緑谷「巻き戻し!ハザードトリガー!ベストマッチ!って感じだね!」
戦兎「んな簡単にもいかねんだよ。実際エリちゃんの力はどんどん強くなってった。最終的に緑谷が自壊し続けることでエリちゃんの影響を受けずに俺のハザードトリガーを外し、見事に俺とエリちゃん両方の暴走を止めることに成功したわけだ。」
緑谷「あのあと相澤先生にこっぴどく怒られたけどね…」
戦兎「まあ助けられたんだしいいだろ?それに俺のフェニックスクーラーフォームでナイトアイもコールドスリープで生きてる。ちゃんと誰1人死なせなかったな。」
緑谷「そう言えばそのボトル、エンデヴァーと轟くんのお母さんから取ったボトルなんだよね?」
戦兎「あ、ホントだ。偶然そうだな。あとで轟にもお礼言っとかなきゃな。っというわけで一件落着!俺たち雄英生は無事に帰還して元の日常に戻ったのでありました!」
緑谷「さぁ、どうなる第76話!」
戦兎「ついに緑谷にまでセリフ取られたぁ…」
max{x∈ℤ/100ℤ|x²=x}=76話
あれから数日。もう九月も終わり、10月初旬を迎えた。
エリちゃんは"個性"が暴走してもいいようにと相澤先生がつきっきりで面倒を見ているとのこと。尤も、A組の担任は幻徳であり、相澤先生もヒーロー活動や教員活動もそこまでなくなっているからこそである。
一方で桐生戦兎は検査と様子見ではあったが数日ほど入院。その間、幻徳や万丈、一海などは授業や治崎とのゴタゴタでお見舞いに来れなかった。しかし、
美空「戦兎!あんたまた入院してんの!?」
惣一「まぁそう怒ってやんなって。戦兎も頑張ってヒーロー活動したんだろ?」
と美空と惣一の2人は一度だけお見舞いに来てくれた。
戦兎「何があったかは言えないけど守りたいもんは守れた。それに検査入院だから今回はすぐに退院できるって!」
美空「あのねぇ…普通はそうやって入院することもないの!もう少しくらい自分のこと考えたらどうなの!」
戦兎「それは悪かったって…」
出会った当初はまだ可愛げがあった美空も、すっかり戦兎たちと馴染んでしまってもはや旧世界の記憶を蘇らせているんじゃないかと思わせるほどだ。
惣一「まあでも美空も心配してんだ。戦兎に何かあれば悲しむ奴もいる。あんまり無茶すんなよ?」
戦兎「…うっす」
しょぼくれた顔をしながらも小さな声で戦兎は返事をした。
総一「じゃ、俺たちはそろそろ帰るけど…土産にこれ、やるよ」
戦兎に渡されたのはカブトムシフルボトル。美空の…というより火星のバングルの力で成分を充填されたボトルだ。美空の体力の関係上、一月に一本生み出せるかどうかである。
戦兎「カブトムシフルボトル!カメラとベストマッチだ!」
いつものように後頭部のアホ毛をぴょんと逆立たせてくしゃくしゃと騒ぎ始める。
美空「それじゃあまたね!」
惣一「次入院したらまた会おうな!」
戦兎「そんなに何回もやるわけないでしょ!ってかこれ検査入院だし!」
ボトルを渡した後、手を振りながら2人は帰っていった。
その後戦兎は退院。インターンの活動もあの事件以来自粛となり、普段の学生生活が戻ってきていた。
エクトプラズム「アマリ美シイ問イデハナイガコノ定積分ヲ計算セヨ。正解ノワカル者ハ挙手ヲ」
黒板に書かれたのは
$$\int_0^{\log(1+\sqrt{2})}\left(\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}\right)^3\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}\right)^{11}\,dx$$
という積分である。大学数学を完璧にマスターしている桐生戦兎にとって、これくらいの積分計算は容易い。だがここで答えを言ってしまっては面白くないのであえて答えない。
緑谷「はい!」
エクトプラズム「緑谷!」
緑谷「$\frac{107}{14}$!」
エクトプラズム「不正解!」
八百万「はい」
エクトプラズム「八百万!」
八百万「$\frac{107}{28}$ですわ!」
エクトプラズム「正解!」
八百万ですら若干手の止まる問題を緑谷が果敢に答えるも不正解。確かにこの問は積分を習いたての高校生、ましてや一年生には少し苦しいものだ。
緑谷「戦兎くん、さっきの問題だけど…これのどこが間違ってるかわかる?」
八百万「私もそれについて聞こうと思ってましたの」
授業後、緑谷と八百万が戦兎の机に来て、エクトプラズムの先ほどの問題について質問に来た。
戦兎「なるほど、2人とも$t=\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}\right)^2$で置換して解いたのか。とすると$\dfrac{1}{2}dt=\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}\right)\left(\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}\right)\,dx$になるから…。ああ、緑谷はここのところで2で割るのを忘れてるな。」
緑谷「あっほんとだ!じゃあ方針は合ってたんだ…」
戦兎「ま、急いでるとケアレスミスくらい誰でもするだろ。で、八百万は何が聞きたいんだ?」
八百万「もう少し良い回答がないかと思いまして…」
戦兎「なるほど。そもそもこれは双曲線関数の問題でな。今は範囲外だが$\sinh x=\left(\dfrac{e^x-e^{-x}}{2}\right),\ \cosh x=\left(\dfrac{e^x+e^{-x}}{2}\right)$っていう名前がついてる。三角関数みたいな奴で$\sinh x$を微分したら$\cosh x$、$\cosh x$を微分したら$\sinh x$になる。これは三角関数と似た性質が成り立つから、$\cosh ^2 x - \sinh ^2 x=1$ってことを使えば三角関数と同じ感じで積分できる。あとは代入計算頑張れば答えもすぐ出るな。」
切島「…すげー…俺には何言ってるかさっぱりわかんねぇ…」
戦兎の解説を元に2人は再度計算する。確かに置換積分するよりもはるかに楽で機械的に解くことができるようになった。
八百万「ホントですわ!これならすぐに出来ます!」
緑谷「でも結局累乗の計算がめんどくさいからそこは先生の言ってた通り美しくないって感じだね…」
戦兎「そこは仕方ないな。」
と、いつものように授業後に戦兎がみんなの疑問を解決。これをすることでやっといつもの日常が帰ってきた気がする。
セメントス「それでは今日も必殺技の向上に努めていきましょー。」
そしていつものヒーロー基礎学。必殺技の開発といっても特にやることはないので、戦兎は作った武器を試したりハザードレベルを上げるために誰かと模擬戦をするなどで時間を潰している。
切島「爆豪!砂藤!緑谷!戦兎!思う存分俺をサンドバッグにしてくれ!」
戦兎「俺も試したいもんあるし…いいか?」
切島「っしゃ!任せろ!」
戦兎「それならさっそく…」
【Kabutomushi!Camera!Best Match!!!Are you ready!?】
戦兎「変身!」
【密林のスクープキング!!!ビートルカメラ!!!イェーイ!!!】
新たに美空から手に入れたカブトムシフルボトルと以前に沙羽さんから採取したカメラフルボトルで戦兎は仮面ライダービルド、ビートルカメラフォームへと変身した。
切島「見たことねえ姿だ!っしゃ!キバっていくぜ!」
戦兎はさっそく右腕のカブトムシの角を模したドリルで切島の腹部を突いた。しかし切島の体表で受け止められびくともしない。ならばと左腕の巨大なカメラで切島の左頬を思いっきりぶっ叩く。普通なら脳震盪を起こすほどの衝撃だが…
戦兎「硬ッ!」
切島「もっと来いよ戦兎!!!」
切島は微動だにしない。
爆豪「俺も混ぜろやクソボトル野郎!!!」
そしてさらに背後から爆豪が飛んできて戦兎に対するストレスを切島に爆破で伝える。なかなかに強引だがそれに負けじと戦兎も左腕で上半身を殴り続けた。2人の猛攻を受けても切島は全く怯まない。
爆豪「テメェインターンでクソ硬くなってんじゃねえか!」
戦兎「なかなかやるな!だったら…」
戦兎はベルトのレバーを回す。
【Ready Go!!!Vortex Finish!!!イェーイ!!!】
左腕の特殊カメラで切島の動きを止め、そのままカブトムシの羽で飛翔。そして切島の前方から右腕の角で飛びながらの突進を繰り出した。
切島「ちょっ、マジか!?」
切島は腕をクロスにして防ぐも戦兎にずるずると押され、最終的に切島は壁に押し込まれる。しかし硬化は解除されることなく、その威力を上に受け流すことでなんとか硬化の表面が軽く割れて削れただけで済んだ。
切島「いってぇ…!!!ちょっ、やりすぎだろ戦兎!」
戦兎「悪い悪い。思ったより耐えられたからちょっとやりすぎたな」
ベストマッチの必殺技。それもハザードレベル5.0の戦兎の必殺技だ。まさか切島がここまで耐えられるとは思わず、途中でやめるつもりだった必殺技も最後までやってしまった。
切島「でも前の俺だったらぶっ飛ばされてたしこんぐらいじゃねえと乱波の乱撃には耐えらんねえよな…。っしゃあ戦兎!もっかいだ!」
爆豪「じゃあ今度は俺に
切島「おうよ!」
インターンによって成長したのは戦兎だけではない。あの事件を経て切島や他の一年も成長している。いつもの日常も、あのインターンを経験した者にとっては物足りず。さらなる強さを求めて切磋琢磨する日々を送るのだった。
幻徳「文化祭があります」
「「「ガッポオォオイ!!!!!」」」
雄英文化祭。体育祭とは対となる催し物だ。"個性"を活かして戦い合う体育祭がヒーロー科メインのイベントならば"個性"を活かして表現し合う文化祭はその他の科がメインとなるイベントである。
もちろん『こんな時期に開催しても良いのか?』という懸念は上がっていたものの、ヒーロー科が襲われたから他科メインのイベントは廃止する、というのは体育祭をやった手前反感もあるだろうとのこと。結局文化祭はやるらしい。
幻徳「とはいえ今年は例年と異なりごく一部の関係者以外は学内だけでの文化祭になる。ヒーロー科がメインじゃないとはいえ一クラスに一つずつ出し物をすることになってる。今日はそれを決めるぞ。」
飯田「ということでここからはA組委員長飯田天哉が進行を務めさせていただきます!まず候補を挙げていこう!希望のある者は挙手を!」
そう言った直後、みんなはすぐに手をあげて自分の希望を伝え始めた。腕相撲大会、ビックリハウス、クレープ屋、メイド喫茶、殺し合い(デスマッチ)など、意味のわからないものも並んでいる。
戦兎「サイエンスショーなんてのはどうだ?イケメン天才物理学者のサイエンスショーは人集まるだろ?」
切島「それお前が実験やりたいだけだろ!」
八百万「でも見せ物としてはかなり面白いものになると思いますわ!」
他にも様々な催し物を考え出したが、結局他のみんなの意向により意味不明なもの、実現不可なもの、地味なものなどは棄却。そして最終的には決まらず、チャイムがなってしまった。
幻徳「結局決まらなかったのか。明日の朝までに決めとけよ。決まらなかったら…」
みんなは唾を飲む。決まらなかったら文化祭はどうなるのか。もしかしたら出られないんじゃないかと不安になる。
幻徳「決まらなかったら…氷室玄徳のファッションショーをやってもらう。俺プロデュースの服でお前らがランウェイを歩くんだ。いいだろ?」
(((それだけは絶対に嫌だ…!!!)))
みんなも幻徳の壊滅的なファッションセンスは知っている。アレを着させられてみんなの目の前に立つなど一生の汚点。全雄英生に笑い物にされ辱めを受けることになる。何があっても今日中に決めねばならなくなってしまった。
幻徳「それと緑谷、切島、戦兎、蛙吹、麗日の5人は今日の補講の時に相澤から話がある。補講後しばらく残ってくれ。それじゃあ今日も授業がんばれよ」
戦兎「話…?」
そういうと幻徳は出ていってしまった。おそらくインターンのことだろう。ともかく補講のせいで5人とホークスのところにインターン中の常闇を合わせた6人は文化祭の出し物会議に出られない。幻徳のファッションショーだけはなんとしても避けたいので『補講中に何をするか決まった場合、その意見に従う』という声明を出し、6人は補講へと向かうことになった…。
戦兎「と言うわけでインターン編も終わって文化祭編開始!なんとしても幻さんのファッションショーは避けなきゃな…」
万丈「んなもん開かれたらそれこそこの世の終わりだろ…もはやどっから突っ込んでいいか分かんねえ…。」
一海「初めて私服見た時は想像の斜め上を行くダサさだったからな…。まだコスチュームがあの革ジャンなだけマシだが、あれをかっこいいと思えるヒゲのセンスがヤベェ。」
幻徳「なんだお前ら。やっぱり俺のセンスがまだ分からんのか。」
戦兎「んなもんわかったらそれこそこの世の終わりでしょうが!」
万丈「ってかよ、ここはいつものフルボトル紹介のコーナーだろうが!なんで4人もいんだよ」
戦兎「そりゃあ4人揃ったからこれからは4人でやろうと思って。読者はこう言うのを求めてんだよ」
一海「読者?んなもんどこにいんだよ」
戦兎「そういう細かいことは気にしなくていいの!それじゃあいつもみたくフルボトルを箇条書きで紹介してくぞ。」
・ドライヤーフルボトル 夜嵐イナサ "旋風"
・クジラフルボトル ギャングオルカ "シャチ" 同じクジラ目の生物
・サイフルボトル メタルゲラス(ヴィラン) "サイ"
・ウォッチフルボトル 壊理 "巻き戻し"
・ロックフルボトル ロックロック "施錠"
・タートルフルボトル クロノ "クロノスタシス" 鈍足化→鈍足→カメ
・カブトムシフルボトル 石動美空 "無個性"
万丈「前回55話だから21話振りだな。集まったのは…」
戦兎「通算54本。55話からだと新たに7本だな。」
万丈「残り6本か!んじゃあすぐに集まるんじゃねえのか?」
戦兎「でも残るボトルの成分に当てはまりそうな奴がいなくてな…。もしかしたら美空頼りになるだろうな。」
一海「てか全部集めてどうすんだよ」
戦兎「そりゃ最ッ高の天ッ才的なボトルが出来上がる…かもしれない」
幻徳「そこは確定じゃないのか」
戦兎「前世界と違ってパンドラボックスもパンドラパネルもないからな…。でもとりあえず集めるほかないし、これからもボトル採集頼んだ!」
万丈「の前にまずはA組の出し物決めなきゃまずいな」
幻徳「何がまずい?俺のファッションショーで完璧だろ」
戦兎「完璧なわけないでしょうが!あーもうさっさと出し物決めなきゃいけないのにこれから補講…。A組のみんなマジで早く決めてくれ…」
幻徳「と言うわけで次回から始まる『氷室玄徳のファッションショー』編を楽しみにな」
戦兎「だからしねえって!!!」