天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア   作:いぷしろん

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戦兎「仮面ライダービルドで天ッ才物理学者の桐生戦兎は、雄英文化祭をあと1ヶ月後に控えていた!戦兎はサイエンスショーを提案するも敢えなく撃沈。A組はダンス空間を提供することになる。」

緑谷「僕たちのダンス…エリちゃん笑ってくれるかな?」

ミリオ「きっと大丈夫さ!ね、エリちゃん!」

エリ「ワクワクさんだよ…!」

万丈「A組だけじゃねえぜ!エリちゃんには俺が主人公のヒーローショーも見てもらうことになってっからよ!」

エリ「ヒーローショー…?」

万丈「おうよ!そりゃもう俺がずどーんってなって火の玉がぶおおお!!!って感じで、んで俺の剣がシャキンシャキンのヴィランがどりゃああー!ってなんだよ!」

エリ「…なにいってるの…?」

戦兎「お前なに6歳児にもバカ扱いされてんだよ」

万丈「俺は馬鹿じゃねえ!」

戦兎「はいはい、そんなわけでどうなる第78話!」

万丈「俺はバカじゃねぇー!!!」











Σ_{n=1}^{12}n=78話

今日は土曜日。休日。しかし全寮制になったおかげでどの学年も文化祭準備に精を出していた。もちろんA組も殺る気で練習している。

戦兎はバンド、ダンス、演出、全てをこなしているのでニンニンコミックの分身能力でそれぞれの練習に参加している。そんな最中…

 

「「「エリちゃん!!!」」」

 

エリ「デクさん…戦兎さん…!」

 

通形と相澤が一緒にエリちゃんを連れてA組寮を訪れていた。

 

相澤「校長から許可が下りた。びっくりしてパニックを起こさないよう、一度来て慣れておこうってことだ。」

 

初めましての人の多さにエリちゃんはミリオの陰に隠れる。確かに10歳も歳が離れた人に囲まれればとても怖いだろう。

 

ミリオ「というわけでこれからエリちゃんと雄英内を回ろうと思うんだけど、緑谷くんと戦兎くんもどうだい?」

 

緑谷「ぜひ!…戦兎くんはどうする?」

 

戦兎「行きたいのはやまやまなんだけど…今分身も使ってるからな…。ちょっと聞いてくる」

 

一応分身同士で意思疎通は可能である。なのでそれぞれのリーダーである耳郎、轟、芦戸に行っても良いか聞いてみた。答えは…

 

戦兎「行ってもいいってさ。」

 

ミリオ「じゃあ一緒に回ろう!」

 

ということで戦兎と緑谷はジャージからいつもの制服に着替えて、雄英高校正門前に到着。しかしもうすでに飾り付けの骨格まで組み上がっていてとても騒がしかった。

 

戦兎「まだ1ヶ月前なのに…」

 

ミリオ「みんな去年よりもすごいものを、『プラスウルトラ』で臨んでるんだよね」

 

のんびりぶらぶらと周りを見ながら3人で解説しながら歩く。どこかのテレビ番組みたいになってしまったが…

 

緑谷「うわぁっ!?」

 

突然緑谷の目の前に現れた化け物、スマッシュが緑谷の前に現れ、緑谷の頭とスマッシュの頭がガッチャンコ。スマッシュは尻餅をついてしまった。

 

「いってぇ!わりぃ!…って戦兎と緑谷じゃねえか!」

 

スマッシュは頭をスポッと外す。スマッシュの正体は…万丈だった。

 

戦兎「万丈!このスマッシュ…どうしたんだよ!かなり再現度高えけど…」

 

万丈「そりゃ作ったに決まってんだろ!前に戦兎に描いてもらったじゃねえか」

 

戦兎「いやそうだけど、これ一体何に使うんだよ」

 

物間「B組の出し物に使うのさ!!その名も『episode Cross-Z』!B組完全オリジナル脚本!準備しといたほうがいい!ボクらに喰われて涙するその時のハンカチをね!!!ヴェハハハハハハ!!!」

 

いつもの二割増しで声を高らかにして腰をこれでもかとそらして笑う物間。そんな物間の頭を泡瀬が角材でゴチンと強く叩くと物間はいつものように気絶してしまった。

 

緑谷「いつにも増してめっちゃ言ってくる…」

 

万丈「拳藤がミスコンでいなくてよ。収拾がつかねえんだ。あっ!ミスコンで思い出した!戦兎!ミスコンに美空が出るんだってよ!」

 

戦兎「マジか!?」

 

まさかの新事実。ミスコンが雄英にあること自体知らなかったが、それ以上にミスコンに美空が出ること自体信じられなかった。

 

万丈「エリちゃん案内してんだろ?だったら俺も行くからよ!ミスコン会場行こうぜ!」

 

ミリオ「良いアイデアだね!それにミスコンといえば、去年の準グランプリ、波動ねじれさんも気合い入ってるんだよね!」

 

というわけで5人はミスコン会場の準備室へ。そこには拳藤や柳などのB組メンツ、波動ねじれ、環の3年メンツ。そして…

 

美空「ちょっ、戦兎!?万丈!?なんでこんなとこにいるの!?」

 

普通科、一年C組の石動美空がいた。今から衣装に着替えようとしていたところらしく、見たことのある衣装を持っていた。

 

万丈「そりゃ美空がミスコン出るってマスターから聞いたからな!見に行くしかねえだろ!」

 

美空「お父さんに報告したのが間違いだった…」

 

どうやら美空はC組のみんなに乗せられてエントリーすることになったらしい。美空自身が褒められると舞い上がり有頂天になる性格なのもあるだろう。しかし確かに可愛らしい顔つきと魅力的な笑顔は数十万人規模のファンを獲得していたあの頃の美空と何一つ変わりはない。

 

戦兎「まあ昔そういうのやってたし別に良いだろ今更」

 

万丈「アイドルだったもんな。いや〜懐かし〜」

 

美空「何の話かわかんないけど…なんかすごいバカにされてる気がする…。」

 

美空がネットアイドルみーたんとして名を馳せていたのは旧世界の話。新世界ではあくまで石動惣一の一人娘でただの女子高生として過ごしている。なんのことだかさっぱり分からない美空は、馬鹿にされている雰囲気だけ察知した。

 

美空「っていうか私今から着替えるんだからあんたたちもさっさと帰る!帰んないと…刻むよ???」

 

「「す、すみません!!!」」

 

手に持ってる糸切りはさみをちょきちょきしながら可愛い顔に似合わない怖い顔をして戦兎と万丈を脅した。ヒーロー科のトップ2人でも美空には敵わない。他のみんなは苦笑いしながら控え室を後にした。

 

ミリオ「さてと、ヒーロー科、ミスコンときたら次はサポート科だよね!」

 

ということで次にやってきたのはサポート科の大きな技術室だった。ギュインギュインと大きな音を立てており耳がどうにかなりそうだ。

 

ミリオ「彼らは全学年一律で技術展示会を開くんだ!」

 

「そう!文化祭こそサポート科の晴れ舞台なんですよ!」

 

戦兎「発目!」

 

戦兎の真後ろから現れたのはサポート科一年、発目明。サポート科で最も優秀な技術屋だ。

 

発目「お久しぶりです!戦兎くん!緑谷くん!」

 

緑谷「戦兎くん発目さんと接点あったんだ」

 

戦兎「一応俺はサポートアイテムの開発免許とか持ってるし、たまに色々借りてるんだよ。そん時に色んなこと教えたりな。」

 

いくら戦兎といえど資材が無限にあるわけではない。そこでサポート科やパワーローダーに頼み込んで、サポート科の手伝いをすることを条件で場所や資材などを貸してもらっているのだ。ラビットタンクスパークリング缶を体育祭の最中でも作成可能だったのはそのおかげである。

 

発目「そうだ戦兎くん!ちょうど良い時に来ました!今素晴らしいビッグゲストの方が来ております!もしかしたら戦兎くんならご存知じゃないですかね!?」

 

戦兎「ビッグゲスト…?」

 

わけがわからぬまま、発目についていく。そこには白衣を着用し、ガスマスクを首からかけている人物が生徒に指導を行っていた。

 

戦兎「…ご存知どころじゃない。過去も全部知ってる…!」

 

万丈「葛城巧…!なんでこんなとこにいんだよ!」

 

自分の名前を呼ばれた巧はこちらの方を振り向いた。しかしこの世界では葛城巧も記憶を失っており、戦兎のことも万丈のこともすっかり忘れてしまっている。そのためこちらの方を見ても首をかしげるだけでそれ以上の反応はなかった。

 

発目「葛城先生!こちら以前お話ししてた桐生戦兎くんです!」

 

巧「やぁ。噂は聞いているよ。僕は葛城巧。よろしく。」

 

戦兎「…桐生戦兎だ。よろしく。」

 

2人は挨拶のために手を交わした。

複雑な気分だ。新世界構築直後は旧世界の記憶も持っていたのに、新たな世界で改めて会うとその記憶を全て失ってしまっている。そのギャップに再び孤独を感じる。

 

巧「にしてもなんだか初めて会った気がしないな。懐かしい感じがするよ。」

 

戦兎「…俺も…初めて会ったような気がしない。ずっと前から知ってる感じがする。」

 

元は同じ葛城巧という人間。それが新世界だろうと旧世界だろうと通じるのは同じだ。頭脳が同じなんだから…。

 

緑谷「葛城巧さんといえば、26歳にして様々な資格を取得し、東京先端物質学研究所に勤めている天才科学者ですよね!」

 

ミリオ「でもそんな人がどうしてここに?」

 

幻徳「俺が呼んだんだ。文化祭の開催に伴うセキュリティ強化のためにな。」

 

戦兎「幻さん…!」

 

A組の出し物の監督もせずどこをほっつき歩いているのかと疑問に思っていたのだが、まさかのサポート科にいた。

 

幻徳「今回の文化祭は校長と警察でかなり揉めたらしいからな。セキュリティ強化と誤報でも警報が鳴った瞬間即座に中止と避難。これが開催の条件となった…。」

 

緑谷「それで葛城さんを…。でもそんなに厳重にやるのに外部から招き入れても良かったんですか?」

 

幻徳「そもそも東京先端物質学研究所は国の研究所。雄英は最高峰の国立ヒーロー科だぞ。なによりこの俺、氷室幻徳の父は氷室泰山。首相だ。この三つのが揃ってこそ今回葛城を呼べたというわけだ。」

 

戦兎「なるほど、コネか」

 

幻徳「断じて違う!」

 

結局親のコネであることは間違いない。しかし幻徳が雄英教師として務め始めたのが仮免以降からなのもあって、そもそも葛城とこの時期まで出会えなかったのは必然だったのかもしれない。

 

葛城「というわけで今は氷室さんに学内を案内してもらってるところだ。」

 

ミリオ「だったらみんなで回ろうよ!僕らもちょうどエリちゃんに学校を案内してるところなんだ!」

 

幻徳「なるほど…悪くはない…。だがその前に…飯にしよう」

 

ぐぅぅ…と幻徳の腹が鳴り始めた。どうやらお腹が空いたらしい。今は13時。ちょっと遅めだが食堂へと赴き、ランチラッシュの作るご飯を楽しむことにした。

 

緑谷「学校はどうだった?」

 

緑谷はカツ丼をむしゃむしゃと食べながらエリちゃんに尋ねた。

 

エリ「よくわかんない…。けど、たくさんいろんな人が頑張ってるから、どんな風になるのかなって…」

 

戦兎「楽しみにしてるんだな。だったら連れてきた甲斐があった。」

 

巧「じゃあ僕もセキュリティ強化をがんばって文化祭を実行できるようにしなきゃね」

 

戦兎はランチラッシュの作ったアジの開き定食をもぐもぐ食べながらそういった。

 

戦兎「そういえば、葛城は食堂のご飯食べないのか?」

 

巧「ああ。母さんが作ってくれた弁当があるんだ。」

 

巧は背負っていたリュックからお弁当を取り出してパカっと開けた。煮物やミニトマトなどが彩りよく並んでいる中でもちろん戦兎が大好きなあの具材もあった。

 

戦兎「…美味しそうな卵焼きだな。一つもらっても良いか?」

 

巧「ああ。」

 

巧は弁当箱の蓋に卵焼きを乗せ、戦兎に渡す。それを戦兎は箸で掴み、口の中に運んだ。ゆっくりと噛み締めると口の中いっぱいに甘さと卵の風味が広がる。

 

戦兎「やっぱり甘くて美味しい…。美味しいよこの卵焼き…」

 

気がつけば目から涙が落ちていた。手の甲にポタポタと落ちる涙を懸命に拭いながら、それでもゆっくり咀嚼して味わい尽くしたあと、ごくんと飲み余韻に浸る。

もう食べられないだろうと思っていた卵焼き。生きているならそれで良いと思っていたが、まさかこんなところでこの味をもう一度味わえるなどと思ってもいなかった。

 

エリ「だいじょうぶ…?」

 

突然泣き始めた戦兎を見てエリちゃんは困り顔をしながらハンカチを渡してきた。

 

戦兎「…あぁ、大丈夫。心配させてごめんな」

 

戦兎はエリちゃんの頭をわしゃわしゃと撫でつつ自分の涙を拭う。懐かしい味を楽しめただけでも十分だ。

 

巧「…そんなに美味しかったのなら今度母さんにレシピを聞いておくよ。」

 

戦兎「ありがとう。それと美味しかったとも伝えておいてくれ。」

 

とにかくこの世界でも葛城巧は生きていて元気にしていた。もちろん母の葛城京香も元気に暮らしていることもわかった。それだけで戦兎は新世界を作って良かったと改めて痛感した。

 

緑谷「ってもうこんな時間!そろそろみんなのところに戻んなきゃ!」

 

万丈「俺も!みんなに任せっぱなしだったの忘れてた!」

 

時計を見るともう14時。かなりの時間抜けていたのでA組のみんなには迷惑をかけていただろう。

 

戦兎「それじゃあまた!エリちゃん、文化祭楽しみにしててね」

 

エリ「うん…!」

 

まだぎこちない笑顔しか見せられないが、それでも楽しみにしているんだという心は伝わる。それは文化祭を準備している雄英生徒も同じだ。この日のためにみんなが『一つになろう』と必死なのだ。

 

 

 

かくして時は立ち、1ヶ月後。授業と並行して過酷な練習を積み、休みも寝る間も返上しながら、ついに文化祭前夜を迎えた。

午後9時まで練習を終えて皆が風呂を済ませた後、寝れない者はエントランスで道具点検や最後の確認、あるいは遊び回ったりしていた。

 

緑谷「あっ、ロープほつれてる!買いに行かないと!」

 

上鳴「八百万か戦兎に作って貰えば?」

 

芦戸「ヤオモモも戦兎くんももう寝てるよ!」

 

戦兎「いや、俺寝てないけど。」

 

てくてくと階段を下って戦兎が降りてきた。ただ単に自室の研究室に篭っていただけのようだ。

 

戦兎「緑谷、頼まれてた物作り終わったぞ」

 

緑谷「ありがとう!忙しいのにごめんね!」

 

戦兎が緑谷のために作っていたのはエアフォースに合わせたグローブだった。衝撃で風圧を起こせるようになった緑谷が、その風圧に指向性を持たせ、さらにフルボトルの効果を使えるサポートアイテムが欲しいと頼んだのだ。見た目こそほとんど変わらないものの、グローブの手首あたりにはフルボトルを一本刺せるスロットがついている。

 

緑谷「そうだ、このロープほつれちゃって、代用できるものとか持ってないかな?」

 

戦兎「ロープか…。流石にないな」

 

緑谷「そっか!じゃあ僕明日朝一で買ってくるよ!朝練もあるし買いたいものもあるから!」

 

芦戸「それで間に合うならいいんじゃない?それよりもうそろそろ寝なきゃ明日ヤバいよ!」

 

現在時刻23:50。もうそろそろで日を越してしまう。

 

切島「そんじゃまた明日やると思うけど夜更かし組!一足お先に…絶対成功させるぞ!」

 

「「「おーっ!!!」」」

 

みんなは拳を突き上げて明日のために就寝。ついに待ちに待った雄英文化祭が始まろうとしていた。

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