまな思いを秘めて時を過ごした。そうしてついに来た。作戦を決行する日が…。

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