天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア   作:いぷしろん

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戦兎「仮面ライダービルドで天ッ才物理学者の桐生戦兎は、ついに始まった文化祭でA組のみんなとダンスを披露することになった。」

一海「んなことより最初のアレなんだよ。佐藤太郎ってお前、ダサすぎだろヒゲかよ」

幻徳「ふっ、お前アレと俺のファッションを比べるのか?どう考えてもおれの圧勝だろ」

一海「どっちもダセェしヒーロー免許剥奪もんだろうが」

戦兎「だから俺と幻さんを一緒にするなって言ってるでしょうが!やりたくてやったわけじゃないからな」

一海「でもエリちゃんはドン引きしてたけどな」

戦兎「笑ってくれると思ったのに最ッ悪だ…。ま、でも最終的に笑ってくれたし結果オーライ!と言うわけでどうなる第80話!」












-x℃=-x°F⇒2x=80話

A組のバンドは大盛況で幕を閉じた。そして今からは撤退のための掃除が始まる。轟の氷や瀬呂のテープなどなど、会場中に散らばったゴミや機械を片付けて元の綺麗な状態にしないといけない。

 

一海「よっ戦兎。インターンぶりだな」

 

戦兎「一海!それにエリちゃんも!」

 

せっせと片付けている最中、北都メンツと幻徳、通形ミリオにエリちゃんがA組の元に訪れた。

 

エリ「あのねあのね、最初は大きな音でびっくりしたけど、ぴかぴかしたり、冷たくなったと思ったらあったかくなってね、ふわふわしたり戦兎さんが隣にいたりしてね、ダンスぴょんぴょんもして…わぁぁ!って叫んじゃった!」

 

緑谷「それはよかったぁ!」

 

エリちゃんは小さな手を大きく振りながら身振り手振りで戦兎と緑谷に自身の喜びを伝えた。緑谷はそれに泣きそうになり、戦兎も思わず顔がくしゃっとなってしまう。

 

赤羽「カシラ、エリちゃんが笑ったの見て泣いてたっすよ」

 

一海「泣いてえねえし。いい年した高校生が泣くわけねえだろ!」

 

青羽「俺たちがいないとカシラはなんにもできねえからな」

 

一海「だから泣いてねえっつってんだろ!」

 

通形「まあまあ。ところでこれからB組の劇見に行くんだけど、戦兎くんと緑谷くんも一緒に見に行かないかい?」

 

戦兎「行きたいんですけど片付けが…」

 

一応まだやらなければいけないことは残っている。勝手に抜け出すのも忍びないが…

 

八百万「行ってきてもよろしいですよ?」

 

戦兎「えっ、いいのか?」

 

たまたま近くにいた八百万がそう声をかけた。

 

八百万「ええ。2人抜けてもなんとかなりますわ。特に戦兎さんにはダンス、演習、演奏の全てを任せてしまった上に9人に分身して片付けをしていただいたので…。片付けもあと少しですし残りはこちらに任せてください」

 

峰田「でも緑谷は遅刻したんだからその分働けよな!」

 

緑谷「そっ、それはごめん…」

 

峰田は緑谷に指を刺しながらそう言った。ミスコンに間に合うように早く片付けを終わらせようと必死なのだ。

 

戦兎「じゃああとは任せた!」

 

ミリオ「緑谷くんはまた後で合流しようね!」

 

戦兎は片付けをA組のみんなに任せて、万丈たちB組が行うヒーローショーへ。さて、いったいどんなストーリーになっているのだろうか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまより、一年B組によるスペシャルヒーローショー『episode Cross-Z』を上演致します。」

 

ざわついていた会場は、アナウンスと響きわたるブザーの音に吸いこまれたように静かになった。やがて照明が落ち、暗闇のなかステージを隠していた緞帳が音もなく上がる。会場の期待をあおるような静寂の間ののち、パッとステージが照明に照らされた。

 

骨抜「今は昔、超常黎明期の時代。異能に人類が目覚め、悪人が跋扈し始めた(いにしえ)の時代。これは、そんな最中に現れた男がヒーローになるまでの物語である」

 

ナレーション兼総合監督の骨抜の語りから物語は始まる。

 

仮面ライダークローズがメインの物語であり、ベースはクローズの初変身までの話だ。しかし万丈が旧世界だとバレないようにある程度内容を変更してB組に話し、その話をさらにかなりの脚色を加えてステージショー仕様に変更したため、元々の物語とはもはや別の話となってしまっている。それを承知の上でお楽しみ願いたい。

 

万丈「香澄、あのめっちゃピンクの桜、あそこなら花見にちょうどいいんじゃねえか!?」

 

小大「うん」

 

本人役の万丈と万丈の彼女、香澄役の小大唯が手を繋いで出て、桜のセットの下まで歩いてきた。バックモニターには桜が舞い散る様子が映し出されている。床にはピンクのシートがセットされていて、2人はそこに座り込んだ。

 

小大「ごめんね、私の体が弱いばっかりあんまり遠くにも行けなくて。それに…格闘技界から追放処分になったのって…私のためだったんでしょ?手術費用稼ぐために試合にわざと負けて…」

 

万丈「何バカなこと言ってんだよ」

 

万丈の傷だらけの顔を小大が手のひらでなぞる。万丈はその手をとって手にはめている指輪を眺めた。それだけで万丈には自分が逮捕される前の香澄との記憶が思い出される。

 

小大「…仕事、探してたよね。葛城さんって科学者が助手を探してるんだけど。」

 

万丈「葛城…。せっかくだし明日応募してみるか。…ってかそんな湿っぽい話するために花見きたんじゃないしさ、ほら、桜見ようぜ桜!めっちゃピンクだろ?」

 

実際に小大が作った弁当をむしゃむしゃと食べながら桜のセットに指をさす万丈。そして実際に天井の黒に潜む黒色が天井からひらひらと花びらを散らしている。

 

小大「桜綺麗だね。…また一緒に桜見に行こうね」

 

万丈「おっおう…また来ような」

 

彼女は普段見せない儚げな表情とセリフで観客を魅了した。髪の毛を耳にかける仕草もまた麗しく、B組男子はおろか、万丈でさえも少しドキッとした。

そして舞台は暗転。小大の"サイズ"と物間の"コピー"でセットを小さくしたり大きくしたりして場面が葛城巧の家のセットへと早代わり。そして小大が撤退した後に再び明転した。今度は万丈が扉の前に立っており、部屋の中は紗幕で隠されている。

 

万丈「葛城さん?」

 

扉を開ける紗幕が上がった。そこには、葛城巧役の物間が腹部をナイフに刺された状態で倒れていた。真っ赤な血糊で妙にリアルだ。

 

万丈「葛城さん!葛…」

 

回原「動くな!」

 

物間に駆け寄ろうとした瞬間に回原、円場、鎌切が警官姿で登場。万丈を包囲する。

 

回原「葛城巧殺害の容疑で確保する!」

 

あっという間に万丈は3人に取り押さえられる。

 

万丈「おいっ!殺害ってどういうことだよ!俺は殺しなんかやってねぇ!!!放せ!!」

 

万丈が抵抗するも3人は万丈を抑えながら再び舞台から退場。もう一度舞台が暗転する。

 

一海「アイツ演技上手いな。意外と演技派か?」

 

戦兎「そりゃそうだろ。今まで前回のあらすじたくさん撮ってきたからな。それに実体験も混ざってるしな」

 

暗い中でぼそっと呟いた。49のエピソードに加えてこの本編のあらすじを100を超えるほど撮ってきた。無意識のうちに演技力も上がっていた。

話していると舞台が明転。と言っても薄暗くなっており、セットはまがまがしい物へと変貌。メカメカしい背景と共に中央にはガラス張りの箱が用意されていて、中には緑色の溶液が満たされていた。

 

万丈「おい!放せ!俺は殺してねえっつってんだろ!」

 

再び先ほどの4人が現れてセットの前に近づいてくる。しかも万丈はボロボロの無地のTシャツに着替えさせられており、万丈を捕まえた3人はいつのまにかガスマスクを着用していた。

そしてそれと同時に万丈たちとは反対側の方から赤い影が迫ってきた。

 

戦兎「スターク…!?ったく、こんなことに使いやがって…」

 

現れたのはブラッドスターク。人体実験が必要なビルドシステムに比べるとトランスチームシステムは人体実験なしで誰でも変身できる。それをうまく使ったのだ。もちろん変声機も付いているので誰がスタークになりすましているのかもわからない。

 

スターク「よくやった!そいつも人体実験装置にぶち込んで"スマッシュ"にしてやれ」

 

円場「かしこまりました」

 

万丈「おい!人体実験ってなんだよ!おい!聞いて…」

 

鎌切「だまれ」

 

万丈は必死にもがくも全身を拘束され、ガラス張りの人体実験装置に入れられてしまう。そしてマスクのようなものをつけさせられると蓋をされて完全に閉じ込められてしまった。

 

万丈「おい!出せよ!出せ!!!何する気だ!!!」

 

万丈は蓋をガンガン殴るも全く蓋は開かない。

 

スターク「やれ」

 

スタークの指示で回原が大きなレバーを起動。その瞬間に黄色の気体が機械の中を満たしてゆく。

 

万丈「うああああっ!!ああッ!がぁぁぁ!!!」

 

拘束されつつも身体を捻ったりドタバタ音を出して苦しみを演出。もちろん何も害はないがそれでも万丈はあまりにもリアルな演技をするため、観客はもはや若干引いている。

 

ミリオ「ここはあんま見ないようにしようか」

 

その演技があまりにリアルで万丈の人体実験シーンはエリちゃんのトラウマを思い起こしかねないと判断したミリオは手でエリちゃんの視界を隠した。当然エリちゃんも人体実験のようなことをされていたのだがら当然の配慮である。

 

万丈「うあああああっ!!!はぁぁぁ!!!」

 

万丈が強く叫んだのと同時に勢いよく拘束を破り蓋を押し開け、人体実験装置から脱出。急いで逃げようとした。

 

円場「待てッ!!!」

 

3人が取り押さえるも何故か先ほどよりも力が強くなった万丈はその三人を振り解き、3人を殴り倒した。そして万丈は逃げ去るように脱走。その後舞台裏へと退場した。

 

回原「クソッ追うぞ!」

 

スターク「いや、追わなくていい。奴には"スマッシュ"をぶつける。人体実験を受けてバケモノになった人間と人体実験を受けても"スマッシュ"にならない人間を闘わせる。これは面白いことになりそうだ…」

 

ふーっはっはっは!と高らかに笑うスターク。声は同じなのにどこか笑い方が違うのはやはりスタークの変身者が違うからだろう。

スタークの高笑いと共に幕が降りる。その間にセットを全て回収。幕が上がるとステージは何もない元の状態に戻っていた。

 

万丈「はぁ、はぁ…俺は…一体何されちまったんだ…!」

 

再度万丈が舞台裏から走って登場。中央で息を切らしながらそう叫んだ。するとなにやら万丈の目の前からはとある人物が歩いてきた。

 

鉄哲「誰かと思えば、殺人犯の万丈龍我…!」

 

万丈「誰だテメェ!」

 

鉄哲「俺はお前を捕まえに来たヒーローだ!」

 

鉄哲はドヤ顔でそう言い放った。ヒーロースーツを身にまとっているが、戦兎には一体誰を模しているのかよく分からない。しかし先の3人が警官の服を纏いながらも悪役であったことを考えると観客から見ればこの鉄哲も悪人に見える。

 

万丈「俺は誰も殺してねえ!」

 

鉄哲「捕まったのに逃げるような奴がそんなこと言っても説得力ねえぞ!」

 

万丈「別に逃げたくて逃げたわけじゃねえ!!!」

 

鉄哲「だったらさっさと刑務所に戻ればいいだろ!」

 

万丈「ダメだ!戻ればまた奴らに捕まる…」

 

鉄哲「奴ら…?」

 

万丈「どうせ言っても信じねえだろ!!!」

 

そういうと万丈は戦兎に殴りかかった。右の大振りを鉄哲は受け流し、少し距離を取った後、右、左とジャブを打つ。そして蹴りを入れるも万丈に受け止められ、弾かれると万丈が今度は攻めに。右足で押し出すように蹴りを腹部に入れると鉄哲は少しのけ反った。

 

戦兎「…もしかして、俺役は鉄哲がやってんのか…?」

 

あまりにも見たことがある会話。まさに万丈と初めて出会った時の会話とそっくりだ。とは言えあまりにも戦兎感がない。むしろ万丈が2人になったようにも感じる。おそらく適役がいなかったのだろう。B組だと物間が一番適役かもしれないが、葛城巧役として出番がある以上は他の人に任せる他ないがよりによって鉄哲とは…。戦兎は少しだけショックを受けた。

 

鉄哲「さすが元格闘家。だがここからの俺は少し違えぜ!」

 

鉄哲は全身鉄化。鋼のボディとなり万丈を一発で蹴り飛ばした。

 

万丈「その強さ…お前もガスマスクの連中になんかされたのか…?それともやたらとグルか?」

 

万丈は立ち上がると訝しむ顔で鉄哲に迫った。

 

鉄哲「…ガスマスク…?」

 

万丈「とぼけんじゃねぇ!俺を人体実験のモルモットにしただろうが!」

 

万丈は鉄哲の胸ぐらを勢いよく掴む。

 

鉄哲「ガスマスクの人体実験…?」

 

万丈「あぁ、警察に捕まったあと、俺はよくわかんねえ施設に連れてかれて人体実験された。」

 

鉄哲「今の話本当か!?だったらコブラの男がいたはずだ!コブラのマークが入った赤い男!」

 

鉄哲は必死に熱弁するも万丈は意識そこにあらずと言った感じで変な方向を見ている。そう、万丈の視線の先にあったのは…

 

万丈「な、なんだよあの化け物!」

 

舞台端からバケモノのような生き物が登場。…そう、未確認生命体"スマッシュ"のことである。

丸くて青い多孔質のボディに剛腕の黒い腕、万丈が初めて対峙したストロングスマッシュだ。

 

黒色(クヒヒ、"個性"伸ばし訓練のおかげで黒いものなら動かせるようになったのがここで生きるとは…)

 

もちろん本物のスマッシュを使うなんてことはせずスーツを作ったのだが、スーツの内側が黒く塗ってあるため黒色支配がスーツ自身に入って動かすことが可能となった。

 

鉄哲「スマッシュだ!人間が姿を変えて凶暴化した怪人だ!倒すまで何を言っても通じない!」

 

鉄哲が鉄化して立ち向かおうとするもアッパーを入れられてしまいその場に倒れる。

 

万丈「クソッ何やってんだ!!!」

 

鉄哲を庇って万丈はスマッシュを殴りつけるも、スマッシュは微動だにしなかった。

 

万丈「こいつかってぇ!」

 

そのまま万丈はスマッシュに殴られて遠くまで吹き飛ばされた。殴られた瞬間に事前に与えられていた庄田のダブルインパクトが発動して普通に殴られただけなのに舞台の端から端まで飛ばされていた。

 

鉄哲「生身で"異能"もねえのによくやるぜ。根性あるな!…あとは任せろ。」

 

万丈「お前…」

 

鉄哲は万丈の前に立つと"個性"のスティールを発動。そして…トランスチームガンを取り出した。

 

鉄哲「さぁ、実験を始めるぜ」

 

そういうと鉄哲はバットロストフルバトルを取り出してシャカシャカと振り始めた。

 

戦兎「ちょっ、俺のセリフを勝手に使うんじゃないよ!」

 

1人でツッコミを入れる戦兎の言葉は鉄哲の耳に入らず。そのままトランスチームガンを取り出してボトルを装填した。

 

Bat…!

 

鉄哲「蒸血!」

 

Mist Match…!!!Bat…!Ba・Bat…!!! Fire…!!!

 

引き金を引くと銃口から大量のスモークが発生。鉄哲を包み込み、霧散するとそこには漆黒の騎士、ナイトローグが立っていた。

 

万丈「マジか…なんなんだアンタ…」

 

万丈は唖然と立ち尽くした。"異能"を持ち合わせ黒く武装した姿はまるでヴィランと同義に見える。しかし中身は変わらない。

 

鉄哲「…愛と平和のために戦う、正義のヒーロー。それが俺だ」

 

なんのために戦うか、どうなりたくて戦うか、"桐生戦兎"とはなにか。それは戦兎にとって根幹をなすものだ。どれだけキャラがブレても、文句を言っても、最終的にそこがブレなければ"桐生戦兎"という人物を真似るに相応しい。

鉄哲のそのセリフはまさに、『"桐生戦兎"とはなにか?』を象徴するものだった。

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