八百万「B組の方々は確かヒーローショーでしたよね?」
飯田「ヒーローを目指す者が行うヒーローショー…!かなり面白そうだ!」
峰田「ヒーローショーなんかよりももっと面白そうなもんあんだろ!?ミスコンがさァ!」
戦兎「変なこと考えるんじゃないよ。美空とか拳藤に欲情すんなよ?」
峰田「オイラが望むのはただ一つ!オッp」
戦兎「そしてサポート科に見学しに行くとなんとそこにはセキュリティ強化のために派遣されたという葛城巧がいた。そしてあの甘い卵焼きの味を思い出すことに…。」
八百万「せっかくレシピをもらったのでしたら作って差し上げましょうか?私も紅茶を持ってきましたし、ティータイムと行きましょう!」
戦兎「最ッ高だな!でも葛城巧も母さんも無事に生きてて何よりだし、あとは文化祭が無事に開催されるのを祈るだけだな!というわけでどうなる第79話!」
プレゼント・マイク『Good Morning!!!ヘイガイズ!準備はここまでいよいよだ!!!今日は一日無礼講!学年学科忘れてハシャげ!!!そんじゃみなさんご唱和下さい!雄英文化祭!開催!!!』
午前9時。プレゼント・マイクのアナウンスと共に開幕を知らせる花火が上がる。もちろんA組もB組も各々の出し物のために準備をしていたが…
切島「緑谷が帰ってこねぇ!?」
もう9:30を過ぎているにも関わらず買い出しに出かけた緑谷が帰ってこなかった。すでにみんな衣装をまとい、スタンバイもすんでいる。
飯田「何があったのか分からないが、今はとにかく準備を進めるんだ!」
そして客席も徐々に埋まり始める。その中にはエリちゃんやミリオ、一海や三馬鹿、相澤やパトロールをサボっている幻徳もいた。
緑谷「ごめん!遅れた!!!」
急いで体育館裏に入ってきた緑谷。その時刻は9:55である。超ギリギリだがロープも無事に買ってきて衣装も着用済み。
A組全員がハラハラさせられたが、午前10時。ついに幕が開き、暗転した部屋の中央にポツンと一つのスポットライトが中央の人物を照らした。
「ふぅーっふぅ!!!佐藤太郎でぇーっす!!!」
赤い繋ぎをきたトゲトゲ頭の好青年、そう。ツナギーズの佐藤太郎がそこにはいた。いや、正確には佐藤太郎に扮した桐生戦兎だ。しかしあまりのそっくり度に皆は佐藤太郎だとざわつき始めた。
佐藤太郎はこの世界では新生のロックミュージシャンだが、若者を中心に人気を博しており、メディアでも取り上げられるほどだ。
「今日は来てくれてありがとおーう!!!それじゃあいつものあのセリフをみんなで叫ぼうぜ!!!せーのっ!!!」
「「「夜は焼肉っしょー!!!!!」」」
観客全員で叫んだその瞬間、会場を轟かす爆音がなった。爆豪の爆破だ。それを合図に荒々しいギターとドラム、キーボードの音色が会場に鳴り響く。
明日をこの手で創るため
みながどこからともなく聞こえてくる耳郎の歌声に集中している。その間に戦兎はその場を退く。バンド隊が心地よいドラムとギターの音を掻き鳴らしながら舞台は明転。そこでA組のバンド組とダンス隊が出現。中央では耳郎がボーカルを担当していた。
耳郎「よろしくおねがいしまーっす!!!」
A組が披露する曲は『Ready Go!!』。仮面ライダービルド本編で劇中歌として流された曲だ。
誰かに優しくなれる強さに変わる
全てがそうじゃないよね
それでも芽生えた想い幻じゃないよ
轟の冷気。そして扇風機フルボトルのクジラサイクロンフォームによる風で一気に空気が冷える。
ナイトアイと向き合う過去、治崎と向き合う過去。まだ乗り越えられたわけじゃない。でも最高のヒーローになるという想いは消えない。
まだ行ける 諦めない あの日視た未来へ…
しかしだんだんとその風は熱を帯びて暖かくなる。心も体も、Bメロからサビに向かって段々と…。それは轟の熱とフェニックスドライヤーの為す技だ。自身の触覚で体の火照りと魂の高鳴りを錯覚させる。
そして歌詞もまたミリオとエリちゃんにとっては特別に感じられた。エリちゃんが笑えるなら、ナイトアイが笑えるなら、ヒーローを諦めない。ナイトアイが示したあの未来へ…
戦兎「変身!!!」
信じた明日を この手で創るために
ここで変身解除した戦兎が表舞台に出てきて仮面ライダービルド、ニンニンコミックフォームへと再変身。隠れ身の術で消えたと思いきや分身の術で客席の至る所に登場。みんなを驚かせながらハイタッチする。
胸の鼓動は
そして緑谷が青山を力強く天まで持ち上げ、青山がネビルレーザーを発射。人間花火を再現。
今ある助けられたこの命。か弱い小さな手から感じられる弱い鼓動も、確かに聞こえる。脈打つ血は確かにそこにある。だから生きようとする意思がそこにある限り…
この気持ちは消せない
ずっと傷つけられてきた。希望も"個性"も奪われた。それでもミリオが治崎と対峙したのは、エリちゃんを救うという気持ちがあったからだ。だから…
これからも戦うしかないのだと、ミリオもエリちゃんも鼓舞される。
そしてそれは戦兎も同じだった。
こんなに鋭く尖って 胸に刺さるの
自身が葛城巧であったこと。戦争を引き起こしたこと。新世界を作ってみんなが無事であっても独りぼっちだったこと。万丈に改めて出会うまではずっとずっとしんどかった。
それを再現するかのようにダンサーが周りから消え、峰田がただ1人、中央に映し出される。
誰かを守る強さに 変わるはずだよね
ひとりぼっちになった峰田の周りに寄り添うようにA組ガールズ隊が登場。ハーレムパートがやってきた。
そして歌詞に触発されるように過去のことが思い出される。どれだけ辛い事実があっても、結局は守るべき人がいる。ならばその想いは全てラブアンドピースのための燃料となる。
大丈夫 まだ視える さああの未来へ
ボトルも命も奪い合い、ようやくこの新世界という未来にたどり着いた。
そしてまさに今、2回目のサビという未来に向けて向けて9人のビルドと演出組が準備を進める。
爆豪の強いドラムと共にその演出が一気に放たれた。
信じた明日が 僕を待ってくれている
八百万の創造、轟の氷結、口田の操る鳥、青山の人力ミラーボール。
そしてビルドはゴリラモンドでダイヤモンドのキラキラ、ニンニンコミックでニンジャの煙幕、ローズコプターでローズの花畑、フェニックスロボで火の鳥、トラユーフォーでUFOなど、ありとあらゆるものが一度に放出。さらにオクトパスライトのライトで一室をカラフルな色へと染め上げる。ダンスで魅了されていた者たちはその切り替わりに一気に目を奪われた。
ノイズ全てを 断ち切ってゆく
瀬呂がテープを限界まで放出させる。空中に滞空するテープ。それをニンニンコミックが視認できないほどの速さで刻み込んでゆく。何十mもあったテープはただの紙切れとなりひらひらと観客席に舞い散った。
全て力にして
エリ「わぁぁ!!!」
エリちゃんもあまりの衝撃に手をあげて満面の笑みを浮かべ、子供らしく舞い散るテープを掴もうと必死になった。その様子を見て『やったよ』と言わんばかりにミリオの涙が溢れてくる。
そしてサビを終えてCメロへ。サビの盛り上がりが落ち着くにつれて次第に舞台は闇に包まれる。その最中光るのは上鳴と常闇のギターパート。麗日の無重力により観客の頭上へと移動。暗闇の中で雷の如く帯電しながらギターをかき鳴らす。さらにダークシャドウが観客を持ち上げたりハイタッチしたりのパフォーマンスを披露。光と闇が交差する。
見上げた空はほら
しかし闇が勝ち、舞台は再び暗転。さらにファイヤーヘッジホッグの力で会場は霧の中に包まれた。その中でステージ中央がぼんやりと光る。緑谷が纏う緑電だ。そして両手のグローブから拡張されたエアフォースが霧を晴らす。
さあ行こう!
ギターとドラムが光を浴び始める。上鳴の電気と爆豪の爆破。一気に舞台が明転。するとビルドとダンサー全員が客席へと移動していた。
エリ「わぁ!?」
エリちゃんの隣には戦兎本体が立っていて、エリちゃんの手をそっと握った。
信じた明日を この手で創るために
ダンサーは観客に手を振り、ファンサービスをしながら舞台へと歩みを進める。今みんなと繋がっているんだという実感を確かめながら。
胸の鼓動は
さらに氷や鉱石のキラキラは頭上から常に降り注いでいる。切島や轟の努力の賜物だ。
この気持ちは消せない
全ダンサーが舞台に揃い、後奏に入る。常闇の最後のギターとともに皆が決めポーズをしてこの曲は幕を閉じた。
「「「うおおおおお!!!」」」
曲を終えた瞬間、男性の野太い声と女性の黄色い声、何より全員がスタンディングオベーションをしてしまっていた。からかいのつもりで来た者もである。まさに会場は拍手と歓声に包まれた。
ミリオ「凄かったね!エリちゃん!」
エリ「うん!」
笑顔を知らない少女でさえもニコニコと笑っている。それを見られただけでももう成功したと言っても良いほどだ。
耳郎「みなさん!本日はこの会場に来ていただきありがとうございます!」
ひとしきり拍手が止んだ後、耳郎がマイクを使って話し始めた。
耳郎「私たちヒーロー科一年A組はこれまで様々な不条理に立ち向かってきました。ヴィラン連合もその一つ。でもそんな私たちに振り回されて、苛立ちを感じてる。そんな方もいるかもしれません!」
その言葉を聞いて一部の者はぴくりと首を上に向けた。確かにステージは素晴らしかった。でもその苛立ちがあるのも事実だった。
耳郎「それは私たちだって同じです!みなさんと同じように文化祭を楽しみたい!学校生活をエンジョイしたい!そのためには理不尽に立ち向かわなきゃ行けない!だから
耳郎がそのセリフを言い終わると再び舞台が暗転。そしてデジャヴのように真ん中にスポットライトがポツンと耳郎が煌々と照らされる。
そしてスピーカーから流れるいつもの音声。戦兎のベルトの音声を録音して流したのだ。
『準備はいいか!?』の問いの直後、少し場が静まり返った。
耳郎「Be The One」
耳郎の声と共にいつものイントロが流れ、そのバックで八百万の渾身の生演奏が始まる。緑谷と砂藤がロープで青山を人間ミラーボールとしてありとあらゆるところにレーザーが跳ね返る。まるで『Be The One』のMVのようだ。
今夜も真っ直ぐ 1人の足跡辿って
耳郎がステージ上を歩きながらその様子を再現。辿ろうとしているのはいつものようにトレンチコートを羽織った桐生戦兎の姿だった。ステージ端から戦兎が登場。その後ろ姿を耳郎が追いかける。やがて戦兎はステージ中央で歩みを止めた。
どこかで待ってる 笑顔絶やさずに
【Are you ready!?】
戦兎「変身!」
いつもの変身ポーズをとるとライドビルダーが重なり変身。現れたのはまさしくビルドの象徴、ラビットタンクフォームだった。
明日の地球は 投げ出せないから
ラビットタンクの後ろからヒーロースーツ姿のA組ダンサーズが続々登場。みんなが迫力のある格闘シーンを見せつける。緑谷のフルカウル、芦戸の酸や蛙吹の伸びる舌など、皆が皆を翻弄し、ヒーローらしい一面をアピールしている。
強くなれるよ 愛は負けない
そして格闘シーンからダンスへ。だんだんと盛り上がりを見せる曲に合わせて芦戸が激しくブレイキングダンスを披露しはじめる。
心に触れて 届くよ 伝われ
さらに爆豪の叩くドラムのリズムにあわせて観客はみんなノリノリになりながら首を縦に振ってリズムに乗せられていた。
メッセージ 送るよ 響くよ
耳郎のハリのあるロングトーンが会場を包み込む。なかなか息継ぎが難しい中でほとんど乱れずサビを歌い終えたその歌唱力に耳をも奪われる。
必ず前に進めなきゃいけない
その歌詞と共に麗日、蛙吹を除く全員が前に歩きステージを降り、観客の元へと歩き始める。ハイタッチしたり手を振ってみたり、一緒にダンスをしてみたり。実際にみんなと心を通わせ、前向きに歩もうとしている。そんなメッセージを送ろうとしているのだ。
大人になってる みんな感じてる
サビに入ると同時に三度轟の氷結と瀬呂のテープ、八百万のクラッカー、口田の鳥、青山のレーザー仕掛けの煙幕などが炸裂。皆が頭上に目を奪われた。
必ず夜明けは 巡ってくるから
奪われた視線の先には、蛙吹の長い舌にぶら下がる形で蛙吹につかまりながら、会場内のみんなと観客の頭上でハイタッチしている麗日お茶子の姿があった。
未来へ繋ごう 過去を労わろう
麗日とハイタッチした瞬間、観客はふわりふわりと地面から足が離れてゆく。ゼログラビティが働き始める。
麗日「エリちゃん!タッチ!」
エリ「たっち…!」
そしてちょうどエリちゃんの真上に麗日が来たタイミングでエリちゃんの手にパチンと触れる。するとたちまちエリちゃんはぷかぷかと宙を舞い始めた。
奇跡と偶然 太陽と月
それを表現するかのようにフェニックスロケットのビルドが空に出現。火の鳥は会場を周遊し始めた。
メッセージ 届くよ 刻むよ
耳郎のロングトーンと共に麗日はゼログラビティを解除。ぷかぷかと浮いていた観客たちは落ちてきたところをダンス隊と演出隊によって受け止められながら元の席に戻る。
オールマイトに言われたあの言葉を、万丈龍我に投げかけられたあの言葉を、今彼らは心に刻む。その心の高まりが爆豪のドラマと共に最高潮へと達する。Cメロを抜けた先。そこに待ち構えるのは…
【Are you ready!?】
戦兎「ビルドアップ!」
【シュワッとハジける!!!
RabbitTankSparkling!!!イェイイェーイ!!!】
難解な数式とともにラビットタンクスパークリングフォームへと変身した戦兎だった。小さな泡の粒が会場を覆い尽くす。その赤と青と白の粒は触れるとシュワっと弾ける。視覚と触覚を同時に刺激されて気分は最高潮。ラスサビの盛り上がりと共に観客も腕を上げてノリノリである。
戦兎の登場に釣られてA組ダンサーも出陣。人差し指を立てて"1"を表す。腕を伸ばし、リズムに乗ってジャンプしながら"Be The One"を表現していた素人でもできるダンスだが、それこそがみんなでできるダンスとして昇華していた。
Yeah
戦兎はさらにラビットの跳躍力で会場を跳ね回り、スパークリングの凄さを披露。そして裏方に出ていたA組たちもみなステージへと集合。演出は分身体を出したビルドに任せてA組全員でダンスを始めた。
次は人差し指をパーに変えて光を掴む演出に。オクトパスライトのおかげでA組全員にスポットライトが当たる。
さらに戦兎もステージ中央に加わってダンスに参加。サイドステップを組み込んで動きを大きく見せる。ラストに向けて爆豪のドラムも上鳴と常闇のギターもだんだんと激しく高鳴り、主張を見せ始め、それに乗っかるように耳郎も声をだんだんと大きく張り上げていく。
耳郎のロングトーンと共にA組みんなで足を肩幅くらいに広げて、左手を腰に添え、人差し指を立てた状態で下から上へと腕を動かし、天の光を見上げて最後を締め括った。