ミルコ「おうおう!お前もウサギか!ならどっちのうさぎが強いか勝負するか!?」
戦兎「って勝負するわけないでしょ!?そもそも脳無と戦った後なのに戦わせようとしないでくださいよ…」
ミルコ「そりゃ私は強いもんと戦いたいからな!ってか変身の時、一回黒いビルドになってたけどそっからもう強くなったんだ?」
戦兎「そりゃギュインギュインのズドドドド!ってなったんですよ!…まだズドドドドは出てきてないけど…」
ミルコ「意味わかんねえけど単純でいい!」
戦兎「一言で語れないのが天才なんです!なんやかんやあって無事にミルコと脳無を撃破したはいいものの、その直後ヴィラン連合荼毘が現れて…ってなわけでどうなる第88話!!!」
戦兎「ヴィラン連合…荼毘…!」
荼毘「おっと、そう身構えるなよ。あの脳無を倒したお前と戦う気はないんだ。」
突如として現れた荼毘。彼はやれやれと言った表情で首を振って戦闘を拒む。
荼毘「俺は脳無を回収しに来たんだ。なのに殺されて…悲しいなぁ」
戦兎「ネビュラガスを限界量まで注入しといて…戦って負ければ脳無が消滅することくらい分かっていただろ!」
荼毘「そりゃ勝つ予定だったんだ。仕方ないだろ?」
戦兎「お前…人の命をなんだと思ってるッ!」
戦兎は
荼毘「速っ…そりゃあの脳無もやられるわけだ。…氏子さん」
荼毘が襟についているインカムにそう呟いた瞬間、荼毘は口から黒いヘドロを吐き出した。次第にそれは荼毘全体を覆い尽くしてゆく。
荼毘「また今度な仮面ライダービルド。轟炎司によろしく伝えといてくれ…」
戦兎「おいッ待て!!!」
荼毘はそのセリフを残し、ヘドロに全て覆われたそのままワープで逃走。それと同時に周囲の青白い炎が消えた。
ミルコ「あのヘドロ…神野の…!」
ホークス「仕方ありません。あれを発動されれば俺たちには防ぐ術はないですから。それより今は一件落着ってことで…」
ホークスのその言葉に戦兎はボトルを抜いて変身解除。しかしあまりの怪我に戦兎は目の前がクラクラし始めた。
ミルコ「おっと、大丈夫か?あんだけ戦ったんだ。疲れたろ」
ホークス「救急車も手配してるんでもうすぐ来ると思います。」
思わずフラッと倒れそうになったところをミルコがなんとか支え、肩を貸してくれた。
戦兎「…2人がいなかったら俺は…みんなを守れませんでした。暴走を制御する力もミルコがいなければ使えなかった。2人とも本当にありがとうございます。」
ホークス「こっちこそ、戦兎くんが身を粉にして戦ってくれたおかげで全員救助完了!全員が軽傷程度で済んだんだ。大したもんだよ。」
ホークスは戦兎の肩をトントンと叩きながらそう言った。
ホークス「それじゃああとはミルコさんにお任せします。もう少ししたら俺のサイドキックも来ると思うんで。」
ミルコ「分かった!」
ホークス「じゃあ俺はヴィラン連合対策チームに報告せにゃいかんのでこれで。エンデヴァーにも荼毘のこと話しときます」
ミルコ「おうよ」
ホークス「じゃ後は頼んます!」
ホークスはそういうと少し小さくなった翼を広げて飛び立ってしまった。
小さくなってゆくホークスを見送り、戦兎は救急車で搬送。数日ほど休養を取らざるを得なくなってしまった。
ホークス「おい、色々話が違ってた。もっと仲良くできないかな。荼毘」
ハイエンド襲来当日未明。廃れた倉庫で荼毘とホークスの密会が行われた。
ホークス「予定じゃ明後日、海沿いの工場だったはずだ。それにあの脳無…今までとは次元が違ってた。そういうのは予め言っといてほしいな」
ホークスは荼毘に剛翼を突きつけながらそう言った。
荼毘「気が変わったんだ。それに脳無の性能テストって言わなかったか?しかし違うと言うのならそっちもそっちだ。桐生戦兎のあの強さ…ありゃ聞いてない。それに消滅させられたんじゃ性能データを取りようがない」
ホークス「それはそっちが指名したんだろ?」
荼毘「何を言っているんだ…?俺は
「おっと、話はそこまでだ」
不気味な声が倉庫内に響き渡る。聞いたことのない声だ。気がつけばこめかみのあたりにホークスは銃口を、荼毘はブレードの刃先を突きつけられていた。
「桐生戦兎を推薦したのはこの俺だ。と言っても記憶を操作したから覚えていないのも無理はないか。」
荼毘「お前…誰だ…!?」
「俺だよ俺!もしかして…忘れちゃった?」
荼毘「テメェもしかして…シンイリか…?」
「ピンポーン!正解♪」
ホークス「シンイリ…?まさかあなたもヴィラン連合だったんですか…!」
荼毘は明らかに動揺を見せた。というのも今の彼はいつもの赤い姿ではなかったからだ。にしても初めて見た素顔を信じることはできなかった。
一方でホークスはシンイリという存在を記憶していなかった。しかしその顔には見覚えがある様子だった。
シンイリ「信じられないというのなら…見せてやろうか?」
シンイリはブレードを地面に投げ捨て、
【Cobra…!】
トランスチームガンのスロットにコブラロストフルボトルをセット。コブラの音声と共にあの待機音声が響き渡る。
シンイリ「蒸血」
【Mist Match…!!!Co・Cobra…!Cobra…!!! Fire…!!!】
トリガーを引くと銃口から煙が舞い上がり、シンイリを包み込む。ビカビカと赤く光りながらも現れたのは、ワインレッドを基調としたメカメカしいスーツで、胸元にはコブラの衣装が刻まれている怪人。その名も…
シンイリ「ブラッドスターク…それが俺の名だ。」
スタークが現れた瞬間、ホークスは持っていた剛翼をスタークに向け、荼毘は手を出し蒼炎の準備をして警戒する。
スターク「おいおい、そう警戒するなよ。ホークスはともかく、荼毘は俺のこと知ってんだろ?」
荼毘「知ってるのと信用するのは話が別だ。そもそもお前を呼んだつもりもない。それと俺はお前が気に食わない」
そう言って荼毘は蒼炎をスタークに向かって放つがスタークはそれを避けずにそのまま直撃。しかしスタークは全く動じない。
スターク「やれやれ…そんな攻撃で俺に勝てると思ったか?」
荼毘「うっ…!」
スタークは
スターク「しばらく神経麻痺する毒だ。あとで解毒してやるから安心しろ。それより今は脳無の話だ。今回脳無にネビュラガスを投与する実験は大成功。ハザードフォームにやられる程度の脳無が大幅に強化されたんだ。負ければ消滅するリスクはあっても脳無が量産できることを考えれば大した痛手にはならない。氏子さんもそこんところは織り込み済みだ。」
荼毘「テメェ…どこまで…知って…」
スターク「俺に隠し事はできない。そんなことお見通しなはずだろ?なぁ、轟燈矢」
ホークス「轟…!?」
スターク「あ、これは言っちゃダメな奴だったか」
スタークが荼毘の本名をポロッと漏らし、それにホークスが反応し荼毘の方を見た。
スターク「まぁいい。ここでの一件のことはどうせ記憶を消されて忘れるんだ。何を話しても問題はない。」
そう言うとスタークは身体が動かない荼毘の顔に手をかざす。すると手のひらから煙を噴出し、それが荼毘の頭を覆った。たちまち荼毘は気を失ったが、それと同時に荼毘の顔色も元に戻った。
スターク「さ、次はお前の番だ。」
ホークス「クソッ…こうなったら一か八かだ…!」
ホークスは羽を広げて飛び立とうとした。
スターク「全く…逃げても無駄なんだがなぁ」
【Rifle mode!Cobra…!】
スタークはスチームブレードを分解してトランスチームガンにセット。ライフルモードに変形させると、コブラロストフルボトルをシャカシャカとふり、スロットに差し込んだ。
【Steam Shot!!!Cobra…!】
ロングスナイプスコープを覗いて空を飛ぶホークスに照準を定め、トリガーを引く。すると蛇行する紫色の光弾が発射され、ホークスの背中を的確に撃ち抜いた。ホークスはそのまま地面へと落下。背中からぶつかり大怪我を負った。
スターク「だから無駄だと言ったのに…」
スタークは荼毘と同様に顔を手をかざし、ここでの記憶を葬りさった。
スターク「これでよし!すぐに目を冷ますだろうし、適当なところでコイツは捨てとくか」
そう呟くとホークスを担いで倉庫を後にしたスタークは、言葉通り目のつかないところにホークスを置いてそのまま粒子状となって消えてしまった…。
内海「それでシンイリ、昨日の事件はどうなった」
スターク「そりゃもちろん大成功♪ヴィラン連合は貴重なハイエンド脳無を一体失い、ヒーロー側は大打撃。加えてヴィラン連合は今別件で忙しいときた。少なくとも、デトラネット社や難波重工にはヒーローもヴィラン連合も手を回せない。」
ハイエンド襲撃事件から翌日、シンイリ改めスタークは内海に呼び出されていた。秘密のルートを通りながら昨日の話を詳しく話す。
スターク「にしても、まさか内海がデトラネット社の秘書を難波チルドレンのスパイとしてやっていたとはなぁ。」
内海「最初から分かっていたくせに…。そもそも秘書の私にトランスチームガンをちらつかせてはトランスチームガンを研究させてネビュラスチームガンを作らせ、それを難波重工のために使っていても何とも言わなかったのはそういうことでしょう」
スターク「正解♪流石は内海だ。俺が気に入った男なだけあるねぇ」
スタークはそういうと内海の背中をばんと叩いた。
内海「無駄話はここら辺にして…。この先に難波会長がいらっしゃる。くれぐれも失礼のないようにな」
スターク「あぁ。十分分かってる。」
内海はその返事を聞き入れた後、会長室の扉を開いた。するとそこには高そうな椅子に腰掛けている老人の姿と、近衛兵としての鷲尾兄弟がいた。
「私が難波重工会長、難波重三郎だ。よろしく」
スターク「シンイリだ。よろしく」
差し出されたしわしわな難波会長の手を握り軽く握手をする。友好表現はしたもののまだまだお互い目が相手を信頼しきれていないようだ。
難波「
スターク「いやいや、俺一人じゃ目的達成に時間がかかる。そのためにも難波重工やデトラネット社とは仲良くしたいところだからな。」
難波「ああ。私としてもぜひ仲良くしたいところだ。」
難波会長は席に座り、置いてあった焼き立てのたい焼きを一口、頭から頬張った。
スターク「ところでこうして会長の元を訪ねたのには訳があってな。内海から聞いていると思うが…近々デトラネット社のデストロがヴィラン連合を潰そうと画策している。そこで…」
難波「デトラネット社の社長と手を組めと…そう言いたいんだな?」
スターク「流石は会長!話が早くて助かるねぇ。」
難波「…具体的には何をすればいいんだ」
スターク「やってほしいことは二つ。一つはそこのリモコンブロス、エンジンブロスをデトラネット社の戦力として加えること…。もう一つはデトラネット社と協力してこれを完成させることだ」
スタークはそういうと、内海に視線を送った。すると内海は持っていたジュラルミンケースを会長の前に出し、開けてみせた。
難波「これは…!」
その中にはスタークのいうブツとその設計図等が入っていた。これを見ると一目でこれがとんでもないものだということがわかる。
スターク「デトラネット社だけの技術じゃこれを完成させるのは不可能でな。超常黎明期以前から重工業や兵器の生産で栄え、超常以降は加えてサポートアイテム、ヒーローコスチュームなど"個性"工業を充実させてきた技術を持つ難波にしかできない。そう思ってる。もちろんこれが完成した暁には、難波重工はヒーローもヴィラン連合をも上回る大きな力を持つことになる。」
スタークの言葉に難波会長は少し悩んだのち、口を開いた。
難波「…いいだろう。君にはヘルブロスの件もあるからな。ただし君も私に協力することだ。」
スターク「もちろん!全ては難波重工のために…!ってな。それじゃあまた明日の夜、ここで会おう。Ciao♪」
スタークはそういうと粒子となって消えてしまった。
内海「本当によろしいのですか?彼を信用しても…」
難波「信用はしとらん。だが例のブツは完成すれば難波重工は核兵器をも超える凄まじいエネルギーを持つ兵器になる…。これを奴に渡しさえしなければいいだけだ。」
そういうと難波会長はたい焼きの尻尾を口に放り込んだ。
難波「というわけで内海、さっそくデトラネット社とこの開発について進めなさい」
内海「はっ!全ては難波重工のために…」
難波重工、デトラネット社、ヴィラン連合…。悪はヒーローの知らぬところで次第に大きくなってゆく。彼らの目的は一体なんなのだろうか…。