赤羽「カシラ!意中の相手を見つけたって本当ですか!」
一海「ああ、その名もみーたん!まさかこの世の中にあんなに可愛い女性がいるとは…」
黄羽「カシラにもついに春が訪れるんですね!」
一海「もちろん!彼女いない歴=年齢の俺がついに付き合うことに…!?ということで『天才物理学者と筋肉バカのヒーローアカデミア』の代わりにこれからは『猿渡一海の恋愛アカデミア』をお送りいたします!」
戦兎「何勝手に変なもん始めようとしてんの!大体付き合ってすらないでしょうが!ストーカーするんじゃないよ…」
一海「妄想くらいしたっていいだろうが!」
戦兎「読者にんな気持ち悪いもん見せるわけにはいかねえよ。もうさっさと第84話いっちゃって!」
戦兎「おおっ!ここがサポート科の展示か!最ッ高だ!!!」
もうこれ以上立たなくなった後ろ髪をさらにこれでもかと立たせながら興奮している戦兎。やっぱりいつものだ…と若干戸惑いを覚えた八百万だったが、もう慣れである。
発目「あっ戦兎さん!来てくれたんですね!」
そんな時、こちらを"ズーム"で見つけた発目がこちらに近寄ってきた。
戦兎「もちろん。みんなの最新技術を見れるからな。」
発目「でしたらさっそく私のドッかわいいベイビーたちを見てもらいましょう!」
そういうと発目はすぐさま戦兎の腕を掴んで自身の発明品の所へと連れて行った。
発目「見てくださいこのドッカワイイベイビー!」
戦兎「これは…ロボット…?しかも搭乗口があるタイプのか…」
発目「はい!今は展示用で実際に乗って動かすことはできないのですが、これ自体に乗り込めば巨大なヴィランとも戦えるようになる!という発明品です!しかも各"個性"に順応して適した形態をとるパッチを付け加えればさらに戦いやすくなるでしょう!」
八百万「なるほど…例えば私の"創造"でしたらどういうものになりますの?脂質から物体を作る"個性"なのですが…」
発目「そうですね…今思い浮かんだ案ですと、脂質由来の物質や脂質の保管庫を取り付けて巨大物の生成をサポート、あるいは巨大物の生成速度をあげる…なんてできれば良いかもしれません!」
まるで学会の質疑応答みたいな時間が流れているが、これが意外と楽しい。技術に興味のある戦兎たちの特異さゆえなのだろうか。
発目「この巨大ロボシステムの原型というか、人が入らない無人ロボというのは実際に葛城先生が今回の文化祭の防衛システムでも採用してたりするんですよ!なのでそれを活用したアイデアで…」
戦兎「葛城が…?」
葛城「それについては僕が説明しよう」
戦兎「おわっ!来てたのか…」
葛城「朝は色々と忙しかったんだけど、今は色々落ち着いてね。」
ジェントルが雄英内で逮捕されたこと。これは戦兎も知らない事実であったが、防衛プログラムを組んだ葛城はこのことを知っている。そのためさらなるプログラム強化を施していたのだが、それがひと段落したのだとか。
葛城「今回僕が発明したのは、AIを組み込んだガーディアンだ。」
戦兎「ガーディアン…」
戦兎たちが何度も何度も戦ってきたガーディアンそれそのものがそこにいた。
葛城「ガーディアンは自立型の機械兵。遠隔で管理者が操作することもできるし簡単な命令くらいならこなすこともできる。しかも合体することで巨大なヴィランとの戦闘も可能だ。もちろん、今あるロボでも良いが、このガーディアンの良い部分はコストが安く、量産しやすいことにある。」
戦兎「つまり数多く配備しやすい上に集団戦闘で確保しやすい…ということか。」
葛城「よく知っているね。戦闘力自体は並のヒーローと同等レベルだけど、これを元にしたハードガーディアンも設計中だ。君のビルドとも場合によっては十分に戦えるだろう。」
まさかこの世界でもガーディアンが生まれているとは…。ますます旧世界に近づいているような気がしなくもないが、仕方がない。存在する人物が一緒ならば思考も似るのだろう。
戦兎「にしても、まさかここでもガーディアンを見ることになるとはな…」
葛城「ここでも…?」
戦兎「まあ色々あるんだよ。」
葛城「あまり触れないようにしておこうか。それより他にもここは優秀な生徒の展示が多いからね。よく見て回るといい。僕はまた防衛システムの管理に戻るとするよ。」
そういうと葛城は展示室を出ていった。
八百万「葛城さん…すごいお方ですね。私もサポート科の生徒の皆さんの発想を元に創意工夫のある"個性"の使い方を勉強しないと…!」
戦兎「あぁ。俺もだ。それにこのサポート科には俺の知らない技術だって使われてるしな…」
意欲のある2人はそう呟きながらサポート科の展示をマジマジと見てはメモ帳にびっしりとレポートをしたためる。
気がつけばもう2時をすぎてしまっていた。
八百万「もうこんな時間ですわ!流石にお腹が空いてしまいましたね…」
戦兎「だな。せっかくだし屋台にでも行くか」
八百万「良いですわね!私一回屋台で焼きそばを買ってみたいと思ってましたの!」
いくら大人びているとはいえまだ高校生。少しくらいははしゃぐのも無理はない。
結局その日は屋台を見たり、C組のお化け屋敷に入ったり…。文化祭をすっかりと満喫した。そして午後5時。ついにミスコン結果の発表である。散らばっていたメンバーと合流してその結果を見守ることになった。
「お待たせいたしました!雄英ミスコンテスト結果発表です!9人の参加者がいましたが下から順に発表していきましょう!」
どんどんと発表がなされてゆくが知り合いの名前は上がらない。とうとう3位の発表まで来たが…
「ここからはここからはトップスリーの発表です!3位は…1年ヒーロー科、拳藤一佳さん!」
万丈「マジか〜!拳藤もいいとこ行ってたと思うけどな」
物間「拳藤が3位…?おかしいだろ!うちの拳藤だぞ!!!」
B組が大好きすぎる物間、ついに抗議まで始めようとするも泡瀬などのB組面子に止めてもらうことでなんとか事なきを得た。
万丈「残ったのは美空とねじれ先輩か…」
戦兎「ま、順当に考えてねじれ先輩だろ」
一海「あ?そこはみーたんだろうが」
幻徳「うーたん&ひげたんは…」
一海「除籍だろ」
などといつものように雑談をしているとついにアナウンスがまた始まった。
「残ったのは1年普通科石動美空さんか、3年ヒーロー科波動ねじれさんか…!?」
ついに一位が決まる。ドキドキしながらみんなその結果を待ち侘びていた。
「それでは発表します!今年度雄英高校ミスコンテスト優勝は…3年ヒーロー科、波動ねじれさんです!!!」
その声と共に会場はスタンディングオベーションで溢れかえった。
ミリオ「おめでとうー!!!」
緑谷「先輩おめでとうございます!!!」
一海「おいちょっと待てなんでみーたんが一位じゃねえんだ!」
赤羽「カシラ落ち着いて!!!」
またしてもステージまで登り込もうとする一海を三馬鹿が止める。その様子を見た美空は苦笑いしていたが…初めてのエントリーで2位とはなかなか良い結果なのではないだろうか。ネットアイドルとして一躍有名になれたのも納得である。
戦兎「…にしても、楽しかったな文化祭」
久々に…11年越しにビルドメンバーがようやく雄英という一つの場に集い、特に大きな脅威もなくすごせた。懐かしい馬鹿な日常を感じられたのも世界を救えたことによる恩恵なのだと、改めて感傷に浸る戦兎だった。
戦兎「ひゃっほーう!ついにできた!できたんだよようやく!!」
文化祭が終わり約3週間。あれほど騒いでいた文化祭模様はすっかりなくなり、赤く色づいていた紅葉も落ち始めた。
いつものように後髪をぴょこんと逆立たせながらみんながくつろぐエントランスで戦兎はぴょんぴょん飛び跳ねた。
上鳴「出たよいつもの」
八百万「それで何ができたんです?」
戦兎「なにってお前たちの武器だよ武器!20個作ったんだよ!ほら、前頼んだだろ?」
切島「マジか!?確かに俺は頼んだけど…」
飯田「俺もだ!緑谷くんが頼んでいるのを見てほんの少し改良を頼んだが…」
緑谷「僕も文化祭のあと、実践データをもとに改良をちょっと頼んだんだけど…」
耳郎「うちも。補助アイテム的なやつ欲しくて…」
最終的に気がつけばその場にいる全員がサポートアイテムやら武器やらの開発を戦兎に頼んでいた。
八百万「私も頼んだ手前何も言えませんが戦兎さんに頼りすぎじゃ…」
戦兎「気にすんなって。アイテムの開発は俺の趣味みたいなもんだしな。それにもう全部できたんだから!すごいでしょ!?最高でしょ!?天才でしょー!!!!」
八百万の肩をとんと叩いた後に戦兎はエントランスを走り回りながら天井に向かって叫び始めた。
幻徳「昼間っから楽しそうでいいな桐生戦兎」
戦兎「おわっ!…ってなんだ幻さんか。相澤先生かと思った…」
相澤「俺もいるけどな」
戦兎「っているのかよ!」
突然背後に立っていた幻徳に驚き尻餅をつく戦兎。しかしすぐに立ちながら服についた埃を払いつつ戦兎はツッコミをいれた。
緑谷「それでローグ先生、相澤先生、いったいどうしたんですか?」
相澤「八斎會事件の時インターンに行った奴らに話があってな。ちょっと外に来てくれるか?」
戦兎「わかりました。」
言われるがままに戦兎ら6人は外に出る。向かったのはヒーロー科3年A組寮玄関前。そこには八斎會事件でインターンに行った学生はもちろんのこと、意外な顔がそこにあった。
相澤「エリちゃんだ。雄英で預かることになった」
緑谷「近いうちにまた会えるどころか!!!」
エリちゃんの保護先がなんと雄英となっていた。現状相澤が止める以外の"個性"制御方法がないこと、預かり先がないことなどとのこと。ミリオが休学中なので主に彼が面倒を見ることになるらしい。
相澤「というわけで話は以上だ。1年どもは寮へ戻ってろ。この後来賓がある。」
幻徳「まて、桐生戦兎は個別に用事がある。ついてこい」
戦兎「え?あ、はい。」
相澤にそう言われて急いで戻ろうとした時、追加で幻徳に声をかけられた。不思議に思いながらも幻徳についていく。
戦兎「なぁ幻さん。用事ってなんだよ」
幻徳「俺も知らない。とりあえず会議室へ連れてこいと校長に言われたんでな。それでは俺は失礼させてもらう。」
幻徳も知らない用件とは一体何なのか、訳のわからぬまま倒されたのは来賓用の会議室だった。
ホークス「やぁ初めまして。君が噂の桐生戦兎くんだね?」
戦兎「あなたは…」
ホークス「俺はNo.3ヒーローのホークス…あいや、もうすぐでNo.2と言った方がいいかな?」
会議室に先んじて待っていたのはホークスだった。かなり予想外の大物が出てきたせいか、少し緊張して顔がこわばる。
ホークス「そんな怖い顔しないでよ戦兎くん!別に君をとって食おうってわけじゃないんだしさ!」
戦兎「そりゃあそうでしょうけど…俺にいったい何の用事が…?」
ホークス「単刀直入にいうね。君、うちで短期インターンやらない?」
戦兎「インターン…?その話ならもうすでに氷室ヒーロー事務所ですでに受けてますし、常闇がそちらへインターンに行っているのでは?」
ホークス「そうなんだけどね〜。ヴィラン連合に関係してくる。君にしか頼めない。」
ヘラヘラとした笑顔のある口調とは一転し、キリッとした目つきで戦兎に打診してきた。
ホークス「ここ最近、俺の地元、福岡で"脳無"の目撃情報が相次いでいる。そこで君の出番。雄英、保須、神野、全てを経験して尚且つオールフォさんすらも倒した君についてもらえると俺としてはありがたい。」
戦兎「確かにAFOを倒しはしましたが…神野の件でご存知の通り、その時の力をまだ完全に制御しきれていません。下手をすれば市民を巻き込む可能性もあります。」
ホークス「そこは気にしないで欲しい。君以外にも
戦兎「なるほど…。分かりました。俺でよければ。」
ホークス「ありがとう!助かるよ!これ俺の連絡先ね。その時になったらまた連絡するから。」
ホークスはしゃべりながらスマホをいじり、戦兎と素早く連絡先を交換。するとたちまち席を立って部屋を出て行ってしまった。
戦兎「ハザードトリガーの制御か…。」
戦兎はハザードトリガーを取り出して見つめながら、誰もいなくなった部屋でポツリと呟いた。