幻徳「俺のファッションショーか、それとも俺のメイド喫茶、どっちがいい?」
戦兎「だからなんで幻さんがメインなんだよ!それに誰も幻さんのメイド姿とか見たくないでしょうが!」
幻徳「すね毛ちゃんと剃ってるんだから他の面子よりマシだろ」
戦兎「いくら足ツルツルでも髭面なんだから意味ないだろ!…なんか想像しただけで気分悪くなってきた…」
幻徳「まったく、どいつもこいつも時代の最先端を知らないとはな。」
戦兎「お前に賛同する奴がどこにいんだよ。気分悪いからさっさと77話いっちゃって!」
蛙吹「エリちゃんが緑谷ちゃんと戦兎ちゃんに会いたがってる?」
相澤「ああ、厳密には緑谷、通形、桐生を気にしてる。要望を口にしたのは入院生活始まって以来初めてのことだそうだ。」
放課後、インターン組は補講を受けていた。特にあの時死穢八斎會と関わりのある5人は補講後残されてその話を聞いた。
戦兎「エリちゃんの様子も気になるしな…。明日の放課後あたりにでも行こう。」
緑谷「うん!」
相澤「それじゃあ今日の補講は終わりだ。」
と言うことで補講は終わり。荷物をまとめて早めに寮へと向かう。特に戦兎は早歩きで寮へと向かっていた。幻徳のファッションショーなど見るに耐えない。人一倍それを知っているからこそだ。
上鳴「おっ!インターン組帰ってきた!」
扉を開けると爆豪を除くみんなが広間に集まっていた。
葉隠「文化祭の出し物決まったよー!」
切島「マジか!結局なんになったんだ?」
芦戸「ダンスー!パリピ空間を提供するの!」
飯田「他科にはヒーロー科主体の動きにストレスを感じているものもいると氷室先生はおっしゃっていたからな。みんなを楽しませるべきと言う観点からの発想だ。」
歌や音楽は生で演奏しつつ、みんなでダンスをしてみんなを盛り上げるというのが今回のプランだ。特に反論すべきところはない。というか幻徳のファッションショーに比べればどんなものでもマシである。
緑谷「いいと思う!すごく楽しそうだし!」
麗日「賛成ー!」
戦兎「サイエンスショーはちょっとしたかったけど…」
八百万「その代わりに科学やボトルを使った派手な演出をお願いしようと思っているのでそこで妥協を…」
ほんの少し肩を落とし、八百万にそれを慰められるも、確かに案自体は文化祭の出し物としてとても素晴らしいものである。
飯田「5人の賛成も取れたことだし、細かいことは明日考えることにしよう!」
気がつけばもう21時。補講組はとにかく疲労もすごいだろうということで今日は解散である。
そしてほぼ同時刻。B組も出し物を考えていた。万丈はB組唯一のインターン組。戦兎たちと同じく遅れて寮へと帰宅した。
万丈「ただいまー!」
鉄哲「おおーっ!万丈帰ってきた!決まったぜ俺たちの出しもん!」
早速帰ってきた万丈の肩を組む。
万丈「おっ!何すんだ?やっぱ格闘大会だろ!」
泡瀬「しねえよそんなもん」
朝のHRで万丈は格闘大会を所望していた。が、もちろんそんなことできるはずがない。第一それをやって喜ぶのは万丈だけである。早々に却下された。
物間「劇だよ!この僕が主役のね!!!」
拳藤「いやそれは決まってないでしょ」
今日も今日とて物間が暴走しまくっている。ちなみに拳藤はミスコンに出場するためB組の出し物には不参加。そして拳藤の付き添いで柳も不参加であるが、出し物を決める助言はしたいので2人とも話し合いの場には参加している。
万丈「へぇ!劇楽しそうだな!」
骨抜「台本や題目もまだまだ決まってないけど、一応オリジナルにしようかなって」
万丈「じゃあよ、『仮面ライダークローズ』っつーのはどうだ!?俺が初めてクローズに変身したエピソードを再現すんだよ!」
円場「いや体育祭の再現してもしょうがねえよ」
万丈「体育祭じゃねえ。俺の初変身はもっと前だ!」
B組も知らない、いや、この世ではたった2人しか知らない仮面ライダークローズの成り立ちのことだ。多少掻い摘んで話しをしたり、戦兎から口止めされている部分を省略したりしたが、話したことはほとんど全て真実である。
自身が冤罪を被せられて人体実験を受けたあの日から、クローズに変身できるまでの経緯を話終えた万丈の頬には、気がつけば涙がポロポロと落ちていた。
塩崎「なんと涙ぐましい過去なのでしょう…」
鉄哲「万丈…!お前アツい!アツくて涙が止まんねぇよ!!!」
そしてそれは皆も同じだった。万丈の話によって心が揺り動かされたのだ。それと同時にこの話は文化祭で披露する劇にピッタリだと、そう思わさざるを得なかった。
鉄哲「文化祭の劇はこれベースでいこうぜ!異論あるか!?」
鉄哲が声を大きく張り上げる。そしてそれに異を唱える者は誰一人としていなかった。あれほどまでに壮絶な話を聞かされ、心を動かされ、反対などできようものもなく、それを超えるほどの出し物も思いつかない。というわけでB組の出し物はヒーローショーに決定した。
そして翌日。午前で授業を終えて緑谷、戦兎は途中早退。理由はもちろんエリちゃんに会いに行くためである。
緑谷「エリちゃん!久しぶり!」
ミリオ「フルーツバスケット!よかったらたべて!好きなフルーツある!?俺当てて良い?ももでしょ!」
エリ「リンゴ」
ミリオ「だよね!だと思った!」
緑谷、戦兎、通形の3人は相澤付き添いの元、エリちゃんの病室へと訪れていた。病室は他人に影響を及ぼさないように個室できちんと配慮もされている。しかしエリちゃん自身についても以前のような巻き戻しエネルギーはないと考えられている。角も小さくなり、発熱等の症状も治った。
戦兎「なかなか会いに来れなくてごめんね。ってか俺のことわかる…?」
エリ「…だれ?」
戦兎「やっぱりかぁー!」
あちゃーっと言ったような顔で少し落胆する戦兎だったが、仕方ないよと緑谷に慰められる。ほとんど変身していた状態で戦っていたのだ。顔があまり印象に残っていなくても仕方がない。
エリ「ずっとね、助けてくれた時のこと考えてたの…。でもお名前がわからなくて…ルミリオンさんしかわからなくて…。ずっと知りたかったの。緑の人と黒い人のお名前…。」
緑谷「緑谷出久だよ!ヒーロー名はデク!こっちの方が覚えやすいかな?デクです!」
戦兎「俺は桐生戦兎。戦兎でいいよ。…って俺のことわかんないか。ちょーっとまってて!」
戦兎は立ち上がってみんなから少しだけ距離を取り、ビルドドライバーとフルボトルを2本取り出した。
【Rose!Helicopter! Best Match!!!Are you ready!?】
戦兎「変身!」
【情熱の扇風機!!!ローズコプター!!!イェーイ!!!】
戦兎は仮面ライダービルド、ローズコプターフォームへと変身。その姿を見てエリちゃんは『あの人…!』とようやく戦兎がビルドであることに気がついた。
エリ「…いい匂い…」
ミリオ「ホントだ!これは…薔薇の匂い…?」
戦兎「落ち着くかなと思って。戦うだけじゃなくてビルドにはこういう機能もあるんだ。」
エリちゃんの頭を撫でながら戦兎はそう話した。そして戦兎は変身を解き、再び丸椅子に座る。
エリ「ルミリオンさん、デクさん、戦兎さん、あと眼鏡のあの人…。みんな私のせいで酷い怪我を…。私のせいで苦しい思いをさせてごめんなさい…」
エリちゃんはナイトアイがコールドスリープに入ったことを知らない。被害状況も知らない。
戦兎「…くしゃっとなるんだよ。誰かの力になれたら心の底から嬉しくなってくしゃっとなるんだよ。俺の顔。マスクの下で見えねえけど。エリちゃんを守れた時もそうだった。俺たちヒーローは誰かの明日を、笑顔を守るために戦ってる。だから苦しくないさ。」
ミリオ「そうだよ!俺たちはみんなエリちゃんの笑顔のために戦ってきたんだ!だから笑おう!こうやって!」
ミリオは自身の口元を人差し指で引っ張って満面の笑みを見せる。エリちゃんもそれを真似て笑顔を作ってみようとするも顔が強張って笑顔を作れない。
エリ「…ごめんなさい。笑顔ってどうやればいいのか…。」
再びエリちゃんの表情が曇る。まだ治崎に囚われているのだ。
緑谷「そうだ!相澤先生!エリちゃん1日だけでも外出できないですか!?もしできるんだったら…文化祭!エリちゃんも来られませんか!?」
戦兎「なるほど…今回は外部から人を入れない分安全ってことか」
相澤「分かった。校長に掛け合ってみよう」
エリ「ぶんか…さい…?」
ミリオ「文化祭っていうのは俺たちの学校でやるお祭りさ!みんながみんなを楽しませるために出し物とか食べ物とかを出したり…!」
戦兎「俺と緑谷もダンスするんだ。きっと楽しくなる」
緑谷「エリちゃん…どうかな!?」
みんなの言葉にエリちゃんの表情は緩んでいる。両手をきゅっと握りしめながらエリちゃんは口を開いた。
エリ「私、考えてたの。助けてくれた人のこと…。みんなのこともっと知りたいなって…」
ミリオ「もちろん!嫌ってほど教えるよ!!!」
戦兎「じゃ、まずはこの俺、天ッ才物理学者の桐生戦兎が仮面ライダービルドの全てを3分で教えよう!」
エリ「楽しみ…」
結局エリちゃんとの面談は以後1時間続き、最終的に相澤が『長い!帰るぞ』と叱ったことでエリちゃんに別れを告げた。笑い方を知らない少女も、若干の苦笑いなら覚えたようだ…。
麗日「補習今日でようやく穴埋まりました!本格参加するよ!」
そして夜、A組全員は寮の広間に集まって配役を設定していた。
耳郎「そうだ、戦兎にちょっとお願いがあるんだけどさ。前にマイクのフォーム使ってたよね?アレで音楽とか流せないかな?EDMできるんだったら補助的にでも使いたくて。」
爆豪がドラム、八百万がキーボード、常闇と上鳴がギター、そして耳郎がボーカルを務めるとのこと。もうすでに楽曲も決まっていた。しかし足りない音や効果音などを補うためにはどうしても機材が必要だった。
戦兎「ドッグマイクフォームか…。できるな。」
芦戸「じゃあバンド隊はその6人に決定!」
轟「いや待て、戦兎には演出の方がいいだろ」
飯田「確かに…戦兎くんの変身自体も派手だし、他にも多彩な技で魅了できるかもしれない!」
緑谷「あっ、でも今さっきエリちゃんに踊るって言ったからダンスも…」
切島「いや流石に全部は戦兎にもきついんじゃねえのか?1人しかいねえんだしよ」
まさに引っ張りだこ。バンド、演出、ダンス、全てを1人でこなすのは流石に…
戦兎「そうだな、
緑谷「あっ!ニンニンコミック!あれなら分身できるから全部できる!」
瀬呂「マジかすげえな!」
そう、9人でやれば問題ない。…かなりのチート技ではあるが、こういう時にビルドというのは役に立たなければ。
耳郎「それとさ戦兎、個人的にやってほしいことがあるんだけど…。」
そういうと耳郎は戦兎に近づいて耳打ちする。
戦兎「いやそうはならないでしょうが!」
耳郎「お願い!どうしても戦兎にやってほしいの!」
上鳴「なんだなんだ?それ俺たちじゃダメっていうのか?」
戦兎「俺にしかできないことではあるけど…」
耳郎「そこをなんとか!一番最初だけで良いからさ!この通り!」
耳郎は戦兎に頭を下げて頼み込む。どうしてもやってほしいようだ。
戦兎「…一番最初だけだからな。」
耳郎「やった!ありがとう!」
何を頼んだかは不明だがとにかく要望が通って大はしゃぎな耳郎。そしてやれやれとため息をつく戦兎だった。何はともあれ、それ以降も大まかな流れと演出を練り上げて深夜一時。ようやく全役割を決定したのだった。
文化祭まで残りあと1ヶ月。それまで練習あるのみとなった。
戦兎「さて、今回はお知らせがあります。」
万丈「んだよ改めて。もしかして遂に主人公交代か!?」
戦兎「んなわけないでしょ?ありがたいことにこの作品はたくさんの方に読んでいただいてるからな。そこで読者の要望に応えるべく新しくスピンオフ始めることにしたんだよ。」
一海「二次創作の二次創作か。…わけわかんねえな」
戦兎「スピンオフとか混ぜたら単純に物語が分かりにくくなるでしょ?あえて分けることで配慮してんだよ。」
幻徳「ふっ、そこでは俺のファッションショーも見れると言うことか?」
戦兎「要望があったらな。見たくはねえけど。」
幻徳「いいぞ分かってるじゃないか。」
戦兎「そんなスピンオフはすでに第一話が投稿中!『【スピンオフ】天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア』って名前で投稿してるからぜひ読んでくれ。」
万丈「『ここのところ省略されたけど詳しい話みたい!』『こういうIFストーリー見たい!』とかいう要望があれば感想欄などで書いてくれれば実現するかもな!」
一海「一応不定期の予定ではあるらしいが出来は本編と遜色ねえようになってるらしいぞ。」
幻徳「詳しくは下のURLから飛んでみてくれ。」
戦兎「と言うわけで次回78話もお楽しみに!」
『【スピンオフ】天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア』
https://syosetu.org/novel/387471/