戦兎「今更ちゃち入れんなよ。改めて、仮面ライダークローズで格闘家の筋肉バカ、万丈龍我は自身の体験を元にしたオリジナル脚本のヒーローショーを雄英文化祭で披露していた」
万丈「戦兎原稿変えたのお前か!」
戦兎「あらすじ中に関係ないこと話すんじゃないよ。スマッシュに遭遇した万丈は鉄哲演じる桐生戦兎と一緒に逃亡しながら、人体実験をしている悪の組織『ファウスト』とそれに抵抗している人々の存在を知ることになる。」
万丈「そんな中俺の彼女、香澄がファウストのボス、ブラッドスタークによってスマッシュに…。もし俺たちがスマッシュになったら苦しいんだろうな…」
戦兎「スマッシュになる感覚…ちょっと興味深いな…」
万丈「何実験したそうな顔してんだよ!させねえからなそんなこと!」
戦兎「分かってるって。そして体の弱い彼女は倒されるとそのまま死んでしまうが、万丈は彼女を人間の姿に戻すために倒すことを選択。死ぬ間際万丈に残した言葉で万丈は再び立ち上がるのだった。」
万丈「と言うわけでどうなる第82話!」
鉄哲「万丈…」
スタークによってスマッシュにされたことが直接の原因であったとは言え、香澄にトドメをさしたのは桐生戦兎その人である。当時の戦兎も万丈ほどではなくても思うところはあっただろう。
万丈「もう大丈夫だ。香澄ならきっと、『負ける気がしねえ!っていつもみたいに前を向け』って言うはずだ。」
今までの練習では涙は出てこなかったし、台本にもその予定はなかった。しかしあまりの感情の昂りに思わず万丈のほおに涙が流れる。それをぬぐいながらビルドドライバーを腰に当て、スタークの前に立ち向かう。
万丈「そのために…力を貸してくれ…!香澄!」
その時、クローズドラゴンが舞台裏から飛来。万丈が天に手をかかげるとクローズドラゴンはガジェットモードに変形し手中に収まる。そしてドラゴンフルボトルを振るとクローズドラゴンのスロットにセットした。
【Wake up!Cross-Z Dragon!!!】
流れるようにクローズドラゴンをベルトに装填。ボルテックレバーをグルグル回すとスナップライドビルダーが展開し、青色のトランジェルソリッドがファクトリアパイプラインを満たしてクローズの素体が生成された。
【Are you ready!?】
万丈「変身!」
ファイティングポーズを取り、力強く叫んだ。
【Wake up burning!!!Get Cross-Z Dragon!!!Yeah!!!】
スナップライドビルダーが万丈に収束。さらに頭部や胸部の強化パーツも取り付けられ、ついに万丈は仮面ライダークローズへの変身した。
鉄哲「あのバカ…!」
スターク「僕の知らない新しい力だと…!?」
覚悟を決めた万丈の前にもはや敵はない。万丈はビートクローザーを召喚するとスタークに向かって突撃する。スタークはトランスチームガンで射撃をするも万丈には当たらず、万丈の刃をモロに喰らう。
万丈「ハァッ!フッ!ハッ!」
さらに三度肩を切りつけ、数を合わせる。一度四撃目を避けられるものスムーズにビートクローザーを持ち替えて腹をグッと切り裂く。
【ヒッパレー!Smash Hit!!!】
スタークが堪えてる隙にグリップエンドスターターを引っ張って必殺技を発動。蒼炎を纏った刃でスタークを斬りつけた。
スターク「グアッ!なんだこの力は…!」
その衝撃でステージ端までゴロゴロと転がされたスターク。立ち上がりながらもその力の脅威に油断が消えた。
【ヒッパレー!ヒッパレー!Million Hit!!!】
さらにもう2回グリップを引いて必殺技を発動。刀身から波形状のエネルギー刃が伸び、その状態でスタークの左肩に斬りかかった。なんとかスタークは右手で刀身を押さえているが、力を弱めているだけで押し返す力はない。
万丈「強えだろ!俺だけの力じゃねえからなぁ!」
そのまま力押しで波状斬撃波を飛ばし、今度は反対の舞台端へとスタークを飛ばした。
万丈「今の俺は…」
【Ready Go!!!Dragonic Finish!!!】
万丈「負ける気がしねぇ!!!」
レバーを回すと万丈の背後にクローズドラゴン・ブレイズが出現。ドラゴンの吐く蒼炎に乗りながら炎を纏った右脚でボレーキックを叩き込んだ。
スターク「グァァァァァ!!!」
スタークは万丈にやられて断末魔を叫びながら爆発した。
鉄哲「やったのか…?」
爆発の煙が周囲を包む。人の形はあれどそこにスタークの形はない。あまりの攻撃の強さに強制変身解除をされてしまったようだ。
そして煙が晴れ、スタークの仮面で隠されていた素顔がようやく顕になった。その正体とは…
万丈「葛城…巧…!?」
そう、葛城巧その人であった。スタークがいたはずの場所にはトランスチームガンを持った葛城巧役の物間寧人が立っていた。
万丈「どういうことだよ…!あんた死んだんじゃなかったのかよ!じゃあ俺はいったいなんのために冤罪を着せられてたんだ!なぜ俺たちに人体実験をした!!!」
万丈は怒りのあまり物間の胸ぐらを掴みそう怒鳴った。
物間「僕が生きて人体実験をしているなんて政府にバレれば必ず処分される。なら死んだことにしてた方が都合がいいだろう?"ネビュラガス"という人を化け物に変える"異能"を使うにはね」
鉄哲「なんだと…!」
物間「だが君たち2人は僕のネビュラガスに耐えた!つまり君たちは人間にして"スマッシュ"!もう人とは呼べない生命体なんだよ!!!」
鉄哲「俺たちが…スマッシュだと…!」
人体実験を受け、さらに"スマッシュ"の成分を体に注入されている。そう、自分たちが忌避していたバケモノそのものに変えられてしまっていたのだ。
物間「君たち2人は実験の成功者!"異能"を持ち、ネビュラガスを取り込みながらもなお人の形を保っている!素晴らしい!それこそが私の望んだ最強の生命体だ!」
万丈「そんなもんのために香澄を…俺たちを…!」
物間「憎いかい?ならば殺すがいい!君たちが生まれた時点で僕はもう大満足さ!!!ヴェハハハハハハ!!!!!!!」
本来物間にこんなセリフはない。後半はほぼアドリブだ。しかし物間の方が勝手に話し始めたのだろう。いつもの高笑いが会場に響く。
万丈「…殺さねえ。今アンタを殺したら、香澄に怒られそうな気がするからな。」
そういうと万丈は胸ぐらを離して変身を解く。そして鉄哲が物間を拘束。そのまま物間は鉄哲とともに退場した。
万丈「これでいいんだよな…香澄…」
万丈は天に向かってそう呟く。すると万丈の背中からドンと叩く音がした。
鉄哲「なに辛気臭い顔してんだよ」
鉄哲が万丈の背中を叩いた音だった。
鉄哲「…まだ終わってねえからな。葛城巧は人体実験施設をいくつも作ってた。それに"異能"だってまだまだよくわかんねえ。"異能"を悪用するやつだっているだろうな。」
万丈「…香澄がさ、言ってたんだ。『多くの人の力になってあげて』ってな。だったら俺は戦って助ける。そういう"ヒーロー"になりてえ!」
ドラゴンフルボトルをギュッと握りしめながら万丈は決意を露わにする。
万丈「"仮面ライダークローズ"!それが俺だ!!!」
万丈はクローズドラゴンにもう一度ドラゴンフルボトルをセット。ベルトにクローズドラゴンを装填した。
【Wake up!Cross-Z Dragon!!!Are you ready!?】
万丈「変身!!!」
【Wake up burning!!!Get Cross-Z Dragon!!!Yeah!!!】
万丈の変身と共に舞台は暗転。そのまま幕が降りる。
骨抜「こうして万丈龍我はヒーローとしての道を歩み始めた。愛と平和のためにー…」
骨抜の最後のナレーションとともに会場は割れんばかりの拍手に包まれ、洪水のような歓声が上がった。一海や緑谷、エリちゃんなど記憶が戻ってなかったりそもそも知らない人物はもちろん、事の経緯を知っている戦兎ですら感動を覚えるほどの演劇だった。
一海「いや〜楽しかったな!」
緑谷「ですね!フィクションとはいえリアリティがあったし、ヒーロー科なだけあってアクションもすごくて…!」
公演後、戦兎一行は万丈たちを労うべくB組の控室へと向かっていた。
ミリオ「おつかれサマンサー!元気にやってるかい!?」
ミリオがいの一番にドアを開けて入室。するとそこには…
物間「ふはははは!!!どうだいあの演技!これにはA組なんか勝てるわけないさ!!!」
いつものように鼻高々と笑う物間がいた。
エリ「ゆうえいのふのめん…わるいひと…」
物間「なんだいそれ!」
以前ミリオがエリちゃんに物間を雄英の負の面と教えていたようだが、今回悪役を演じたことでエリちゃんは完全に信じきっている様子だ。
万丈「おお!戦兎!お前らも見にきてたのか!」
そんな時ちょうど着替え終わった万丈と鉄哲がやってきた。
戦兎「当たり前だろ?わざわざスマッシュの情報聞いてきたりしたんだから見ないわけには行かないと思ってな」
一海「ずっとズボンのチャック空いてたけどな」
万丈「マジか!それ先に言えよ!」
一海「言えるわけねえだろこの筋肉バカ」
万丈「んだと…?」
緑谷「まあまあ落ち着いて!にしても万丈くんすごいカッコよかったよ!主演なんてすごいね!」
鉄哲「いや最初は物間が主人公やるかもっつー話だったんだけど…ほら、あの性格だろ?拳藤いねえと制御厳しくてさ。そんな時に万丈がいい話してくれて助かったってことよ」
八百万「そういえばその拳藤さんはどちらに…?」
万丈「ミスコンだ。美空もねじれ先輩も出るんだけど片付けとかあるからなぁ…」
鉄哲「行けばいいじゃねえか。もうすぐ始まるし、見てから片付けでも悪かねぇ!」
鉄哲はそういうと万丈の背中を押した。
万丈「分かった。すぐ戻ってくる!ありがとな!」
戦兎「そんじゃいくか」
素直に提案を受け入れた万丈は戦兎たちとミスコン会場へ…。
ちょうど向かった頃にはミスコンはもう始まっていた。
上鳴「おっ!緑谷に戦兎!お前らもミスコン来たのか!?」
戦兎「知り合いが出てるからな」
そこには上鳴と峰田がいた。峰田が血眼になって片付けを急いでいた理由はこれだった。
「さて続いては1年ヒーロー科!拳藤一佳さん!」
次はちょうど拳藤の番だった。テレビに出たことである程度人前に立つのはなれているが、多少の緊張はある。ドレスを着て、いつも以上のメイクで挑んでいるのもあるが…
万丈・鉄哲「「拳藤ー!!!」」
拳藤「あのバカどもが…」
それ以上に目立つバカでかいB組の声援が余計に恥ずかしさを増加させる。しかしここで恥ずかしがっているわけにもいかない。
拳藤「ハッ!」
「華麗なドレスを裂いての演舞!強さと美しさの共存!素晴らしいパフォーマンスです!」
拳藤は用意されていた木の板10枚を手刀で軽やかに割りながら妖艶な演舞を披露。そしてモデルのようなランウェイで退場していった。
「続きまして3年サポート科!絢爛崎美々美さん!」
絢爛崎「絢爛豪華こそが美の終着点!」
絢爛崎はなんと自身の顔を全面に出した戦車のような乗り物にライドオンしてド派手に登場。
「高い技術力で顔面力をアピール!圧巻のパフォーマンス!」
エリ「これ何…?」
ミリオ「ちょうど今何か分からなくなったところだよ」
戦兎「技術力はいいと思うけどな…」
よくわからぬまま絢爛崎が退場。これが前年度優勝者だというのだから末恐ろしい。
「次は3年ヒーロー科!波動ねじれさん!」
やってきたのは空色のドレスに身を包んだ波動ねじれ。"個性"で宙をふわふわと舞いながらみなを魅了していく。
万丈「ねじれ先輩すげえな…」
麗日「うん…純真無垢というかキラキラしとるというか…」
2人ともインターンでねじれにお世話になった身。そこでは彼女のカッコ良さを見ていたが、今回はそうではない。彼女の乙女な部分にまた魅了されていた。
ねじれ「みんなありがとーっ!」
ねじれは手を振りながら退場。みんなはその美しさの余韻に浸っていた。
「さて、次で最後の登壇者となります!1年普通科!石動美空さん!」
戦兎「ついに美空の登場だな」
万丈「つってもいつものアレだろ?」
2人はどうやら何がなされるかだいたい予想がついているようだ。
一海「なんだお前たち知り合いか?」
戦兎「んまぁ色々あんだよ」
万丈「ちゃんと見とけよカズミン。美空はそこそこ可愛いから」
一海「そこそこってなんだよ。ま、期待はしねえで見てやるか」
鼻で笑いながら一海はそう言った。一海も旧世界の記憶を忘れている。一応戦兎や万丈は旧世界のことを説明したが『んなわけねえだろ』と一蹴されてしまった。つまり美空のことはなにもしらないのである。そんな彼が彼女に再会すればどうなるか…。それを想像しただけで笑いそうになる戦兎と万丈だった。